No.461170 IS学園にもう一人男を追加した ~ 65~66話rzthooさん 2012-07-28 17:36:42 投稿 / 全2ページ 総閲覧数:1538 閲覧ユーザー数:1475 |
65話
獅苑?SIDE
まさか、『ラン』自体が装備になるとは・・・
これがユウキさんの言っていた"形態変化(カンビオ・フォルマ)。
じゃあ、次は・・・
獅苑?
「ルン!」
ルン
「がう!」
[シュ~・・・]
滅多に聞くことのない、はっきりとした返事をした『ルン』は霧状になって、俺の足に纏わり付いて、スケート靴のようなものが装着される
何となく、『ラン』で槍を防いだまま、『ルン』に命令を出すと・・・
[ビュンッ!!]
楯無
「うわぁ!?」
獅苑?
「いっ!?」
想像してなかったほどの加速力。
『ラン』も驚いて、マントから元の姿に戻っていた。
楯無
「ちょっと! 何なのよ、一体!?」
獅苑?
「俺が知るか・・・って、何で俺がお前を抱えてんだ?」
何故、お姫様抱っこを・・・
楯無
「そっちが勝手にしたんでしょ!! あと、このまま行くと、壁に激突するわよ!」
獅苑?
「え?」
前を見たら、アリーナの壁がもうそこ。
俺は咄嗟に、片足を前に突き出して、壁との接触を最小限に留めようとする。
獅苑?
「っ・・・!」
突き出した片足に衝撃が走るが、何とか動きは止まった・・・とは、限らなかった。
今度は、地面と平面に壁を走り出したのだ。
しかも、さっきの倍のスピード。
楯無
「きゃあああっ!!」
獅苑?
「くっ!」
頭の中で『ルン』に停止の命令を送っているのだが、全然止まる気配がない・・・っていうか
ルン
『♪~~』
楽しんでやがる・・・
獅苑?
「おわっ!?」
壁から足が離れて、空を自由に飛び回り始めた。
楯無
「も、もう、何とかしてーっ!!」
獅苑?
「く、首に巻きつくな!」
ルン
『♪~~!』
獅苑?・楯無
「死ぬかと思った・・・」
結局、『ルン』が満足するまで付き合わされた。
ここは、『ルン』を叱るべきなんだが・・・
ルン
[ペロペロ]
滅多に、スキンシップをしてこない『ルン』がメッチャ俺の頬を舐めている。
申し訳ない気持ちで舐めているのか、遊べて気分が良いのかは分からないが・・・
正直言って・・・・滅茶苦茶、可愛い。
もちろん、いつも思っている事だけども・・・
楯無
「・・・中身は、ホントそのまんま」
獅苑?
「ん? 今・・」
ロン
「ぐるるるるっ!」
獅苑?
「っ・・・わ、分かったから、腕を噛むな。次は『ロン』の番だもんな」
ロン
「がうっ!!」
[シュ~・・・]
霧が右腕に纏わり始める。
楯無
「さすがに、あんな目に合って、黙ってみている訳には、ねっ!」
向こうは、『ロン』が武器に構成されるのを阻止しようと、槍を持って突貫してくる。
だけども・・・
[ガキィン!]
楯無
「・・・あ~あ」
獅苑?
「間に合わなかったな」
右前腕と同化した1メートルほどの長さの大剣。
ロン
『ぐるるるる・・・』
獅苑?
(・・・もしかして、お前も?)
太刀から聞こえる『ロン』の唸り声。
どこか、興奮しているように聞こえる・・・と、思っていたら、大剣に熱気が渦巻き始めて・・・
ロン
『がうっ!!』
楯無
「っ!?」
太刀が勝手(・・)に先を生徒会長に向けられて、圧縮された熱気が生徒会長を吹き飛ばす。
しかも、アリーナ壁際まで思いっきり。
獅苑?
「・・・加減を知らないな、お前は」
ロン
『ワンッ!』
獅苑?
「・・・」
やっと自分の攻撃を当てられたのが嬉しいんだろうな・・・
そう思っていると、個人間秘匿通信(プライベート・チャネル)が開かれる。
スコール
『そろそろ、帰還しなさい。お遊びが過ぎるわよ』
獅苑?
「・・・『ロン』がまだ遊び足りていない」
ロン
『がうっ!』
スコール
『・・・仕方ないわね・・・異常は?』
獅苑?
「ない」
スコール
「そう・・・」
[ブツッ]
獅苑?
「・・・さて、生徒会長さんは潰れたし、次の相手を」
[シュッ!]
獅苑?
