No.462702

落日を討て――最後の外史―― 真・恋姫†無双二次創作 ⅸ 後篇

ありむらさん

独自解釈独自設定ありの真・恋姫†無双二次創作です。魏国の流れを基本に、天下三分ではなく統一を目指すお話にしたいと思います。文章を書くことに全くと云っていいほど慣れていない、ずぶの素人ですが、読んで下さった方に楽しんで行けるように頑張ります。
魏国でお話は進めていきますけれど、原作から離れることが多くなるやもしれません。すでにそうなりつつあるのですが。その辺りはご了承ください。
あと私の描く一刀さんは少々お強くあります。苦手な方はごめんなさい。
第九回は長くなったので前篇後篇に分けます。
これは後篇です。

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2012-07-31 01:51:48 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:10688   閲覧ユーザー数:8323

 

「高そうな店だな」

 一刀は『梅花庵』と銘打たれたその店をぼんやりと眺める。別段華美な佇まいではないが、それが帰って高級感を醸し出している。内実があるならば、派手な意匠は逆に妨げとなる――店主のそう云った思想が見え隠れする構えであった。

「高いわよ」

 事もなげに曹操は云う。彼女がかなりの美食家であると云う話はどうやら本当らしい。

「半端な店で会合を開いたんじゃ、私の評判にかかわるもの」

「なるほど」

「さ、行くわよ」

 促され、曹操の後に続いて店の中に入る。

 出迎えにやってきた主人の案内で、奥の広間へ向かうと、参加者は皆そろっているようだった。

 比較的若い者から、相応に老いた者まで――老若男女が思い思いに、少なくとも表面上は会話を楽しんでいるようだった。

 基本的には、近況や民からの要望を聞くことになるだろうと、曹操は道中にそう告げた。一刀の『農事心得』については、それらの後説明することになるだろうと。

 曹操が広間に入ると、皆一様にそれに気が付き、うやうやしく礼をとる。

 と――。

「あ、一刀ちゃんだ!」

 そんな声が聞こえてきた。

 見れば、そこには見覚えのある少女がひとり――一刀が趙雲たちと共に世話になった村にいた少女だった。その少女の隣には彼女の母親もおり、こちらに礼をとった。

 盗賊襲撃の際、一刀が火事場から救い出した、あの母娘である。

「これ蘭々」

 更に少女――蘭々を優しくたしなめる、しわがれた声が響いた。その声の主は蘭々の手を引いてこちらにやってくる。

「長老――」

 声の主であるその老人は、一刀が滞在してた村の長老であった。

「曹操さま、賢人さま――お元気そうで何よりにございます」

「賢人は止して下さいよ」

 一刀が云うと長老は「ほっほっほ」と面白げに笑う。

「一刀ちゃん、元気だった?」

 蘭々が問うてくる。

「ああ、元気だったよ。蘭々はいい子にしてたか?」

「うん! 蘭々、いい子にしてたよ!」

 答えながら蘭々はずいと一歩前に出る。一刀は蘭々の意図をくみ取り、彼女の頭をそっと撫でてやった。

「長老、どう云うことかしら」

 曹操がたしなめるような口調で問う。彼女の云わんとすることは分かる。どうして会合と云う公式の場に、蘭々のような子供を連れてきているのか、その真意を問いたいのだろう。

「宿においてこようかとも思ったのですがな。近頃、何やら不穏なことが続きますゆえ、こうして人の多い場に連れてきておりますのじゃ」

「その不穏なことについては後で聞くけれど――私が聞いているのは、どうしてこの子たちを村においてこなかったかと云うことよ」

「なるほど、お答えいたしましょう。蘭々とこの子の母親は村が盗賊に襲われた際、賢人さま――あいや、北郷さまに命を救っていただいておりましてな。この度、北郷さまが曹操さまと共に陳留へ赴かれたと聞き及びましたものですから、村を代表してお礼を申し上げに参った次第。こうして北郷さまが会合にいらっしゃるとは思いもしませなんだが、これも天のお導きでしょうかのう」

