第六部 『水着と水とHE∀ting Sφul』 其の四
第七話『
呉領 荊州長江中流域 赤壁
【紫一刀turn】
「さあ、ついに始まりました♪三国合同水上演習!場所はここ赤壁!!実況はあたし、江東の二喬、妹の小喬でぇす♪」
会場に設置されたモニター的な水晶板に小喬のアップが大映しになっている。
小喬が選んだ水着は画面に映っている所を見ると白いハイネックのワンピース。
ピンクのパイピングで縁取りされた水着は、露出抑え目で可愛く見える。
が!画面に映っていないその背中はバックレス!机の下のボトムはスーパーハイレグのGストリング!簡単に言うと『ハイレグ金太郎前掛け』
なんちゅうきわどい物を選ぶんだこの子は!
「そして解説は呉の前大都督!周公謹さまー♪よろしくお願いします♪」
「周公謹です。よろしくお願いします。」
冥琳の水着はヒョウ柄のワンピース。こちらはワンショルダーのモノキニでボトムがハイレグのブラジリアンカット。
まあ、実況席だと動かないし下半身が映らないからいいけどさ・・・・・。
モニターに映った冥琳を見ると、思わず肩紐のない右肩からおっぱいに視線が行ってしまう。
モニターを見る観客からは既に大歓声が上がっているのも頷けるというものだ。
「では次に今日のお客様!三皇帝の一角!天の御遣い!紫の北郷一刀さまー♡」
「どうも、紫の北郷一刀です♪」
「そしてもう
「曹孟徳よ、よろしく。」
華琳の水着は黒のツーピースでトップはチューブトップ・・・なのだが胸の間が編み紐となっていて寄せた谷間が紐の向こうに見えている。モニターで見えている部分ですらコレなのに、脇から背中までも編み紐!ボトムもローレグなのにサイドが編み紐、しかも布部分の幅がかなり狭い!小喬のスーパーハイレグよりも・・・・・。
「それでは後、実況助手にあたしのお姉ちゃんの大喬♪そして、皇帝のメイド長、月さま♪」
映像がパンして大喬と月を映し出す。
大喬の水着は色が小喬と同じ白にピンクのパイピング、ワンピースのモノキニでストラップレス。しかもベアミドリフの為、脇腹が露出していてビキニよりもアピール度が高い。
短めだがパレオを巻いているのでボトムは確認できないが、流石にきわどい事にはなっていないだろう。
月はエプロン・・・・・・・ドレス・・・良かった・・・ちゃんと下に水着を着けてたか。
エプロンドレスのストラップ以外にちゃんとホルターネックのストラップが見える。
しかし俺が勘違いした原因。背中のストラップが見えないのだ。
まさか月の水着はスリングショットか?
「っておい!カメラ!!いつまで月と大喬を映してるんだっ!?」
モニターには恥じらう月と大喬がいつまでも大映しになっている。
「へ?あぁ!ゴメ~ン御子様♪ついつい見とれちゃって♪」
カメラを担いだ炙叉が実況席の前に戻ってきた。
炙叉の水着は黒のビキニでボトムサイドが紐のヤツ。上半身に白のタンクトップを着て裾を縛っている。それでもトップも黒だと分かったのはタンクトップの襟元から見えているからだ。
「実況は以上の方たちとお送り致しまーす♪それでは更に豪華な助っ人を紹介しまーす!大陸でその名を知らない者は居ない!すーぱーあいどる!数え役満★シスターズです!!」
『ホアア!ホアア!ホアアアアアアアアアアアアアアアア!!』
観客席と特設ステージの周りからお馴染みの声援が上がった!