「っ!?」
突然、地面から出てきた"伸びる剣"に絶対防御があるにも関わらず、深く頬を斬られ、血が噴出す。
楯無
「だ~れが"潰れてる"ですって? 私はこの通り、ピンピンですけど」
"伸びる剣"・・・蛇腹剣が地面を経由して生徒会長の所に戻っていく。
その生徒会長さんは、笑みを浮かべていた・・・殺気が滲み出しながら。
楯無
「私がどれだけ厄介な女か・・・思い出させてあげる」
一夏SIDE
ダリル
「あらよっと!」
すらりと、攻撃を避ける先輩。
一夏
「くそっ!」
セシリア
「一夏さん、焦っては相手の思う壷ですわ!」
ダリル
「さすが、私の教え子。良く分かってるじゃないか!」
セシリア
「別に、先輩の教え子になったつもりはありませんわ!」
ダリル
「つれないな~・・・・それにしても、私達2人を引き離したのは良い策だな」
簪
「『イージス』・・・お姉ちゃんも、手を焼くコンビネーションって、聞いてます」
楯無さんでも"手を焼く"、か・・・
ダリル
「だけど、それだけじゃ、私には勝てないぞ。まだ私は全力を出していないからな」
一夏
「だったら、全力を出させてやる!」
ダリル
「そうかよ!」
先輩のISに対して、唯一通用するのは"零落白夜"しかない!
セシリア
「一夏さん!」
簪
「行きます!」
セシリア
「簪さんまで・・・ああもう!」
一夏
「うおおおおっ!」
ダリル
「うおっとっ、と!」
先輩はスラリと雪片弐型を流すと、俺の片腕を掴んで、首の後ろにエルボー。
後ろから攻撃してきた簪も、荷電粒子砲は跳ね返されて、リーチの長い薙刀の柄を取られ、足蹴りされる。
『インターセプター』で斬りかかったセシリアも、すべて先輩に見切られて、武器ごと叩き落とされる。
ダリル
「まず、1人・・・」
『片思い』の球体がセシリアを四方八方から襲う。
簪
「今ならっ!」
ダリル
「ん?」
『片思い』がすべてセシリアの方に向かっている隙に、本体に連射型荷電粒子砲『春雷』を撃つ。
俺もそれに合わせて、雪羅の荷電粒子砲を放つ。
だが、『ヘル・ハウンド・Ver3』の胸元に埋め込まれていた"黒い部分"が雪羅の荷電粒子砲を吸収し、その吸収したエネルギーで『春雷』をかき消した。
一夏・簪
「なっ!?」
ダリル
「あまり、"コイツ"を使わすなよ。いざって時に使うものなんだから、よっ」
簪
「ぐっ・・・!」
瞬時加速(イグニッション・ブースト)で簪に近づき、『瓜爪』で叩きのめし、それと同時に『片思い』に襲われていたセシリアのSEも尽きた。
ダリル
「さて、後はお前だけだ!」
『瓜爪』で切りかかる先輩の猛攻に、雪片弐型と雪羅のクロー、シールドで防戦。
距離を取って、荷電粒子砲を撃っても、全て跳ね返され、攻略法がない。
攻略法を模索している間にも、俺の疲労が積み重なっていき、白式のSEも残り僅か。
ダリル
[ガシッ!]
ただの実体剣になった雪片弐型が弾き飛ばされ、地上と垂直の状態で、首を掴まれる。
先輩は何も発さず、無表情で『瓜爪』を構えて・・・
一夏
(やられるっ・・・!)
ダリル
「・・・」
『瓜爪』で殴りつけられ、校舎の瓦礫に・・・
?
