No.462743 外史テイルズオブエクシリア 闇の魂を持つ者の旅路の記録 第31話BLACKさん 2012-07-31 07:23:37 投稿 / 全6ページ 総閲覧数:980 閲覧ユーザー数:965 |
第31話 それぞれの道
ジュード達はバランに言われてルサル街道の先にある丘へと進んだ。
「この丘の下に俺たちが倒れてたってよ」
「下に行く道を探そう」
そこでエリーゼはあるものを見つけた。
「あれ、なんですか?」
それは空間の歪みであった。
しかしその空間の歪みは小さかった。
「僕たち、きっとあそこから、崖の下に落ちたんだ」
「裂け目がずいぶん小さくないか?」
「消えかかっているようだ。飛び込むのはいちかばちかになるな」
「危険だよー! これじゃ帰れないねー」
「ああ、それなら問題ないぞ」
秋山が空間の歪みの前に立つ。
「秋山君?」
秋山が手の爪で空間の歪みを切り裂く。
すると空間の歪みは裂け目へと変わり、裂け目は人一人は簡単に入れるものへとなった。
「すごい……」
「元々異世界を渡って来てたんだぞ。
瞬間移動で、お前たちをリーゼ・マクシアに帰すことだってできる。
っか、少し前までいた異世界じゃ、その異世界の人間を別の世界に連れて行くときも瞬間移動だったしな。
わざわざここに来なくても俺が連れて帰ることも可能だった」
「じゃあ、なんでそれを早く言わなかったの?」
「そうだ、そうだー!」
「お前たちに源霊匣(オリジン)の可能性を知ってもらいたくてな……」
「秋山さんは源霊匣(オリジン)がどんなものか知っていたのですか?」
「ああ、知ってた」
「…………」
「まあとりあえず帰るとかは明日に回して、今日は一度街に戻ろうぜ」
「そうだね」
レイア達は街に戻ろうとすると……。
「リーゼ・マクシアに帰るつもりなら、僕たちはここで別れた方がいいと思うんだ」
「な、何言い出すの!?」
「みんなでここにきて、源霊匣(オリジン)のことがわかって、これからの未来にも希望はできた。
けど……もう戦うしか、ガイアスを止める方法はないと思うんだ。
だから、一時の感情に流されて、本当の気持ちをごまかさないでほしいんだ」
「私も同感だ。自分の心をごまかすような戦いなら、意味はない」
「己の心で、己の道を決める、ですね」
「そりゃそうだ。でなきゃ、マクスウェルにミラを認めさせたことがウソになっちまう」
「…………」
「もう少しだけ考えさせて。ジュードたちが出発するまででいいの」
「うん。わかった」
「俺が瞬間移動で送るぞ」
「あ、ありがとう」
秋山は瞬間移動で皆をトリグラフまで送った。
その日の夜である。
「…………」
アルヴィンは一人でブランコに座っていた。
「何してるんですか?」
そこにエリーゼがやって来る。
「……一緒にいたら、あいつらも疲れるだろ」
「ひねくれてるなー」
「そういう人間なの。エリーゼこそ、どうした? 迷ってるのか?」
エリーゼもブランコに座る。
「わたし、どうしたらいいかわからないんです……」
「子どもの気持ちはなぁ。まともに過ごしてねーからな。アドバイスは」
「アルヴィンは子どもの時から、アルクノアだったんですか?」
「まーな。人をだまして、欺いて、都合悪くなれば姿を消して、おかげでいつの間にか自分が傷つかないやり方ばっかなのが俺だよ」
「なら、ミラとジュードと一緒には行かないんですか?」
「……あいつ……ジュードが俺を焦らせるんだよ。あいつらはみんな大人だよ。俺を気遣ってくる」
「そっかー、それが寂しいんだろー、アルヴィン君」
「ホントの気持ちを言葉にするのは下手なもんでね。
ただ……嫌われようとも、この場所に食いついて離れないようにしないとな」
「みんなと友達になりたいんですか?」
「本音で信頼関係を築いていくのは、努力が必要みたいでね」
「大人は面倒なんだねー」
「大人になればなるほど、他人に自分の気持ちを明かすのは難しい。
それなのに、自分が踏み出さなくちゃ、誰も俺とつながろうとしてくれない。…………だけど、一人よりずっといい」
「子どもはどうすればいいんでしょうね。子どもらしくって……」
「自分で見て、感じて、自分の可能性を見つけられたらいいんじゃない? 素直な気持ちあるんだろ?」
「わたし……みんなと一緒にいたから、友達がなんなのかもわかりました。
だから、もっと色々わかりたいんです。それをみんなと一緒に知りたいんです」
「なら、それでいいんじゃないの?」