「それでは特設舞台の天和さん!人和さん!地和さん!どうぞーーー♪」
「はぁい♪兵士のみなさーん!わたしたちも歌で応援するからガンバってねー♪」
「こうやって歌うの久しぶりだからって、ちぃに見とれて船から落ないでよー♪」
「三日間一緒に頑張りましょうネ♪」
ステージの上で手を振っているシスターズをまたも声援が包み込んだ。
「では模擬戦開始まで後少しだけ時間が有りますので、早速今日の模擬戦についてお話を伺いたいと思います!では冥琳さまって、真名言っちゃった・・・・・まあいいですよね♪では改めて冥琳さま、今日の模擬戦ですがどう見ますか?」
「うむ、今日の模擬戦は呉対蜀だが、
「それはやはり蜀の武将の数が物を言うわけですね。では呉の戦術としては接舷する前に将の乗った船の脱落を狙うわけですね。」
「その通りだ。だが蜀には戦術の天才、雛里がいる。そう易やすとはいかんだろうな。」
「雛里ってそんなにスゴイのに、なんで普段はお姉ちゃんより引っ込み思案なんだろ?・・・まあ、それは置いといて、では華琳さまはどう思われますか?」
「概ね冥琳と同じね。勝利条件を考えれば攻めと守り、どちらも大事。攻めるにしても、相手側の一刀を連れ帰る退路の確保も必要。双方正道奇道をどう使ってくるか楽しみだわ♪」
「なるほど、難しいですね・・・・・では、勝利条件、兼賞品の一刀さま。一言お願いします♪」
「運ばれる時、荷物扱いだけはされない事を祈ります・・・・・」
蜀本陣
【緑一刀turn】
未の刻。
ついに戦闘開始を告げる銅鑼が鳴り響いた。
「救出艦隊!前進せよっ!!」
愛紗の号令で敵陣にいる赤を奪取する艦隊が発進して行く。
模擬戦の設定で、捕らえられた赤を救出する事になっているので攻撃の艦隊は『救出艦隊』という事になっている。
愛紗の水着は青白ストライプのセパレーツ・・・なのだが、本人はタンキニをチョイスしたらしいが、布をおっぱいに引っ張られどう見てもセパレーツにしか見えない。
胸元も大きく開き谷間が強調されている。
ボトムはローレッグのブラジリアンカットだが、両サイドに飾りの結び布が有るあたり、可愛く見せたいという女心が垣間見える。
蜀は攻撃、いや救出艦隊に全体の七割の船を投入し、それを四艦隊に分け前翼に第一艦隊、右翼を第二艦隊、左翼を第三艦隊、後翼を第四艦隊とした。
愛紗は第四艦隊に指揮官として乗り込んでいる。
同じ第四艦隊には恋とねねもいる。
第一艦隊には桔梗と鈴々と雛里。
鈴々は例によって先鋒を買って出て、戦術担当の雛里が了承したのでこの配置となった。
ちなみにインテリも鈴々と同じ船に乗っている。
第二艦隊は星と美以と三猫。
第三艦隊は翠と華雄。
残りの三割は本陣の防衛艦隊となる。
前衛の第五艦隊に紫苑と詠。
右衛の第六艦隊に蒲公英と白蓮。
左衛の第七艦隊に麗羽、斗詩、猪々子。
そして本陣。
俺と桃香、防衛参謀の朱里と最終防衛の焔耶である。
「この本陣だけどさ・・・・・・見晴らしいいよね。」
俺の感想に桃香と朱里は「あはは~」と笑っているが決して喜んでいる理由ではない。
「
こんな所に連環の計がっ!!
なんてバカな事を考えている場合ではない!
朱里の水着は花柄のツーピース。ストラップが全て紐という中々大胆な物で、トップは三角ブラ、ボトムもハイレグ、バックはブラジリアンカット。
いつもの朱里らしからぬチョイスだが、俺は大満足だ!!
