「ここは?」
さっきの大広間の奥にある厚い鉄の扉の先には、
小さな部屋があった。
部屋の壁という壁には、見たことのない模様が所狭しと描かれ
床には鎖が無造作に置かれていた。
一見、昔の拷問部屋にも見える。
よく見ると何か鋭利なもので抉った後も見える。
「さて、まぁとりあえず、やるべきなのは、使い魔を召喚することだ。」
そういうとレベッカは、突然目の前から姿を消した。
その瞬間、僕の両手は、後ろに無理やり回され鎖につながれていた。
「え?ちょっ・・・・ちょっと!?」
「AULLA」
レベッカが何かを唱え始めた。
そのとき、体が宙に浮き始め、鎖に引っ張られた。
十字架に張りつけられたかのように身動きが取れない
そして、僕の意識は、深い闇の中へと落ちていった・・・・・
気がつくとまたあの草むらにいた。
起き上がるとあのオブジェがすぐそばに見える
「やぁボウヤ。やっと起きたか
大方の内容は知ってる。
さっさと始めようじゃないか」
「その前にあんた誰だ?
この前きたときも名乗らなかったじゃないか。」
「ふむ。そうだな・・・
今は、イデスとでも名乗っておくか。」
そういうとイデスは、片膝をつき右腕を振り上げ、
そしてそれを勢いよく地面にたたきつけた。
目の前の草原は暗転し、そしてすべてが真っ黒になった。
存在するのは僕とイデスだけ。
その中にすっと3つの扉が現れた。
「さぁ、好きなのを選べ。
その先にはお前の使い魔がいる。
まぁ私もそのひとつなんだがな・・・・
私は、こいつらが全員使えるようにならないと
出られんようにされてるから。
だから、私を早く出してくれ。」
それぞれの扉には個性がある。
ひとつは、和風のふすま。
ひとつは、木でできた青いドア。
ひとつは、厳重な鉄の扉。
明らかにどの扉からも何か黒いものが見えて仕方ない。
「とりあえず鉄の扉は、まだやめておけ。
制御できないだろうからな。
残りの二つのからだ。」
そう言われ、とりあえずふすまの方を選び開けた。
なんとなくこれを最初にあけなきゃいけない気がしたためだ。
その先には、青い着物を着た銀髪の女性がいた。
一見少女のようにも見えるが
明らかに空気が違った。
イデスと同じ感じを受ける。
しかし、雰囲気はおっとりとしている。
のんきに正座して茶の湯をすすっていたのもあるだろう。
ふとこっちの存在に気づき僕の顔をゆっくりと見た。
瞬間、満面の笑みになり飛びついてきた。
「おぉ!京ではないか!!待ちくたびれたぞ!」
口調にはそぐわぬどこか幼さを感じる声
その声を聞いていると
なんとなくその女性のことを知ってる気がした。
「ん?なんじゃ・・またわらわのことを忘れたのか。
仕方のないやつめ。」
やれやれという顔をして再び前に立つと
いきなりその女性はキスをしてきた。
そして記憶の奥底に眠っている記憶の一部が浮上してきた。
「・・・・雛乃ねぇさん?」
どこかでしたキスの記憶が蘇り、名前が浮かび上がってきた。
「ふむ。やはりこれが一番手っ取り早いな。
しかし、毎回これをやるのもけっこう恥かしいのだぞ?」
「ご・・ゴメン。ねぇさん」
ふぅと息をつくと
ねぇさんはさらに口を開いた。
「よい。思い出さぬよりはましじゃ
それよりもここに来たのだからわらわの力が必要なのじゃろ?」
「まぁ・・・ね」
ねぇさんは、それを聞くと立ち上がり
「うむ。ついてまいれ」
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