No.462260 外史テイルズオブエクシリア 闇の魂を持つ者の旅路の記録 第29話BLACKさん 2012-07-30 06:43:02 投稿 / 全5ページ 総閲覧数:1137 閲覧ユーザー数:1110 |
第29話 エレンピオスの世界
ジュード達はマクスウェルの力でエレンピオスへと飛ばされた。
「よっと」
秋山は自力でエレンピオスに到着、ジュード達の側に現れたがジュード達は気絶していた。
「やれやれ、まああんなことありゃ、こうなるか。
おい、起きろ」
秋山がジュード達を起こすが、起きない。
「思ったより意識が深く眠ってるな」
「う、うん……」
秋山がそう思っていたら、ドロッセルが起きてきた。
「お、起きたか」
「秋山さん……ここは?」
ドロッセルがあたりを見てみるが、先ほどまで自分達の居た場所ではないことにすぐに気づく。
「エレンピオスだよ。マクスウェルの力で飛ばされたんだ。俺は自力で来たけどな」
「エレンピオス……」
「しかし、お前はともかく、なんでこいつら起きないんだ?」
「多分、私と違って死んだ秋山さんと会えたのが嬉しくて……」
「疲れがどっとでたってところか、やはりお前には先に話しておいてよかった」
そこに……。
「あれ?」
メガネをかけ、足の悪そうな青年が来た。
「君たち、こんなところでどうしたの?」
それから数日が経つ。
なかなか目が覚めなかったジュードとミラがようやく目を覚ました。
「ミラ、おはよう!」
エリーゼが声をかけてきた。
「……おはよう」
「ジュード、平気?」
ようやく起きたジュードにレイアも声をかける。
「うん。それより……?」
「バランさんのお宅です」
ジュードの疑問をローエンが答える。
「バラン? 誰だ」
「前にこいつのお袋さんに会った時の、お袋さんが出した名前、憶えてないか?」
秋山がアルヴィンをさして、ミラに尋ねる。
「…………そう言えば、そんな名前が出ていたような……」
「そう。俺の従兄。エレンピオスの、な」
「それじゃやっぱり……」
「ぼくたち、エレンピオスにいるんだよー!」
そこにメガネをかけた、足の悪い男が入って来る。
「お目覚めだね。調子はどう?」
「悪くありません」
「問題ない。お前がバランか?」
「そうだよ。あんたたちを助けたバラン。
君たちを見つけたのは偶然、特別感謝はいらないからね。
しっかし驚いたよ。たまたま君たちを見つけた時はそこの二人以外、みんな意識がなかったからね」
バランがドロッセルと秋山を見る。
「私は秋山さんに起こされて……」
「俺は自力で来たから、気絶なんてしない」
「よいしょ」
バランは椅子に座る。
「はぁ……あの、バランさん。僕たちが珍しくないんですか?」
「まあねー」
「けど、よく俺がわかったな? 二十年も経ってるんだぜ」
アルヴィンが尋ねる。
「それ、おじさんの銃だろ。おじさんに感謝しとけ」
おじさんの銃とはアルヴィンが死んだジランドから取った銃で、元々はアルヴィンの父のものであったのだ。
「けど、死んだんじゃな……」
死んでしまっては感謝したくても出来ない。アルヴィンはそう言いたいのだ。
「それもそうか」
バランはあっさり言う。
「あれ、ないな……」
バランは探し物がないので再び立ち上がり、歩く。
ジュードはバランの歩き方がおかしいと思いながら見ていた。
「少し、変わった人ですね」
「エレンピオスの人間全員がああってわけじゃないぜ」
「足のこと?」
バランは自分が変わった人と言われて、一番目につく足のことを聞く。
「あ、いえ……」
「ジュード」
「いいよいいよ。子どもの頃に事故でね。よし調整終了っと」
バランは何かの調整をしており、それを足に着けようとする。
「よせよ、バラン」
「なんで?」
「それ……!」
ジュードはそれを見て驚いた。
「向こうから来たんじゃ、なじみはないと思ってたけど」
「黒匣(ジン)!」
ミラは剣を取り出そうとする。
「待って、ミラ!」
ドロッセルが止める。
「…………?」
「これがないと歩けなくてね」
「…………」
ミラは黒匣(ジン)のそんな使い方を見て、自分が今までやってきたことを少しだけだが、振り返った。
「そうだ。腹減っただろう?準備するからその間、街を見てきたら? こっちは初めてなんだろ?」