 長老は白いあごひげを撫でながら云う。

「そう。まあいいわ」

「寛大な御心に感謝いたします。会合の最中は静かにさせておきますゆえ」

 長老の言葉に蘭々は大きく頷く。

「一刀ちゃん」

「ん? なんだ?」

「これ。蘭々ね、これを持って来たの」

 そう云って蘭々は包みをひとつ手渡してくる。

「これは?」

「村の皆からのおてがみ!」

「俺に?」

「うん!」

「蘭々は字が書けるのか」

 尋ねると、蘭々は首を横に振る。

「長老さまが代わりに書いてくれたの。でも、書いてあることはみんな自分で考えたよ?」

「そっか。ありがとう、すごく嬉しいよ。城に帰ったらじっくり読ませてもらうからな」

 一刀は蘭々へ微笑みかけると再び彼女の頭を撫でる。髪をすくようにしてやると、目を細めてとても心地よさそうだった。

 ただ蘭々はすぐに視線を一刀の隣に移す。

「お姉ちゃんが州牧さま?」

 あどけない調子で問う蘭々に母親が目を丸くするが、曹操は気にしていないようだった。

「そうよ?」

「あの、一刀ちゃんとは、どーゆー関係ですか?」

「……へ?」

 曹操は質問の意図を掴みかねているようだった。

「お姉ちゃん、一刀ちゃんの奥さん?」

 ここに至り、曹操は不安そうに問う少女の意図を悟ったようだった。

「違うわよ。一刀は私の軍師。あなたが考えているような関係じゃないわ。おませさん?」

「ぐんし?」

「戦の作戦を考える者のことよ」

「一刀ちゃんは戦わないの?」

「ええ。基本的にはそうね」

 曹操が答えると、蘭々は不思議そうな顔をする。

 

「一刀ちゃん、あんなに力持ちなのに?」

 

 曹操はこちらを見ないまま。

 けれども瞬間、一刀と曹操との間に冷たいものが走った。

「……蘭々と云ったわね。どう云うことかしら」 

 蘭々は人差し指を顎に当て、何やら思案している様子である。

「うちが火事になって、お母さんが落ちてきた柱に挟まれたの。太くて大きい柱。でも一刀ちゃんが助けてくれたの」

「それは――一刀が柱を持ち上げたと云うことかしら?」

「うんそうだよ」

「ひとりで?」

「うん!」

 蘭々は、「ねー?」と無邪気にこちらへ微笑みかけてくる。一刀はそんな蘭々を見ながら、「悪いことは出来ないな」と思ったりした。

「それにねー、蘭々知ってるよ?」

「何をかしら」

 続ける蘭々を、曹操が促す。

 

「一刀ちゃんが、盗賊をやっつけてくれたんでしょ?」

 

 無邪気な子供の口に、戸板は立てられぬ。

「あなた、見てたのかしら」

「うんちょっとだけ」

「……そう」

 これ以上聞くことはないのだろう。曹操は蘭々から視線を外し、こちらを見る。

「……一刀」

 どこまでも冷徹な視線だった。

「ん?」

「話は、後よ」

「……ああ」

 一刀が諦めたように返事をすると、曹操は会合を始めるべく、すっとこちらに背を向けた。

 

 

4

 

 

『農事心得』の評判は大層よかった。特に陳留の街から離れた村では収穫高が落ち込んでいたこともあり、随分と歓迎された。

 それは勿論、『天の御遣い』としての肩書のせいでもあったのだろうが、何より今回の成功に寄与したのは長老の口添えだった。

 肥料の他にも、村では一刀が伝えた知識で、ここ数日のことではあるけれども、随分と農作業の効率化が進んだのだと云う。短期間で効果が出そうだと云う長老の言葉に、他の村の者たちは喜色を隠せないようだった。

 収穫時期まではまだしばらくある。皆の望む形になればいいなと、そんなことをぼんやりと思いながら、一刀は会合の様子を眺めていた。『農事心得』の写本はすぐに配られるらしい。

 一刀の話をもって、会合は終わった――かと思われた。

 しかし、曹操は終了解散を宣言しない。

 その理由は分かる。

 先刻村長が云っていた「不穏なこと」についての話が終わっていないからだ。

「曹操さま」

 長老が枯れた声で切り出す。

「最後にお伝えいたしたき義がございます」

「云ってみなさい」

 促され、長老は礼をとって話し始める。

「近頃、また野盗、盗賊の類が暴れまわっておりまして。その討伐を、お願いいたしたく」

「なるほど、分かったわ」

「ただ――」

 長老は何やら厳しい面相である。

「少し気になることが」

「なに?」

「は。その盗賊どもは、面妖なことに皆、一様に黄色い布を身に纏っているのです。数も多く、目立つ黄色い集団が跋扈しているさまは、まさに異様そのもの。怪しげな集団に違いありますまい」

 曹操は顎に手を当てて考えている。

「黄色い布――一刀。この間の、あなたの報告書にそんな話があったわね」

「ああ、そいつらは盗賊でなく、ただのチンピラだったけどな」

「そう。まだ牢にいたわね」

「まだいる」

 曹操は一度瞑目すると、長老に向き直る。

「すぐに討伐隊を組織しましょう」

「ありがとうございます」

 長老は礼をとり、発言を終えた。 

「他には何もないようね。黄色い布の集団については皆も十分警戒してちょうだい。では、解散」

 曹操の宣言によって会が終了する。

 参加者の中にも曹操の護衛が数人紛れ込んでいたらしく、曹操はその兵士たちに何やら指示を出し始める。指示を受けた兵士は、神妙な顔つきで他の参加者たちを広間から出し――そして一組の机と椅子をを残して、調度類も片づけてしまった。