「でも、この艀の上に有るの、俺達の椅子と卓、後は日除けとそこの物見櫓だけだぞ。焔耶と兵五十人がいるけど、それも本陣の前の方にいるからあんまり視界の邪魔にならないし。」
五十メートル四方くらいの艀の上に有るのはそんな物だ。
戦乱の頃に荒野を移動したこともあったけど、陸の上以上にパノラマが開けているように感じるのはどうしてなんだろうな。
「みんなご主人さまを守るために周囲の警戒をしてくれてるんだよ♪」
周囲の警戒って、前方の呉の本陣方向しか見てないぞ。
桃香の水着はピンクのツーピースで、三角ブラのトップには胸元のVラインから肩を通って背中まで、レースの大きなフリルが付いている。
ボトムにも一見パレオかミニスカートと思わせるくらいレースのフリルが付いていて、右サイドには赤い大きな牡丹の造花が飾られていた。
その姿はまるで羽衣をまとった天女のようである。
「おーい!焔耶!まだ始まったばかりだろ!そんなに警戒しなくてもいいんじゃないか!?」
大きな声で呼びかけると、焔耶は鈍砕骨のレプリカを担いで走って来る。
「何を言っている、お館!もうすぐ矢の応酬が始まるぞ!」
「えぇ!?もう?」
焔耶の水着はワンピースで下が黒、上が白のツートン。ハイレグな上にお腹と背中が大きく開いていて、胸元もVラインで大きく開いている。
そんな姿の焔耶が走ればボヨンボヨンとおっぱいが弾む。
朱里は焔耶の声を聞いてすぐ、物見に登り始めていた。
俺が見上げると朱里の可愛いお尻が物見台に消える処だった。
もっと早く見るべきだったな・・・・・・。
「ご、ご主人さま!孫呉の艦隊の動きが早いです!」
上から聞こえてきた朱里の声が驚きの色をはらんでいた。
「お前ら!警戒を怠るなよっ!!」
『応っ!!』
兵士達の力強い返事が返ってきた。
「兵士のみんな、すごい気合入ってるねぇ♪向こうをずっと見てるよ♪」
桃香は気が付いていないんだな、兵士達がこっちを振り向けない理由が有ることを。
振り向いたが最後、彼らはその場に踞るか水に飛び込む事になるだろう。
【エクストラturn】
戦場では蜀第一艦隊と呉の先鋒艦隊がその距離を詰めて行く。
それぞれの艦隊先頭の楼船に桔梗と祭が弓に矢を
「こういう形で貴様と一騎討ちになるとはな、祭!」
「おや、てっきり紫苑と二人で来ると思うておったのじゃがな。ゆくぞ!桔梗!!」
決して聞こえるはずのない距離で二人は相手に啖呵を斬る!
桔梗の水着はその真名を示すかのような青紫の桔梗色のツーピース。蜀でも一、二を争う爆乳を弓用の胸当ての様なワンショルダーのトップで支えていた。
ボトムはたっぷりのパレオで隠されているが、弓を構えた今、左足がスリットから現れていた。
一刀が目にしていれば、日本の戦国武将が諸肌を脱いで弓を構える姿を連想しただろう。
祭の水着は緋のワンピース。ワイドストラップのスクウェアネック。ボトムはハイレグのフルバック、背中が大きく空いていてかなりセクシーである。
それにパレオを巻いているのだが、そのパレオは薄く軽い布を使っているため風にはためいていた。
多くの武将、兵、そして観客の見守る中。
二人はほぼ同時に矢を放った!
余程の弓兵でもまず届かない距離を、空中で交差し相手の船に向かって矢は飛んでいく。
「なんだとっ!!」
叫んだのは桔梗だった。
桔梗の放った矢は祭の足元に落ちた。
それは如何にもギリギリ届いたという感じで。
対して祭の放った矢は桔梗の乗る船の帆に見事に突き刺さる。
矢の先に墨の付いた布を巻いているにも関わらずだ!
