No.460547

英雄伝説~光と闇の軌跡~   ~武術大会・予選~後篇

soranoさん

~武術大会・予選~後篇

2012-07-27 21:36:12 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:868   閲覧ユーザー数:823

~グランアリーナ・観客席~

 

「……続きまして、これより第7試合を始めます。南、蒼の組。王国軍正規軍所属、第~部隊所属。~以下4名のチーム!」

今までのように片方の門より、また王国軍の兵士達が現れた。

「北、紅の組。異世界の国、メンフィル帝国出身。旅人プリネ選手以下4名のチーム!」

もう片方の門からはなんと、マーリオン、ペルル、フィニリィと共にプリネが現れた。

「あ!プリネさんだ!」

「ご、ご主人様!?」

プリネの登場にミントは声を上げ、ツーヤは驚いた。

「嘘!?プリネまで出場していたの!?」

「ハハ……顔見知りばかりの大会になってしまいそうだね………」

争いごとがあまり好きそうでないプリネまで出場している事にエステルは驚き、ヨシュアは自分達の知り合いばかりが出ている大会になる事に苦笑した。

「これより武術大会、予選第7試合を行います。両チーム、開始位置についてください。」

審判の言葉に頷いた両チームは今までと同じように開始位置についた。

「双方、構え!」

両チームはそれぞれ武器を構えた。

「勝負始め!」

そしてプリネ達と兵士達は試合を始めた!

 

「先の試合でやられた仲間達の思いを組むためにも、メンフィル帝国に我等王国正規軍魂を見せてやれ!突撃!」

「「「イエス、サー!!」」」

隊長の言葉に力強く返事した兵士達は武器を構えて、プリネ達に突撃して来た。

「もう………お姉様達ったら、やりすぎですよ………」

隊長の言葉を聞いたプリネは溜息を吐いた後、気を取り直して迎撃の構えをした。

「全員、迎撃態勢!各個撃破で勝負を決めますよ!」

「了解……しました……!」

「うん!」

「フフ……私(わたくし)の魔術に翻弄されるがいいわ!」

プリネの号令にマーリオン達は頷いた後、それぞれ突撃してくる兵士達に向かって行った。

「喰らえっ!」

兵士の一人はマーリオンに向かって銃剣を突きだしたが

「……無駄です。」

「なっ!?」

マーリオンが自分の目の前に出した水の結界に阻まれて攻撃できなかった。

「水よ………」

そこにマーリオンは魔術――連続水弾を兵士に向けて放った!

「ゲフ!?グハァ!?」

マーリオンの魔術をまともに喰らった兵士は自分達がいた開始位置のところまで吹き飛ばされた。

「終わりです………溺水……!」

「グッ!?…………」

そしてマーリオンが止めに放った魔術を受けて、兵士は上から滝のように落ちて来た水に叩きつけられた後、立ち上がらなくなった。

「敵、撃破……です。」

 

「「そこだっ!」」

「おっと!」

「無駄ですわ!」

2人の兵士はそれぞれペルルとフィニリィを攻撃したが、ペルルには回避され、フィニリィには槍で防がれた。

「今度はこっちの番だよ!超・ねこパ~ンチ!」

「グギャッ!?……ガッ!?………」

ペルルが放ったクラフトを受けた兵士はペルルのクラフトの威力のせいか、壁まで吹き飛ばされて、壁に当たってずるずるとその場に蹲って立ち上がらなくなった。

「あっちゃ~……最高の威力が出ちゃったみたいだね……ごめんね!」

ペルルは威力がバラバラなクラフトがたまたま最高の威力を出してしまった事に気付いて、蹲っている兵士に頭を軽く下げて謝罪した。

「ウフフフフ…………どれが本物かわかります?」

「な、なっ!?これは一体!?」

一方フィニリィは得意としている幻術を自分が相手している兵士に放った。フィニリィの幻術にはまってしまった兵士は自分の周りをたくさんのフィニリィがいる事に錯覚して、うろたえた。