 曹操は涼しい顔で残された席に座り、一刀にも向かいに座るよう促してくる。

「座りなさい」

 一刀はそこで観念したように、席に着いた。尋問官の前に引っ立てられた囚人の気持ちが、何とはなしに分かる気がした。

「何の話かは、分かるわね?」

 曹操は美しい二重瞼の下、厳しい視線を煌めかせ、そう云った。

「ああ、分かってる」

「どうして、隠していたのかしら」

 武芸の心得があることを、と云うことだろう。

「力の売り時をはかっていたのかしらね?」

「そう云う云い方も出来る」

「舐められたものね。あなた、覚悟はできているのかしら?」

 曹操の言葉に、一刀はそっと目を細めた。

「必要なことだった」

「へえ? 何がどう必要だったのかしら?」

「主に、書きかけの詩を贈るしもべはいないだろう」

 腕を組んで、足を組んで、一刀は告げる。

「武芸の心得があることを、俺が隠していたのはそう云う意図だ」

「回りくどいのは嫌いだわ。はっきりと云いなさい」

 曹操の鋭い視線は、一刀の眸を捕えて離さない。

「実戦で碌に役立たない力を示したところで、何の意味がある? それに――そんな半端な力を偉そうに自慢するのは、俺の矜持に反する」

 大したことも出来ないくせに、見せ掛けだけで強がってみせる――それは何と浅ましく、恥ずべきことだろう。たとえ他人に見抜かれなくとも、己の魂がそれを許しはしない。

「あなた、蘭々の村を襲った盗賊を退治したのでしょう」

「ほとんどはその場に居合わせた別の人間がやった。俺は少し手伝っただけだ」

「信じない」

「だろうね」

 ふたりは互いに、一瞬も視線をそらさない。

「盗賊の砦で、あなたと会った時――あの時あの砦から盗賊を追い払ったのはあなたね」

「ああ。少しハッタリを決めてやると、しっぽを巻いて逃げ出したよ」

「討伐作戦の時、あなたがひとりで残ったのは」

「きみから預かった兵を死なせるわけにはいかなかった」

「そう云うことを云っているのではないわ」

 厳しい声音で曹操は云う。

「盗賊の首領が自害したと云うのは嘘ね」

「ああ。俺がこの手で殺した。きみも薄々気が付いていたんじゃないか?」

「否定はしないわ。それでも、あなたが私に隠しごとをしていたことは事実よ」

 それに――と、曹操は続ける。

「それだけのことをやっておいて、実戦で役に立たない? ふざけないで」

「本当のことだ。少なくとも、きみが武官に期待するような仕事はこなせない」

 そこで。

 ふたりの会話は途切れた。

 しかし、それは言葉が途切れたと云うだけであって、北郷一刀と曹孟徳は、視線の応酬の中で確かに意思を戦わせていた。

 どれだけの時間が経っただろう。

 ふたりの微動だにしない時間を切り裂いたのは、人が去り調度類が取り払われた広間に駆け込んできたひとりの兵士だった。

 その者は何やら布に包まれたものを曹操に手渡すと、慌てて広間を辞した。

 ひと抱えもあるそれから、曹操は布を取り去る。

 現れたのは、煌めく刃。

 剣でもなく。

 槍でもなく。

 それらよりも更に、その外形から命を刈り取ることを想像させる得物。

 洒落た細工の施された一振りの鎌を、曹操は手にすると、席から立ち上がり、そして――眼前の机を横へ斬り飛ばした。

 無残に破壊された机が硬い床に転がる。

 その一撃が、曹孟徳の腕前を物語っていた。

「――北郷一刀」

「なにかな」

 一刀は腕組み足組の姿勢を崩さぬまま、曹操に応じる。

「武芸の腕を隠したまま私に近づいた。暗殺の容疑をかけられても、文句は云えないわよ」

「そうだね。でも、俺にそんなつもりがないことくらい、きみは分かっているだろう。曹孟徳」

「やろうと思えば、仕掛ける機会はいくらでもあったものね。成功するか否かは別にして」

 刹那――曹操が獰猛な殺気を発する。

 そして、一閃。

 今まで一刀の腰掛けていた椅子が、曹操の鎌によって破壊される。

 後ろへ飛んで躱した一刀は、両足でそっと着地した。

「危ないな」

「統べる者に武の心得がないと思うのは、愚かなことよ」

 云うだけのことはある。

 先ほどの一閃、現在の立ち姿、放たれる殺気――そのどれもが、武の頂に達した者のそれであった。並みの武官など、曹操の足元にも及ばないだろう。彼女の相手をしようものなら、赤子の手を捻るよりも容易く、斬り殺されてしまうに違いない。

「あなたに罰を与えるわ」

「……」

「私の手で逝かせてあげる。感謝しなさい」

 曹操は鎌を構える。

「ただ、これまでの功績に鑑みて、あなたが死を逃れる方法を用意してあげる」

「……それは?」

「簡単よ。抗えばいいの。殺せばいい。私をこの場で返り討ちにすればいいのよ」

 一刀は苦笑した。

「無茶苦茶だな、きみは」

「そうかしら。面白い趣向だと思うけれど?」

 そう話すうちにも、曹操の殺気はその獰猛さを増していく。

 まさに日輪の輝き。

 天空に坐し、すべての者を圧倒する黄金の気魄。

 それを微塵の情け容赦なくこちらに放っている。 

 覇王の魂を振りかざしている。

「さて――おしゃべりもここまでよ」

 深く、覇王が深く構える。

 そして――。

 

