No.460230

IS学園にもう一人男を追加した ~ 57~60話

rzthooさん

・・・

2012-07-27 10:08:12 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:1418   閲覧ユーザー数:1393

57話

 

 

 

 

レーアSIDE

 

 

IS同士の戦闘が会場を騒ぎの渦を生み、私はこの騒ぎに乗じて、会場から離れ、ジュンに連絡。

 

レ(ジュ 「・・・ジュン、聞こえる? 実は 『説明はしなくても分かってるよ。準備しておくから、姉ちゃんは』・・・分かってるわよ、ちゃんとタクシー使うからっ!」

 

携帯を切り、タクシーを捕まえて家へ・・・

 

千 「おい、相手はまさか・・・」

レ 「多分、亡国機業(あいつら)よ。千冬はここに居て頂戴、私はシャルロットの下に行くから!・・・ジュンっ!」

ジュ 「こっちは準備OKっ! いつでも出られる!」

 

私の呼びかけに床からヒョコッと顔を出す。

 

千 「いないと思ったら・・・もう1つ、地下室があったのか?」

レ 「ええ、趣味でね・・・ジュン、シャルロットに戻るように伝えて。千冬はここをお願い」

千 「分かった」

レ 「・・・」

 

ジュンが出てきた地下に繋がる階段を降りた先には、公園くらいの広さのある広場。

 

レ 「・・・待たせたわね」

 

そこに置かれた若緑色のIS。

私は"相棒"に触れて、そのISを装着する。

もちろん、ISスーツ着用で。

 

レ 「ジュン、ハッチ開いて」

 

私の言葉どうり、地下の天井が開いていく。

 

レ 「行くわよ。『疾風(ラファール)の大嵐(タンペード)』っ!」

 

 

シャルロットSIDE

 

 

R 「つーかさぁ、アンタはいつもいつも粋がった事言ってるけどぉ、私達の中じゃ一番弱いじゃん」

オ 「弱ぇんじゃねぇよっ! てめぇら"人形"が強すぎなんだよっ!」

R 「お! あのオータムさんが自分から"最弱発言"とは・・・いやはや、ようやく大人になってくれたんだ・・・」

オ 「誰も"最弱発言"してねぇよっ! 何勝手な事言ってんだこらぁっ!!」

R 「あっれ~? "私達が強すぎ"って事は"自分が部隊の中で一番弱い"って言ってるもんだと思っちゃった~。ごめんなさいねぇ、オー、タ、ムさん!」

オ 「このガキィ・・・だったら、ここで潰してやらぁ!!」

R 「やれるものなら、やってみなさいよっ!」

シ・フォ 「・・・」

 

・・・あれ? 僕達って、空気?

と、思ってる間、2人は構えて戦闘を始めようとするが・・・

 

W 「とう・・・」

R・オ 「ぐふっ!」

 

風のように現れたスカイブルー塗装のIS。

そのISが2機のISの間に入り、ラリアットを決めたのだ。

 

W 「喧嘩・・・駄目・・・」

オ(W 「あんだとぉ!? こいつが先に 「駄目」・・・うっ・・・」

R(W 「怒られてらんのぉ「リリ、ヤ・・・」・・・すみません」

シ・フォ 「・・・」

 

2人に比べて静か・・・いや、無言の重圧を放つ少女は2人を黙らせる。

 

W 「目的、達成・・・かえ、ろう・・・」

オ 「そ、そうだな・・・」

R 「じゃあ、行きましょう・・・」

シ 「・・・あ! ちょ、ちょっと待ってよっ!」

 

マズイマズイ、場の流れでそのまま逃がすところだったよ・・・

 

R 「ちょっと、アンタ! 空気読みなさいよね!」

オ 「せっかく、綺麗に収まると思ったのによぉ・・・」

フォ 「そうッスよ。こんな後輩持って、先輩悲しいッス」

シ 「ご、ごめんなさい・・・」

 

・・・って、僕は悪くないよね! フォルテ先輩も何故か参加してるし・・・

 

W 「だい、じょうぶ・・・悪いのは、この、3人・・・」

 

敵に慰められてる・・・何故?

 

オ 「まぁいいやぁ、丁度ムシャクシャしてたところだし」

R 「かる~く、捻っちゃおっかな~っと」

シ・フォ [グッ・・・]

 

2人が構えるのと合わせて、僕達も身構える。

すると、ラウラの部下が前腕のグレネードを連射し、義父(ターフィス)が呼んでいたオータムがレーザーバズーカを両肩に担いで突進しながら発射。

僕はアサルトライフル『ヴェント』を展開、グレネードを撃ち落とし、先輩はバズーカのレーザーを『ゲシュマイディッヒ・パンツァー』で軌道を歪曲させ、敵の攻撃を防いだ。

 

R 「じゃあ、次は・・・どうかなっ!?」

 

黒いISの両ショルダーから合計24本のENワイヤーブレードが射出。

そのワイヤーが僕達2人に襲い掛かり、苦戦を強いられる。

 

フォ(R 「ウザッたいッスね! だったら、元を断てば「断てば?」・・・うっ!? 体が・・・」

 

瞬時加速(イグニッション・ブースト)で先輩の後ろを取り、手をかざされた瞬間、先輩の動きがピタッと止まる。

 

シ 「あれは、AIC!?」

オ 「おいおい、戦闘中に気を抜くなよ」

シ 「っ・・・しまった!」

 

先輩の方に気がいってしまって敵の接近に反応できずに『ヘリオス』の網に捕まる。

オータムは素早くレーザーバズーカを構えた。

オータムの言った通り武器の呼出(コール)は出来なかったが、手段がない訳ではない。

 

シ 「『盾殺し(シールド・ピアース)』!」

 

物理シールドの装甲がパージし、その裏から69口径パイルアンカーが顔を出す。

 

オ 「そんなのとっくのとうに知ってんだよ!」

 