「船戦の経験が早くも現れたようじゃな、桔梗♪」
桔梗は紫苑と競う程の弓の使い手だ。
風を読み、互の船の速度も計算に入れ放った、入魂の一矢である。
その衝撃は大きい。
「そうか・・・・・風の重さか!長江の風の重さがここまでとは・・・・・・」
真夏の陽光に熱せられた水が蒸発して空気中の湿度を上げる。
長距離射撃に影響を与える程に。
「弓兵!敵船の後ろを狙え!思いの外、矢が飛ばんぞ!!」
『応っ!!』
振り向いた桔梗に兵達が答える。全員、へっぴり腰で・・・・・・・。
両軍の先鋒が射程距離に近付いて行く。
「あの・・・桔梗さん・・・・・」
同じ第一艦隊の旗艦に乗り込んでいる雛里がオズオズと声を掛ける。
雛里の水着の柄は朱里と同じ花柄。但しこちらはワンピースで、ウエストのサイドをカットしたベアミドリフ、クロスホルターネック結びのモノキニで、胸元はVカット。そして救命胴衣にもなる胸鎧を着ていた。
それでもボトムがハイレグなのは足を長く見せたいという女心だ。
「任せておけ、雛里。一騎討ちでは遅れを取ったが、次は祭に一泡吹かせてやるぞ♪」
「お、お願いします♪」
桔梗の人好きする笑顔に励まされ、雛里にも笑顔が溢れる。
「おっと、そろそろ来るぞ!雛里は矢楯の陰で姿勢を低く、何かに掴まっておれ・・・・・・・・」
言った桔梗は舳先で目を凝らし、豪天砲を構えた。
「よしっ!来たっ!!」
射程距離に入った呉軍艦隊から矢が斉射された!
「今だっ!!艦隊突撃いぃーっ!!」
ドゴオオオオオオオン!!
桔梗の叫ぶ号令と共に、豪天砲も雄叫びを上げる!!
パイルバンカーの豪天砲には杭を飛ばす様な仕組みは無い。
今のは合図用の空砲である。
しかし、その咆哮は赤壁に響き渡り観客達の度肝を抜いた。
号令一下、蜀の第一、第二、第三艦隊は速度を一気に上げて孫呉の艦隊に突進して行く!
「何と!奴ら船足を残しておったのか!流石雛里と言った処か・・・・・じゃが、ぶつかるまでまだ距離はあるぞ♪第二射!ぅ撃ええええええええい!!」
孫呉側は相対速度に合わせ斉射を再開する。
蜀側も斉射を繰り返し、一時長江に矢の架け橋を作り上げた。
そんな中、蜀第二艦隊では・・・。
「だいおー!でっかいおさかながいるにゃーっ!!」
「狩りにゃああああああああっ!!」
「でっかいにょーっ!!」
「おさかなにゃん♪」
どっぽおおぉぉん!
模擬戦そっちのけで魚を追って飛び込んでしまった。
「馬鹿か貴様らっ!!全員脱落だっ!!」
審判を兼ねた救助船から春蘭が七星餓狼のレプリカを振り上げ怒鳴っていた。
ミケ、トラ、シャムの水着は普段の格好と殆ど変わらない。
毛皮のスカートが無いだけの姿だった。
美以も毛皮を外しているが、美以の場合、上の毛皮を取るとトップレスになってしまう。
本人は気にしていなかったが、愛紗達が慌てて水泳教室の時に着ていたセパレーツのトップを着せていた。
春蘭の水着は以前小喬達にも見せた赤と黒のワンピースである。
「かこーとん!そっちに行ったじょっ!!」
水面に顔を出した美以が叫ぶ。
「な、なにぃ!?」
春蘭の目の前で四メートル近い皇魚がライズした!
その巨体が上げる水柱を春蘭はまともに喰らう。
「ぶわっ!この!魚の分際で私に勝負を挑みおったなっ!!」
『蜀軍右翼で何やらあった模様です!あぁー!あれは皇魚!?思わぬ闖入者に気を取られ南蛮大王孟獲、以下三名が脱落!!おおっと、救護班の夏侯惇将軍が飛び込み模造刀で皇魚にケンカを売っています!あはははははー♪馬鹿です!とんでもない大馬鹿です♪そんな夏侯惇将軍を見事に使いこなせるのは華琳さまだけ!!やはり華琳さまは用兵の天才ですね♪』
モニター上では小喬がはしゃぎ、冥琳は苦笑い、華琳はこめかみに血管を浮かべつつも小喬のフォローに微笑みを見せ、紫一刀はオロオロしていた。
一方水上では蜀呉双方脱落船が出始めている。
両軍の艦隊に混じって救護兼審判船が付き従い、次々判定を下していく。
「そこの船!炎上!直ちに錨を下ろし停船しろっ!!」
凪は声を張り上げながら飛んでくる矢を手刀で叩き落としていた。
凪の水着は青地に白い水玉のツーピース。功夫使いの彼女は激しく動いてもいいようにバンドタイプをチョイスしていた。トップはホルターネック。ボトムはハイウエストショーツ。そこに愛用の手甲足甲の閻王を着けている。
「そっちの船も炎上だ!その場に止まって白旗を掲げろ!!」
実際の戦場では燃えて沈むか、流されて下流へ行っていまう処だが、今回の模擬戦ではそのまま障害物として残される。
そんな混沌とし始めた中、遂に両軍の船が接舷した!
