No.462497

魔法幽霊ソウルフル田中 ~魔法少年? 初めから死んでます。~ これが俺の本体のハンサム顔な24話

さて、そろそろ最新話に近づいてまいりました。
田中の現在最大の敵(?)、登場です。

2012-07-30 20:35:08 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1289   閲覧ユーザー数:1254

「う、うそーん……」

 

 

なのはちゃんとフェイトちゃんの戦いを観察していた俺は、まさかのユーノ君介入に呆然としていた。

 

いや、その前からなのはちゃんの善戦とか、生で見た魔法少女の戦いにも原作とは違う展開に驚いてはいた。

 

でも、俺が一番驚いてるのは……。

 

 

 

 

 

「なのは、大丈夫? どこも怪我はしてないよね?」

 

「はっ……、はひっ! だだだ大丈夫ですぅっ……!」(か、顔が近いよていうか人間のユーノくんってこんなにか、格好いいなんて聞いてないよー!)

 

「なのは顔が真っ赤だよ!? ホントに大丈夫!?」

 

 

なのはちゃんが、オチました。

 

 

 

「そ……そんな馬鹿な! なのはちゃんって、学校の男子に可愛いからかなり好意をもたれてて、でも鈍いから全然気づかないのに!? それを一撃で……しかもなのはちゃんから、だと……!?」

 

普段なのはちゃんを良く知っている俺だからこそ、衝撃は大きかった。

 

確かにフェイトちゃんの攻撃からなのはちゃんを守った時はすんごい格好良かったけど。

決めセリフ言ったときなんて人間の姿に戻ったタイミングと合わさって元々美少年なのがイケメン度2割増になってたし!

 

やっぱりアレか、女の子はみんな王子様に守られたい思考なのか?

 

 

なのはちゃんはでユーノ君の顔をまともに見れないのか赤い顔を伏せながら「あわ、わわ……だ、大丈夫だから!」と慌ててる。

……ユーノ君は気づいてないみたいだが、完全に撃墜されたな。(ハートを)

 

 

 

 

「くっ……離してっ!」

 

チェーンバインドで縛られたフェイトちゃんが、何とか逃げ出そうと足掻いている。

そうだった。こっちもこっちで俺にとっては異常事態である。

 

 

まさか、ユーノ君介入があったとはいえ初戦でフェイトちゃんを下すなんて予想外にも程がありすぎる。

明らかにこれは原作の流れを大きく変えてしまうだろう。

というかどうなるんだこの状況。

 

 

「いや、待てよ? むしろこれは良い意味で原作ブレイクしてるんじゃ?」

 

もし原作通り、フェイトちゃんが勝ってジュエルシードを回収されてしまったとするとフェイトちゃんのお母さんであるプレシアさんはその分アルハザードに行くために次元震を起こしやすくなるわけで……。

 

考えてみよう、このままフェイトちゃんが捕まると起こりうる展開を。

 

 

フェイトちゃん捕まる→ジュエルシード回収できない→アルフちゃんが多分来る→きっとなのはちゃんとユーノ君でフルボッコ→ジュエルシード回収できない→プレシアさんが不審がる→…………。

 

 

「プレシアさん来襲!?」

 

我ながらまさかの発想である。

いやいやいや、コレはない。そんなホイホイとラスボスが来るわけがない。

 

しかし、ジュエルシードがプレシアさんの手に渡らないのは良いことだ。

俺の目的は『原作以上のハッピーエンド』である、もちろん『プレシアさんの救出』も視野に入れない訳がない。

 

そもそもジュエルシードが無ければ次元震は起きないから喜ばしい事態といえよう。

 

 

「……話を聞かない限り解放はしないよ」

 

ユーノ君は拘束したフェイトちゃんを睨みつけ、冷淡な声で告げる。

いきなり襲いかかってきた相手だしこの対応は仕方はないのだが、アニメで仲が良い姿を見てる分、俺はちょっと複雑な気分だ。

 

 

「あ、そ、そうだった。さっきのことは私気にしないから、あなたのこと教えて欲しいんだけど……」

 

「………………」

 

けっこうえげつない事されたのにあっさりフェイトちゃんを許しちゃうなのはちゃん、優しいなぁ……。

しかし、フェイトちゃんは無言を貫いている。

 

 

ううむ、フェイトちゃんは確かプレシアさんにジュエルシードを集めろとしか言われてなかった気がするし、理由も上手く説明できないんだろう。

 

 

 

結局話すことの無いままに時間が経つかと思われた、その時だった。

 

 

バシュ!

