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真・恋姫†無双~だけど涙が出ちゃう男の娘だもん~[第11話]

愛感謝さん

無難な人生を望み、万年やる気の無かったオリ主(オリキャラ)が、ひょんな事から一念発起。
皆の力を借りて、皆と一緒に幸せに成って行く。
でも、どうなるのか分からない。
涙あり、笑いあり、感動あり?の、そんな基本ほのぼの系な物語です。
『書きたい時に、書きたいモノを、書きたいように書く』が心情の不定期更新作品ですが、この作品で楽しんで貰えたのなら嬉しく思います。

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2012-07-27 20:16:28 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3683   閲覧ユーザー数:3366

真・恋姫✝無双~だけど涙が出ちゃう男の()だもん~

 

[第11話]

 

 

旅でのキズを癒す為に風呂に入りに行ったのに、更なる深いキズを心に負った次の日の朝の事です。

ボクは朝食を取りに宿の食堂へ行きました。

他の4人は食事を取り終えたのか、茶を飲みながら何やら話し合っています。

ボクの姿に気が付くと、周泰は土下座をしてきました。

 

「刹那様! 昨晩は、本当に申し訳ありませんでした!」

「ああ、うん。良いよ、もう。ボクの性別を話していなかったのが原因だしね」

 

昨晩の事は早く忘れたいので、ボクは周泰を許しました。

それでも恐縮する周泰に、ボクは続けて言います。

 

「これから気を付けてくれれば、それで良いからさ」

「はい。ありがとう御座います」

 

場が和んだのを感じたのか、皆それぞれに発言してきました。

 

「わっ私は、メガネを外していたので、その、良く見えていませんでした!」

 

呂蒙が顔をほんのり桜色に染めながら、ボクにそう言いました。

 

「そっ、そうなの?」

「はっ、はい!」

 

呂蒙は、ボクの問いかけに肯定だと答えました。

ボクに気を遣ってくれているのでしょう。

ありがたい事です。

 

「はわっ……わ、私は、その、湯けむりで、良く見えていませんでした!」

「あわ……あ、そ、そうです。湯けむりで……見えません……でした」

 

呂蒙の発言の後に諸葛亮と龐統(ほうとう)が、顔を同じく桜色に染めながら自分達も見ていないと主張してきました。

しかし昨晩、両人が指の隙間から凝視していたのをボクは気付いています。

だからボクは、白い目で疑いながら2人を見詰めていました。

 

「……」

「ほっ、本当でしゅ!」

「はうぅ。ほ、本当……です」

 

疑いの目で見ているボクに諸葛亮・龐統の両人は、顔を赤らめながら重ねて見ていないと主張してきました。

 

「はあ~。わかった、信じるよ」

「はうぅ。よ、良かったぁ」

「へうー」

 

今更、起こった事はどうしようもありません。

ボクは、そう自分に納得させ受け入れる事にしました。

昨晩の事は、これで手打ちになって良かったと思っていたとき。

 

「あれ? 皆さんには、見えて無かったんですかぁ? 私は、家族以外の(ピー)を見たのは初めてだったので驚きました(喜)」

 

と、天然印の周泰さんが皆の気遣いをぶち壊す発言をしてくれました。

もうボクは、サメザメと泣くしかありませんでした。(号泣)

 

 

 

 

場の空気を読めない周泰の発言の後、ボクたちは街を出発して漢中へ向かう事にします。

でも、とても微妙な雰囲気の旅発ちでした。

周泰は、事態を理解していないのか『?』ってしています。

呂蒙は、そんな周泰を『悪気は無いんです』って(かば)っていました。

諸葛亮と龐統は、ボクをチラッと見ては顔を桜色に染めて『きゃあ♡』って、小さく叫んでいます。

ボクは気にするのも疲れたので、そのまま静観することにしました。

そんな微妙な雰囲気のボク達が何日間か益州へ向かっていると、ちらほらと少数の集団が道中に見受けられるようになりました。

 

「何だか益州に近づくほど、人の数が増えているみたいだねぇ」

 

ボクは誰に言う訳でもなく、そう(つぶや)きました。

 

「はい。これらの集団は、明らかに荊州を出る事を意図していますね」

 