「つれない返事ー」
「言ったろ。俺にもよくわからないんだ、許してくれよ」
アルヴィンが目をつぶっていた時であった。
エリーゼが立ち上がり、アルヴィンの頬のキスをした。
「なんだ?」
「お礼です。あとアルヴィンとはこれからも仲よくしてあげますね」
エリーゼはマンションの方に戻る。
「あ~、ガキばっかどんどん大人になってくね」
自分が置いてけぼりにされてる感を感じるアルヴィンだった。
それと同じころ、ローエンは街を歩いていると、レイアを見つける。
「眠れないんですか」
「うん、まだ答えでなくて。ローエンは?」
「私は一緒に行くことにしました」
「そっかぁー。わたしだけかなぁ。フラフラしてんの」
「私もですね……」
「うん?」
「ナハティガルがまだ怪我で動けない時、ナハティガルに国を頼むと言われ、焦ったものです」
「でも、ローエンはどうするかを決めたんでしょう。
わたしは、がんばればどうにかなるって言ってるけど、いつも……」
「アグリアさんのことですか?」
レイアは頷いた。
「秋山君が助けてくれたからどうにかなったけど、わたしからしてあげられること他にもあったんじゃないかって思っちゃうんだ……」
「私も同じですよ」
「あ……ナハティガル王のこと……」
「ナハティガルは秋山さんのおかげで無事命は取り留めました。
ですが、私も思いますよ。他になにかしてやれることがあったのではないかと……。
おわかりでしょう? 年を重ねても生きるというのは実に難しい。
……ですが、少々意外でした」
「何が?」
「私はてっきりジュードさんのことで悩んでいるものだと」
「バ、バカ言わないでよ……」
レイアは必死に否定しようとするが……。
「ってばれてる?」
「それはもう♪」
「わたしね、看護師になれれば、自分も幸せになれると思ってたんだ。
ジュードが幸せなら、自分も幸せな気持ちになれたから。
けど今は、わたしは一緒にいない方が、ジュード、幸せなんじゃないのかなって。
ほら、またわたし足引っ張っちゃうかもしれないし」
「……レイアさん、私がジュードさんやミラさんとご一緒する理由を話していませんでしたね」
「教えてくれるの?」
ローエンは頷く。
「私は、彼らが歩であろう未来を一緒に歩みたい」
「ローエンらしい」
「違いますよ」
「…………?」
「私が最前列で、彼らを引っ張っていくのです! これが私の本心です」
「わたしは……わたしの気持ちは……」
「もう答えは出ていたじゃありませんか」
「わたしはジュードの喜ぶ顔が見たい!
それがわたしの……理由でいいのかな」
ローエンは頷き、レイアは嬉しくなる。
その頃、秋山がトリグラフの海停に一人で立っていると、そこにドロッセルがきた。
「よう」
「眠れないの?」
「いや、眠い。だが、お前がここにくるのは予想できてたから、待ってることにした」
秋山は正直に答えた。
「なんで待ってたんですか?」
「お前は俺にまた聞きたいことが出来ていたんじゃないのか?」
「知ってたの」
「知らないよ。心を読む力はあるけど、俺はその力は時止め以上に使わないようにしている。
人の心域(しんいき)を侵したくないもんでな」
「秋山さん、やっぱり優しいのね」
ドロッセルに言われて秋山は思わず頭をかく。
「だから俺は自分勝手なんだって……。それで俺に聞きたいこと、言ってみろ」
「秋山さんは前に滅茶苦茶にしない理由は、この世界の根本の解決にならないって言ってたけど、あれって源霊匣(オリジン)のこと?」
「ああ。俺は源霊匣(オリジン)の存在を最初っから知っていた。
まあジランドがティポを使わずに自力で、源霊匣(オリジン)をつくったのには素直に驚いた。
けど結局はあいつは命を落とした。俺はそこまで面倒を見る気はないし、他人を蹴落としたりして、人を簡単に傷つけたあいつを許す気もなかった。
だからあれでもいいと俺は思う。
それと、ついでに言うのもなんだが、本当はセルシウスはあのまま消滅するのが正史での歴史なんだ。
ヴォルトはジュードたちが協力してどうにかするけど、結局はダメだった。
1回がやっとってところだったんだ」
「そうだったのね」
「まあそこまで歴史通りにするつもりはない。
それにミラが死ぬ予定だったのを俺が阻止したから、ミラは精霊にもなってない」
「精霊にもなってないってどういうこと?」
「ミラが本当は死ぬ予定だってのは今言ったよな。それで四大に助けられたのはいいんだが、生き返らせる方法は精霊化しかなかったんだ」
