No.467105

IS〈インフィニット・ストラトス〉 ~G-soul~

ドラーグさん

マドカと訓練!

2012-08-08 14:17:48 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1422   閲覧ユーザー数:1365

「さてと、準備はいいか?」

 

「はい!」

 

放課後、俺と一夏は第四アリーナでマドカの訓練をすることになった。

 

と言ってもマジな訓練をするわけではなく明日の実習の予習も含めた軽めの訓練だ。

 

メンツは俺と一夏とマドカの三人だけ。他の連中は部活で忙しいらしい。

 

「じゃあまずは展開からだな。一夏、やって見せてやれ」

 

「なんか千冬姉みたいな言い方だな」

 

「いいじゃねえか。一回やってみたかったんだよ」

 

「わかったよ」

 

そう言って一夏は白式を展開して浮遊する。

 

「展開の一般的な仕方は意識をISに集中させることだ。最初は時間がかかるかもしれないけど、やってみな」

 

「は、はい」

 

マドカは目を閉じてすぅっと息を吸った。

 

「来て・・・・・。ブレーディア!」

 

イヤリングが光り、その光が止むとマドカは赤い装甲に包まれ浮遊していた。

 

「へぇ・・・。もうそのスピードで展開できるのか」

 

「すごいな。やっぱりセンスが良いみたいだ」

 

「そ、そうなの? えへへ・・・」

 

俺と一夏の褒め言葉に照れるマドカ。

 

「よっしゃ。じゃあ軽く飛んでみるか。G-soul!」

 

俺もG-soulを展開して浮遊。

 

「このままこのアリーナを一周してみよう。行くぞ」

 

マドカを中央にして俺と一夏がその間を飛ぶかたちになった。

 

そしてアリーナを一周し、スタート地点に戻る。

 

「どうだった? 初飛行の感想は」

 

「うん! とっても気持ち良かった!」

 

一夏の問いかけにマドカは満面の笑みを浮かべて頷いた。

 

「そっか。それは良かった。あ、そうだ! マドカ、瑛斗にアレ見てもらえよ」

 

「アレ? ああ! わかった!」

 

「? なにを見るんだ?」

 

俺が首をかしげると、マドカは右腕を俺の前に出した。

 

すると腕に装備されたブレードビットが腕から離れて俺の周りをクルクルと回り始めた。

 

「こいつは・・・・・」

 

「マドカが早くこのISに慣れたいって言って、家でも片腕だけ展開して少し練習したんだ。あ、大きい方のビットはま

だ使ったことないから、まだ動かせるかどうか分からないけど」

 

「ど、どうかな? みんなに追いつけるかな・・・・・?」

 

サイレント・ゼフィルスを操っていたとは言え、まさかここまで機体に慣れていたことに俺は驚いた。

 

「ああ。凄いよ。普通はこんなに簡単に動かせないぞ」

 

「うん。なんでか分からないけど、何となく動かし方が分かったんだ」

 

照れ笑いを浮かべながらマドカは言う。

 

(なるほど・・・。記憶は無くなっても、使い方は体が覚えてるってわけか・・・・・)

 

俺は合点がいった。ブレードビットの動かし方はティアーズ系のビットと変わらない。だからマドカは感覚で使い方が分

かったんだ。

 

「よし。ここまで来てるならさっそくデカい方も動かしてみよう」

 

「はい!」

 

マドカの返事をして小型ブレードビットを戻した直後、腰のブレードビット六枚が装甲を離れヒュンヒュンと周囲を飛び

始めた。

 

「どうだ? 何か変わったところはないか?」

 

「大丈夫。動かし方も一緒だから制御できるよ。だけど小さいのも含めて全部動かすのはできないみたい」

 

「そうか。それはまあ、これから頑張っていけばいいさ。さて、それじゃあ・・・・・」

 

俺は一夏を連れてピットの横のターゲット射出機に近づく。

 

「もうこれ使うのか?」

 

一夏が少し心配そうに聞いてくる。

 

「ああ。あれだけ使えりゃこれ位できるさ」

 

俺は答えながら画面を操作してターゲットを射出させる。

 

「マドカ、今からこのターゲットたちと戦ってもらう」

 

「え・・・」

 

マドカが不安そうな顔をする。

 

「大丈夫だ。低出力のレーザーが飛んでくるけど負傷するほどのもんじゃない。それにヤバくなったら俺たちが助けるか

ら。安心して叩き落とせ」

 

「わ、わかった!」

 

マドカが頷いたのを確認し、ターゲットに行動開始の信号を送る。

 

「っ!」

 

レーザーを回避してマドカは腰の大型ブレードビットを射出する。高速で移動するビットは赤い軌跡を残しながら次々と

ターゲットを破壊していく。

 

「瑛斗、あのビットって切断攻撃だけなのか?」

 

横の一夏が話しかけてきた。

 

「ああ。レーザービットにするって手もあったが、それじゃあ面白みがない。それにサイレント・ゼフィルスのシールド

ビットの技術も応用してるからアレで防御もできる」

 

話しているとまさに今、ブレードビットでレーザーを防いでいた。

 

「あんな感じでな」

 

「なるほど・・・・・。ん? それじゃあ射撃系の武器はないのか?」

 

「一夏・・・・・俺を誰だと思ってるんだ?」

 

「と言うことはあるのか」

 

「もちろん。コレだよ。冬休みの残りで組み上げたんだ」

 

俺はG-soulを操作して赤いレーザーライフルを一つ呼び出した。

 

「セシリアのスターライトに似てるな。青の部分が赤くなったみたいだ」

 