だが、オータムは手の平にヘリオスを数枚重ねて、パイルアンカーに向かい打ち、パイルアンカーの先端は粉々砕け散った。

 

シ 「そんなっ!」

オ 「今度こそ終わりだっ!」

 

また邪魔が入らないように、すぐさまレーザーバズーカを構えて発射され、そのレーザーは僕の顔面に直撃。

 

シ 「・・・」

 

激痛と意識が薄れていくのを感じていたが、機体が下に落ちていく途中、優しく誰かに抱き抱えられた。

 

レ 「ほらほら、寝てないで起きなさい。あなたはまだ戦えるわ」

シ 「れ、レーアさん・・・?」

レ 「ジュン、オートでリヴァイブを操作できる?」

ジュ 『そんなの朝飯前だぜ!』

 

ジュンが自慢げに言うと、リヴァイブが勝手に動き出し、レーアさんから離れる。

 

レ 「あなたが活躍するのは後半戦よ。それまで休みなさい」

シ 「は、はい・・・」

 

 

 

 

 

 

投稿者SIDE

 

 

レ 「さぁて、現役時代の感覚はどれだけ残ってるかな?」

オ 「お前は・・・『ヴェルキリー』か!?」

R 「へぇ~、大物が来たじゃない」

フォ 「ほ、本物ッスか・・・?」

レ 「まずは・・・」

 

テムペードのウィングスラスターが開くと、瞬時加速で『R』を近接ブレード『ブレッド・スライサー』で斬りつける。

 

R 「は、速いっ!」

レ 「教え子の先輩さんは返してもらったわ・・・」

 

距離を取った『R』のおかげで、見えない拘束から解かれたフォルテはレーアに支えられる。

 

フォ 「あ、ありがとッス・・・」

レ(W 「お礼は後でね・・・今は目の前の「・・・」・・っ!?」

 

今まで戦闘に参加してこなかった『W』がレーアの後ろから襲撃仕掛けるが、レーアは直感でフォルテを抱えたまま飛び退く。

 

レ 「・・・見た事ない機体ね・・・」

W 「・・・」

 

『W』は静かに全身スカイブルー塗装のISのバックパック、左右1本に纏められたスラスターが3本に別れ、その間から水にも似た水色のエネルギーが形成される。

そのエネルギーから三日月形のカッターが超音速でレーアに放たれた。

 

レ 「くっ!」

 

シャルロット同様、『高速切替(ラピッド・スイッチ)』で出した巨大な盾『テアトル』で防ぐ。

 

フォ 「こ、これって・・・ナノマシンッスか?」

レ 「・・・しかも、ロシアと同じ"水を形成するナノマシン"」

レ (だけど、あのロシアが亡国と組むとは考えにくい・・・それだと、可能性としては、ロシアの技術者が亡命したか、それともかなり技術の持ち主が亡国機業にいるか・・・)

R 「私もいるんだけど、ねっ!」

レ 「っ!」

R 「お、避けた。さすが『ヴァルキリー』」

レ 「その名前で呼ばないでくれるかしら?」

 

フォルテを手放し、右手にブレード、左手に巨大な盾を持って、Rに突っ込む。

 

R 「こりゃ、本気でやらないとね・・・」

 

呟いた『R』はショルダーからワイヤーブレードを1本引き抜く。

すると、ワイヤーのENで形成された棒状が硬化して、1本の槍が出来上がった。

それをもう1本作り、両手に構えた『R』がレーアを迎え撃つ。

 

R 「くっ・・・」

レ 「千冬(・・)に似てる割には、対した事ないわね」

[ピキッ!]

R 「ああぁ! やんのかこらぁっ!」

 

逆鱗に触れたのか、『R』が激情し、攻撃が積極的に。

 

オ 「おいおいっ、こいつがマジになったら、手が付けられねぇぞ!」

R 「うがぁあああっ!」

 

滅多に見せない一面を出したオータムが、『R』を背中から抑え付け、『R』は怒りを抑えられずに怒号を上げる。

 

レ 「あ、やっちった・・・?」

 

その光景を距離を取って見ていたレーアが口に手を添えて呟き、フォルテも離脱を提案するが・・・

 

W 「リリヤ、怒らせた・・・2人・・・逃がさ、ない」

フォ 「いや、ウチは怒らしたんじゃないんッスけど!」

レ 「まぁ"旅は道連れ"って、言うじゃない」

フォ 「そんなの横暴ッスよ!」

R 「うがぁああああっ!!」

レ 「でもまぁ、見てなさい。伊達に"嵐"から"大嵐"になった訳じゃないから」

フォ 「?」

 

自慢げに言ったレーアの背のボックスから、8本のマジックハンドが飛び出す。

 

レ 「離れてなさい。巻き込まれるから・・・」

全 「っ!?」

レ 「『コンフレッション』・・・スタート!!」

 

その瞬間、腕2本+マジックハンド8本に射撃武器が展開され、肉眼でも確認出来ない速さで入れ替わっていく間、様々な射撃武器によるフルバースト射撃が始まった。

 

 

 

 

シャルロットSIDE

 

 

ジュ 「シャルロットさん! 起きて下さいっ!」

シ 「う・・・ジュン?」

 

目を覚ますと、そこは薄暗い室内。

何か、機内にいた時の事を思い出す。

 

シ 「・・・ここは?」

ジュ 「う~ん、まぁ"秘密基地"みたいなもんだよ、姉ちゃんの」

シ 「そうなんだ・・・って、早くレーアさんと先輩の所に行かないと!」

ジュ 「あ、今は無理だよ。リヴァイブのコアとデータを移してる途中だから」

シ 「はい?」

 

良く見ると、ジュンの後ろでは、リヴァイブが何かに繋がれているみたいだ。

暗くて何なのか分からないけど・・・

 

シ 「え、何で・・・かな?」

ジュ 「何でって・・・あ、姉ちゃんから聞いてないのか」

シ 「???」

ジュ 「まぁ、見てのお楽しみって事で・・・」

シ 「・・・あれ? 織斑先生は?」

ジュ 「千冬様なら、一階で待機してるよ・・・あ、丁度終わった」

 