「フフ……魔術に対抗策も持っていない人間ごときにこんな初歩的な魔術を破る事なんてできないでしょう?」

「ク、クソ!王国正規軍魂をなめるなぁっ!」

たくさんのフィニリィに笑われた兵士は頭に来て、近くにいたフィニリィに攻撃したが、フィニリィは消えた。

「なっ!?」

「フフ……残念。それは偽物ですわ。まっ、遊びはここまでにして決めさせてもらいますわ!」

そしてたくさんにフィニリィは持っている槍に雷を溜め始めた。

「ヒ、ヒィィィィ!?」

本能的に危険と感じた兵士は持っている銃剣を振り回してフィニリィに攻撃したが、幻影のフィニリィが消えるだけで意味はなく、また幻影が消えてもまた新たな幻影が現れた。

「我が魔術にひれ伏しなさい!……大放電!!」

「ギャァァァァァ!?」

幻影も含めたフィニリィが放った魔術を受けてしまった兵士は叫び声を上げながら崩れ落ちた。

「まっ、大衆に私の力を見せるのも悪くはありませんわね。」

 

「ハァッ!」

「甘いですッ!」

一方隊長はプリネに向かって行ったが、プリネはレイピアで防いだ。

「クッ……このっ!」

「………………」

攻撃を防がれた隊長は次々と激しい連続攻撃を行ったが、プリネはレイピアで冷静にさばいていた。

「この………これならどうだ!?」

何度攻撃をしてもらちがあかないと感じた隊長は勢いに任せて、プリネのレイピアを弾き飛ばすために大ぶりな攻撃をしようとしたところ

「――そこです。フェヒテンバル!!」

「ガッ!?………………」

プリネは大ぶりでできた隙を逃さずクラフトを放ち、プリネのクラフトをまともに受けてしまった隊長はその場に蹲って立ち上がらなくなった。

「終わりのようですね………みなさん、お疲れさまです。」

 

「勝負あり!紅の組、プリネチームの勝ち!」

「ふわぁ~……プリネさん達、勝っちゃったね、ツーヤちゃん!」

「うん……!ご主人様達、凄いです!」

ミントとツーヤがプリネの勝利にはしゃいでいる所、ツーヤは退場していくプリネと目があった。

(フフ………応援してくれたのね。ありがとう、ツーヤ。)

ツーヤに気付いたプリネはツーヤに向かって軽く手を振って、門へと消えて行った。

「あ!今、ツーヤちゃんに向かって手を振ってくれたよね!?」

「うん!ご主人様、あたしに気付いてくれたんだ……!」

ミントの言葉にツーヤは嬉しそうに答えた。

「ふええ~……!さすがプリネね!余裕勝ちじゃない!動きも洗練されていて、全く隙がなかったし!」

「うん。さすが”大陸最強”と名高いメンフィルの武官や父親に鍛えられているだけはあるね。彼女達の使い魔達もかなり強いし、親衛隊クラスでないと相手にならないんじゃないかな。」

エステルはプリネの強さを改めて見て興奮し、ヨシュアは使い魔を含め、評価をしていた。

そしてまた次の試合の組み合わせのアナウンスが入った。

「……続きまして、これより第8試合を始めます。なお、この試合をもちまして予選試合は終了となります。南、蒼の組。王国軍情報部、特務部隊所属。~以下4名のチーム!」

片方の門からはなんとルーアン、ツァイスで対峙した特務兵達が現れた。

「あいつら……!」

「どうやら正体を隠すのはやめたようだね………」

「あの人達は……!」

「……………!」

特務兵の登場にエステル達は驚いた。

「北、紅の組。異世界の国、メンフィル帝国出身。メンフィル帝国軍所属。闇剣士カーリアン選手以下1名のチーム!」

もう片方の門からはその場にいる男性達を魅了するような体つきと服装をした女性――リウイの側室の一人であり、幻燐戦争の英雄の一人、そしてリフィアの祖母であるカーリアンが現れた。

 

「凄いカッコ………ほとんど下着しか着てないようなものじゃない!……あれ?今思ったらさっきの人の名前に聞き覚えがあるんだけど………(それにあの人、どっかで見た事があるような……?)」

