No.459866

魔法幽霊ソウルフル田中 ~魔法少年? 初めから死んでます。~ 亀甲縛りって実際は刺激が少ないらしい、な20話

20話、まだまだVS暴走体。
次回で決着がつきますよ。

2012-07-26 19:28:27 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1145   閲覧ユーザー数:1116

『悪霊』というのは霊の中でも人に害をなすような奴のことをいう。

 

生物が死ぬ時、『憎悪』や『復讐心』、『恐怖』など負の感情の未練……つまり『怨念』を持つと悪霊が生まれるのだ。

 

 

悪霊はその怨念のままに無差別に悪影響を与える。

 

その被害は悪霊の怨念や強さでまちまちで弱い悪霊なら写真にも写らず、せいぜい『雰囲気が重くなる』ぐらいか。

 

強い悪霊だと非常に危険で『カーナビに取り憑いて車を崖に落とす』『悪夢を見せる』『人に取り憑いて精神を破壊する』等、命に関わる被害を出すこともある。

 

このように、悪霊とはどちらかと言うと『霊格』と言うより『霊の種類』に近かったりする。

(なぜ以前、守護霊と同等の霊格と説明したかというと『平均して』悪霊はだいたいこの強さと言う意味)

 

そして『妖木』とは本来なら中級ぐらいの霊である、人に認識されるが大概の妖木は『妖木と気づかれない』ためにそこまで強くはないのだが……。

 

 

 

 

「めざワりダアああ!」

 

「あっぶなっ!」

 

顔を狙ってきたツルを下へ移動してかわす。

頭の上をすんごい勢いでツルが通過、当たってたら頭吹っ飛んでたぞ……!

 

「よクモ、やっテくれたナ!」

 

 

コイツ、どうやら俺が下にいる少年少女達を助けるために瓦礫をぶっ飛ばして当てたことを目の敵にしてるらしい。

話を聞かず何本もあるツルで俺ばっかり狙ってくる。

 

こいつの正体とかいろいろ知りたいのだが、不可能に近い。

 

 

「くっそ! 強すぎるだろっ!?」

 

 

上下左右、どこからでも襲いかかる攻撃に思わず叫ぶ。

 

 

おかしい、悪霊とはいえ『妖木』は確か『戦死者等の血を吸った木で、血のような赤い花が咲く』ことぐらいしか出来ない筈だ。

 

ジュエルシードで強化されていても、こんな植物怪獣みたいな動きは無理だと思う。

いや、そもそも本当にコイツは『妖木』なのか?

 

 

 

ビシュビシュビシュッ!!!

 

 

「!」

 

しまった、考えてたらいつの間にか全方位からツルが迫ってきている!

 

「高速飛行……じゃ加速が足りないな。ちっ、あんまり試したくないんだけど」

 

 

舌打ちして右手を真横に突き出し、人魂を作り出す。

 

迎え撃つつもりは毛頭ない、そもそもこんな巨大な木に勝てる気がしないし俺達の目的は『なのはちゃんが来るまで人命救助+時間稼ぎ』ならば俺しか狙わないなら好都合、逃げさせて貰うぜ!

 

 

 

ドカン! と俺は『その場で』人魂を爆発させた。

当然、俺は右へ吹っ飛ぶ。

 

 

「なにッ!?」

 

「やっほおぉぉ!!!」

 

そう、爆風でわざと吹っ飛んで超加速、見事ツルから逃げることに成功した。

 

 

「そーれ! まだまだぁ!」

 

更に俺は吹き飛びながら今度は左手に人魂を作り出し自分の真下で爆発させる。

再びドカンと爆発し上へ吹き飛ぶ。

 

 

「どうだ! 捕まえてみろ!」

 

ドカン! ドカン! ドカン! と吹き飛ぶ先々で同じように連続で人魂を使いピンボールみたいに飛行する。

これぞ、メリーさんとの戦いで学んだ『威力を極限にまで抑え、吹き飛ばしに集中した人魂』を使った高速飛行。

 

 

爆発飛行(イグニッションムーブ)だ!」

 

 

「ちょコザいな! このッ!」

 

 

ブン! とツルが振り下ろされるが捉えられない。

それもその筈、この爆発飛行は方向転換のタイムラグが『存在しない』、今までの高速飛行とは訳が違うぜ!

 

 

俺はそのまま何度も爆発飛行を実行、暴走体を撹乱するために周りを吹き飛びまわって。

 

 

 

 

 

「……うぇっぷ」

 

やべ、酔った。

 

いやまあ仕方ないよね!

だって視界が滅茶苦茶な勢いで流れるもん、だから嫌だったんだよこの技使うの!

 

 

「スキありィぃぃ!」

 

「ちょ、タンマ! おヴェ」

 

ビュンッ! と今にも吐きそうな俺にツルの鞭が迫ってくる。

ヤバい、頭がクラクラして避けきれない。

 

ツルはそのまま俺に直撃――――

 

 

 

ジョキンッ!