「そうだな。それとジュードやミラにも話しておかないといけないことがあるしな」
ひとまずバランの部屋を出て行った。
「それで話って?」
「アルヴィンとレイアにもまだ言ってない朗報だ。
プレザとアグリアは生きてるぞ」
「!?」
「それホント!」
アルヴィンとレイアは驚き、レイアは秋山に詰め寄る。
「落ち着け、本当だ」
「しかし、どうやってだ?」
「普通、あそこからの落下じゃ助からないんじゃ……」
「普通ならな。俺が普通じゃないのはもう知ってるだろ」
「……何したの?」
「助けたんだ、俺が」
秋山はその時のことを詳しく話した。
秋山はステルス状態でずっとミラ達の側にいた。
それはミラが落ち込んでいる時、ミュゼと船の上で戦ってる際に、秋山が真・昇竜拳で援護した時、プレザとアグリアの戦いの時も。
そしてプレザとアグリアが落ちた時も……。
プレザとアグリアは地面に落下して死ぬしかなかった。
そこをステルス状態で飛んでいた秋山がやって来て、二人を自分の力で宙に浮かせた。
しかしアグリアはレイアに酷いことばかり言ってたのを秋山は見ていたので、それに怒りを感じていた秋山はパイルドライバーをアグリアにかまして、地面に落下させた。
普通なら勢いがついて死んでしまうだろうが、秋山はきちんと技の調整と落ちる地面を変えていたためにアグリアは死なずに済んだ。
それからプレザの前にステルスを解いて、現れたのだ。
「プレザ、お前、本当はまだ生きたいんじゃないのか?」
「なんで……」
「アルヴィンのこと、今でも好きなんだろ」
「! あなたには関係ないわ」
「まあ、関係ないわな。けど、俺はそういった恋とか応援したいんだよ。
お節介焼かせろ」
秋山が笑顔で言う。
「それにお前はもうアルヴィンの事情を知ってるだろ?」
「…………ええ、知ってるわよ。それが何?」
「アルヴィンを許せなんて言わない。けど、お前の心の中ではもう許してるようなもんじゃないのか?
それにさ……俺は今までいろんな恋も見てきたつもりだけど、誰かを好きになるってのは理屈じゃねえんだ。
ここのままにさ……」
秋山は心臓部分、正確には心をさす。
「それと本当はアルヴィンを許せないんじゃなくて、アルヴィンを許せない自分が許せないじゃないのか?」
「!」
「いい加減、自分を許してやったらどうだ。お前はゴミなんかじゃない。ちゃんと必要とされてる人間なんだ。
ガイアスにも、アルヴィンにもな……」
「……………」
プレザはその場に泣き崩れた。
「まあゴミじゃなくて必要とされてるのは、アグリアも一緒さ。
……っても、口が悪いのはある程度どうにかしないといけないけどな、よっこいしょ」
秋山はアグリアを肩に抱える。
「アグリアをどうするの?」
「こいつの仲間ってか、従者さんがイル・ファンにいるんだ。
しかもちょうど病院にいるからそいつに預ける。
けど、つらい記憶もあるから、ちょっとだけ記憶消去はしちまうけどな……。
お前はニ・アケリアの村で待ってたらいいさ。
きっとアルヴィンも来てくれるさ。好きな奴、待っててやりな」
「そうね……」
そして秋山はアグリアをすぐにイル・ファンに連れて行き、アグリアをその従者に預け、すぐにジュード達の後を追った。
「……ということだ」
「プレザが生きてる……よかった」
アルヴィンは泣きそうになる。
「ちゃんと会ってやりな。そしてきちんと二人で話せ」
「……ああ…………」
その片隅でレイアは……。
「よかったー」
レイアは泣いていた。
「嬉しそうだな、レイア」
「死んだと思っていたアグリアが生きてたもんね」
「嬉しいですよ」
「よかったねー、レイアー」
「うん」
レイアは涙を拭う。
「秋山さんってやっぱり、いい人ですね」
「俺は自分勝手なだけだ。その気になれば見捨てれたしな」
「いえいえ、それが秋山さんの優しさだと思いますよ。
それにしてもお嬢様は秋山さんのことをよく知っているようで……」
「そのことについても説明しないといけないな」
秋山は前にドロッセルにした話を皆にした。
「そうか……。本来なら私がクルスニクの槍を使って死ぬはずだったのか」
「お前を死なせたくないと思ってやったことだ。
俺のわがままで歴史は変わった」
「けど、それもいいと思うよ。歴史通りになるのもどうかなって……」
「……実はミュゼがガイアスと組んで、マクスウェルを捕えるのも、正史の歴史通りなんだ」