「そんな……」
ドロッセルは少し驚いた顔をする。
「まあそれは阻止したんだけどな。けどミラは次のマクスウェルになろうとしている。それは正史でも外史であるここでも変わらない。
マクスウェルになるには精霊になる必要があるとミラは考えているかもしれない」
「秋山さんに助けられた命なのに……」
「そこのところも俺は阻止しようと思う」
秋山は決意をしている顔をする。
「俺の中では別にマクスウェルは精霊である必要がないと思っている。
正直、ガイアスがなったって俺は文句は言わない。俺には関係ないっていうのもある。
だが決してそれだけじゃない。ガイアスの言う覚悟があるか。それも大事だと思っている。
けど、人間はどこまでいっても人間だ」
「ガイアスさんに言った言葉ね」
「ミラが精霊になっても、俺から見たら人なんだ。
ミラにはそれをもう一度教える必要があると俺は思う。
お前はどう思う? 変な言い方だが、俺はガイアスだけでなくミラも阻止しようと思っている」
「私は……」
ドロッセルの中ではもう答えは固まっていた。
「友達が困っているのに助けないわけにはいかないでしょ」
「……そうか」
秋山はわずかに微笑んだ。
その頃、ミラが外に出るとジュードがベンチに座っていた。
「ミラ……座らないの?」
ミラは立っていることにした。
「ジュードは変わったな」
「そんなことないよ。今だって眠るのが怖いんだ」
「前にも言っただろう。断界殻(シェル)さえ解放できれば、私がどうにかする。
だから不安を感じることなど……」
「ミラ。断界殻(シェル)がなくなったら、世精の途(ウルスカーラ)もなくなるの?」
「……ああ。断界殻(シェル)の消失とマクスウェルの死は同義だ。マクスウェルの力と霊勢が生み出した世精ノ途(ウルスカーラ)も、同じく消える」
「…………それでミラはどうするの?」
「マクスウェルという存在は、精霊にとって不可欠なものだ。次なるマクスウェルが必要になる」
「一緒にはいられなくなるの?」
ミラが少し間をおいて答える。
「別れを悲しむのは人間的な感情だ。そういった感情とは私は無縁のつもりだった。
だが、私もやはり人間なんだな」
「ミラ?」
「私も別れは悲しい。
だが、私は次のマクスウェルになろうと思っている。
そのためには感情を切り捨てようと思う」
「…………」
「ジュード、世界中の人々と精霊たちの未来を私たちでつくろう」
「僕たちで……」
「ああ」
「……そうだね」
「さて、そろそろ眠るとするか」
「うん」
ジュード達はマンションに戻り眠ることにした。
翌日、ミラ達がマンションを出ると既にジュードは一人で外にいた。
「よく眠れた?」
「ああ」
「こんなにぐっすり眠れたのは、初めてかもってぐらい寝たよ」
「ジュード、ミラ、わたし一緒に行く。あっと、理由はいちいち言わないからね」
ジュードは頷く。
「がんばろうね、レイア」
「うん!」
「わたしも行きます!」
「もちろん、ぼくもねー」
「私もご一緒しますよ」
「私も行くわ、ミラ、ジュードさん」
「唯一のエレンピオス人としては傍観決め込むわけにはいかないってね」
「俺の答えは簡単だ。ここまで付き合ったんだ。最後まで付き合わせろ」
ジュードはミラを見る。
「いいんだな?」
「愚問だ。だが、最後の戦いになる前に、一度リーゼ・マクシアに戻って色々したいと思ったりするんじゃないのか?」
『…………』
「とりあえず俺はすぐにガイアスを追うことはしない。
ひとまず、リーゼ・マクシアに戻る。ガイアスもミュゼもすぐには動かんだろう。
いくらあの二人でもそこまで愚かではないだろ。もしも動いたらすぐに俺たちも動く。
それでいいな?」
「ジュード、どうする? 私はそれで構わない」
「僕もそれでいいよ」
「よし、じゃあ、ひとまずリーゼ・マクシアに戻るか」
秋山達は瞬間移動でその場から消え、リーゼ・マクシアに戻るのだった。
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この作品は別の人の影響で作った作品であり、作者(BLACK)のオリジナルキャラ「秋山総司郎」を第3主人公として、テイルズオブエクシリアの世界に来たらで書かれました。
秋山総司郎が今まで出てきた作品一覧(作品検索)。
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