「鈴々一番乗りー♪燕人張飛の丈八蛇矛!喰らいたくなければさっさと飛び込むのだあーっ!!」
鈴々の水着は遊びの時に着ていた物より更に布地が少ないツーピース。
色は黒に黄色のパイピング。トップは三角ブラに紐のストラップでホルターネック。ボトムはローレッグのブラジリアンカット。トップとボトム、共にストラップが紐なので激しく動けばズレるか外れてしまいそうだが。
「うりゃりゃりゃりゃるあああああああっ!!」
どのような物理法則が働いているのか、パプニングが起こる気配はまるで無い。
「張飛将軍!お覚悟をっ!!」
呉兵士が十人一度に斬り掛かって来た。
丈八蛇矛がレプリカで刃が無くても鈴々の一撃をまともに喰らえば大怪我は免れない。
そうと分かっていても彼らは突っ込んで行く。
「見上げた奴らなのだ。でも・・・うぅりゃあああああ!!」
鈴々の一旋で全員船外に叩き落とされた。
すかさず救護船が彼らを助けていく。
「大丈夫か!?今引き上げてやるぞ!」
魏兵士達が手を伸ばして助けた呉兵士達は、みんなニヘニヘ笑っていた。
「・・・張飛将軍の水着姿をあんなに間近で見られたなんて・・・・・♪」
どうやら彼らは貧乳党員だったようである。
鈴々は次々船を飛び移り呉兵士達を叩き落として行く。だが!
「鈴々!急げ!敵艦隊がこちらを包囲し始めおったっ!!」
桔梗が隣の船から怒鳴った。
「わかったのだっ!!」
『おぉー!これはスゴイ事になって来ました!!先鋒同士が接舷した所で孫呉艦隊が鶴翼之陣に移行!蜀艦隊を包囲し始めました!蜀の武将による突破力が勝つか!?孫呉の艦隊力が包囲殲滅するのが先か!?』
小喬は身を乗り出して実況を続けた。
『どうやら雛里は最初から艦隊戦による勝利を捨てていた様だな。』
冥琳の冷静なコメントに小喬が振り返る。
『それはどういう事でしょう?冥琳さま。』
『今回の勝利条件は相手側から北郷を連れて来る事だ。蜀は武将の数に物を言わせてとにかく孫呉の本陣を目指す。後ろには脱落した艦船が橋の様に連なる事になるから帰り道の確保も出来る。この模擬戦だから出来る策だな。』
『・・・うわぁ~・・・鬼の様な策・・・・・』
『だが、そう上手くいくかな?♪』
冥琳は意味ありげにニヤリと嗤った。
「赤のお兄ちゃんの所にも、鈴々が一番乗りだもんね~♪」
突き進む鈴々の足を鈍らせる事はできても止める術のない呉兵士達。
「張飛将軍!!上ですっ!!」
鈴々の後ろに付き従っていたインテリが警告の声を上げた!
「にゃ!?」
見上げた視線の先には飛来する雪蓮がいた!
雪蓮の水着はヒョウ柄のツーピース。ストラップが編紐の長三角ブラでホルターネック、トップのフロントとボトムのサイドにゴールドパイピングのキーホールという、雪蓮の
その雪蓮はどうやら他の船から飛び移ってくる処だったようである。
「鈴々!悪いけどあんたはここまでよ♪」
「雪蓮お姉ちゃんとも一度思いっきりやってみたかったのだっ!!いっくぞぉ!!」
蛇矛を構え待ち受ける鈴々!