「行くぞッ!! 北郷一刀ッ!!」

 

 瞬間的な肉薄、そして一片の躊躇いもない一撃が迫る。

 一刀は上半身をそらすと、それを躱し、左へ跳んだ。

「甘いッ!」

 しかし、曹操は右腕一本で軽々と鎌を振るい、跳んだ一刀へ追撃を仕掛ける。

 咄嗟の判断――紙一重の回避の後、一刀は鎌の刃の背に足を置き、蹴りつけるようにして後ろへ跳ぶと、さらに距離をとる。

 そこでようやく、曹操が着地する。

 ただ、そのまま止まる曹操ではない。

 着地したのとほぼ同時に、こちらへ向けて距離を詰めてくる。顔に、嗜虐的な笑みすら湛えて。

「流石の逃げ足ね!」

 縦に振り下ろされる一撃を、今度は右に跳んで躱す。

 床に突き刺さる鎌の切っ先。

 そこで――曹操はその切っ先を支えにしてぐるりと回転し、一刀へ猛烈な蹴りを放つ。

 腕を十字にしてそれを受けた一刀であったが、強烈な衝撃に踏ん張りが利かず、足の裏で床を擦るようにして後退させられる。

「――重い蹴りだな」

 彼女の華奢な身体のどこに、これほどの力が秘められているのか。曹操はそんなことを考える時間すら与えてくれないらしい。

「ハァッ!」

 大きく鎌を振りかぶると、彼女はそれを鋭く投擲した。

 高速回転しながら迫る鎌は、さながら鎌鼬のように、空間を切り裂きながらこちらへ迫る。

 蹴りを受けた反動から立ち直らぬ一刀は無理矢理に脚の筋肉を脈動させ、強引にそれを回避した。

 しかし――背後に迫る風切り音。

 振り返れば、躱したはずの鎌が曲線を描き、こちらへ戻ってくる。

 一刀はそれを伏せるようにして、どうにか躱す。

 眼前で、曹孟徳は戻ってきた鎌を事もなげに掴んだ。

「逃げてばかりじゃ、いずれ詰むわよ」

 静かな足取りで一歩、二歩――こちらへ近づく曹操はさながら死神の化身。視界におさまる全てに生存を許さぬ、覇王の暴虐がここに顕現している。

「さて、城に仕事も残してきていることだし――終わりにしましょうか」

 瞬間、首筋に寒気を感じ、一刀は鋭く身を引いた。

 睫毛のその先で、煌めく一閃。一刀の前髪を刃が掠める。

 今までとは比べ物にならない速度で接近した曹操が繰り出した攻撃は、けれどもその一撃で終わらない。

 次の瞬間には、曹操はひらりと舞い上がり、重力に任せて落下してくる。

 一刀はこれまでにない危機を感じ、強く地を蹴ると後方へ跳んだ。

 次の瞬間、閃光が放たれたかと錯覚するほどの煌めきが走り、そして、曹操の落下地点が斬り刻まれる。 

 死の連撃。

 気が付けば、一刀の頬に温かいものが流れている。

 指で触れると、それは切り傷から滴った血であった。

 完全に回避したと思っていた。

 しかし、そうではなかったのだ。

 恐るべき猛攻。

 

 ――やらなきゃ、やられるか。

 

 

 

※ 

 

 