「・・・」
一夏
「え・・・?」
気づけば、前にも訪れた"波の音に白砂がしきる世界[夕方バージョン]"に、制服を着た俺は突っ立っている。
そして、"白い騎士"が以前、来た時と同じ様に、膝元を海に沈め、大剣を逆手に海に突き刺していた。
白い騎士
「以前来た時に言いました・・・"仲間を守るため"力を欲すると」
前置きなしで、急に尋ねてきた。
一夏
「あ、ああ・・・だから、獅苑も助ける」
アイツの目は以前より鋭くなっていたけど、雰囲気は全然変わっていなかった。
俺達が知らない間に、どうしてあんな風になってしまったのか・・・
もしかしたら、俺みたいに"誘拐"されて、何かをされてしまったかもしれない。
だけど、今の俺には力がない・・・
先輩に勝てないようじゃ、獅苑を救えるわけがない・・・
一夏
「教えてくれ! 俺はどうしたら、強くなれる!?」
白い騎士
「・・・」
白い騎士は黙って、逆手に持っていた大剣をこちらに投げ渡してきた。
その大剣は、近くの砂浜に突き刺さり、俺はその大剣を引き抜く。
一夏
「・・・見た目より、軽いな」
白い騎士
「その剣の重さは、思いの重さに比例する」
一夏
「思い・・・?」
白い騎士
「"思い"は、どんな兵器をもってしても、絶える事のない"力"・・・」
一夏
「・・・」
グッ、と大剣を握り締めると、自分の"何か"が腕を伝わって、大剣に流れるような感じがした。
すると、どんどん剣の重量が増していき、持ちきれず、大剣の先が白砂につく。
一夏
「うっ、重い・・・!」
白い騎士
「今では完全に扱える事は出来ないでしょう・・・ですが、完全に扱える日は、そう遠くはありません」
そう言った"白い騎士"の背後に光が差し込んで・・・
白い騎士
「もう、会う事はないでしょう・・・一夏」
一夏
「ぁ・・・」
視界が光に完全に包まれる前に、バイザーを外した"白い騎士"
その素顔は、俺の、たった一人の・・・
ダリル
[ガシッ]
一夏
「はっ・・・」
ただの実体剣になった雪片弐型が弾き飛ばされ、地上と垂直の状態で、首を掴まれる。
先輩は何も発さず、無表情で『瓜爪』を構えて・・・
一夏
(やられるっ・・・!)
やられる・・・いや、俺はやられない・・・
ダリル
「・・・」
『瓜爪』で殴られ、校舎の瓦礫に・・・
一夏
「やられるのは、お前だぁ!!」
落ちる前に、右手に出現した"巨大な白い刀"で先輩を斬り付けた。
ダリル
「っ!? 嘘、だろ・・・」
一撃でSEをゼロにされた先輩のISは、校舎の瓦礫に落下し、瓦礫のベットでISが強制解除された先輩は気を失った。
一夏
「あ・・・」
先輩の安全を確認した後、右手を見る。
さっきの、刀状の物体は消えていて、出そうと思っても出せない。
フォルテ
「げぇ! やられちゃったんッスか!?」
『ヘル・ハウンド・Ver3』の反応が消えて、様子を見に来たのだろう。
だけど、その隙を突かれて、シャルに羽交(はが)い絞(じ)めされる。
フォルテ
「離してくださいッスー!」
シャルロット
「箒、手伝って!」
箒
「分かった!」
鎌で暴れようとした先輩を2人は後ろと前で押さえつけた。
シャルロット
「一夏と鈴は先に行って!」
一夏
「あ、ああ!」
鈴
「あんたらの分も、ぶん殴ってくるから!」
楯無SIDE
楯無
「私がどれだけ厄介な女か・・・思い出させてあげる」
もうブチ切れた・・・
頭で覚えてないのなら、体に刻み込んで一生忘れないようにしてやる。
獅苑?
「"厄介な女"、か・・・そっちが殺気を隠さないなら、こっちも」
すると、獅苑君は両目に指を近づけ、カラーコンタクトを外す。
そして、カラーコンタクトの裏の目は・・・
楯無
「|越界の瞳(ヴォーダン・オージェ)・・・しかも、両目に」
両目とも、ラウラとは少し違う、"濁りのある金色"だった・・・
66話
楯無SIDE
楯無
「な、何? その目・・・何で、あなたが・・・」
獅苑?
「俺がナノマシン移植してて、悪いのか?」
そっちじゃないわよ・・・
問題は"目の色が変色"している事
記録で、"目の色が変色"する原因は、移植者と『|越界の瞳(ヴォーダン・オージェ)』の不適合。
能力を制御しきれず、ラウラちゃんには悪いけど、一言で言って"出来損ない"
だけども、"獅苑君が?"って思うと、正直言ってありえない。
獅苑?
「・・・何か、勘違いしていないか?」
楯無
「勘違い?」
"いや、勘違いではないな"と呟いた獅苑君は、"濁りのある金色"の目を指差し、話を続ける。
獅苑?
「この目は"出来損ない"の意味じゃない・・・その逆だ」
逆?
楯無
「つまり、適合しているって事?」
獅苑?
「"適合しすぎ"ている・・・って、言った方がいい。俺を含めて、ほかの奴等も一緒」
まさか・・・って、普通は思うけど、それなら獅苑君の"あの目"の説明がつく。
獅苑君の実力、夏休み前に見た操縦者のデータ、そして今の話。
じゃあ、ラウラちゃんが移植後、基準値以下の成績を出してしまった原因は・・・
楯無
("適合しすぎ"ていて、本来の力を出し切れていなかったから?)
