とある街の高台に、とある神社がありました。名前は、鏡音神社。
今日は元旦の昼、この神社でも、お正月の参拝合戦が起こってました。
わいわい
がやがや
客:巫女さーん、こっち、お守り1個、まだなのー
巫女さん:ごめんなさーい、もう少々お待ち下さいませ
客:ねーねー、甘酒とおでん、1つずつ、はやくねー
店員:はい、今、お持ちいたしまーす
混雑の中、おみくじの行列に並んでいたのは、青いマフラーをつけて、白いコートを着た男性と、赤い服を着た茶色の髪の女性でした。
赤い服の女性は白いコートの男性に話しかけました。
MEIKO:カイト、あんた、また今年もおみくじやるのー? 毎年毎年、奇跡的なのか、全部大凶で、よく今年も引く気になるわねー?
カイトは自信満々の、ドヤ顔で答えました。
KAITO:ふ、ふ、ふ、昨年行ったのは、こことは違う神社。この神社ワなー、噂では、おみくじ売場には、可愛い双子姉妹の巫女さんがいて、それだけでも1年幸せになれるって、評判なんだぞ! メイコよ、いかにも、ツキを貰えそうじゃないかぁ!
メイコは呆れて答えました。
MEIKO:あのねー。巫女さんがいくら可愛くても、貴方のツキとは関係ないのよ? それにあなたの、不憫な子病、は、筋金入りなんだから、いい加減諦めたら?
ぶんぶんぶん
カイトは顔を横に振りました。
KAITO:いーや、今年こそ、この負の連鎖を断ち切って、勝ち組になるんだ! 可愛い巫女さん! 俺の女神になってくれぇ!
メイコはため息を1つついて、諦めました。
MEIKO:はいはい、頑張って下さいませぇー
***
しばらくして、この二人の順番がまわってきました。カウンターにいた、その巫女さんは軽く会釈をしました。
巫女のレン(以下、レン):いらっしゃいませ
カイトは、その黄色い髪のちょっとボーイッシュな可愛い巫女さんに、つい見とれてしまいました。
KAITO:さ、さすが噂通り・・・・か、可愛い・・・・
メイコは横から肘で小突きました。
MEIKO:ほら!、さっさとおみくじ、買いなさい!
カイトは仕方ないという顔つきで、その巫女さんに100円を差し出しました。
KAITO:あ、あの、可愛い巫女さん、あ、あの、仕事が終わったら、デートにでも
メイコは怒り心頭で、横から正ケンづきを喰らわせました。
ゴスッ
MEIKO:巫女さん、すみません。この人におみくじを1回お願いします。それと、私も1回やっていきます。
メイコもその巫女さんに、100円を手渡しました。
巫女さんは、まずはピクピクしているカイトに、おみくじ箱を手渡しました。
レン:それでは、このおみくじ箱をガラガラして、おみくじ棒を1本取り出して下さい
カイトは横腹を押さえながら、箱をガラガラして、おみくじを1本取り出しました。
KAITO:イタタタ・・・・・、カ、の、110です
巫女さんは、ニコっと笑って、棒を確認してから、再び棒を箱に戻して、今度はメイコに箱を手渡しました。
レン:では、お客さんもお願いしますね
マジマジと眺めたため、メイコもちょっと照れていたが、同じく箱から棒を1本取り出しました。
MEIKO:えっと・・・・メ、の、15よ
巫女さんは、またニコっと笑って棒を確認し、箱に戻してから、奥で作業している双子の姉の巫女である、リン、に二人分のおみくじの連絡をしました。
レン:リン姉さーん、カの110と、メの15をお願いしまーす!
奥で作業していたリンは、業務半分、おふざけ半分で答えました。
リン:はーい。デートを申し込まれた、レンちゃーん、りょうかーい
レンはリンのほうを向いたままで、呟きました。
レン:(ちくしょー、からかいやがってー!)
手際のいい作業で、2つのおみくじを持ってきたリンは、レンに別々に手渡し、レンは1つ1つ、カイトとメイコにおみくじを渡しました。
レン:お買いあげ、ありがとうございました
カイトは、カウンターをあとにして、空いている場所に移動してから、鼻の下を伸ばして、呟きました。
KAITO:奥の双子のお姉さんの巫女さんも、可愛かったなぁー。この神社、噂にたがわず、めっちゃ凄い巫女さんがいて、こりゃあ、繁盛するだろうなぁー。
メイコは呆れながらも、おみくじを開きました。
大吉
全てがうまくいくでしょう。攻めの年です。
メイコはパチンっと指を鳴らして、喜びました。
MEIKO:カイト、私、大吉だったぞ! あんたはどうだった?
メイコは、おみくじを開いているカイトの様子を見ました。しかし、カイトは、プルプル震えていたのでした。
大凶
人生、オーワーター
謎の合唱団:オーーーワーーーターーー・(ハイ)・アーーー
KAITO:ま、また今年も大凶なのか。俺の春は一体、いつくるんだ
しょぼーん
メイコは、さすがにフォローをしようとしました。
MEIKO:ま、まぁ、今年は可愛い巫女さん二人に会えたから、それでいいじゃないの。そ、そうそう、大凶って、数が少ないから、一番数が多い大吉より、運がいいって、確率論の学者が言っていたわよ。だから、あなた、引き運が強いのよ
カイトは、ころっと変わって、笑顔になりました。
KAITO:そ、そうだよな! 今年はあんな可愛い双子姉妹の巫女さんから、おみくじ貰ったし、数が少ないハイをツモったんだから。そうだ! 今年はツキまくりなんだ!