エステルはカーリアンの服装に驚いた後、聞き覚えのある名前や見覚えのある顔に首を傾げた。

「聞き覚えがあって当然だよ、エステル。あの女性はリフィアにとって祖母にあたる人だよ。」

「あ、そうか。…………って祖母!?どっからどう見てもそんな風には見えないわよ!?」

ヨシュアから言われたエステルは驚いた後、カーリアンの姿を信じられない表情で見ていた。

「ハハ………エステル、忘れたのかい?闇夜の眷属の人達は寿命も僕達より遥かに長寿だし、しかも若い姿のままを保っていられる事を。」

「あ、そう言えばそうね。あのリウイって人もリフィアのお祖父ちゃんだったものね。それを考えたら不思議でもないか………」

苦笑しながら言ったヨシュアの言葉にエステルは納得して、カーリアンを見た。

(ん~?今誰か、私にとって腹立つ事を言った気がするわね………リフィアかしら?)

一方カーリアンは何かに感づいて、周囲を見回した。その時、アナウンスが入った。

「カーリアン選手はジン選手やリフィア選手と同じように今回の予選でメンバーが揃わなかったため1名のみでの出場となります。著しく不利な条件ではありますが本人の強い希望もあったため今回の試合が成立した次第です。みなさま、どうかご了承ください。」

「”大陸最強”を誇るメンフィルの中でも1,2を争う実力を持つ人か…………多分特務兵達じゃあ、数がいても敵わないね。」

「そうね。確かプリネを鍛えた人の一人なのよね?どんな強さか気になるわ~。」

「お姉さん~、がんばって~!そんな人達、あっという間にやっつけっちゃって~!」

「ミ、ミントちゃん。いくら許せない相手だからって大声でそんな事を言ったら、さすがに少し不味いと思うよ。」

これから見せるであろうカーリアンの実力にヨシュアやエステルは見逃すまいと試合に注目し、ツーヤはミントの応援に冷や汗をかいて、ミントを宥めていた。

「これより武術大会、予選第8試合を行います。両チーム、開始位置についてください。」

審判の言葉に頷いた両チームは今までと同じように開始位置についた。

「双方、構え!」

両チームはそれぞれ武器を構えた。

「勝負始め!」

そしてカーリアンと特務兵達が試合を始めた!

 

「相手は1人とはいえ、油断するな!メンフィルに我等誇り高き特務部隊が最強の部隊である事を証明するぞ!」

「「「イエス、サー!」」」

黒を基調とした服装をした隊長の言葉に特務兵は力強く頷いた。

「ふ~ん………あれがクーデターをたくらんでいる特務兵か………お手並み拝見といきますか!……それぇっ!」

カーリアンは双剣を振って、衝撃波を起こして特務兵達に向けて放った!

「!全員、散開!」

「「「ハッ!」」」

自分達に襲いかかって来る強力な剣風に気付いた隊長は特務兵達に命令した後、特務兵達と同じようにその場を横に跳んで回避した。

「敵を囲めっ!相手は1人だ!」

「「「ハッ!」」」

隊長の言葉に頷いた特務兵達は素早くカーリアンの攻撃範囲外らしき場所から3人で囲んだ。

「ふ~ん。そこそこ鍛錬はされているようね。」

カーリアンは特務兵達の動きを見て、自分なりの評価をした。

「突撃!同時攻撃で一瞬で決めろっ!」

「「「ハッ!」」」

特務兵達は3人同時にカーリアンに襲いかかったが

「フフ………耐えられるかしら?激しいの、行くわよ♪………白露の桜吹雪!!」

「「「ギャァァァッ!?……………」」」

カーリアンの周囲を殲滅する衝撃波を出す強力なクラフト――白露の桜吹雪を受けて、断末魔をあげて、吹っ飛ばされた!吹っ飛ばされた特務兵達は壁に当たった後、重傷を負った状態で気絶した。

「え。」

一瞬の出来事に隊長は呆けた。

「フフ……戦場で余所見は厳禁よ♪」

そこにカーリアンが一瞬で隊長の目の前に現れた。

「なっ!?」

「喰らっときなさいよ!冥府斬り!!」

「ガアッ!?……………」

カーリアンのクラフトを受けた隊長は部下達と同じように一瞬で全身傷だらけになった上、体中の神経もいくつか斬られて動かなくなり、その場に崩れ落ちて二度と立ち上がらなくなった。