 仕留めたと思っていた。

 けれども、仕留めきれない。不敵に笑みながらも、曹操は焦れていた。

 ――これほどか。

 否、分かっていたことだ。

 曹操は自覚している。夏候惇、夏侯淵に僅か及ばぬといえども、己もまた一角の武人である。並みの武官には勿論のこと、世に云う猛将たちにも後れを取らない自信がある。

 しかし――見抜けなかった。

 北郷一刀にこれほどの武があることを見抜くことが出来なかった。

 それほどに、巧みに彼は自分の武を隠していた。曹孟徳の目を欺いてみせたのだ。

 その男が、どうして弱いわけがあろう。

 己が身に纏う武芸の気配を消すのは、並大抵の芸当ではない。細かな所作の端々に、どうしても武を志す者特有の気配が漏れてしまうものである。

 けれども、北郷一刀からはそれを感じなかった。

 彼の隠蔽に、綻びは絶無であった。

 ――惜しい。

 ここでこの男を斬らねばならないことが、あまりに惜しい。

 軍略の才。

 政略の才。

 武芸の才。

 天の知識。

 民をいつくしみ、そして愛される輝き。

 これら全てを揃えたこの男はまさに、王の器。

 彼に足りぬものを挙げるとするならば、それは野心のみ。

 しかし、それゆえにこの男は――北郷一刀は王佐の才でもあった。

 空前絶後の逸材。

 けれども、斬らねばならない。

 信賞必罰――。

 賞すべき功績のある者には必ず賞を与え、罪を犯し、罰すべき者は必ず罰する――王たるもの、王を志すものとして貫くべき価値のひとつ。

 北郷一刀は曹孟徳の攻めを躱しきるほどの腕を持ちながら、それを隠し、近づいた。

 その客観的事実は変えようもない。

 彼に害意はなかったのだろう。もしこちらを害すつもりであったなら、砦で出会った際に幾らでもできたはずなのだから。

 しかし、もし北郷一刀でない他の男が、同じようにして曹孟徳に近づいたとして。

 同じような主張を――暗殺の意図はなかったと云う主張をしたとして。

 許すことが出来ようか。

 出来るはずが、ないのだ。

 刺客としての容疑を拭い去るような客観的な事実がなければ、厳然たる証拠でもなければ、その者の首を刎ねねばなるまい。

 だから、北郷一刀も斬らねばならない。

 彼が数日といえど、様々な功績を残したとは云え、それは彼の罪を軽くするものではない。

 軍紀違反を冒しながら戦功を立てた場合とは、状況がまるで違う。

 実力の隠匿は、何ら利を生んでいない。

 

 彼の罪を――軽くすることが出来ない。

 

 曹孟徳は覇道を行く者。

 天下に覇を唱える者。

 ひよった沙汰を下すわけにはいかぬ。王は公正で、厳格でなければならぬ。

 だから、彼の罪を軽くすることは出来ずとも――。

 彼に出奔の機会を与えた。

 彼の功績だけ掠め取ったのでは、曹孟徳の名に傷が付く。

 よって、抵抗の機会を許した。

 北郷一刀がこの曹孟徳を打ち破ったのならば、いずこなりとも行くがいいと、そう云い放った。

 曹操なりの、筋の通し方である。

 そっと、自らの髪に触れる。

 そこには一刀が差してくれた一輪の花があった。

 ほんの数刻前まで存在していた平穏で柔らかな日常は、あっけなく断罪の一幕へと変貌した。

 曹操は髪から純白の花を抜き取ると、ひと息に握りつぶした。

 それを見ても、眼前の男は――北郷一刀は表情ひとつ変えなかった。

 それがどうしようもなく腹だ立たしく、気に入らなかった。

 なぜなら曹操は気が付いていたから。

 己の顔が、悔しさに歪みつつあることに。

 それを押さえることが、出来そうにないことに。

「随分余裕ね」

 挑むように云ってみる。

 しかし彼は淡く笑むばかりだった。自分が刃を向けていると云うのに、彼は何も思わず、何も感じないと云うのか。

 北郷一刀の余裕が神経を逆なでる。

「まさか」

「じゃあ、どうして打ってこないのかしら」

「そうだね、流石にこのままじゃ拙い」

 だから――と。

 そこでようやく表れた顕著な変化。

 すっと、一刀の顔から表情が消失する。

 そして刹那。

「――ッ」

 曹操は思わず一歩退く。

 一刀は一歩たりとも動いていない。

 けれども、彼の顔から表情が失われたその刹那――放たれた獰猛な殺気。

 広間の気温がみるみる下がっていくような錯覚に陥る。

 寒い。

 彼と対峙してるだけで体温が奪われていくような気がする。

 鎌――『絶』を掴む指先は白くかじかんでいる。

 瞬間、一刀と目が合う。

 怜悧。

 冷徹。

 冷酷。

 どの言葉も、今の彼を表すには力不足だった。

 身も凍る様な視線に、全てが見透かされているようだった。

 彼は、北郷一刀は曹孟徳を見ていない。

 こちらの最奥にある、命の脈動そのものを見定め、それを殺そうとしている――曹操の本能がそう告げていた。

 

「いくぞ、曹孟徳」

 

 その声が耳に届いた時には、眼前に一刀の拳打が迫っていた。

「――ッ!」

 曹操はそれを辛うじて絶の柄で受ける。しかし、強烈な衝撃に足の踏ん張りがきかず、後ろへ跳ね飛ばされる。

 ただ中空でも曹操には休息が与えられない。

 気付いた時には、左方から蹴撃が迫っている。

 受けるだけで精一杯の猛攻。

 宙に浮いていては剛撃を碌にいなせもせずに、曹操はそのまま今度は横に跳ね飛ばされる。

 文字通りの意味で、地に足が付かない。

 拳打を受けてから、曹操は宙に浮いたままだ。

 そして――。

 次は下方。

 下から迫りくる、拳撃――躱せない。

 他にやり様もなく、それを受ける。

 また着地敵わず、曹操は宙へ打ち上げられる。

 すると、そこにはすでに一刀が待っていた。彼の動きは、目で追えるような代物ではない。紙一重で反応できているだけましだと思わねばならないだろう。

 速すぎるのだ。

 浮遊感を覚えながら、脳裏を流れる思考も、すぐに途切れてしまう。

 容赦のない連打――それを更に曹操は受けきる。

 勿論、宙では踏ん張りもきかず、猛烈な勢いで後方へ弾かれる。

 けれども、壁に叩きつけられる寸前、態勢を立て直し、曹操は壁に両足をついた。

 連打を放った後の一刀はまだ宙にいる。落下の最中にある。

 羽をもたぬ人間は空中で移動することは出来ない。

 曹操は壁を蹴りつけ、重力に逆らえずにいる一刀に向けて突進した。風圧に髪がたなびく。

 まだ曹操が攻め側であった際、一刀に放った死の連撃。硬い床を砕いたあの連撃。

 ほぼ同時に放たれる五連撃は、受けさせさえすれば、確実に相手を仕留めることが出来る。相手は同時に五つの斬撃を捌き切らねばならず――そしてそのようなことは当然に不可能であるからだ。