メイコはニコニコしながらも、心ではこう呟いてました。
単純
こうして、二人は神社をあとにしました。
今度は、普通の男子大学生と、アホ毛が似合う女子高生と、小型の赤い髪の女の子の人形が、参拝にやってきました。
アホ毛の女子高生は、大学生と人形に向かって、質問しました。
ミキ:あのー、升太さん? クリスマスに続いて、初参りまで私と一緒でいいんですか?今回はテトさんも、人形の形とはいえ、帰ってきてくれたじゃないですか
人形のテトは、ニコニコしながら、升太の回答に割って入り、そのアホ毛の女子高生に答えました。
テト:私は決めたのです! 升太とミキさんをカップルにするのです!
ミキさんは呆れながら答えました。
ミキ:テトちゃん、升太さんが本当に好きなのは、あなたなのよ? もうちょっと升太さんの気持ちも考えてあげてもいいんじゃないの?
升太はゆっくりと答えました。
升太:あー、ミキちゃん、いいのいいの。着物を着た女の子二人に囲まれての初参り、こういう時ってね、男は素直に嬉しいものなんだよ。ミキちゃん、着物似合っているし、テトも可愛いし
ミキは、妙に納得して答えました。
ミキ:誉めても何も出ませんよ。でも、みんなで初参りって、楽しいですよね。じゃあ、おみくじでも引いていきましょうか
3人は、おみくじ売場のカウンターにやってきました。
レンはニコっと微笑んで挨拶しました。
レン:いらっしゃいませ
升太はカウンターパンチを喰らったかのように、ちょっと赤くなりました。
ムぅー
ミキは無意識にムッとなってしまいました。
テト:うーん、かなーり可愛いけど、升太にはちょっと若すぎるわね
テトは、値踏みをするように、レンを眺めていました。
とりあえず、3人は、100円玉をレンに差し出して、おみくじを引きました。
升太は、マの5
ミキちゃんは、フの39
テトは、テの31
でした。
レン:リン姉さん、マの5、フの39、テの31をお願いします!
リンは、またもや、業務半分、おちゃらけ半分で、返事をしました。
リン:大学生も惚れさせちゃう、可愛い巫女のレンちゃん、りょうかーい!
レンはもう諦める事にしました。
レンは、リンからおみくじを受け取って、マスタ達にそれぞれ手渡しました。
レン:有り難うございました
3人は、それぞれのおみくじを開けてみました。
なんと、3人とも大吉でした。
でも、文面が、それぞれ少しずつ違ってました。
升太の、恋愛、の項目に書かれていたのは
すぐそばにいる、見つけよ
ミキのおみくじには
多少の乱有り、気を付けよ
テトのおみくじには
惚れられている、自覚せよ
3人は腕組みをして、考え込みました。そして、全員同じ言葉を喋りました。
3人:どういうことなんだろ
お昼の昼食時間になりました。リンとレンは休憩部屋に移動して、お弁当を食べていました。
レンは、ちょっと考えながらの食事になりました。
レン:どうして、参拝のお客さん、みんな真っ赤になったり、デートしようとか言ったり、おみくじ渡すときに、手を握ってきたり・・・。俺、無理矢理、巫女をやらされているけど、ベースは男だぞ。男の巫女なんて、気持ち悪いだけで、可愛いはずないじゃん・・・
ふぅ
リンはそんなレンの様子を、ニマニマしながら眺めて、心の中で呟いてました。
リン:可愛いレンきゅんだから、男女問わずにモテるのよー。しかし、レン目当ての男性客、相手が男だと知った時の反応、是非見たいわねー
ふふふ
多難なレンなのでした。そして、これから物語は始まるのでした。
(第1話に続く)
CAST
お手伝い巫女・鏡音リン:鏡音リン
お手伝い巫女(?)・鏡音レン:鏡音レン
謎の合唱団:初音ミク、鏡音リン、鏡音レン、巡音ルカ
KAITO:KAITO
MEIKO:MEIKO
升太(墓火炉 升太):とある大学生
ミキ(古河ミキ):miki
テト:重音テト
他の巫女さん、お客、店員、etc…:エキストラの皆さん
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○ボーカロイド小説シリーズ第9作目の” 戦国慕歌路絵巻 風雲!鏡音伝“シリーズの第0話です。
○巫女の鏡音姉弟(?)が主役の擬似タイムスリップジュブナイルです♪
○メインは和風の妖怪とか陰陽師とか出てくる、バトル物でもあります。
☆本来、この第0話は、第1話の後に、短くした本文を月読アイちゃんに読んで貰った“朗読劇”として投稿した物を、小説に変えてピアプロにテキスト文章として投稿したものです。
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