「似てるどころかほとんど同じだよ。アイツのスターライトmkⅢをそっくりそのまま造った後、俺が独自の改良を加え

た。その名も《スターダストmkⅡ》! ドヤァ・・・」

 

「ドヤ顔してるのも良いけど、マドカの方はもう終わったみたいだぞ」

 

「あ、本当だ」

 

「二人とも、なんの話してるの?」

 

ターゲットを全機撃墜し、ビットを装甲に戻したマドカが近づいてきた。

 

「コレだよ。お前のブレーディアの射撃武装。《スターダストmkⅡ》。今渡そうと思ってたところなんだ」

 

マドカにスターダストmkⅡを渡す。

 

「おー! カッコいい~!」

 

目をキラキラさせながら受け取ったレーザーライフルを見るマドカ。

 

「実弾とレーザーの両方を撃てるようになってる。俺みたいにビーム攻撃を無効化するような敵には実弾で攻撃するのが

ベストだな」

 

「へぇ~! 『mkⅡ』ってことは『mkⅠ』もあるの?」

 

「・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・」

 

「・・・・よしじゃあさっそく使ってみよう!」

 

「あ、ないんだね」

 

「ないんだな」

 

 

 

 

 

 

 

時間は経って夜。

 

学園側の判断で俺、織斑一夏と妹マドカは相部屋になった。だけどマドカは今部屋にはいなくて、シャルロットたちに連

れられて風呂に行っている。アイツも今日の訓練で疲れただろう。

 

「ふぅ・・・・・」

 

シャワーを浴び終わり、椅子に座って今日一日のことを思い出す。

 

夕食のときもマドカは注目の的で、少し困っていた。きっと今も浴場で女子たちの注目の的になってるに違いない。

 

授業の時も、千冬姉との勉強が功を奏したのか当てられた時も問題なく答えられていた。

 

間違えないか俺の方が緊張したけど。

 

「お兄ちゃん・・・か」

 

ぽつりとつぶやく。

 

いつも千冬姉の背中を追いかけてたけど、俺も追いかけられる側になったんだよな。

 

そう思うと気が引き締まる感じがした。

 

「もうすぐ二年になるし・・・、もっと頑張んないといけないな」

 

気持ちを新たにそう決心すると、部屋のドアが開いた。

 

「はあ~・・・やっと戻ってきたぁ」

 

入ってきたのはマドカだった。ふらふらとベッドに進み、ぽふっと仰向けに寝転ぶ。

 

「なんか、すごい疲れてんな」

 

そうなんだよぉ、とマドカは体を起こした。

 

「お風呂でいろんな人に声かけられちゃって。何人かの目は怖かったよ」

 

「俺と瑛斗が学園に来たときもお前みたいなことになったよ」

 

入学したばかりのころを思い出して、ぷっと吹き出す。

 

「笑いごとじゃないよぉ。楯無さんがくすぐってきたりして」

 

「・・・くすぐられたのに笑いごとじゃない・・・・・。これはいかに」

 

「・・・お兄ちゃん」

 

マドカに苦笑された。俺は軽く咳払いしてこの話を終わらせる。

 

「ま、まあ、あれだ。大変だけど楽しいだろ?」

 

「うん! 明日も楽しみだよ!」

 

マドカは頷いて笑った。

 

「はは。明日は実戦練習もあるから今日より大変だぞ?」

 

「それでも頑張るよ」

 

「そっか。偉いぞ」

 

俺はマドカの頭を撫でた。

 

「あはっ、やめてよぉ。くすぐったい」

 

マドカは嬉しそうに目を細めた。

 

こんなこと言うのもアレかも知れないけど、その、すごく可愛い。髪も少し湿っていて艶っぽいし、顔もちょっと紅い。

 

千冬姉と同じ顔だからってわけじゃないけど、なんというかドキドキする。

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・・・お兄ちゃん?」

 

「えっ?」

 

「どうしたの? 私の顔、何かついてる?」

 

「あ、い、いや! 別に!」

 

俺は慌てて顔を離す。

 

「あれれ? もしかしてドキドキした?」

 

マドカがクスリと小さく笑った。

 

「なぁっ!?」

 

「お姉ちゃんが言ってたけど、お兄ちゃんって――――――」

 

「わあああっ! なんでもない! 千冬姉の冗談だろ!」

 

「もう・・・ちょっとだけだよ?」

 

そう言ってマドカは服を上げてへそあたりまで出した。

 

「な、なにしてんだよ! やめ―――――――」

 

 

ガチャ

 

 

「一夏ー、マドカー。遊びに来たぞー。鈴も連れ・・・て・・・・・」

 

ドアを開けて瑛斗が入ってきた。

 

「どうよ一夏、ちゃんとやって・・・る・・・・・」

 

その後ろから鈴も顔を出す。

 

え? なにこの展開?

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

瑛斗と鈴の瞳孔が開いている。

 

「あ、いや・・・これは・・・・・」

 

「ち、違うよ? こうするとお兄ちゃんは面白い反応するって楯無さんが・・・・・」

 

そういうことだったか。

 

けどマドカ、もう遅い。もう遅いよ。

 

「・・・・・姐さん。お願いします」

 

「・・・・・ええ」

 

ゴゴゴゴゴ・・・・・

 

そんな音と共に 鈴が近づいてくる。

 

「や、あの、鈴? 話を・・・・・」

 

「このバカァッ!」

 

「デスヨネッ!」

 

鈴の鉄拳で、俺は見事に宙を舞った。


 
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