「残念ながら、それもダメなのよねぇ♪」
『
「このくらいじゃ鈴々は落ないのだっ!」
だがバランスを取るのが精一杯の鈴々。
「でしょうね、だからこれが本番っ!!」
雪蓮がほぼ垂直に飛び上がると、頭上に有った帆柱を蹴って、今度は舳先に先程以上のスピードと力で着地、というより蹴り飛ばした!
結果、沈む舳先とは反対に艫が大きく跳ね上がった。
「にゅああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・」
「ひええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ・・・・・・」
どぽ~ん
船自体を投石器の様にして鈴々とインテリを放り投げてしまった。
「ようし!一丁上がり♪さて、次は・・・・・」
「次は私の相手をして頂こう!雪蓮殿っ!!」
「わお♪愛紗!!」
『模擬戦も中盤に差し掛かろうという所で大一番の一騎討ちが勃発!!たった今豪快に張飛将軍鈴々を放り飛ばした前呉王孫策将軍雪蓮様の前に立ちはだかるは五虎将筆頭関羽将軍愛紗様!!片や江東の麒麟児!片や鬼神と歌われた蜀の青龍刀!!天下一品武道会でも実現しなかった対戦が!いまここで実現しましたっ!!』
興奮する小喬を余処に、華琳がマイクに拾えない小声で冥琳に囁く。
「(ねぇ冥琳。どちらが勝つか賭けをしない?)」
「(ふふ、結果の判っている賭けは出来んな♪)」
「(あら、残念♪)」
全然残念そうじゃなく笑う華琳。
「(どういう事?どっちが勝つんだ?)」
紫一刀にはまるで予想がつかなかった。
雪蓮と愛紗は同時に飛び出し斬り結ぶ!そして斬り結びながら次々と船を飛び移って行った。
「どうしたの愛紗?あなたの力はそんなモノじゃないでしょ!」
「それはあなたもだ!雪蓮殿!!」
既に二人は相手の思惑を理解していた。
相手は自分と同じ『足止めと時間稼ぎ』をしているのだと。
しかし、相手がそれをする事の利点が掴みきれない。
隙あらば倒してしまう気持ちは相手も同じだろう。
そして、無理をすれば自分が隙を見せかねない。
雪蓮と愛紗は決定打を打ち込む事ができないまま戦場を移動して行く。
だがそれに巻き込まれる兵士達はたまった物では無い!
二人が移動した後は、さながら竜巻の如し。
敵味方関係なく兵士は長江に落とされ、下手をすると沈む船まで出る始末だった。
「思春!悪いがお前の相手は二人でさせてもらうぜ。あたしらが水上で勝つためには手段を選んでいられないんでな!」
楼船、『艦』という言葉の語源となった大型船。その多層構造の船の一番上で、翠と華雄は思春と対峙していた。
翠の水着はツーピースで、紺と白のストライプがV字になるデザインのセパレーツ。ストラップが布なのでホールド感は高い。ボトムのバックはブラジリアンカット。
華雄の水着もツーピース、色は水泳教室の時と同じ薄紫。トップはワイドストラップのバストアップタイプ。ボトムは前V字ショーツのフルバック
思春の水着もツーピース、ウェットブラックでトップは三角ブラのホルターネック。ボトムは左サイドが3ストリングのショーツビキニ。
「別に構わん。お前たち二人で私を仕留められるならな。」
不敵に笑う思春に華雄は頭に血が上る。
「私を侮った事!後悔させてやる!!」
金剛爆斧のレプリカを思春に向け振り下ろした!