ジュンがそう言うと、リヴァイブに繋がれたケーブルが自動で抜ける。

 

ジュ 「さぁ、これがシャルロットさんの新しいISだ」

シ 「IS・・・?」

 

目を凝らして良く見ると、僕の(前)専用機と同じカラーリングされている機体がいた。

 

シ 「・・・」

 

体が自然とその機体に向かって歩き出し、触れるのと同時に装着される。

 

シ 「何か、しっくりくる・・・」

ジュ 「シャルロットさん! ハッチ開くよ」

 

ガガガッと、天井が割れて青い空が見える。

 

シ 「行くよ・・・」

 

意識を集中させ飛び立つイメージを構築、徐々に浮き出したところでスラスターを最大噴射。

 

(すごい、僕のイメージしたとうりに動いてくれる・・・これなら)

シ 「行けるっ!」

 

 

投稿者SIDE

 

 

レ 「あらら~、弾切れ・・・」

 

すべてを撃ち尽くした武装を収納して、"仕方ない"と呟きながら、ブレードと盾を両手に展開。

 

レ 「あれ? もう限界なの、亡国機業(ファントム・タスク)さん?」

 

『ヘリオス』、『AIC』を駆使してすべての攻撃を防ぎ切った2人は息を荒くして、身構える。

だが、『W』だけがマイペースに2人の前に立つ。

 

レ 「そういえば、『W(あなた)』だけ全部避けきっていたわね・・・どうして、ナノマシンで防御しなかったのかな?」

W 「・・・?」

フォ 「え? そこで"?"ッスか?」

W 「・・・???」

レ 「いや、数の問題じゃなくて・・・」

 

会話が成り立たず、頭を悩ませるレーアとフォルテ。

 

W 「・・・」

レ 「・・・誰か、説明してくれない?」

W 「?????」

オ 「・・・まぁ、しかたねぇか」

R 「じゃあ、代わりに私がするよ。馬鹿なオータムじゃ、説明不足が出るかもしれないし」

オ 「あんだとぉ!!」

R 「あによっ!?」

レ 「ゴホンッ・・・!」

R・オ 「・・・チッ」

 

レーアが咳払いすると、2人はプイッとそっぽを向いて、『R』が腕を組んで説明し始める。

 

R 「単純な事よ。ただ、『W(このこ)』が乗っているISにそこまでの能力がないのよ。出来るのは、エネルギーを集束させて放つ事と、機動力に回すだけ・・・でもまぁ」

W 「・・・」

R 「この子には理解出来ないと思うから、そこまでの装備はないんでしょ」

レ 「あ~、分かる気がする」

フォ 「・・・あの、ちょっといいッスか?」

 

和んだ戦場(・・)の中、フォルテが手を上げて皆が注目。

 

フォ 「・・・ってか、敵同士ッスよね。ウチら」

レ 「・・・」

R 「・・・」

オ 「・・・」

W 「・・・?」

 

数秒の沈黙(1人分かってない奴は居るが)。

次の瞬間、レーアと『R』+オータムが斬り合いを始める。

 

フォ 「え? もしかして、さっきの事を無かった事にしようとしてるんッスか!?」

レ 「大丈夫よ! シャルロットが来れば、マジな展開になるはずだから!」

R 「つまり、私達はそれまで全力で戦っている"フリ"をしてればいいのね!」

オ 「分かりやすくて、良いじゃねぇかっ!」

W 「わぁー・・・がん、ばれー」

フォ 「・・・」

 

フォルテは心の中で思った。

"来なきゃ良かった"と・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

58話

 

 

 

 

 

シャルロットSIDE

 

 

僕が着いた時、レーアさんがラウラの部下とオータム2人を相手に苦戦を強いられていた。

 

シ 「大丈夫ですかっ!?」

レ 「え、ええ、何とか・・・」←演技

 

レーアさんは僕に気づくと、2人から距離を取り、相手も後退していった。

 

R 「くっ・・・さすがは『ヴァルキリー』ね」←演技

オ 「これ以上はキチぃか・・・」←演技

シ [・・・ジーー]

レ 「ど、どうしたの・・・?」

 

皆の反応がおかしい。

何かこう・・・場がシリアスっぽくないというか・・・

 

シ 「何か、隠してませんか?」

レ 「か、隠す事なんてあるわけないじゃない! ね、ねぇ、そうよね・・・」

W 「?・・・[コクッ]」←良く理解していない

フォ 「そうなんじゃないんッスか~」←やる気0

シ 「・・・」

 

まだ喉に異物が詰まる感じはするが、レーアさんを信じた方が良さそうだ。

実際、レーアさんも先輩もボロボロだし。

 

シ 「じゃあ、僕が3人纏めて、倒すっ!」

オ 「はっ! さっきまでやられまくってたお前が言う事か?」

シ 「"イメージ"は出来てる・・・」

 

・対象は3機。

・その内、1機はフランス第3世代型、1機はおそらくドイツの新型、1機は不明だけど『甲龍』と同じ"燃費と安定性を重視した機体"と推測。

・右手には"グレネードランチャー"、左手には"アサルトカノン『ガルム』"、両肩に"9連ホーミングミサイルポット"を展開。

 

シ 「距離を保ちつつ、殲滅攻撃を開始する・・・」

 

"イメージ"したとおりに武器が展開され、バースト攻撃が開始される。

 

オ 「このっ・・・くそったれっ!」

R 「あ、馬鹿っ! 不用意に突っ込んだら!」

シ 「・・・」

 

・殲滅攻撃を中止せず、接近してくる敵機を迎撃準備。

・『ガルム』を収納し、"アサルトライフル『オクスタン』"を展開。

・実弾射撃による迎撃開始。

 

オ 「忘れたかっ!? お前の攻撃は"コイツ"で無効だっつうのっ!」

 

