No.464727

英雄伝説~光と闇の軌跡~ 239

soranoさん

第239話


ここからのBGMはVERITAの”それでも生きる”か、ZEROの”君と再び出会うまで”です♪

2012-08-04 08:54:09 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1308   閲覧ユーザー数:1229

~???・エステル~

 

「あ…………」

意識を失ったエステルが目を開けると、エステルは何もない真っ暗な空間に倒れていた。

「!?ど、どこよ、ここ!」

周囲の風景を見渡して、エステルが焦ったその時

「フフ…………まさか、こんな形で会う事になるとはね。」

「……そんなに慌てるな。お前に宿った者として、恥ずかしいぞ。」

なんとエステルの目の前に二つの光が発生し、そして光は人の形になった後、光から黒髪の女性と金髪の女性が現れた!

「あ………も、もしかして……!」

黒髪の女性と金髪の女性を見たエステルは信じられない表情で2人を見ていた。

「……バルジア領主。リン・ファラ・バルジアーナ。武術大会の時以来だな。」

「……セルノ領主、イオーノ・サウリンの妹、ラピス・サウリン。……ようやく会えたわね、エステル。」

金髪の女性――リンは口元に笑みを浮かべ、黒髪の女性――ラピスは優しい微笑みをエステルに見せて言った。

 

~???・プリネ~

 

エステルが謎の空間でラピスとリンに出会った一方、意識を失ったプリネもまた、謎の真っ暗な空間にいた。

「ここは一体………」

プリネが周囲を見渡したその時、プリネの目の前に何かの風景が現れた!その風景にはアッシュブロンドの髪を持つ青年――クーデター事件以降行方をくらませたロランスらしき青年が木刀を持って、素振りをしていた。

「!?あの人はまさか……ロランス少尉!?」

ロランスらしき青年を見たプリネは驚いた。そして青年が素振りを終えると、黒髪と琥珀の瞳を持つ優しげな女性と、女性と同じく黒髪と琥珀の瞳を持つ男の子が青年に近付いて来た。

「あの男の子は……もしかして、ヨシュアさん?……それにあの女性はあの時、一瞬見えた女性………!」

男の子の容姿を見たプリネはヨシュアの幼い頃と推測し、そして女性を見たプリネは武術大会でロランスと戦った時、一瞬見えた女性である事に気付き、驚いた。そして青年は自分に近づいて来る2人に気付き、優しい微笑みを2人に見せた。

「……あの優しい微笑みは一体………」

プリネが青年の笑顔に驚いている中、風景が進み、3人は青空の下、草むらの上で食事をしている風景になり、そして3人の会話が聞こえて来た。

 

~???~

 

「あ、ちょうちょだー。待って~………」

食事を終えた男の子はちょうちょに気付き、呑気に追っていた。

「フフ……」

「ハハ……」

男の子の無邪気な様子を見た女性と青年はそれぞれ優しく微笑んで、見守っていた。そして微笑んでいた女性は青年の肩にもたれかかって、青年を見上げて尋ねた。

「……ヨシュアに聞いたわ、レーヴェ。遊撃士になりたいって本当なの?」

女性は青年――レーヴェを心配そうな表情で見て、尋ねた。

「……ああ。この世界では非力な人間に辛いことばかりだ。力を持つ者が非力な者を守るのは当然の事だろ。……だから俺はその為に、遊撃士になる。」

レーヴェは目を閉じた後、口元に笑みを浮かべて静かに語った。

「……そうね。でも、その力を持つ人を……レーヴェを守ってくれるのは誰?レーヴェを失うことがあったら私は……嫌だわ……」

「……………」

目を伏せている女性をレーヴェは黙って見つめた後、女性の頭を優しく自分の肩に乗せた後、優しい微笑みを見せて言った。

「………自分の事は自分で守るさ。お前と………ヨシュアと俺と……全部、俺が守る。お前を1人にはしない……絶対に。」

「レーヴェ…………」

そしてレーヴェと女性は見つめ合った。

「ねえねえ、2人とも、何しているの~?」

そこに男の子――幼いヨシュアが2人をジッと見て尋ねた。

 

