No.468897

超次元ゲイムネプテューヌXWorld Act.9【状況開始】

フロムたちに安定して味方がいない不具合。こんな本当にラスボスでもサボりそうな奴らだが大丈夫か?てかネロいるのかな?アクワイアとかサンドロットでもいいんじゃね?と今更思ったり(主人公否定)

2012-08-12 00:37:39 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:851   閲覧ユーザー数:750

~ラステイション 最上層北展望フロア~

 

「……がすと。」

「ルウィー方面から飛翔体二体接近。エネルギー洸から女神と推測。」

 

ラステイション最上層の北側。

少し出っ張った展望台に二人はいた。

最上層だけあって見通しはよく、中央山脈の向こうのように障害物がなければどこまでも見えそうなほどの景色だった。

 

だが、フロムとがすとには景色を楽しむ様子はなく、フロムはその体の二倍はあるだろう巨大な銃を肩に付け、銃から出ているスコープから遠くを見つめていた。

その横ではがすとが双眼鏡を使い、まるで狙撃手と観測手のような状態だ。

 

 

「確認した。片方はネロのようだが…もう片方は誰だ?」

「あれが恐らく私達の他のイレギュラーですの。ネロがあまり力を付けると厄介なことになるですの。ネロは殺さず、もう片方の白い方を狙えですの。」

「了解、風向き。」

「北3m」

「妨害」

「今の所存在せず」

「オーライ……。」

 

フロムの構えた銃の銃口に徐々に電流がながれ、徐々にその勢いを増していく。

スコープの中心は黒い光と白い光を放つ人影、その白い方に重なっていた。

 

「充電完了。……shoot!!」

 

 

フロムが引き金を引いたと同時に、銃口から一筋の光が放たれた。

~同時刻ラステイション-ルウィー間 上空~

 

「もうすぐラステイション領内よ。」

「確かに見えた…。」

 

ルウィーとラステイションを直線で結んだ空路。

その途中、半分を過ぎたあたりをネロとフウの二人は飛んでいた。

ネロ単体だと現在の高度は厳しいものがあるが、フウが機動力に富んだ性能をしているためか手を繋いで子の高度を維持していた。

 

「雲が降りてきた……。アリス!先にラステイションへ!」

『影遣いの荒いことで。』

『それに巻き込まれる身にもなって頂戴』

 

フウの声に反応して二人が感じる重苦しい間隔が消えた。

二人よりはるか下、影に潜んでるアリスとフウカが二人の影から離れたからである。

生物の影に隠れた場合の弊害だが、半重力や飛行能力がある女神に対しては殆ど意味を成してはいなかったりする。

 

「少し速度をあげるけど、用意はいい?」

「問題はな……フウ!何か来るぞ!」

 

二人の視界の先、ラステイションの方角から一筋の光が飛来した。

明らかに二人を狙ったそれをネロがフリーの右腕でそれを防ぐ。手を繋いでいた二人の身体が大きく揺れるが、すぐに体勢を立て直した。

 

「攻撃…!?アリス!」

『今向かいまーす』

『意外と早かったわね、敵』

「ネロ、大丈夫!?」

「貫通……はしていないが、腕の中に入っている。正常稼働には問題がでるかもしれないな…。」

「もう敵がいるみたいだし……ごめん、急ぐ…!」

 

 

ネロの返事を待たずにフウは速度を上げ、ラステイションへ急いだ。

~もっかいラステイション~

「受け止められた…!?」

「ネロの反応速度を侮っていたですの。」

 

着弾したのを確認してからフロムは肩の装甲に銃(全長3m超)を収納。がすとも双眼鏡で様子を見ていた。

一発一殺。フロムが思い描くスナイプの基本だが防がれた。

それに今使った銃はレールキャノン。発射場所がかなりわかりやすく、二人も偽装という偽装をしていない。

つまりこちらに気付いた二人が接近、直接戦闘に入るのは避けられないだろう。

フロムはまだいいが、異世界に来たばかりで残機(ホムンクルス)がないがすとが問題だ。

単体の戦闘力は皆無に等しく、肉体強度も並以下。恐らく本体だろうこのがすとが殺されでもすれば、最悪状況的に詰む。そうフロムは考えた。

 

「移動するぞ。仕留められなかった以上状況は最悪だ。少し潜伏しておくべきだったかな…」

「まぁ提案したのは私ですの。……それに、移動する暇もなさそうですの。」

 