「フフ、ちょっとだけ楽しめたわ。ありがと♪」

そしてカーリアンは倒れている特務兵達に投げキッスを送って勝利のセリフを言った。

 

「しょ、勝負あり!紅の組、カーリアン選手の勝ち!救急部隊!今すぐ来てくれ!」

「オオオオォォォォォォォォ!!!」

観客達は圧倒的な強さを見せたカーリアンに驚愕した。重傷を負って呻いている隊長や特務兵達を見て審判は驚いた後、カーリアンの勝ちを宣言した後、痛みで呻いている特務兵達をすぐに治療しないとまずいと思い、救急部隊を呼んだ。

そして救急部隊がやって来て、担架に一人一人乗せて、医務室に運んで行った。

「な、何あれ………あたし達と次元が違うじゃない!?あいつらそこそこ強いのにあの人、苦もなく一瞬でやっつけたじゃない!」

「今までの参加者の中でも圧倒的な強さだね………あれなら例え相手が4人いても関係ないね………多分、彼女が優勝候補の一人に上がっているだろうね………」

「すっ………ごーーーーいーーーー!あの女の人、凄く強いね、ツーヤちゃん!」

「うん。上には上がいるって聞くけど、あの人に勝てる人っているのかな?」

カーリアンの圧倒的な強さにエステルやヨシュアは驚き、ミントは興奮し、ツーヤはカーリアンに勝てる人物がいるのか疑問に思った。その時、試合終了のアナウンスが聞こえて来た。

「ただ今の試合をもちまして予選試合は全て終了となりました。本戦出場チームは9組。明日から3日間にわたって開かれる、トーナメント戦で優勝チームを決します。なお、先ほど行った抽選によってプリネチームはシード権取得となり、

プリネチームは2回戦からとなっております。それでは最後に、大会主催者であるデュナン公爵閣下から挨拶があります。」

そして特別席にいたデュナンが椅子から立ち上がって、喋り始めた。

 

「ウオッホン!あー、親愛なる市民諸君よ、本日はわざわざの観戦ご苦労だった。私は残念ながら、政務で忙しかったため一部の試合を見逃してしまったが……。私が見た試合はどれもレベルが高く非常に楽しませてもらい、また興奮した!最近、テロ事件に陛下の健康不調と深刻なニュースばかり続いているが……。だが、どうか安心して欲しい!陛下から政務を託された者としてこのデュナン・フォン・アウスレーゼ、身を粉にして諸君らの期待に応えよう!そして、この武術大会の活気が諸君らの気持ちを明るくするのに役立ってくれればと思う次第である!明日からの本戦を、どうか楽しみにしていて欲しい!」

デュナンの演説が終わると観客席から大きな拍手が起こった。

「あ、あの公爵さんにしては言ってることがマトモすぎる……」

「多分、情報部のスタッフが文面を考えているんだろうね。」

デュナンのまともな演説にエステルは驚き、ヨシュアは大体の事情を察した。

「はっはっは……。おお、そうだな。大会の優勝者には、賞金とは別に私からのプレゼントを用意しよう!」

一方デュナンは自分に向けられている拍手に気分をよくして、ある提案をした。

(か、閣下……。勝手によろしいのですか?)

そこにフィリップが後ろからささやいた。

(うるさい、黙っておれ。私の気前の良さを見せる良い機会だ。)

フィリップを黙らせたデュナンは向き直って、ある事を宣言した。

「そのプレゼントとは……。3日後にグランセル城で行われる宮中晩餐会への招待状である!陛下は残念ながら出席されないが各界の名士が集う、最高の晩餐会だ。王侯貴族のみに許された、最高の料理ともてなしを約束しよう。今日勝ち残った出場者は、どうか励みにして頑張ってほしい!」

デュナンの突然の提案に観客達は驚いた後、大きな拍手と歓声をデュナンに送った。こうして武術大会予選試合は締めくくられた……………

 


 
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