 しかも、一刀に迫る曹操が今放とうとしているのは、更にその上――神速の八連撃。

 空中で身動きの取れない一刀に放てば、確実に仕留めることが出来る。

 瞬く間に、彼の身体を刻むことが出来る。

 ひと息に彼の命を刈り取ることが出来る。

 同時に迫る八撃はどれも一撃必殺の威力を秘めている。

 肉薄する。

 接近する。

 風を切って、彼に向かって飛び込んでいく。

 曹操は絶を振り被った。

 まだだ。

 あと数瞬。

 それで、曹操の間合いとなる。

 

 そして、処刑は完了する。

 

 曹操はその確信のもと、絶を振るった。

 その、はずだった。

 

 しかし――絶が動かない。

 

 見れば。

 北郷一刀はその白い上着を脱ぎ、それを絶の柄に巻きつけている。曹操が反応できぬほどの速さでなされた奇術めいた動き。

 一刀はそのまま宙で容赦なく上着を振るい、曹操を硬い床めがけて投げつける。

「がはッ!」

 覇王は叩きつけられる。

 背中に強烈な衝撃が走り、肺の中の空気が押し出される。

 けれども、吸うことが出来ない。 

 苦しい。

 そして――悔しい。

 敵わない。

 絶対に仕留めたと思った。刑はなった――そう思った。

 しかし北郷一刀は曹操の必死の一手すら表情ひとつ変えず凌ぎ、そしてそれを反撃へと転じたのだ。

「――ッ……ッ」

 まだ、息が吸えない。

 揺れる視界の先で、一刀がゆっくりと着直すのが見えた。

 余裕なのだ。

 これほどまでに、強いのか。

 北郷一刀はこちらを見ている。

 その冷酷な眸でこちらを捕まえている。

 勝負は――あった。

 一刀が近づいてくる。

 一歩、二歩。

 そこで彼は床に転がった絶を足先で蹴り上げ、手に取った。

 とどめを刺すつもりなのだろう。

 しかし、呼吸の回復しない曹操の手足に、力は入らない。

 やがて一刀は横たわる曹操の顔のすぐそばに立つ。

 見上げる者と、見下ろす者。

 処刑される者と、処刑する者。  

 当初の予定と、まるで逆になってしまった。

 しかし、それも己の云い出したこと。

 死を免れたければ、曹孟徳を倒せと、曹孟徳自身が彼にそう告げたのだ。

 彼はその条件に従っているに過ぎない。

 冷酷な処刑人は何も云わない。

 恐らく最後まで無言なのだろう。

 それが少し惜しかった。

 この曹孟徳の命を奪う男が、最後に何を云うのか、興味があったから。

 しかし筋は通した。

 信賞必罰を実行した。

 彼の罪に罰を与え。

 彼の功に賞を与えた。

 その結果がこの戦闘であり、そして曹孟徳は敗北した。

「――か、ふ」

 少し、呼吸が回復する。

 ならば。

 彼が何も云わずとも、こちらが何か云ってやろう。

 曹孟徳の最期として相応しい一言を。

 曹操は未だ苦しい胸を堪えて立ち上がる。

 絶対の処刑人の前に立ちはだかる。

 彼は無手、こちらには絶――そうして始まったこの戦い。

 今は彼の手に絶、こちらは無手。

 もう足掻きはしない。

 ただ真っ直ぐに彼を見つめ、覇王として恥じぬ最期を見せつけるのみ。

「見事ね」

「……」  

 やはり、彼は何も云わない。

 絶対零度の視線をこちらに突き立てているだけだ。

 さて、何を云ってやろう。

 どんな顔をしてやろう。

 表情をなくしたこの鉄面皮をどう驚かせてやろうか。

 けれども、驚かされたのは曹操の方だった。

 勝者は。

 処刑人は。

 彼は。

 北郷一刀は。

 うやうやしく、緩慢な動作で。  

 

 曹操の眼前に、膝をついてみせたのである。

 