「え? なんで止めなかったの?」
「お前たちとガイアスをこのエレンピオスに行かせる必要があったからだ。
リーゼ・マクシアとエレンピオスのためにもな」
「どういうこと?」
「まだそこまで言えん。だがすぐにわかる。
それより街に行こうか」
秋山はそう言ってマンションの1階に降りた。
廊下を歩いていると……。
「黒匣(ジン)か……」
ミラは思わずつぶやいた。
「黒匣(ジン)が珍しいのー?」
少女とその祖母らしき人が声をかけてきた。
「うん、まあな……」
「変わったお人ね。この子も私も循環器の病気でね。医療用黒匣(ジン)を体に入れているの」
「痛くなかったか?」
「痛かったよ。でも、ガマンしなきゃいけないんだよ。黒匣(ジン)のおかげで、フツーの生活ができるんだから!」
「そう……なのか」
「小さいのにすごいですね」
「自分で考えたことー?」
「……って、おばあちゃんが言ってた」
「医療用黒匣(ジン)の進歩のおかげで私たちは病気を克服できたんだもの。
マティス先生の分までしっかり生きないとね」
「マティス……?」
「ジュードの名字と同じですね」
「私の黒匣(ジン)をつくってくれたえらいお医者さんよ。
でも、マティス先生は船の事故で亡くなってしまったの……」
「…………」
ジュードはなんとなくそのマティス先生のことが分かった気がした。
そして老婆と少女と別れた。
「リーゼ・マクシアにいた頃は考えもしなかった。まさか黒匣(ジン)が人の助けになるとは……」
ミラは改めて黒匣(ジン)とエレンピオスについて考えさせられた。
それからマンションを出て、トリグラフの街を見て回る。
「やっぱり……変な感じがします」
「うん……なんだか落ち着かないところだよね」
ジュードはその場で街を見てみる。
「自然がないんだ」
「なるほど。確かに木どころか草一本生えていませんね」
「黒匣(ジン)使ってるからー?」
「というより、精霊がいないせいだろうな」
「ああ。その通りだよ。この世界は精霊がどんどん減っていくから自然がどんどんなくなっていくんだ。
エレンピオスの死は遠くない」
「世界が死ぬのですか……」
「……精霊は必要か」
「ミラ?」
レイアが心配そうに声をかけ、ミラは首を横に振る。
「アルヴィンさん、あれは……」
ローエンが街に張られているポスターを見て、アルヴィンに聞く。
「『異界炉計画を我々は支持します』黒匣(ジン)を扱っている商人たちが出したんだろ」
「黒匣(ジン)を使うの、やめられないんでしょうか……」
「多分、できないんだと思う……」
エリーゼの言葉を聞いて、少しかわいそうに思うドロッセル。
「異界炉計画の撤廃のために募金を!」
「……ジイさん。撤廃するのにどうして募金だよ?」
「政府へ意見書を出すにも、タダじゃなかろうて!」
「酒くさジジイー」
「なんじゃ、このぬいぐるみ?」
「はい、おじいさん。僕も異界炉計画を止めたいんだ」
「おい、ジュード」
ジュードは募金してしまい、アルヴィンは呆れてしまう。
「ヒッヒッ! ありがとの」
老人は去っていった。
「酒の肴代になってそう……」
「ガイアスはどうやって、異界炉計画を止めるつもりなんだろう」
「ミュゼのあの力があれば、こちらへはいつ来てもおかしくはないだろうな」
「うん、そうだよね」
その時、皆の腹が鳴る音が聞こえる。
「バランが食事を用意してんだ。とりあえず腹ごしらえしよーぜ」
「そうだな」
そして皆がバランの家のあるマンションに戻る。
マンションの入り口でバランと会った。
「バラン、出かけるのか?」
「ヘリオボーグへ行ってくるよ。新しい黒匣(ジン)の研究結果が出たらしくてね」
「そっか、バランさん技師っていってたもんね」
「ねえねえ、ごはんはー?」
「用意してあるから、勝手に食べていいよ」
「やった!」
とても嬉しそうなエリーゼ。
「バランさん、僕たちを見つけた場所を教えてくれませんか?」
「…………?」
「これから行くヘリオボーグの先だよ。街の対岸にある丘の下で倒れてたんだ」
「ありがとうございます」
「うん、それじゃ、行ってくるよ」
バランは出かけていき、ジュード達はバランの部屋に戻り、置いてある食事をとった。
それからしばらくして……。
「みんなはこれからどうする?