移植者が『越界の瞳』と適合しなかった訳じゃなく、移植者が『越界の瞳』に付いていけなかった・・・って、言えばいいのかしら?
獅苑?
「『疑似ハイパーセンサー』とも呼ばれるコイツは、目の色が濁るほど能力が上がる。脳への視覚信号伝達の速度、動体反射の強化とか」
楯無
「・・・よく細かく教えてくれるわね」
一応、|今は(・・)敵同士なのに・・・
獅苑?
「そう説明するように言われたからだ・・・」
楯無
「誰に?」
獅苑?
「それは・・・ああもう、その事はいいだろう。さっさと始めるぞ!」
装備をフルにして、風を切って突っ込んでくる。
客観的に見ても速い。それでも・・・
楯無
(まだ、使いこなせていない・・・)
"死戔"とは、少し扱い方が違うのだろう。動きは荒く、細かい移動が出来ていない。だから、攻撃のタイミングが手に取るように分かる。
それに、もしかしたら『│越界の瞳(ヴォーダン・オージェ)』も完全に扱えていないのかも・・・
だけど、相手が攻撃してくると分かっていても、簡単に事が運べるはずがない。
大剣を避けて、カウンターを仕掛けても、マントに防がれて、逆にカウンターを決めてくる。
何度も打ち合っている内に、獅苑君が機体に慣れ始めているのか、攻めが濃厚になってきた。
勝負を決めるなら、今しかない。
楯無
[グイッ!]
懐に飛び込み、マントを掴んで『蒼流槍』を装甲に突き刺す。
反撃されないように、大剣を脇に挟んで、マントを掴んでいた手を背中に回して・・・
楯無
「『アイスィクル』!」
ランスに纏われた水が螺旋状に回転し、ゼロ距離で"氷柱(つらら)状の水"が直撃。
獅苑君は、強引に大剣を振り回して私を引き離すが、地面に接触する前に『ラスティー・ネイル』を足元に巻きつける。
操作に慣れ始めていたとはいえ、咄嗟に動く事が出来なかった獅苑君。
地面に宙返りで着地し、『ラスティー・ネイル』を引っ張ると、膝からバランスを崩す獅苑君。
さらに、こちらに引き寄せて、『ミストルティンの槍』の劣化版・・・『ヤドリギ』を叩きつける。
獅苑?
「いぎっ・・・!?」
右手に集められたエネルギーが、マントの内に叩きつけられ、威力に比例し、アリーナ壁際まで吹き飛ぶ。
その途中で、犬三匹が元の姿に戻って、地面に突っ伏す。
獅苑君はアリーナ壁際にいる事はレーダーで分かるが、砂煙がたっていて視覚で確認できない。
しばらく警戒していると、変化が起き始めた。犬三匹が消えた。
霧のようにではなく、ボンッと小爆して。
楯無
「・・・」
急に鳥肌が立ってきた・・・背筋が凍って、意識しないと呼吸が止まりそう。
獅苑?
『・・・』
楯無
「ぁ・・・」
砂煙から出てきた獅苑君。だけど、雰囲気がまるで違っていて、相手の突撃に反応が出来なかった。
獅苑?
『アイスグロッグ』
楯無
「っ!?」
一歩退いた瞬間、"凍った左手(鉄槌拳)"が私の眼前を通り過ぎる。
獅苑?
『ブリセット』
グローブ状の氷が形を変え、骨状のブレードに。
縦一閃に振り下ろされたブレードを防ぐ。
だが、打ち合った瞬間に鉄槌拳に切り替えて、『ラスティー・ネイル』の刃から滑り込ますように、腹部を殴りつけられた。
獅苑?
『っ!』
私が地面に落ちる前に、鉄槌拳が溶けて"左手から伸びた氷"に首を掴まれる。
素手で必死に剥がそうとするが、ガチガチに凍っていて剥がせず、首に力が込められる。
息が出来ず、意識が遠のく。
獅苑?
『・・・』
獅苑君と目が合う。その目は生気が感じず、殺気すらも感じない。何も見てないし、何も感じていないように見えて、彼が遠く彼方にたっているように見えた。
視界が歪む中、必死に獅苑君に掴もうと、手を伸ばす。
だが、その手は空しくも、冷えた空気に触れる事しか出来ず、徐々に意識が薄れ・・・
一夏
「楯無さんっ!!」
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これで、移転終了・・・
ここからは、投稿が遅れ気味になると思います。