No.465301

黙示録ジェネレーション

神に謀反を起こした天使ルシファー(女)は仲間達と共に堕天させられた。
決戦の前、ルシファーの副官であるアブディエルはルシファーに呆れ、神の元に去っていっていた。
ルシファーは地の底コキュートスでそれをずっと恨んでいた。
気の遠くなるような月日が流れた。
アザゼル率いるグリゴリが人間に興味を持ったのを理由に堕天。

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2012-08-05 10:15:56 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:467   閲覧ユーザー数:467

ここは地獄の奥底、氷の魔境『コキュートス』

一度到った者は永遠に脱出不可能と言われている奈落だ。

そこに、遥か昔唯一神によって投獄された愚かな者達がいた。

 

「あー! 何万何億回思い出してもムカつく! あの裏切り者め、絶対に許さぬからな!」

 

美しい漆黒の長髪の女、元大天使長ルシファーが喚いている。

それを聞いた隣の顎髭を生やした男が呟く。

 

「お前も神を裏切ったじゃねぇか……(ボソッ」

 

男が呟いた時、離れた位置にいたつり目の女が反応した。

 

「ベルゼバブ様、ルシファー様への悪口は許しませんよ?」

 

「ちっ……地獄耳が」

 

ベルゼバブと呼ばれた男は呆れた様子で首を振る。

ベルゼバブはルシファーの盟友であり、実力は計り知れない。

女はパイモンと言い、地獄耳とあり得ない声量を持っている。

ルシファーを慕い、絶対の忠誠を誓っている。

 

「怒ったら腹が減った。ベルゼバブ、何かないのか?」

 

「ここには飯はねぇって何回言ったら分かるんだ?」

 

「そんなにキツく言うな。一応乙女だぞ?」

 

「はっ! ギャグにしか聞こえねぇな」

 

黙ってやり取りを聞いていたパイモンがベルゼバブに歩み寄る。

 

「ベルゼバブ様。これ以上ルシファー様に乱暴な口を利いたらぶち殺しますよ?」

 

「おいおい……ぶち殺すとは聞き捨てならんな」

 

「喧嘩はそこまでにしろ。ベルゼバブ、パイモン」

 

突如聞こえてきた声に3人はビビる。

すると上から誰かが降ってきた。

そしてその誰かは華麗に着地する。

 

「……お前は、アザゼル!?」

 

「助けにきたぜお三方」

 

アザゼルと呼ばれたオールバックの男が喋りながらクールに言う。

アザゼルはグリゴリという人界を監視する任を行っている者達のリーダーである。

ベルゼバブとルシファーとは盟友である。

ルシファーは嬉しそうに歩み寄り、熱い抱擁をしてきた。

 

「恩に着るぞアザゼル!」

 

「あっ……ルシファー様が……アザゼル様に……ほ、抱擁……くぅ!」

 

「お前レズだろ?」

 

なんとか地獄から出てきた4人は人界を見渡す。

 

「ここが人間が住む世界か……ふん、興味などない。ルシファー様、とっとと天界に……」

 

「ちょ……! あのでかい物体は何なのだ!? アザゼル! お前なら分かるはずだ、教えてくれぬか!?」

 

「あれはビルという建造物らしい。あそこにリーマンが集う」

 

はしゃぐルシファーにパイモンは愕然すると思いきや萌えていた。

 

「あ、あのルシファー様が幼子のようにはしゃいでおられる……あぁ! 心の臓がbreak off!!」

 

「分かったぞ、お前はレズだな?」

 

すると目の前から誰かが歩いてきた。

病的に真っ白い肌をした男だった。

馬鹿でかい大鎌を持っている。

 

「……アザゼル様、用は済んだのですか?」

 

「ああ、3人とも無事だ」

 

男の名はシェムハザ。

アザゼルの副官である。

 

「さて、キャストも揃ったし行こうか?」

 

「どこにだ?」

 

ルシファーの言葉にベルゼバブが疑問を投げかける。

ルシファーは呆れたように首を振る。

 

「天界に決まってるであろう」

 

「馬鹿かてめぇ。何しに行くんだよ? 数億年前のこと謝りますすいませんでした、とでも言いに行くのか?」

 

「んなわけあるか! 復讐だ! 復讐に参るのだ!!」

 

一同全員(パイモン以外)ルシファーに冷たい視線を向ける。

そして再びベルゼバブが口を開いた。

 

「……あのなぁルシファー……奴らの強さ分かるだろ? 天使達の4分の1を味方につけたのにボロ負けしたじゃねぇか!!」

 

「あれはアブディエルがいなかったから負けたんだ! くそっ……あの裏切り者がおったら……」

 

「1人増えてどうにかなったのかよ馬鹿。てかマイナーだろそいつ」

 

「アブディエルの悪口を言うな! 言っていいのは余のみぞ!」

 

「……はっ! まさかルシファー様はアブディエルの事が……くそ……くそくそくそ!!」

 

1人地面を叩くパイモンを尻目に、シェムハザが口を開いた。

 

「……大天使長様。私めも復讐したいと思います」

 

「ほう! 協力してくれるか!?」

 

「……私は人界を監視しているうちに人間の女に興味を持ち始めました……それだけで神は私を堕天させたのだ……つまり恋をするなと言う事か? ……ならば、愛など要らぬ!!」

 

「ん? なんかツッコミ所あるけど言っていいか?」

 

「こまけぇこたぁいいんだよ。とっとと天界行くぞ」

 

こうして5人は天界に赴くのである。

こうして歯車は動き出した……


 
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