「「…………!!」」

ヨシュアに気付いた2人は慌てて目線をそらした。

「な、何でもないのよ、ヨシュア!」

「もう~。たまにお姉ちゃんはそうやって誤魔化す~。」

慌てた様子で誤魔化している女性にヨシュアは頬を膨らませた。

「ハハ……………カリン。」

女性――カリンとヨシュアのやり取りに笑ったレーヴェはカリンの名を呼んだ。

「ん?どうしたの?」

「”あれ”、聴きたいな。」

首を傾げて自分を見るカリンにレーヴェはある事を尋ねた。

「……またあの曲?昨日も吹いたじゃないー。」

レーヴェの頼みにカリンは呆れた様子で答えた。

「好きなんだ、あの曲が。……特にカリンが吹くあの曲が……な。」

「僕も好きーっ。」

レーヴェに続くようにヨシュアも無邪気な笑顔を見せて言った。

「……………もうっ……………」

2人の答えを聞いたカリンは恥ずかしそうに笑った後、ハーモニカを取り出し、そして優しい微笑みを見せながらハーモニカを吹き始めた。

 

~~~~~~~♪

 

~???・プリネ~

 

「”星の在り処”…………カリン…………レーヴェ………ヨシュア…………あ…………どうして涙が………!」

風景を見続けていたプリネは涙を流しながら呟き、風景を見ていた。そして風景は突然変わり、村が燃えている風景に変わった!

「なっ!?これは一体………!」

プリネは燃えている村を見て、信じられない表情になった。そして燃えている村の中は逃げ惑う村人達が武装した男達によって、次々と殺されていった!

「ひ、酷い………!」

その様子を見ていたプリネは悲痛そうな表情で見ていた。そしてヨシュア、レーヴェ、カリンも逃げている風景が見え、レーヴェが武装した男達と戦い、カリンとヨシュアだけが逃げていた。しかし

「!!何てこと!」待ち伏せまでしてあるなんて……!」

なんと2人の道を塞ぐように1人の武装した男が2人に銃を構えていた!そして2人は男に背を向けて、逃げようとしたがカリンの足が撃たれ、カリンは倒れた!そして男は倒れたカリンに呼びかけているヨシュアを殴り飛ばし、下卑た笑みを浮かべてカリンの上にのしかかった!

「!!やめて!」

犯されようとしているカリンを見て、プリネは声を上げたが意味はなかった。そして突き飛ばされたヨシュアは男にしがみ付いて止めようとしたが、すぐに弾き飛ばされ、そして弾き飛ばされたヨシュアの近くには銃が落ちており、ヨシュアはその銃を拾って、そして――

「まさか!」

ヨシュアの行動を見て、プリネが血相を変えたその時、ヨシュアは男の喉に銃を撃った!喉を撃たれた男は口から血を吐き、蹲ったが、やがてヨシュアに目を向け、腰に刺していた剣を抜いて、ヨシュアに斬りかかった!

「ヨシュアさん!」

 

~???~

 

「え………」

男に斬りかかられてヨシュアは身をすくめて、目を閉じていたが衝撃はなく、何かに抱きしめられていた。

「ヨシュ……ア………大丈………夫………?」

「お……姉………ちゃん………?」

ヨシュアが目を開けると、そこには自分を抱きしめているカリンが背中を斬られながらも弱々しく優しく微笑んでいた。しかし

「殺す!殺す!殺す!」

男は何かにとりつかれたかのように、何度もカリンを斬った!

「………きゃあああああああっ!?………大丈夫よ………ヨシュアはちゃんと……お姉ちゃんが守ってあげるから………!」

カリンは悲鳴をあげながらも、ヨシュアを抱きしめ、男からの攻撃を庇っていた!

「う………うあああああああ…………!」

そしてヨシュアは混乱した様子で無意識に銃をまた構えて、男の額を撃った!額を撃たれた男は信じられない表情で後ずさった後、その場で倒れ絶命した!

 

「………ヨシュア………カリン………?」

そして少しするとそこには呆然とした様子のレーヴェが2人を見つめていた。

「………レーヴェ………!」

「!!ヨシュア!カリン!大丈夫か!!」

ヨシュアの泣き声でハッとしたレーヴェは2人に駆け寄った!

「よか………った………レーヴェ………無事だった………のね………」

「カリン!待ってろ、今すぐに………!」

瀕死になりながらも弱々しく微笑んでいるカリンを見て、レーヴェは抱き上げようとしたその時

「ヨシュアは……ヨシュアは無事……?」

「ああ、無事だ!それよりもカリン!お前の方がっ……!」

「ヨシュア………よかった……無事で………」

「お姉……ちゃん……?」

レーヴェに抱き抱えられ、弱々しい笑みを浮かべているカリンを見て、ヨシュアは呆然とした。

「こ………れ………を………」

「あ…………」

そしてカリンはハーモニカをヨシュアに手渡し、レーヴェを見た。

「レーヴェ……ヨシュアをお願い…………………」

レーヴェに遺言を残したカリンは穏やかで満ち足りた表情を浮かべ、そして静かに目を閉じた。

「おい、カリン!なんだよ、それ!カリン、カリン!カリン―――――!」

「う……うああああああ―――!」

自分達にとって最も大事で親しい人が逝った事に、レーヴェとヨシュアは夜の森の中、悲痛の叫びを上げた………

 

~???・プリネ~

 

「……………………ヨシュアさん。」

カリンが逝った瞬間を見ていたプリネは涙を流しながら目を伏せた。そして倒れているカリンから何かが出て来た。

「あれは………まさかカリンさんの魂………?」

そしてカリンの魂らしきものは大陸中を彷徨った後、ある場所に向かった。そこは――

「嘘……!?メンフィル大使館………!」

プリネが驚いている中、カリンの魂らしきものは母(ペテレーネ)と共に幸せそうに眠っているプリネの元に行き、そしてプリネの身体の中に入った。

「…………そういう事……だったんです……ね。私の中にはカリンさんが………だから、”星の在り処”がひけたんですね………それに武術大会の時、ロラン……いえ、レーヴェさんと戦った時、感じた心が………」

呆然としていたプリネだったが、自分の身体を見て呟いたその時

「はい。……魂の波長があまりにも私と似ていたから、私は貴女に惹かれ、そして貴女の中に宿ったんです……」

「!!カリンさん!」

突如プリネの目の前に光が発生し、光からカリンが出て来て、カリンを見たプリネは驚いた。

 

エステルがラピスとリン、プリネがカリンと邂逅しているその頃、意識を失っているイリーナも同じように真っ暗な空間の中にいた。そしてイリーナもまた、エステルやプリネのように、ある人物との邂逅の時が迫っていた………

 

 

 


 
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