 

 

「なっ!? バインドが!?」

 

「えっ!?」

 

〈攻撃されています!〉

 

 

突然、何の前触れもなく上空からフェイトちゃんの魔力色と『同じ色』をした閃光の槍が、フェイトちゃんを縛るバインドに直撃した。

 

外部からの攻撃には弱いのかバインドは一瞬で壊れてしまう。

 

 

 

「! ごめんなさい、さようなら!」(アルフ! 来てくれたんだ!)

 

「ああっ! 待って!」

 

もちろんこのチャンスを逃すフェイトちゃんではない、一瞬でその姿を消してしまった。

なのはちゃんが慌てて後を追おうとするが、それは叶わない。

 

 

ドドドドドドッ!

 

「危ないなのは! まだ狙われてる、僕のそばにいて!」

 

「ひゃっ!? ひゃい!」(手!? 手が繋がってー!?)

 

 

豪雨のように降り注ぐ閃光の嵐がなのはちゃん達を襲い続ける。

ユーノ君がなのはちゃんの手を引いて側によせ、バリアの中で攻撃が止むのを待っているようだ。

 

 

 

「くっ、いったいどこから攻撃してるんだ!? 魔法は見えるのに、『魔導師が見えない』!」

 

 

ユーノ君が上空を見上げ、叫ぶ。

しかし、俺にはこの攻撃の主が『見えていた』。

 

「『アルフちゃんじゃない』! あの人はっ……!?」

 

 

 

その姿を見て、真っ先に『ありえない』、そう思った。

確かに『あの人』の魔力色はフェイトちゃんと同じだけれども、それでも『あの人』がここに存在すること自体がありえない。

 

 

遥か上空から、黄金の嵐を降らし続ける人物の正体を確かめるべく、俺はなのはちゃん達に構わず上へ飛んでいく。

 

そして。

 

 

 

 

 

「……あなたは、私が『見えて』るんですね」

 

「嘘、だろ……!?」

 

20代前ぐらいの年齢の美女。

茶髪のショートへアからは『ネコミミ』が、そしてその上には天使や死者がつけてそうな『光の輪っか』、お尻から『しっぽ』が伸びている彼女は。

 

「『フェイトの家庭教師』のリニスです。あの子の邪魔をするなら、同じ死者でも容赦はしませんよ……!」

 

 

 

プレシアさんの使い魔にして、フェイトちゃんの家庭教師。

原作開始の数年前に消滅した筈の、リニスさんだったのだ。

 

 

 

 

「あーもう! アイツはホントに大丈夫なんだろうね……!?」

 

「花子、さっきから同じことばっかぶつぶつ呟いて恐いわよ?」

 

うがー! と、本日26回目の花子さんの叫びにメリーさんは突っ込んだ。

田中が自分の目の届かない場所にいるせいか、花子さんは一日中こんな感じになってしまっていた。

 

「だって、アイツは事あるごとに無茶するし……」

 

「それは14回聞いた」

 

「アイツのご主人に見つかって除霊されるかもしれないんだよ……!?」

 

「19回目、田中は都市伝説じゃないから見えやしないわよ」

 

「そっ、それにテケテケとアイツが2人っきりで何をしでかすか……!」

 

「それについては100回数えた所で諦めたわよ。ていうかテケテケ(あの子)に限って言えば、それはないと思うけど」

 

 

つーか結局自分が2人っきりになりたかっただけじゃない、とは色々面倒くさいので言わないメリーさん。

 

 

 

「なー異次元さん、なんやメリーが何もないとこに話しかけとるんやけど……」

 

「ああ、今彼女は『トイレの花子さん』と話してるんですよ。この家の中でははやてさんには見えないと思いますが」

 

 

言い遅れていたが、ここは八神家である。

花子さんが「アタイも一人でトイレにいるのも暇なんだよ、今日は田中もいないし……」としょぼくれていたから異次元さんが連れて来たのである。

 

ちなみに、花子さんがはやてに見えないのは『場所が学校、またはトイレではない』から。

 

異次元おじさんは何処にでも出現できるし、メリーさんは元々は人形だから実体を持っている。

足売りばあさんはグレアムに『はやての所に行け』と言われたままだからはやてがいれば実体化できるのだ。

 

 

メリーさんの友人が来ている、と聞いてなるほどとはやては納得した。

 

 

「ほんなら、お茶でも出したほうがええかな? ついでにお菓子とかあった気がするし」

 

「あ、別に気を使わなくたっていいよ。アタイが勝手にお邪魔してるだけだしね」

 

「はやて、花子別にいらないって。食べれるとしてもトイレで食べる事になるし」

 

「余計な事いうんじゃないよ!? せっかくバレないように断ったのになにしてくれるんだい!」

 

「誠に申し訳ございませんでした」

 

車椅子だから土下座は出来ないが、はやてはそれに迫る勢いで頭を下げた。

傍から見るとはやても何もない空間に頭を下げているのでアレな光景である。

 