・敵、第3世代兵器『ヘリオス』にて、実弾を無効。

・『オクスタン』を実弾射撃からビーム射撃に移行し、高圧力で放射。

 

オ 「チッ、こんな物っ!」

 

・敵、『ヘリオス』でビームを相殺。

・だが、敵に一瞬の隙を確認。

・もう一度、高圧力射撃を行い、接近戦にて一撃で仕留める。

 

オ 「この野朗、しつけぇんだよっ!」

シ 「そう?」

オ 「なっ!?」

 

オータムの側面を取り、両肩と腹部の装甲を開放する。

そこから、顔を出す3つのパイルアンカー。

 

シ 「はぁああっ!」

オ 「ぐふっ!」

 

3つともオータムに直撃。

 

シ 「もう一発っ!」

W 「さ、せないっ」

 

オータムを助けるために、超加速で接近してきた敵が右手を構える。

 

シ 「・・・"イメージ"どうり」

W 「っ!」

 

ニヤッと笑うと、スカイブルー塗装のISをレーアさんが盾で殴り飛ばす。

 

R 「よくも・・・」

 

ラウラの部下も参戦しようと、突っ込んで来たが、先輩の鎌が行くてを塞ぐ。

 

フォ 「ウチもいるんッスけど、ね!」

R 「くっ・・・」

 

・最適化(フィッテング)終了まで5秒。

・5、4、3、2、1・・・一次移行(ファーストシフト)開始。

 

[キィィィィィィン!]

レ 「おっ! 始まったわね・・・先輩さん、こっちに来なさい! 巻き込まれるわよっ!」

フォ 「わ、分かったッス!」

 

・『イメージトランサー』使用可能

・疑似|手(ハンド)を具現化、背部30箇所に配置。

・『暴風(ミストラル)』、フルバースト射撃を行います。

 

シ 「『コンフレッション メテオ』!!」

 

両手2+両肩2+疑似ハンド30に様々な武器が握られ、機体の名前らしく弾の『暴風』が始まる。

 

シ (武器のイメージを常に・・・武器のイメージを、常にっ!)

 

弾切れになっても、また次の武器を高速切替(ラピッド・スイッチ)で展開。

それを、続けて1分。レーアさんが僕の肩をポンポンと叩く。

 

レ 「はいはい、ストップストーップ!」

シ 「・・・レーアさん?」

レ 「これ以上、撃っても弾の無駄よ。ほら・・・」

シ 「え? あ・・・」

 

敵がいた位置には、ミサイルやグレネードの爆発で煙がたちこめていた。

だが、そこから敵の反応は無く、煙が晴れてもその場には何も無い。

 

シ 「は、早く追わないと・・・っと、と」

 

頭を使いすぎたのか、軽く貧血気味。

機体は安定せず、飛行もままならない。

 

レ 「逃がしたのは悔しいけど、ここで深追いしたら駄目・・・先輩さんもいいわね?」

フォ 「鼻から、追う気力なんてないッスよ・・・」

シ 「でも、どうします?」

レ 「とりあえずは・・・帰りましょうか」

 

え? この崩れた会場はほっといておいていいの?

・・・まぁ、いいよね。疲れたし・・・

 

 

 

 

 

 

 

投稿者SIDE

 

 

タ 「はぁ、はぁ、はぁ!」

 

お披露目会場から、離れた森を走り抜けるターフィス。

時々、遠くからパトカーのサイレンが鳴り響いている。

 

タ (くそっ! あの猪女(オータム)、しくじりやがってっ!)

タ 「しかも、何で俺がこの"襲撃事件"の協力者として、追われているんだっ!?」

 

ターフィスがそう叫ぶと、突然、木の陰から細い足が出てきて、ターフィスはその足に躓き、落ち葉と土の上を転がる。

 

ス 「それはね、私が密告したからよ・・・『亡国機業(ファントムタスク)』運営部隊のターフィス・デュノアさん」

タ 「す、スコール様・・・な、何故、ここに・・・」

ス 「それはね・・・」

 

笑みを浮かべたスコールが腰のホルスターから拳銃を取り出し・・・

 

[バンッ! バンッ!]

タ 「っ!?!?」

 

ターフィスの両|脛(すね)が弾丸によって撃ち抜かれた。

 

タ 「がぁあああっ!!・・・な、何、するん、だっ・・・!」

 

膝から倒れたターフィスがスコールを睨みつける。

だが、スコールは笑みを崩す事無く、さらに拳銃を発砲。

 

ス 「何、ね・・・あなた、こちらの情報提供に誤りがあったわね」

タ 「あ、誤り、だと・・・?」

ス 「あなたの会社が行う、新型のお披露目会。そこで強奪事件を自発的に起こし、"自分の組織『亡国機業』専用のISにして、自分は被害者面をする事で、捜査対象から外れる"シナリオだったらしいけど、あなたは事情を知る者(シャルロット)を殺せず、オメオメと警察から逃げてるわけだけど」

タ 「だ、誰の、せいだと・・・」

ス 「もちろん、私のせいよ・・・あ、"誤り"についてだけど、もう一機"新型のIS"、あれはどういうことかしら?」

 

スコールはしゃがんで、ターフィスの眉間に銃口を当てる。

 

タ(ス 「し、知らんっ! あれは・・・「知ってるわよ。モンドグロッソ大会で2度も『ヴァルキリー』最強に輝いたレーア・ディディアが製作に関係しているんでしょ」・・・し、知ってるなら、誤りでは」

ス 「私が言ってるのはそうじゃないわ。ただ、その情報をこちらに流さなかったって事。私も運営側"もそこまで危険視しなくていいとそっちが判断したと思ったわけなんだけど・・・まぁ、侮ってたんでしょう?」

タ 「くっ・・・」

 

悔しそうに顔をしかめるターフィスにスコールはさらに銃口を押し付ける。

 