 それどころか、視線を下げ、両手で絶をこちらに差し出してくるのだ。

「――どう云うつもり?」

 そこでようやく彼は声を発した。

「俺に、きみを殺すことは出来ない」

「私が提示した条件よ。あなたは勝った。私を討ち取り、死を免れればいい」

「――曹操」

 一刀の声は静かだった。

「きみは大陸を統一する」

 彼はそう云いきった。

「俺に部屋の机に資料が積んである」

「何を云って――」

「きみに見せるための献策書として大まかに纏めただけだが、これからのきみの覇道に大いに役立つだろう」

「あなた、私に情けを掛けるの?」

 一刀はそっと首を横に振る。

「今日一日、きみを見ていて思ったよ。大陸に覇を唱えるきみの真意を聞いたことはない。でも何となく分かった。幼い女の子を慈しむ姿を見て、民を凛々しく導く姿を見て、きみが何のために覇道を行くのか、きみが何を願っているのか。そしてそれが何をもたらすのか」

 一刀の声は、先ほどまでの冷徹さが嘘であるかのように、柔らかだった。

「まさか死罪になるとはね、少し考えが甘かったかもしれない。しかし、ここに至ってはもう何も云うことはない。きみが信賞必罰を貫こうとしているのは知っている。俺の命ときみの命、天秤に掛かっていると云うのなら、俺の命を差し出そう」

「馬鹿なこと云わないで。あなた自分が何を云っているのか分かっているのかしら。私と出会って数日、それほどまでに忠義を感じてくれていると? 欺瞞はいいわ」

「白々しいことは云わない。しかし、俺は俺の意思によって約束した。きみの臣になると。ならば、それは貫徹されなければならない」

 一刀はそこで自嘲気味に笑う。

「きみに反撃してみたのは、風のことが――頭に過ったから。俺もまだまだ甘いと云うか。でも、それでも、きみを殺すことなど出来はしない」

 そして、一刀はその眸に一層の力をこめた。

「さぁ、曹孟徳! 我が主よ! 俺の命をとれ! 信賞必罰を貫けッ! 己が覇道を行けッ!」

 突然の怒声に胸が跳ねる。

 先刻の殺気とは別種の気魄。

 これは恐らく、彼の王としての気魄。

 彼の魂が、己を殺せと叫んでいる。

 云う通りだ。

 彼の云う通り、彼を殺さねばならない。

 しかし、この曹孟徳の覇道を語らずとも解し、そのためにその身を差し出そうとしている者の命をとることが出来ようか。

 易々と殺すことが出来ようか。

 眼前で輝いている、真摯な覚悟の光を消し去ることなど出来ようか。

 だが――曹孟徳が曹孟徳である限り、信賞必罰の信念を捨てることは出来ない。

 ゆっくりと絶を握る。

 まるで呪い。

 逃れえぬ、呪戒である。

 だから――やはり。

 

 曹孟徳は――華琳は、北郷一刀を殺すことにした。

 

 一刀は首を垂れ、その時を待っている。

 そして、華琳は告げる。

 彼に死をもたらす、その言葉を。

 

「曹孟徳が告げる! 『人間』北郷一刀はこの瞬間に死を迎えた! これより先は、この曹孟徳の『従僕』として生きよ! 人としての平穏を捨て、我と共に覇道を行け! 修羅道を行け! 人並みの幸せも、人並みの不幸せも、得られぬものと思え! これをもって、北郷一刀への死罪とするッ!」

 

 一刀は目を丸くしてこちらを見ている。

 これまでに見る彼の表情の中で、最もあどけないものだった。幼い少年のようで、愛らしいとすら思える。

 そんな彼の顔を刻むことが出来ようか。首を刎ねることが出来ようか。

 しかしそれでも、華琳は北郷一刀を殺さねばならない。

 

 だから――彼から、彼を奪うことにした。

 

 彼から命ではなく、己を取り上げた。

 それをもって、死罪とした。  

 彼に忠義以上のものを求めた。

 何があっても絶対に千切れぬ鎖で、北郷一刀を曹孟徳と――華琳と繋ぎ合わせた。

 信賞必罰を、貫徹した。

 

「その罰――確かに賜った」

 

 一刀は華琳の宣言に、そう答えた。

「血の盟約を」

 華琳は一刀に告げた。

 絶で人差し指の腹を切り、そっと一刀の唇の前に差し出す。

 一刀はそれに応じるように薄らと口を開き、舌を出す。彼の舌先には噛んだような傷痕があり――血が滲んでいる。

 華琳は血の滴る指先を彼の舌先に絡めた。舐め上げる舌先を、爪の先で弄ぶ。淫靡な音が響く。白い指先が深紅に染まる。華琳の血が彼の体内に侵入し、彼の血が華琳の指から華琳の体内に侵入した。

「盟約は、成った」

 一刀は真っ直ぐな眸でそう云った。

「一刀――」

「何かな」

「あなたは、もう逃げられないわ。髪の毛一本から血の一滴に至るまで――私は、あなたの身体の全てを、あなたの身に宿る全てを、あなたから奪った」

「ああ」 

「もう真っ当な人として生きることは出来ないでしょうね」

「それは、きみも同じだろう」

「そうね。大陸に覇を唱えるとはそう云うことだもの。真っ当な人の魂をもって出来ることではないわ。その覚悟があるかしら」

 そう問うと、一刀はどこか哀しげに笑って――。

 