学校やトイレでしか実体化できない花子さんの食事の割合は、実に8割が便所飯。

幽霊だから本当は食べなくてもいいし、知られたくないことベスト3に入ってるから普段は滅多にものを食べていないのだ。

 

 

『まあそれはさて置いて、ていうか忘れろ。いいね。……随分と幽霊に慣れてるねアンタ、都市伝説を3人も家に住まわしてるなんてアタイでも聞いたことないよ』

 

「わっ、声だけ聞こえとる!?」

 

半分呆れ半分驚愕の混じった声音で花子さんははやてにラップ音で話しかける。

実体化していないから声も聞こえないのでこうするしかなく、さっきみたいに余計なことを喋らせないためだ。

 

「いやまあ、成り行きで一緒に暮らすことになったんやけど意外とみんな優しくてな~。ホンマに毎日楽しくて」

 

「なっ、何言ってるのよはやてっ! あたしは別に優しくしてるわけじゃないんだからね! あくまで借りを返すために」

 

「ツンデ霊乙です。普段は異世界を転々としていますが、こうして一つの場所に留まるのもいいかなと思ってます」

 

「ふぇっふぇっ……、みんな不幸になっちまえばいいのさぁ……しくしくしく」

 

「足売りさんどうしたん」

 

「そっとしておきましょう」

 

足売りばあさんだけリビングの隅っこでさめざめと泣き腫らしていた。

体育座りをして「ああ……『ナポレオンの足』が、プレミアものだったのにぃ……」と呟いている様は普段以上に怖かった。

 

 

どうやら足コレクションを失ったのは相当ダメージが大きかったらしい。

これ以上手を付けない方が賢明とその場の全員が心を一つにしたところで、話は初めに戻る。

 

 

 

「そんなことよりも田中の事だよ……、今回の暴走体もイレギュラーだったりしたらと思うと心配で心配で」

 

「はあ~」とため息をつきげんなりするメリーさん、惚気るならよそでやってほしいものである。

そんな花子さんの不安を紛らわすために今度は異次元おじさんがフォローに入った。

 

「まあ花子さんそう不安にならずに、私はまだ一度しか会っていませんが田中さんもなかなか筋がいいですよ。貴女の教え子だけあります、霊格もそこら辺の悪霊よりよっぽど強いですし」

 

 

 

それはお世辞でも何でもなく、異次元おじさんの素直な感想であった。

大木の暴走体の時にしか会っていないが、子供を助けたときに瓦礫を吹き飛ばした人魂は中々の威力だったし、その後も暴走体の攻撃をかわすために行った『爆発飛行』も説明の時に使った『血図』も見事な発想力であるといえよう。

 

まだ飛行のやり方に慣れていないし霊格は都市伝説に遠く及ばないが、例えイレギュラーが相手だとしても逃げ切れることは確実、そう評価している。

 

「そうそう、あたしと戦った時も意外と健闘したしね。むしろあたしはテケテケが他の誰かに襲いかかってないか心配なんだけど」

 

 

 

「へっくし!」

 

「! 隙ありだ! 保ってくれ俺の体! 5回目の、神速だああああ!」

 

「恭也! 負けないでっ!」

 

「……、……(ブンリスレバ、サケラレルゾ)」

 

「しまった!? この私がこんなところでええぇ!!!」(ふっ、ここは限界を超えた恭也くんに免じて倒されてあげよう……!)

 

 

 

 

「……確かに、テケテケは色気より闘争を選びそうだね……」

 

その様子がありありと目に浮かんできて、別の意味で花子さんは心配になった。

 

というか、事実現場で起こってしまっているのだが気づくことはないだろう。

 

 

 

と、ここで「あの~……」と声が挟まってきた、はやてである。

 

「ちょっと聞きたいんやけど、さっきからみんなが話しとる『田中さん』って誰なん?」

 

聞きたがるのも仕方ないだろう、さっきから話題の中心人物ははやての知らない人物なのだから。

 

その質問に、花子さんは「うーん……」と頭を抱える。

 

 

(なんて説明しようか……? 田中が転死者って事は幽霊にしか教えてないし。『俺が転死者って事は出来るだけ生きてる人には言わないでください』って口止めされたからね……)

 

 

田中が口止めしたのは言ってしまえば『面倒くさい』というのが理由だった。

もし仮に『俺は転死者で、前世ではこの世界はアニメの世界で未来が分かるんすよ(笑)』なんて言っても信じてくれないだろうし、信じたら信じたで厄介になるだろうと思ってのことだ。

 

迂闊に喋れない花子さんに変わって「あたしに任せなさい」とメリーさんが説明を買って出た。

 

 

 

 

「わかりやすく言うと、花子の『コレ』よ」ビッ

 