ス 「それと、私が今ここにいるのは、あなたをここで処刑するためよ」

タ 「・・・何?」

ス 「処刑よ、処刑」

タ 「・・・ふっ、ふふふっ、何を馬鹿な事を・・・冗談は程々にしろっ!」

 

例え冗談でも、この発言にキレるターフィス。

だが、すぐにターフィスは気づいた・・・スコールの目は冗談を言っていない事と、明確な殺意がある事に。

 

タ(ス 「ま、待て。話をさせてくれ! 話すれば組織も考えを 「無駄ね。だって、この処刑は私個人が行うものだもの」・・・は?」

ス 「でも、安心して。あなたの"愛しの奥様"が待ってるはずだから。グッバイ♪」

タ 「ま、待ってく[バンッ!]・・・」

ス 「・・・」

 

動かなくなった屍(ターフィス)を確認して、スコールはその場を離れるために歩き出す。

その道中、待機していた3人と合流。

 

オ 「終わったのか?」

ス 「・・・まぁね」

R 「でも、大丈夫なの? 勝手な事をして」

ス 「ええ。一応、"素性がバレそうだったから消した"とでも、報告しとくわ」

 

疲れた様子で、人気の少ない道路の脇に待機させたスポーツカーに寄りかかる。

 

W 「スコール・・・あの子(シャルロット)・・・の、ために、殺っ、た?」

ス 「別に・・・ほら、W。あなたにはまだやる事があるでしょ?」

W [コクッ]

ス 「なら、早く行きなさい」

 

もう一度、スコールの言葉に頷いた『W』はどっかに放置してきたジェット機の下までトコトコと走っていく。

 

ス 「私は少し散歩してくるわ。まぁ、こんなに騒がしかったら、散歩どころじゃないと思うけど・・・」

 

と、ボヤキながら、スコールは目的地のない散歩に出て、場に残ったのはオータムと『R』。

 

R 「・・・ねぇ、スコールって、昔、何かあったの?」

オ 「・・・どうして、そんな事を聞く?」

R 「いやね、一度だけスコールが持ってるロケットの写真を見た事があるのよ。大分、前の話だけど」

オ 「・・・」

R 「そこに写ってたのは、若い男女に、まだ小さい女の子・・・あれって、幼少期のスコールでしょ?」

オ 「・・・ああ、そうだ。そうか、そこまで知ってるのか・・・他の奴には?」

R 「知らないと思う。私は回りに言ってないから」

オ 「そうか・・・」

 

オータムは目を瞑り、スコールの過去の話を話し始める。

 

オ 「私も詳しく聞いてはいないだがな、あの時はスコールがすっげぇ酔ってたからよ・・・スコールは昔、第2次世界大戦の"残り火"で孤児になった犠牲者だ。父親は敵国で公開処刑、母親はスコールを庇って敵兵に殺された」

R 「・・・」

オ 「スコールはな、"絶対的力を持つ支配者がいれば、戦争なんて起きないだろう"と、思ってる」

R 「・・・だから、『亡国機業』に居るの?」

オ 「いや、組織はただの通過点。もしかしたら、『B』を"絶対的力"の象徴にしようとしてるんじゃねぇか?」

R 「ふぅん・・・何か、難しい話ね」

 

聞くのが面倒になったのか、内容が内容なので身を引いたのかは分からないが、『R』はこれ以上、聞くのをやめた。

だが、『R』の心の中では1つの仮定が生まれ、"もしかしたら、スコールは自分が生んだ子供を"駒"として利用していたターフィスが許せなかったのかもしれない"と、過去の話を聞いて思った。

だが、『R』はその事を口には出さず、『W』が走り去った方向に歩き出す。

 

R 「暇だから、付いていこうかな~・・・あ、スコールに伝言よろしくねっ!」

オ 「あ、てめっ! 勝手な行動取るんじゃねぇ!」

R 「堅い事、言わない言わない・・・ジャっ!」

 

『シュヴァルツェア・ラビィーネ』を展開した『R』はオータムを置いて飛びだった。

 

オ 「ったく・・・これだから、ガキは・・・」

 

オータムは頭を掻きながら、スコールにどう言おうか考え始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【日本】

 

 

B 「おいおい、この程度かよ・・・」

 

バイザーを頭に被った『B』がフィールドにいる4人の専用機持ちを見下ろす。

 

箒 「くっ・・・」

セ 「な、何ですの・・・一体」

簪 「データにない、機体・・・」

鈴 「分かるといえば、こいつがムカつく奴って事と・・・」

一 「俺らが相手してきた奴の中で一番、ヤバイって事だ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

59話

 

 

 

 

 

獅苑SIDE 【キャノンボール・ファスト、2時間前】

 

 

獅 「zzz・・・」

[ジュー・・・ジュー・・・]

獅 「・・・ん?」

 

キッチンから油が跳ねる音が聞こえてきて、俺は脳半分が寝ている状態で、ベットから起き上がる。

 

獅 「ん~~・・・」

 

目元を擦り、まだ軸が整っていない足取りでキッチンを覗くと・・・

 

獅 「・・・キャンプ、ファイヤー?・・・・・・ファイヤーっ!?」

 

フライパンからデカデカと燃え上がる火。

すぐさま、布を持ってきてフライパンの上から被せ、火を沈下。

 

く 「・・・すみません」

 

 

 

 

 

獅 「つまり、いつも世話している俺にお礼がしたくて、料理を?」

く 「はい・・・でも、まさかここまで最悪な事態になるとは思わなくて・・・すみません」

 

まさか、余っていたサラダ油を全部フライパンに入れるとは・・・

まぁ、量は少なかったから無事で済んだし、くーにもやけどが無くて良かった。

 

く 「・・・」

獅 「・・・」

 

何か、凹んじまってるな。

どうしよ・・・

 

獅 「・・・料理、得意じゃないけど、力になるか?」

く 「え・・・いいん、ですか?」

獅 [コクッ]

く 「ありがとうございます・・・」

 

こうして、くーとの料理レッスンが始まった。

 

(それより、何だろう・・・この胸騒ぎは・・・?)