がすとが鞄から一つの爆弾のようなものを出すと、近くの暗がりに投げる。

暗がりに入った途端破裂し、強烈な光を発したそれは暗がりを明るく照らした。

 

『にゃああああああ!?目が、眼がァああああ!』

『ッ…!しまっ…!』

 

一つ、不自然に残っていた影から二つの人影、アリスとフウカが飛び出る。

徐々に色を戻した人影は、その二つとも先ほど狙い打とうとした白い女神そっくりだった。

 

「ちっ、別働隊がいたか。がすと、離れるなよ。」

「がすとに自殺願望はないですの。」

 

がすとが近づいたのを確認し、フロムも臨戦態勢に入る。

フロムの装甲の内両手甲からそれぞれグレネードライフルが現れ、両手に持ち構える。

 

居場所がばれたとわかった二人(まぁ片方だけど)は途端にあわて始めていた。

 

「ど、どうするんですかフウカさん!奇襲かけるつもりが返り討ちパターンですよこれ!」

「面倒なことになったけど……ま、見つかっちゃったしやるしかないかもね。」

「やだなぁ……。たまには影にもぬくもりをくださいよぉ。」

 

それぞれ剣、そして大砲が付いたような大剣を構える。

一触即発な空気。それは予想外の出来事で変化した。

 

「闘うと思ったか!?やんねぇよ!!」

「まさに外道!」

 

フロムの持つ銃から発射されたものは【スタングレネード】、つまりは発光手榴弾。

殺傷能力はなく、強烈な光と音を放つだけの物。

しかし、それは十分な効力を発揮した。

 

「うおっ、マブシッ!?」

「ッ……!」

 

閃光に怯んだ二人。とっさに腕で目を保護する。

目が覚めたそこにはフロム、がすと両名はいなかった。あるのは人形だけ。

その不細工としか言いようのない造形の人形には「バーカ」とだけ書かれたプレートが提げられており、露骨な挑発が見て取れた。

 

「に、逃げられた……。いや、見逃された……?」

「多分前者だと思いますよー。あっちは戦いたくない様子でしたし。多分あの大きい方の人は広範囲兵器しかもってないんですよ。フウカさんと同じで脳筋ですね!」

「やかましいっての」

「もぎゅるふぅ!?」

 

フウカの峰打ちで床に頭を打ちつけながらも正気に戻るアリス(それ以前の問題でもあるが)。

少しすると、フウとネロも到着した。

 

「アリス、フウカさん。どうだった?」

「逃げられたわ。…正確に言うと見逃されただけど。」

「どうやら狙撃手か何かみたいですよ。近距離での戦いを嫌がった感じがありました。」

(……?)

 

ネロとフウも女神化を解除し、フウ一向はこれで全員無事(?)にラステイションに到着したのだった。

~ラステイション スラム~

「ぜぇ、ぜぇ………」

「どうやら撒いたようですの。」

 

エレベーターから現れたフロムとがすと。

最上階から逃げだし、エレベーターに乗り最下層にやってきた。

元々最上階に通じるエレベーターが中央部にしかなく、北部展望台からは割と遠い。

そこから全力疾走していたので元々足の遅いフロム(全力で走った結果100m19秒)とそれなりに体が軽いがすとでは明らかに様子が違った。

 

「あいつらのことですの。どうせ……。」

「頼るのはユニ、か…。指名手配でもされるのは都合が悪い。結局私らの根城はここになるんだな…。」

 

エレベーターから少し歩いたところにある少し大きめの家。【フロムたちの世界】ではフロムたちの家代わり、バーテックス傭兵事務所があった場所だ。

建てつけの悪い扉を開けると、かなり使われていない感じの光景だ。

少し広い居間らしき部屋の中央には大きな壺が見える。がすとが良く使う錬金釜をさらに大きくしたような物のようだ。

 

「んー…。どうだがすと?」

「錬金釜はある、どうにでもなるですの。ここにちょっと居住機能を付けて拠点とするですの。」

「異世界にきてもやることがかわんないってのかね…。」

「似て異なる世界なんだから仕方ないですの。さて、まずはホムンクルスの増産を…」

「先にベッドか金作れ!!」

 

大よそゲテモノに分類される何かを釜に入れるがすとにフロムの怒号が飛んだ。

ついでに使い古されたような本も飛んできた。

そして角ががすとの頭に直撃。「ですっ!?」という普段のがすとからは考えられない悲鳴があがった。

 