「人としての魂など、天の彼方に置いてきた」

 

 そんなことを云った。

 そして再びこうべを垂れ、力強く、そしてどこか芝居がかった調子で云う。

「俺はきみのものとなった。さあ――我が主。我が美しき主。命令を。命令をよこせ」

 誰にも求めたことのなかった関係を結んだ臣を見下ろしながら、華琳は不敵に笑む。

 

「ならば――私を華琳と呼びなさい」

 

「承知した」

 厳かな返事が返ってくる。

 華琳はそこでひと息ついた。

「それから、そろそろその話し方はやめなさい。似合わないわ」

「そうかい? 雰囲気に合わせてみたんだけど」

 一刀は立ち上がると、こちらに微笑みかけてくる。

 それは昼間に見せた、優しい笑顔だった。

「一刀」

「ん?」

「もうひとつ命令よ」

 刹那、華琳の膝が折れ、そのまま一刀の胸に倒れ込む。

「か、華琳ッ? 悪い。俺、やりすぎたか?」

「そうじゃないわ。しばらく鍛錬をさぼっていたの。だから自分の動きに身体がついてきていないだけ。それにあなた、殺気のわりに、ずっと私を気遣って戦っていたでしょう。最後も、上手く叩きつけてくれたお蔭で、怪我ひとつないもの」

「う……。一応訊くけど、皮肉だよな、それ」

「さあ。どうかしらね」

 そんなことを云いながら、華琳は笑ってしまう。

「だからね、一刀。城まで――私をだっこしていきなさい」  

「……わかった」

 答えるや否や、一刀はこちらの身体をそっと抱え上げる。勿論、絶も忘れずに。

「変なとこ触ったら――」

「死罪?」

「当然よ」

 云ってやると一刀は苦く笑う。

 そのまま一刀に抱えられ、店を後にした。

 外はもうすっかり暗い。

 城ではきっと、皆が心配していることだろう。

 会合はもうずっと前に終わっているのだから。

 それでも。

「一刀、ゆっくり歩いていきなさい。命令よ」

「わかった」

 僅かな揺れ。

 一刀の温もり。

 思った以上に体力を消耗したらしく、華琳は徐々に眠気に呑まれ始める。

「一刀」

「ん?」

「一蓮托生よ」

「……」

「私とあなたは、一蓮托生。どんなことがあっても、離れられない――これは呪いなんだから」

「ああ、分かったよ。華琳」

 瞼が、重い。

「ほん……と、うに、分かってるのかしら、ね。この……男は」

「分かってるさ」

「そ、う。なら……い、いわ」

 眠たくて仕方がない。

 一刀の胸から響く彼の鼓動が心地良い。

 もう、抗うことが出来ない。

 華琳はそのまま、微睡の底へと落ちていく。

 

 ――良い匂いね。

 

 華琳が一刀の腕の中で抱いた最後の思考は、そんな素朴で短いものだった。

 

 

《あとがき》

 

 ありむらです。

 まずは、ここまで読んでくださっている読者の皆様、コメントを下さったかた、支援をくださった方、お気に入りにしてくださっている方、メッセージをくださった方、えっとそれから……兎に角応援して下さっている皆様、本当にありがとうございます。

 皆様のお声が、ありむらの活力となっております。

 

 さて、第九回後篇でした。

 まずは戦闘描写ですが、一刀さんが初めて対峙した有名武将として、曹孟徳を選びました。そして、彼女の戦闘能力なのですが……。一刀さんが強いなら、華琳さんも強くしちゃえ、と云うことでこんな有様になってしまいました。

 戦闘描写がまるで『るろ○うに剣心』のように……。華琳さんの技とかまん九頭○龍閃だし。

 でもまあいいかなあと思っていたりします。派手にいきましょうよ、戦闘くらい。

 と云うことで、華琳さんが剣心みたいになってしまいました。

 華琳さんらしくないと思った方ごめんなさい。

 

 それより、華琳さんらしさと云えば最後の信賞必罰のところですかね。すごく迷いましたがこんな形になりました。

 もうひとつのあり方としては、一刀さんが華琳さんを倒して、風を連れて出奔すると云うのもあったんですが、なしにしました。

 一刀さんには魏にいてもらいたくて。

 華琳さんがこうして迷うことはないのかなあと思いつつ、原作では人間らしく迷ったり熱くなったり、やきもちやいたりと大忙しだったので、まあこれくらいはいいかなあと。

 そんな感じです。

 でもそれでも華琳さんは覇王です。

 ある意味命をとるより辛いかもしれない罰ですからね。華琳さんは己の覚悟で覇を唱えていますが、一刀さんは違いますから。

 

 さてさて、今回はこの辺で。

 繰り返しになりますが、「戦闘シーン派手すぎ!」「華琳さまらしくない!」と云う方すみません。

 

 コメント、感想、支援などなどじゃんじゃんください。

 

 その全てがありむらの活力に!

 

 次回もこうご期待!

 

 

 ありむら


 
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