獲物の性格上大振りになる華雄の攻撃を思春は軽く躱す。
「工作員戦の時は遅れをとったけど、今回はそうは行かないぜっ!!」
すかさずそこに翠の連続突きが繰り出された。
軽やかなフットワークと剣で捌き、攻撃の隙を伺うが、また華雄の一撃が飛んできた。
「これは・・・流石に油断できんな・・・・・ならば・・・」
翠と華雄のコンビネーションが予想外にいい。
それさえ壊せば勝機は有ると思春は判断した。
「先日、緑本郷が仕事中に月の胸を揉んでいたな。」
華雄の動きが止まった。
「うわ!バカ!!陽動に決まってるだろっ!」
翠の声に華雄は再び動き出すが明らかに動揺していた。
「翠、その歳でお漏らしは」
「うわあああああああ!言うなああああああああっ!!」
定番ネタにしっかり反応してしまう翠だった。
「翠・・・・・・お前・・・・・」
華雄の視線が冷ややかだった。
どうやら華雄は知らされていなかったらしい。
「十日程前に紫北郷が月のメイド服の裾から頭を突っ込んでいた事も有ったな。」
『へうぅ・・・』
モニター上で月が顔を赤くしている。
『一刀・・・・・・あんた・・・・・』
『誤解!誤解だ!!華琳!!あれは事故!事故なんだっ!!』
華琳の手には絶が握られていた。
レプリカでは無く本物が。
『本当の所どうなんですか?月さま。』
小喬はさながら芸能レポーターの様にマイクを差し出す。
『えっと・・・私が廊下を歩いていたらご主人様が転がってきて・・・・・』
『ぶつかった拍子に、ですか。では紫一刀さま、なんで転がってたんですか?』
『春蘭に追っかけられて、逃げてる最中に蹴っ詰まづきました・・・・・』
『やれやれ、結局また春蘭か。』
冥琳は溜息混じりに戦場の端で派手な水しぶきが上がっている辺りを見た。
未だ春蘭は皇魚と戦っている様である。
「いつまでもソレを売りにしていては桂花や袁術とかぶるぞ。」
「あたしゃそんなモン売りにしたくないっつの!!」
剣撃を交えながらの思春の口撃は続く。
「しかし、お前からソレを取ったら頭が悪い分白蓮より地味にならんか?」
「そ、そんなわけあるかっ!!」
何気にひどい二人だった。
「そう言えば月の事だが、三日前に赤北郷が水着の着替え・・・」
「ふん!どうせ覗いたとでも言うのだろう!もうその手は喰わんっ!!」
若干引きずる物はあるが攻撃を続ける華雄。
「いや、着替えと称して股間をさらけ出し、月が恥かしがる様を見て喜んでいた。」
今度は華雄だけでは無く翠の攻撃も止まった。
「ご主人さま・・・・・・・ついにそこまで行っちまったのか・・・・・」
翠が妙な納得をしてしまう。
その隣では押し黙った華雄の闘気が膨れ上がった!
「・・・甘興覇・・・・・そこをどけ・・・・・・」
「(しまった!やりすぎたか?)」
「赤陛下のヤツをブッ殺すっ!!」
華雄が飛び出し思春に斬りかかる。
その動きは先程までとは別人の様で、巨大な戦斧を短槍の如く扱い連撃を繰り返して来た。
堪らず思春は下がるが華雄は止まらない。
二人の闘いで楼船がボロボロになっていく。
その様を翠はポツンとみていた。
「・・・・・この場合あたしが華雄を止めなくちゃいけないのかなぁ・・・・・」
『で、月。本当の所はどうなんだ?』
冥琳の冷静な質問に月は慌てて答える。
『あ、赤ご主人さまのはお着替えをしている所に私がうっかり扉を開けてしまっただけです・・・・・緑ご主人さまのも仕事中に偶然、ご主人さまの肘に当たってしまっただけで・・・・・』
『まあ、そんな事だと思ったわよ。』
『いや、華琳は明らかに目がマジだったよね・・・・・』
冷静を装う華琳に紫一刀が突っ込む。
何しろ華琳の手には未だ絶が握られたままっだった。
一方、蜀第二艦隊の星は明命と闘っていた。
「てっきり明命は隠密行動で主の所へ向かうものと思っていたのだがな!」
星は龍牙のレプリカを繰り出し明命に迫る。
星の水着は当然白。モノキニワンピース・・・なのだがこれを果してこれをモノキニのカテゴリーに入れてよいのか?