 

 

一夏SIDE

 

 

「おー、良く晴れたなぁ」

 

キャノンボール・ファスト当日。

秋晴れの空には、花火がポンポンと上がっていて、会場は超満員で大盛り上がり。

教員の誘導では足りず、IS学園の生徒達も誘導に参加していた。

 

箒 「おい、一夏。何、ボサッとしている?」

一 「いや、すっげー客入りだなと思ってな」

箒 「ああ、一般客もそうだが、例によってまた、IS関係者や各国の政府関係者も来ている様だしな

鈴 「参加しない生徒も警備に駆り出されているからね」

 

いつから居たのか、鈴の指摘で観客席をグルッと見渡すと、ちらほらIS学園の制服を着た人がいた。

たぶん、残りの人達は外で誘導しているか、ISを装備して周りを警備しているのだろう。

 

(・・・蘭は、来てるのか?)

 

一応、弾の方に"来るか"とは誘っていたのだが、弾は高校の同好会で来れないとの事。

だが、蘭は大喜びしていて、来るとは言っていたのだが・・・

 

鈴 「そんな事より、2人とも急ぎなさいよ。担当の先生に怒られても知らないわよ」

一 「・・・そうだな。じゃあ、さっさと行くか」

 

この大所帯から特定の人を探すのは無理だと思い、諦めてピットに向かう事に。

箒と鈴は俺を挟むように並んで歩き出す。

 

一 「鈴はもう調整は終わったのか?」

鈴 「当たり前でしょ。もう『キャノンボール・ファスト』仕様のパッケージはインストール済み。あんたら『第4世代機』と違って、こっちは色々と大変なのよ」

箒 「こっちだって、調整とかで忙しいんだぞ」

[わぁぁぁぁ・・・!]

一 「ん? 始まったのか?」

 

盛大な歓声がピットに通じる廊下からも聞こえてきて、丁度、"1年生専用機の部"に出場するピットに到着。

もうすでに、セシリアは『ブルー・ティアーズ』を装着してモニターから最初に行われる"2年生の部"の状況を確認していた。

 

一 「そういえば、簪が一番このメンバーの中じゃ不利だよな?」

簪 「そうでもない。荷電粒子砲のエネルギーを、全部、機動力に回せば、白式といい勝負は出来る」

鈴 「でも、その分、妨害できる武装が減るって事でしょ?」

 

そう。このレースバトルには"レース中の妨害あり"というルールがあるのだが、『キャノンボール・ファスト』は各国の正式な競技で安全性が約束されており、操縦者の危険も観客に被害も出ない。

 

一 「てか、何かごつくなってないか? 鈴のIS」

鈴 「ふふん。いいでしょ、最高速度ならセシリアの『ブルー・ティアーズ』にも引けを取らないわよ」

 

増設された4つのスラスターを積み、追加|胸部(きょうぶ)装甲が大きく前面に突き出している。

その他にも、衝撃砲の砲口が真横を向いている辺り、妨害攻撃用にされているのだろう。

これが、『甲龍』の高速機動パッケージ『風(フェン)』

 

真 「みなさーん、準備はいいですかー?」

 

若干、のんびりした声に俺達は頷き、ピットからフィールドに出る。

すると、観客からの大歓声。俺達はマーカー誘導に従ってスタート位置に移動。

 

『それでは、1年生の専用機持ち組のレースを行います!』

[わぁあああああああっ!!!]

 

各自、所定の位置に着き、スラスターを点火し、俺は高速機動用のハイパーセンサー・バイザーを下ろす。

シグナルランプが点灯すると、超満員の観客席が静まり返り、スタート開始3秒前。

 

[3、2、1・・・ゴーッ!]

一 「っ!!」

 

急激な加速で一瞬、景色が吹き飛ぶ。

すぐに、ハイパーセンサーのサポートで視界が追いつき、セシリアを先頭に列が出来る。

勝負は強襲用パッケージをインストールした『ブルー・ティアーズ』と『甲龍』との1位争い。

その後を、箒の攻撃を雪羅を防ぐ俺と、飛び出すタイミングを見計らっている簪。

 

一 「・・・っ」

 

だが、レース中、俺は嫌な予感を感じていた。

だが、その瞬間、箒に隙を突かれて、簪にも抜かれてしまう。

 

箒 「勝負の最中に考え事とは、情けないぞ一か[ザ、ザザ、ザーーーー!]」

一 「な、何だ!?」

 

箒との開放通信(オープン・チャネル)が乱れ、動きを止める。

どうやら、その現象は俺だけではなかったらしく、4人とも動きを止めていた。

 

一 「・・・っ! 上だっ!」

全 「えっ?」

 

全員が上を向くと、俺達を飲み込もうとするほどのドデカイ神々しい光の柱が降って来た。

 

全 「っ!!」

 

全員がすぐさま危険を察知し、場から離れると、みんなの居た場所が謎の光の柱で地は割れ、クレーターが出来た。

 

簪 「これは・・・雷?」

鈴 「まさか、こんな晴れた日に・・・それに、どの回線も乱れてて使えないし」

 

鈴とセシリアは俺達3人の所まで近寄って、回線は使わずに状況を整理する。

 

セ 「一体、誰がこんな事を・・・」

B 「あ~、それは俺だ」

全 「・・・・・・・・・うわっ!?」

 

いつの間に居たんだコイツ?

顔はバイザーで分からんけど、"俺"って言ったから男だろうか・・・

 

B 「そこまで、驚くか?・・・まぁいいやぁ、アイツはいないようだし、少し遊び相手になってくれよ」

鈴 「は、はぁあ? いきなり出てきて、何、言ってのよっ!?」

B 「何だ? 代表候補生のくせに、売られた喧嘩は買わないのか?」

[ブチッ!]

