家に入り、はやてにこっぴどく叱られた後にルナが調べたことに関して話した。その話はあまりにも残酷なことだった。
曰く、闇の書は本来の名前では無く、本当の名前は‘夜天の書’というものらしい。最初は主と共に旅をして、各地の偉大な魔導師の技術を収集し、研究するために作られた収集蓄積型の巨大ストレージだったようだ。
しかし歴代の持ち主の何人かがプログラムを改変したために破壊の力を使う「闇の書」へと変化した。
・・・そして一番厄介なのが、闇の書に発生したバグだ。
いくつもの改変により、旅をする機能が転生機能に、復元機能が無限再生機能へと変化してしまった。これらの機能があるため、闇の書の完全破壊は不可能とされる。
また、真の持ち主以外によるシステムへのアクセスを認めない。それでも無理に外部から操作をしようとすると、持ち主を呑み込んで転生してしまうという念の入りようである。ゆえにプログラムの停止や改変ができないので完成前の封印も不可能。
正直最悪だ。
「そんな・・・・・バカな・・・。」
「こ、こんなことって・・・。」
「う、嘘だ!!あたしはそんなの信じねぇぞ!!」
「・・・我らは今まで一体何をしてきたのだ!」
シグナム、シャマル、ヴィータ、ザフィーラが絶望した表情でいる。
「る、ルナ・・・・事実・・・なのか?」
[・・・はい、マスター。ミッドチルダにある無限書庫にハッキングして検索しました。無限書庫は整理されておらず、ほぼ無尽蔵に本や情報が乱雑しているため、特定の情報だけを消去することは事実上不可能です。]
「・・・そうか。」
クソッたれが!!なら、俺たちの努力は無駄で、はやては救えないのか!?
「・・・・なぁ、零冶兄ぃ。・・・・ウチ、助からへんの?」
「・・・はやて。」
・・・いや、まだ何か手はあるはずだ!諦めるな!絶対に救ってみせる!!
「大丈夫だよ、はやて。俺が必ず助かる方法を見つけ出してやる。・・・俺の命に替えてでも。」
「・・・・零冶兄ぃ。」
「け、けど・・・一体どうすりゃいいんだよ?このままじゃ、はやてが・・・。」
そこが問題だ。これからどうすれば・・・・・ん?待てよ?ルナの話で管理者権限があったが、アレを使ってどうにかできないか?管理者権限で暴走した防衛プログラムを切り離すことは?そして切り離した暴走した防衛プログラムを破壊すれば?
「・・・無茶かもしれないができるかもしれん。」
「「「「え!?」」」」
「れ、零冶兄ぃ・・・。本当なん?」
「ああ・・・しかし、それにははやての協力が必要になる。」
「う、ウチの?」
「ああ、まずはこれからの事だが・・・」
俺ははやてたちにある計画を立案した。
Side リンディ
「・・・エイミィ、フェイトさんたちの容態は?」
私は先ほど運ばれたフェイトさんとユーノ君の事を心配していた。
「大丈夫です、艦長。フェイトさんもユーノ君もただ気絶しているだけです。」
「そう・・・命に別状がなくて本当に良かったわ。」
「はい、艦長・・・・・しかし、彼らは一体・・・?」
そう、彼らが一番の問題だ。あのヴィータって呼ばれていた子・・・なのはさんに勝つほどの力の持ち主。それに他の四人も恐らく同等の実力を持っているに違いない。そしてその中でも
「恐ろしいほどの力を持っていたわね・・・。フェイトさんやユーノ君がまるで遊ばれていたかのような戦闘だったわ。」
「はい・・・、それに彼らが結界に使っていた術式。あれはミッドチルダのモノではありませんでした。あれはベルカ式です。しかし、フェイトさんを倒した彼・・・・身長から推測するに、恐らくなのはさんたちと同じぐらいと思うのですが、彼の魔法はミッド式でもベルカ式でもありませんでした。」
ベルカ式・・・約300前までに存在していた世界だったわね。
「・・・まったく新しい魔法技術が存在するってこと?」
「さすがにそこまでは・・・。でも、調べておきます。」
「お願いね、エイミィ。」
はぁ、まったく頭が痛くなってきたわ。さっき彼の戦闘の解析が済んだのでデータをみると、魔力がAAA+だ
ったわ。しかも、まだ本気じゃなかったみたいだし・・・彼らと戦って私たちは本当に勝てるのだろうか?
Side out
あの戦いから二日後、俺はいつも通りに学校の帰りにスーパーに寄ると・・・・
「あ、零冶!!」
「久しぶりだねぇ、レイジ。」
「あら?久しぶりね、零冶君。」
・・・・なぜかテスタロッサ一家がいた。
「ふ、フェイトにプレシア・・・お前ら、裁判はどうしたんだ?」
「え?それならもう終わったよ?」
「ええ、フェイトとアルフは無罪で、私は保護観察ってとこかしら?さすがにそれだけじゃないけど、大した
ことじゃないわ。」
そうか・・・。それほどまでに管理局がやらかした事は大きかったみたいだな。
「よかったな、フェイト。」
俺はフェイトの頭を撫でてポンポンッと軽く叩く。
「あ・・・えへへ・・・・うん、本当に良かったよ。お母さんともこっちで暮らせるし。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・What!!!?
「・・・・は?」
俺はフェイトの発言に固まった。
「ええそうなのよ。私たち、この世界に引っ越すことにしたのよ。これでまたフェイトと一緒に暮らせるわ。」
「そ、そうか・・・。それじゃ、もしかして聖祥に転入したりするのか?」
「ええ、そのつもりよ。フェイトにもちゃんと学校生活を送って欲しいからね。」
マジか・・・。いや、別にフェイトが来ることには全然良いことなんだが・・・・・・なんだか騒がしくなりそうな予感がする。
「ねぇ、零冶。折角だから途中まで一緒に帰らない?」
・・・・ヤバイ。
「い、いや・・・今日はかなり急いでるんだ。ちょっと急ぎの用事があってね。」
「・・・そう。」
フェイトが目に見えるくらい落ち込んでいた。
「うふふ・・・ほらフェイト、零冶君は忙しいみたいだからまた今度お家に邪魔しに行きましょ?」
「う、うん。」
来るのかよ!?
「あ、ああ。時間が空いたらな。それじゃ!」
俺は小走りでその場を後にした。
・・・・もしかしたら、フェイトにバレるのは時間の問題かもな。
「はぁぁぁぁぁぁ・・・せいっ!!!」
ドンッ!!
「ギイイイイイイイ!!」
ズウウウウゥゥン!!
俺は今日もとある無人世界で巨大な昆虫と戦っていた。大体20mぐらいの蟻だった。それをインファイトモードにしたルナで殴り飛ばして気絶させた。
インファイトモードとは、ルナを籠手にしただけのものだ。形状は狂戦士の鎧の爪と棘を無くしたものに近い。色は漆黒で、指に沿って紅いラインが走っている。
「シャマル、蒐集を。すぐに撤退するぞ!」
「分かったわ。しかし、こんな調子で大丈夫なのかしら?一日10ページぐらいしか集めてないじゃない。」
そう、あの戦いから管理局に俺たちの存在が知られてしまった。だからより慎重に行動せざるを得ないので、蒐集活動にかなり支障をきたしている。
「仕方ないだろ?管理局が出てきているんだ。まだ闇の書を知られる訳にはいかない。ほら、終わったらさっさと転移するぞ。」
「・・・それもそうね。それじゃ、行くよ。」
俺たちは転移して帰宅して、皆でご飯を食べて寝た。
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第八話 諦めない心