トップは胸の中央をリングで継なぐバンドタイプ、センターストラップのホルターネックもそのリングに継り、更にボトムから伸びるフロントもそのリングに継る。
問題はそのフロント部分がおへそを隠す程度の細さしかなく、ボトム自体がサイドを紐で結ぶビキニショーツと変わらない事だ。
はっきり言って、これはビキニよりもエロティックだった。
「それでは星さんを倒して緑一刀さまの所に行かせてもらいますっ!!」
明命の水着はアクアカラーのツーピース。チューブブラトップにセンターストラップのホルターネック。ボトムはハイウエスト、ローレッグ、フルバックである。
「そうはさせんよっ!」
星が攻撃の速度を上げる。
『
漕ぎ手を守る板の壁のため甲板上でも狭く、自然と攻撃は突きが主体となってくる。
だが星と明命の攻撃には決定的な違いがあった。
それは攻撃の時揺れる胸と揺れない胸だ!!
星は気にしていない様だが、明命には・・・・・。
星が攻撃を繰り出す回数が増えて行くにしたがい、明命の目つきがまるで親の敵でも見るものに変わって行く。
(しまった。これはまずいな・・・・・)
星も明命の変化に気付くが、だからと言って攻撃の手を止める訳にもいかない。
(こんな時の為に
既に失格となってしまっていてはしょうがない。
(何か手はないものか・・・・・・)
実況席
【紫一刀turn】
「中央での呉艦隊による包囲殲滅と蜀艦隊による一点突破の攻防が続く中!呉の後翼から更に二艦隊、左右から回り込む形で蜀本陣に向かっていきます!!旗印は・・・・・孫と袁って小蓮様と美羽!?緑一刀さまを奪還する部隊なのに大丈夫なの!?迎え撃つ蜀は五虎将黄忠将軍紫苑さまを筆頭に馬岱将軍たんぽぽ!公孫賛将軍白蓮様!軍師詠さま!そして袁紹将軍、顔良将軍、文醜将軍!さらに本陣には魏延将軍焔耶と筆頭軍師諸葛孔明朱里が待ち構えている!!この壁を突破できるのか!?」
小喬ノリノリだなぁ。さっきから興奮して立ち上がるたんびに下が映りそうでヒヤヒヤしたけど。
「まともにぶつかっては無理でしょうけど。さて、穏はどんな奇道を授けたのかしら♪」
華琳も楽しそうだ。明日は俺達魏が呉と戦うからその研究もあるんだろうけど、結構純粋に観戦を楽しんでるみたいだな。
「あれ?一艘だけ中央から呉の本陣に向かってるのがいるぞ。」
「え?どれですか?紫一刀さま・・・・・・・あ、いました!赤く塗られた小舟、『赤馬』で突き進む旗は・・・」
「深紅の呂旗!!天下の飛将軍!呂布将軍恋さまだっ!!」
『赤兎馬』ならぬ『赤馬』で敵陣目掛けて突き進む恋。
恋の水着は黒。一見ワンピースかツーピースか見分けが着かないスポーティーな物。お腹オープンのバッククロスのワンピースなのか、ハイレグビキニショーツのサイドリングにトップサイドを継なぐデザインと見るか?判断が難しいがとにかく格好良くてセクシィであるのは間違いない。
方天画戟のレプリカで飛んでくる矢を叩き落とし、向かってくる船を薙ぎ払い、まるで無人の野を
一緒に乗っている漕ぎ手やねねを守る壁板が装備されている処から、最初から恋を乗せる為に用意した物なんだろう。
「小蓮様と美羽対恋さま!果してどちらが先に一刀さまの下にたどり着くのかあぁ!!」
あとがき
なんだかひたすら水着の解説に終始していた気がします。
しかも話の流れを無視した上に
水着の説明がまるで呪文の様になっていますねw
一応ウィキ等で調べられるのでどんな形か分からない人は参考にしてくださいm(_ _)m
軍船
三国時代の軍船は川や湖で使うのが主だったので基本手漕ぎだそうです。
帆を装備した船も手漕ぎと併用だった様です。
雪蓮が鈴々を飛ばした船も、たまたま帆を装備したものでした。
次回は蜀対呉の後編。
今回登場出来なかった人達、特に蓮華には頑張ってもらいたいですw
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第七話は蜀対呉の前半戦です。
第三話より肌色増量となっておりますw
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