「掃除とかの力仕事は私がやってやっから、お前は生活必需品を作れ。話はそれからだ。」

「とりあえず造り始めてはしまったですの…。一体は作らせろですの。」

「どれぐらいかかる?」

「30分。」

「急げよ。」

「結構時間が重要なんで無理ですの。」

「ああそうかい…。」

 

ぐるこ~ん、ぐるこ~んと釜を掻き混ぜだしたがすと。

もういいや、と諦め半分に掃除を続けるフロム。大量に詰まれている変な本を片付ける中、一冊の妙な本を見つけた。

 

題名は【Fallen to hell】。和訳すれば地獄への堕天。何かその下に文字があるようにも見えるが、掠れている上今の文字に上書きされ読むことはできなさそうだ。

がすとは錬金術に集中していてフロムの方向を見ていない。

ここぞとばかりに興味をひかれ、フロムは掃除を中断し、その本を読みだした。

 

文字は掠れて読みにくい物が多いが読み取れた部分からすると内容は日記にも似たものであり、新婚かと思うような甘ったるい文字と文章が陳列してあった。

フロムも若干引いたが、何故か読み進めなければならないような予感がし、そのまま読み続けた。

その中で、フロムの目を引いた単語が数個あった。

【空様】

【イストワール】

【神々】

の三つだ。

前後二つはともかく、二番目のイストワールというのは恐らくプラネテューヌ教祖のイストワールのことで間違いないだろう。

そのイストワールという単語の前後の文が

 

【イストワール 元 に       。空 も    。娘の  し、や  心配。】

 

となっている。イストワールと書かれた分の近くに娘、と書いてある。イストワールの娘か、はたまたその逆か。

そのほかにも愛や娘、夫婦など、イストワールの肉親なのかと疑いそうな文がまばらにあった。

だが解せない部分もある。イストワールはプラネテューヌの教祖だ。何故ラステイションのスラム、それもこんな廃屋にこんなものがあるのか。考えても仕様がないとはいえ、なんとなく不快感をフロムは感じていた。

 

次々と読み進め、あるページをめくった先の事だった。

 

【ど う し て ?】

 

「…!?」

 

突然の豹変にフロムも息をのんだ。

それまでは薄紫色の頁だったものが突然黒に代わり、文字も血文字かと思うほどに紅く、そして悍ましく書かれていた。

 

【何故捨てたのですかどうしてですかあのおんなが悪いのですねあのおんなさえころせればあなたはきっともどってきますよねそうしんじていますわたしをすてないでくださいおねがいしますおねがいしますおねがいしますおねがいしますおねがいしますおねがいしますおねがいしますおねがいしますおねがいしますおねがいしますおねがいしますおねがいしますおねがいしますおねがいしますおねがいしますおねがいしますおねがいしますおねがいしますおねがいしますおねがいしますおねがいしますおねがいしますおねがいしますおねがいしますおねがいしますおねがいしますおねがいしますおねがいしますおねがいしますおねがいしますおねがいしますおねがいしますおねがいしますおねがいしますおねがいしますおねがいしますおねがいします】

 

狂気。

言い表すならばそれが最も近いであろうその頁は、見続けているだけで正気を失いそうなほどに狂気に満ちていた。

びっしりと隙間なく血文字のように書かれたおねがいします、の文字。

次の頁も、その次の頁も。さらにその次の頁も。

 

同じ言葉で続けられた言葉の羅列。

徐々に文字も小さくなり、その分書かれる文字数が増える。

それだけで気味の悪さが加速度的に増加する。

 

どんどん頁を進める。徐々に文字も掠れだし、読めないほどに小さくなっている。

最後の頁までそれは続き、最後の頁の最後の行。隅にはこう書かれていた。

【わたしたちをすてないで】。

 

本を閉じ、フロムは頭を捻る。

いったいどういうものなのか。何者なのか。空様とはだれか。あの女とはだれか。イストワールと何の関係があるのか。

フロムの頭の中は若干混乱し始めていた。

 

「……フロムー。」

「…はっ!?」

 

がすとの声でフロムは我に返る。

いつもニヤケ顔のがすとにしては珍しく心配そうな顔でフロムを見ていたが、フロムはあわてて立ち上がり、なんでもないと返す。

 

地獄への堕天。空。あの女。イストワール。元々いた世界にもあんな本は無かった辺り、何か関係があるのか…。

そう、フロムは考えていた。


 
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