鈴 「・・・上等じゃないの、アンタ・・・」

セ 「ちょ、ちょっと鈴さんっ!」

 

セシリアの制止を振り切り、相手の挑発に乗った鈴が『双天牙月』を展開し、謎の男に斬りかかる。

 

B 「嫌いじゃないな。そういう真っ直ぐさは・・・だが」

鈴 「っ、キャッ!」

 

双天牙月の刃をスルリと避け、鈴の腕を振り回して、地面に投げ飛ばした。

 

B 「冷静さは持っといたほうがいいぞ・・・さぁて、次は・・・そこの"金髪"はどうだ?」

セ 「きっ・・・いいでしょう。このわたくし、セシリア・オルコットがあなたの相手を致しましょう!」

B 「いや、前置きはいいから」

[ブチッ!]

 

あ、セシリアもキレた・・・

 

B 「良い狙いだ・・・でも」

セ 「うっ!」

B 「間合いに入れば、意味はなくなる」

 

懐に入られたセシリアの腹部に裏拳を決められて、俺は衝撃でふらついたセシリア後ろから支える。

絶対防御があるはずなのに、裏拳一発で人の意識を削らせるとなると、あの拳は相当頑丈なのか、何かトリックがあるのか・・・

 

B 「別になんもねぇよ。ただ、殴っただけだ」

一 「っ!?」

 

気づいた時には、男は俺の目の前にいた。

俺と身長差はさほどないが、何故か男が大きく見えた時には、俺は箒と簪と一緒に身を引く。

鈴もこちらと合流し、男を見上げる。

 

B 「おいおい、その程度かよ・・・」

箒 「くっ・・・」

セ 「な、何ですの・・・一体」

簪 「データにない、機体・・・」

鈴 「分かるといえば、コイツがムカつく奴って事と・・・」

一 「俺らが相手してきた奴の中で一番、ヤバイって事だ・・・」

 

額に冷や汗をかき、男は口元をニタニタとさせながら、佇んでいるが、次の瞬間・・・

 

マ 「何、勝手な事をやっているっ!」

[ゴツンッ!]

 

雷で空いた天井シールド。そこから侵入した青いISの持つライフルで男は頭を叩かれた。

 

 

蘭SIDE

 

 

(また、事件に巻き込まれた・・・)

 

今度こそ、一夏さんのIS姿を見られると思ったのに、今回は観客シェルターまで閉まって、フィールドの状況が分からない。

観客は悲鳴を上げて、出口に向かうのだが、ここに来てドアの故障か、高速で開いたり閉じたりを繰り返しているため、全員が観客席から出られずに大パニック。

だが、IS学園の生徒と教員がISを使って強引にドアを破壊し、そこから逃げ惑う人達が集中する。

 

蘭 「きゃっ」

 

慌て惑う人波に押され、よろめいてしまう。

でも、私の体は優しい手が受け止めてくれた。

 

楯 「あなた、大丈夫?」

蘭 「は、はい・・・」

 

ゆっくりと私を立たせてくれた女性は、軽く私の体を見て、怪我ない事を確認すると、ニコッと微笑む。

 

(うわ、かっこいい・・・)

 

一瞬、目が合い、相手が同姓だというのに、顔を赤くしてしまった。

 

楯(本 「まったく、参ったわね・・・とりあえず、通路から離れた方が 「会長さーん!」・・・本音ちゃんっ!」

 

人混みの上空を飛んで、こちらに来たIS装備の一生徒。

不意と人混みの方を見ると、ISを使って観客を半強制的に落ち着かせていた。

状況が状況だし、しかたないよね・・・

 

蘭 「・・・って、"会長さん"って」

楯 「うん? 私の事だけど。IS学園生徒会長」

蘭 「そ、そうなんですか・・・」

 

自分もお堅い"生徒会長"の座についているが、この人には一生、勝てないとこの時、思った。

主に、プロポーション的な面で・・・

 

蘭 「・・・はぁ」

本 「? どうしたんですかぁ? あの子~?」

楯 「さぁ・・・それより、外の様子はどうだった?」

本 「もう、人がいっっっぱいですよ~!」

 

手を大きく広げて、その度合いをアピール。

 

楯 「そう・・・周辺機器は壊れるし、携帯のイカれて電話もメールも出来ないし、会場のシステムも謎のトラブルでコントロール出来ない。一体、どうなってるのよ?」

本 「フィールドもぉ、勝手に『緊急事体レベル5』になって、出入りが出来ないですし~・・・」

楯 「・・・本音ちゃん、彼女をスタッフルームに案内して頂戴。私は一度、外に出て"風紀委員長"を呼んでくるから」

 

風紀委員長・・・?

 

本 「で、でもぉ・・・」

楯 「分かってるわ。私も彼を危険な目に合わせたくない・・・だけど、彼の力が必要なの。分かってくれる?」

本 「・・・[コクッ]」

楯 「ありがと・・・じゃ、彼女をよろしくね」

 

人混みを華麗に掻き分けて、出口に向かって行った"生徒会長"

私はのほほんとした生徒に連れられて、『関係者以外 立ち入り禁止』と貼られた部屋に入れられる。

 

本 「誰か来たら、"生徒会長に連れてこられた"って、言えば大丈夫だからね~」

蘭 「は、はい。ありがとうございます・・・あの、1つ聞いていいですか?」

本 「なぁに~?」

 

・・・本当に私の年上なのだろうか・・・この人には失礼だけど。

 

蘭 「えっと、"風紀委員長"って、どんな人なんですか?」

 

私も学園祭で目撃はしたが、その場に居合わせていた私が通っている学校の生徒の詳しい口コミでは

1『屈強な男3人を秒殺』

2『クールビューティなメイド戦士』

3『だが、良心のある、お姉様』

一番に上がるのは、この3つの口コミ。

最初は、一夏さんのお姉さん『織斑千冬』との線も出たが、メイド服を着るとは思えないとの事で候補から外れて、学校では"謎のメイド戦士"として話題になっている。

 

本 「どんな人って・・・ギリーはギリー、だけど・・・」

蘭 「ぎ、ギリ?」

本 「うん、ギリー」

 

どうやら、名は"ギリー"と言うらしい。

どこの国の人だろう・・・?