バランさんに聞いた場所へ行けば、リーゼ・マクシアに帰れるかもしれないよ」
「…………」
その気になれば秋山が連れて帰ることが可能。
それはどこであろうと関係なく……。
しかしジュードが言い出したために、少し言えなくなった。
それにまだジュード達を帰すのは早いとも思っていた。
「それでさっきバランさんに訊いたんだ。ジュードはどうするの?」
「リーゼ・マクシアとエレンピオスの両方を救う方法を見つけるまでは帰らない」
ジュードの言葉を聞いて、皆驚き固まる。
「ジュード、わたしたちじゃ役に立ちませんか?」
エリーゼは立ち上がって力になろうとする。
「もちろん、みんなのやりたいことが僕と一緒なら残って欲しい。
役に立つとか、立たないとか。それ以前に心強いよ」
「ですが、黒匣(ジン)や異界炉計画、ガイアスさんのことを考えると危険でしょう」
「だからこそ、今一度、これからの行動を自身で決めて欲しいのだな?」
「本気……なんだね? 一緒にいたい、だけじゃダメなんだよね」
「うーむ……」
「僕、エレンピオスに来て改めて思ったことがあるんだ。エレンピオスから黒匣(ジン)はなくせないよ。
それでも断界殻(シェル)はなくさなきゃいけない。
僕は、僕なりの答えを見つけなきゃならないんだ」
「それがマクスウェルに対する答えか」
「そうかもね」
「俺はエレンピオスの人間が困るような、答えを出すつもりねーぜ」
「こうやって悩んでいる間にも……精霊さん死んでいってるんですよね」
レイアが静かに頷く。
「みんな、聞いてくれ。黒匣(ジン)がなくならないのであれば、私は精霊が減らないよう新たな誕生を見守る」
「でもそれじゃ……」
「精霊も世界を循る一部。人間も精霊も、私が支えてみせる」
「ミラ……」
「考えていたことだ。黒匣(ジン)をなくせない。ジュードがそう思ったのなら、それでいい。
迷っている時間が惜しい。ヘリオボーグへ向かおう」
ミラは立ち上がる。
「黒匣(ジン)の研究をやっているところなら、異界炉計画についても何かわかるかもな」
「五人は着くまでに、答えを出してくれないかな」
「俺の答えはもう決まっている。ついてってやるよ」
「…………」
「私の役目は見守り、導くことか……」
ローエンは何かを考えるようであった。
そしてヘリオボーグに向かおうとすると……。
「あれ?」
トリグラフの入り口で人々が走って慌ててる様子であった。
「何かあったんですか?」
「ヘリオボーグが攻撃を受けたんだ!」
「……なんだって?」
「信じられない。仮にも政府軍の基地よ! 黒匣(ジン)の生産と研究の拠点だからってそこを襲うなんて……」
「誰が襲ったの?」
「それがわからないんだ。連中、黒匣(ジン)なしに算譜法(ジンテクス)使うんだ! あんなの初めてだった!」
「算譜法(ジンテクス)ー?」
「黒匣(ジン)で起こした精霊術のことだ。それが必要ないってことは……」
「まさか、ガイアスがもう動き出した?」
「そう考えた方が自然かもな」
「行こう。バランさんも心配だよ」
ジュード達は急いでヘリオボーグ基地へと向かうのだった。
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この作品は別の人の影響で作った作品であり、作者(BLACK)のオリジナルキャラ「秋山総司郎」を第3主人公として、テイルズオブエクシリアの世界に来たらで書かれました。
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