諸葛亮は、ボクの言葉に自分の分析を加えて返答してくれました。

ボクは事情を把握すべく、周泰に探って貰うことにします。

 

 

「すみません。ちょっと良いですか?」

「あぁん? なんだい、嬢ちゃん?」

 

周泰は、手頃な集団にいる年配の男性に声を掛けました。

 

「旅の者ですが、皆さんはどちらへ行かれるのですか?」

「そんな事たぁ決まってねぇよ。こちとら、荊州から出ることしか頭にねえからな」

「荊州を出て行くのですか?」

「おおよ。新しく荊州の南陽太守になった御方が、あり難くも税を上げて下さったんだ。そのお陰で、わしらは生活出来なくなったんで出て行くんだよ」

 

周泰は、更に詳しく聞き込んでいきます。

 

「太守様に、何か理由があったんでしょうか?」

「さあな。何でも『蜂蜜をもっと買う為に税を上げるのじゃ!』とか何とか、ふざけた事をその太守様がおっしゃったそうだぜ?」

「そうですか。ありがとう御座いました」

「良いって事よ。じゃあな!」

 

周泰は男性との話しを切り上げた後、他の集団にも声をかけて事情を聞き込みました。

何件か聞き込んだ後、彼女は一連の聞き込み情報をボク達に伝えてくれます。

 

「蜂蜜を買う為に税を上げている?」

「はい」

 

ボクは周泰からの報告に眉を(ひそ)めて確認しました。

冗談だと思いましたが、聞き込んだ集団すべてが同じ事を言ったそうです。

 

「太守の名前は?」

「定かでは無いですけど、袁家の一門とか」

 

汝南袁氏は三公を度々輩出する名家。

その一門の者が我欲塗れの統治をしいている。

その事に、事態が急速に悪化しているとボクは思い知ります。

この分では益州との州境は大変な事になっているだろうからと、ボク達は急いで益州へ向かう事にしました。

 

 

 

 

何日も経つ事なく、ボク達は益州に到着します。

案の定そこには、移民・流民の団体さんが待っていました。

 

「刹那様!」

 

益州に入り団体さんを見回していたボクを、誰かが呼ぶ声がしました。

視線を合わせてみると魏延でした。

なぜ、ここに居るのでしょうかね?

 

魏延に詳細を確認すると、司馬徽一行の漢中移住の任務は滞り無く終了したとの事。

そのあと厳顔が荊州からの移民対策に乗り出した為、魏延は隊と一緒にボクを迎えに来たという事でした。

 

「そうか。ありがとう、焔耶」

「いいえ! 当然のことです」

 

ボクが魏延にお礼を言うと、彼女は見知らぬ人物である周泰に気が付きます。

 

「刹那様、この人物は?」

「うん? ……ああ。彼女は周幼平と言って、新しくボクの配下になってくれたんだ」

 

魏延は暫く周泰を見詰めた後に、傍によって自己紹介を始めます。

 

「ワタシは魏文長と言う。これから宜しく頼む」

「あ、はい! 私は周幼平です。宜しくお願いします!」

 

魏延と周泰は意気投合したのか、真名を交わしたりして色々話しているようでした。

 

「ところで明命。これまでの旅路では、何事も無かったのか?」

「え? え~とですねぇ」

「何だ、何かあるのか?」

「実は街の宿でお風呂に入ったんですけど、刹那様を女性と勘違いして一緒にお風呂入っちゃったんですよぉ」

「なぁっ?!」

 

周泰が先の宿での一件を言及し始めた事にボクは慌てます。

しかし時すでに遅く、魏延に知られてしまいました。

 

「その時に家族以外の(ピー)を初めて見てしまって驚きましたぁ(喜)」

「「「「「……」」」」」

 

ああっ、何でしょうか?

世界の均衡を正す為に日夜を問わず尽力(じんりょく)しているボクにこの仕打ち。

 

ボクは、天は理由も無く物事を起こすことは無いと分かってはいます。

例え今のボクに理由が分からなくても、そうであると。

でも、ボクは天に問いかけました。

『もうちょっと穏便にする事は出来なかったのでしょうか?』と。

 

そして、

 

『お願いだから空気を読んでね?』と、天然印の周泰さんに思わずにはいられませんでした。(泣)

 


 
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