 

本 「あ、私ももう行くねぇ!」

蘭 「あ、まだ聞きたい事、が・・・行っちゃった」

 

バタンッと、扉が閉まり、私はパイプイスに腰を下ろす。

 

(一夏さん・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

60話

 

 

 

 

 

投稿者SIDE

 

 

セ 「あれは・・・『サイレント・ゼフィルス』!」

 

セシリアが叫ぶ上空。

『B』に一撃を入れたマドカは『B』と口論中。

ちなみに、マドカも頭にバイザーをつけているため、顔は晒されていない。

 

マ 「何故、ここに貴様がいる! 博士(アイツ)の所に行ってたんじゃないのか!?」

B 「だからその後、暇でこっちに来たんだ・・・何、キレてんだよ?」

マ 「キレてはいない。ただ、貴様と一緒だと、ロクな事がないからな。いられるだけで、虫唾が走る」

B 「・・・」

 

・・・いや、一方的に『B』がマドカに罵倒されてるだけか?

その様子をみんなは"ボケ~"と見ていて、体の緊張が抜けていた。

だが、セシリアだけが、強奪された本国のISを目の前に冷静さを失い、策など考えずに突撃。

 

セ 「っ!」

一 「あ、おい! セシリア!」

 

高機動パッケージを装備している『ブルー・ティアーズ』はビット射撃を封印されているため、BTロングライフル『ブルー・ピアス』で接近しながら精密射撃。

だが、そのレーザーが2人に当たる直前、謎の磁場がレーザーをかき消す。

 

セ 「なっ!?」

マ 「目障りだ」

 

マドカの冷たい言葉を呟くと、シールドビット『エネルギー・アンブレラ』のレーザーがセシリアを撃つ。

 

一 「セシリアっ!」

 

一夏がセシリアの前に出て、『雪羅 シールドモード』でレーザーを防ぐ。

 

セ 「い、一夏さん・・・」

マ 「織斑、一夏・・・ふっ」

 

マドカは口元を吊り上げ、銃口を一夏に向ける。

 

B 「何、笑ってんだ? 気持ち悪い」

マ 「・・・ふんっ!」

B 「ぐほっ!」

 

マドカの肘が『B』の腹にめり込み、『B』は空中で腹を押さえてうずくまる。

 

マ 「織斑一夏・・・お前の命、もらうぞ」

一 「くっ・・・」

 

マドカから発するプレッシャーで一夏は圧倒される。

 

鈴 「ってか、あたし達の存在を忘れないでよね」

箒 「この人数差で勝てると思ってるほど、馬鹿ではあるまい」

マ 「ふん・・・貴様らなんぞ、私1人で十分だ」

 

今の発言に、5人の心に火を点け、セシリアは激情を露にする。

 

セ 「そんな事を言ってられるのは、今の内ですわよっ!」

マ 「雑魚が・・・」

簪 「・・・? あれ、何?」

全 「ん?」

 

簪が肉眼で何かを発見したようで、空を指を指す。

うずくまる『B』以外は、レーダーが効かないので、空を見上げる。

 

一 「・・・飛行機?」

箒 「いや・・・あれは」

鈴 「戦闘機ね・・・って、こっちに突っ込んできてない!?」

 

全員がその場から離れるのと同時に、穴が空いたシールドからジェット機が侵入+地面に衝突して爆発。

 

W 「リリヤ・・・操縦、下手・・・ひこう、き・・・壊した・・・」

R 「わ、悪かったって。もう"代わって"とか言わないから」

W 「[ジーー]・・・ゆる、す」

 

爆煙から出てきたのは、IS装備の『R』と『W』

2人とも、頭にヘルメットを被った状態で、これまた5人には素顔を見せていない。

 

マ 「はぁ・・・どうして次から次へと・・・それで、何故『R(キサマ)』まで来ている?」

R 「暇だったから・・・」

B 「だよな~」

R 「な~!」

W 「な~・・・」

マ 「・・・吹き飛べ」

 

纏まっている3人に向かって、マドカがライフルとビットで総攻撃。

だが、間一髪で避けた3人を見て・・・

 

マ 「チッ・・・」

R 「あ! 今、舌打ちしたわね!」

W 「怒っちゃ・・・駄目・・・マドカ、も・・・仲良く」

B 「お前は、本当、良い子だな・・・(撫でたくなるなぁ)」

 

『B』は伸ばしそうになった手を引き戻し、思いとどまる。

何故なら、さっきから待たせている5人がいるからだ。

 

B 「ん~、どうやって、分担しようか・・・」

R 「早い者が勝ちでいいんじゃない?」

マ(B 「私は 「んじゃ、俺はあの2人な!」・・・き、貴様、私の獲物を!」

一 「え、ちょ!」

箒 「は、離せっ!」

B 「暴れるなよ、舌噛むぞ」

 

『B』は一夏と箒の装甲を掴んで、フィールドから出て"篠ノ之神社"の方へと飛び去る。

 

W 「・・・」

簪 「え?」

 

『W』は無言で簪の手を引き、海の方へと連れ去る。

 

マ 「勝手な事を・・・」

セ 「あなたの相手はわたくしですわ!」

 

セシリアが格闘ブレード『インターセプター』でマドカをフィールドを飛び出し、市街地方面へ。

 

R 「・・・ぷっ、残り者」

鈴 「う、うっさいわねっ! "残り物には福がある"って、ことわざ知らないのっ!?」

R 「なら、私に"福"があるのかな?・・・じゃあまぁ」

 

 

【海】

W 「はじめ、る・・・」

 

 

【市街地】

マ 「今の私は機嫌が悪い。だから・・・」

 

 

【篠ノ之神社 上空】

B 「せいぜい、楽しませてくれよ・・・」


 
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