「あ~、なる程な~」

 

ただし爆弾ジェスチャー付きだった。

通じるはやてもはやてだが。

 

 

「アンタに任せたアタイが馬鹿だったよっ! ななな何が『コレ』だいっ!? 別にアタイは田中とそんなんじゃ

 

 

「さらにわかりやすく言うとですね。花子さんの弟子で守護霊をやってる男子高校生の幽霊で、花子さんの想い人ですよ」

 

「異次元んんん!? アンタまでアタイの敵か!?」

 

直球すぎる追い討ちである、意外すぎる異次元おじさんからの。

 

そして乙女とはいつだって恋愛話には飢えているものである、はやても例外なく「ほうほう……、詳しく聞きたいなぁ~」と悪い笑み。

 

「『トイレの花子さん』が惚れる程なら、田中さんってよっぽどカッコイイ守護霊なんやろな~。田中さんって普段は何しとる人なん?」

 

 

 

 

「そうね……。子供達を助けるために、爆発物(人魂)もって特攻してるわ」

 

「目的(時間稼ぎ)の為なら自爆(爆発飛行)も躊躇わない勇気ある人ですよ」

 

「なあそれ本当に守護霊の仕事なん!? わたしの中の田中さんのイメージ、ヤ○ザかテロリストなんやけど!!?」

 

 

 

概ね間違ってはいなかった、やってる事だけ見ればであるが。

 

田中は本当はゴミ拾いとか、ボランティア活動の方を多くやっているのだが生憎メリーさんや異次元おじさんはそれを知らないから仕方ない。

 

 

流石に見かねて、「まったく! 何を言ってるんだい」と花子さんが話す事にした。

 

『田中はね、馬鹿みたいにお人好しな奴だよ。見ず知らずの他人を『ほっとけないから』って理由で5年間も守護霊やってるのさ。ちょいと情けないとこもあるし、やたらと死亡フラグを連発するけど今時珍しいぐらい真面目で誠実な幽霊で

 

「そんな田中さんの誠実さに惚れた訳やな」

 

『そうそう…………、ってそうじゃないっ!?』

 

 

さらりと認めてしまうとこだった。

都市伝説をここまで翻弄する小学生に花子さんはかつてない戦慄を覚える。

 

「素直やないなぁ~」とニヤニヤしているはやて。

花子さんはこれ以上話を続けると危険だと判断して、「ああもうっ!」と早めに切り上げようとした。

 

『と に か く ! アイツは普通の幽霊と違って、人に危害を加えない奴だってことだよっ!』

 

 

 

 

 

そして、そう言い切った花子さんは再び顔を曇らせてしまった。

 

『……『だからこそ』不安なんだけどね。もしアイツが誰かと戦うことになったとしたら『絶対に勝てない』から』

 

 

 

 

 

 

 

 

――――しかし、残念ながらその不安は的中してしまう。

 

「答えてください、あなたは何者ですか?」

 

「ちょっと待って! とりあえずその黄色い光しまってください!」

 

「ジュエルシードはあの子が母親と仲直りする最後のチャンスなんです、ですからこれ以上は関わらないでください。もし手出しするなら関われないようにするまで!」

 

「人の話聞いてない上まだ名前も言ってないし過保護すぎるよこの人!?」

 

「今までずっと一向に良くならないあの子とプレシアの親子関係見てて何も出来なかったんですからせめて邪魔者の排除ぐらいは私も役に立ってみせます!」

 

「八つ当たりも混ざってる!? まだ邪魔するとか言ってないし! あーもー俺ケンカしたことないのにーー!」

 

 

『絶対に勝てない』戦いが、(一方的)に幕をあけた。

 

 

 

 

 

 

 

~オマケ~

 

「? 攻撃がやんだ……。残念だけどさっきの魔導師は逃げたみたいだね」

 

「う、うん」(け、結界張ってる間ずっと手を……)

 

「あ、そうだ。ちょっと言うのが遅れたけど、この姿が僕の本当の姿だよ。これで僕が人間だって信じてくれるよね!」

 

「それは勿論です……」(いつも一緒にいたユーノくんの人間の姿なんて想像もできなかったの……、あれ? そういえば私夜寝る時とかいつもユーノくん抱きしめて寝ちゃってきゃあああああああああああああああああああ!!?)

 

「……と、それはいいとして。なのは、さっきあの子と戦った時に怪我したでしょ。ちょっと治癒魔法かけるから傷を見せて」

 

ぺタ。

 

「にゃあああああああああああああああああああっ!!!」

 

〈ディバインバスター、って本当に撃つのですか!?〉

 

「な、なんでえええ!? そんなに傷触ったのが痛かったのぎゃああああああああ!!?」

 


 
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