 

 

「なにやってんのよ。あなたがこの作戦の指導者なんだから死んで貰っちゃ困るわ」

 

――――は、しなかった。

メリーさんが瞬間移動で俺の目の前に出現、巨大な鋏でツルを両断した。

 

 

「メリーさん……、ありがとうござオロロロロロ」

 

「嫌あぁっ!? なにエクトプラズマ(霊子。幽霊を構成している成分で無くなってくるとなんか薄くなる)吐いてるのよ!?」

 

もう無理です、限界なのですマジすいません。

ゲロとは違い、エクトプラズマは黄緑色に輝いて綺麗でした。

 

『まったく……、ちょっと見直したと思ったらすぐこれかい。アタイがティーに連絡しなかったらどうなってたか分かりゃしないよ』

 

 

花子さんが呆れた様子でラップ音を響かせる、カラス達を使ってみんなを呼んでくれたのか。

 

 

「田中さん! 倒れていた少年達は救助しました。わたし達の目的は暴走体を倒すことではないはず、わたしの『ゲート』で逃げますよ!」

 

下を見ると、異次元さんが手刀で空間を縦に切り裂き、人が入れる穴を作っていた。

なるほど、ああやって別の空間へ移動するわけだ。

 

 

 

「サせるかァ!」

 

「それはこっちのセリフよ! 田中、ここはあたしが抑えとくからあなたは逃げなさい!」

 

「ちょ、メリーさんそれ死亡フラグ「誰が死ぬか! あたしもすぐに瞬間移動で逃げるわよ!」り、了解しました」

 

メリーさんに怒鳴られ、慌てて異次元さんのところへ飛んでゆく。

……『ここは俺に任せて先に行け』って言ってみたかったなぁ……。

 

 

「さ、田中さんこちらです。メリーさんなら心配はご無用でしょう」

 

そういって異次元さんは上を指差す。

俺も心配だったのでメリーさんの方に目を向けると。

 

 

 

ジャキジャキジャキジャキ!

 

「ぬるい! ぬるすぎるわ! 盆栽にしちゃうわよ!」

 

「ぎやアァア!?」

 

 

そこには枝を元気に切り刻むメリーさんの姿が!

もうあいつだけでいいんじゃないかな。

 

 

「……確かに、そーですね」

 

「でしょう?」

 

 

余裕のよっちゃんだった、むしろ暴走体を殺さないか心配になるぐらいには。

これなら心配するだけ無駄だ、そう思い異次元さんと一緒にゲートをくぐる。

 

「ようやくきたね」

 

「花子さん!」

 

目の前に花子さんがいた、どうやら北のビルと暴走体の所をつないでくれたらしい。

ここまでくればもう安心、そうおもった時だった。

 

 

「そっちに何本か行ったわよ!」

 

「にガさん!」

 

焦るメリーさんの声がした、見てみるとゲートから5、6本のツルが侵入してきている!

反射的に俺は人魂で迎え撃とうとするが、それを止める人物が一人。

 

 

「大丈夫ですよ田中さん。いやはや遅れてすみません、暴走体も必死のようでして……ね」

 

パチン、と異次元さんが指を鳴らした途端にゲートが閉じた。

ゲートを通っていたツルもズパァン! と切断される。

 

 

「ゲートがとじる際はお気を付けを、巻き込まれればダイヤモンドでも切断しますから」

 

「うわあ……」

 

見てみるとツルの切断面はまっさらな平面になっていた、いわゆる『次元断』みたいなものだろうか。

 

 

 

流石都市伝説、駆けつけてわずか数秒で形勢逆転である。

いざ襲われる側になると恐ろしいが味方になってくれるとここまで頼もしい存在はいないだろう。

 

 

 

「ところで田中、ちょっとこっちに座りな」

 

 

ゲートも閉じて一段落ついた所で、突然花子さんが俺を呼んだ。

言われるがままに近寄って、なんとなく正座をする。

 

「えっと、何でしょうか?」

 

「なあに、ちょいとばかし目の前の馬鹿に説教をね」

 

さらりと、怒気を込めて花子さんは宣言した。

え……、えっ?

 

 

「ふぅ……手加減しながら戦うのも楽じゃないわね」

 

「メリーさん、足止めお疲れ様です」

 

 

シュンと、北のビルに降り立ったメリーさん。

異次元おじさんがいち早く気づき労いの声をかける。

 

「しかし随分早めに帰ってきましたね、暴走体はかなり厄介だと聞いてはいましたがメリーさんが手に負えない程強かったのですか?」

 

 

足止めにかかった時間は3分もたってない、異次元おじさんは予想以上に早くメリーさんが撤退したことに疑問を持っていたようだ。

その問いかけにメリーさんは「違うわよ」と否定する。

 

 

「逆よ逆。あの大木見かけより随分弱いから、危うく殺しちゃうとこだったしさっさと逃げたの」

 

そう言ってメリーさんは暴走体を指差す。

異次元おじさんもそちらに目線をやると。

 

 

 

「おお……見事なハートマークに刈り上げましたね」

 

「盆栽とか初めてやったけど、案外いけるもんでしょ」

 

 

哀れ暴走体の葉は殆ど枝から切り落とされ、頂上に立体的なハートマークを残すのみとなってしまっていた。

 

「おおオおオん(泣)!!!」

 

悲しみの余りもはや葉のついていないツルや枝を半狂乱に振り回す暴走体。

周りのビルが次々と瓦礫になっていく。

 

 

 

「メリーさん、街の被害が広がってますが」

 

「いや、あたしも途中からやりすぎたと思って花子の狙撃で動きを止めてもらおうとしてるんだけど……」

 

そう言って、メリーさんは花子さんの方に顔を向けるが。

 

 

 

 

 

「常々アンタには口ずっぱく言ってるけど、なんで簡単に自分の命を放り出すような戦い方ばっかりするんだい!」

 

「え、花子さん、さっき見直したって」

 

「それは瓦礫をぶっ飛ばした時の話だよ! 爆発飛行だかなんだか知らないけど、初めアンタが自爆したかと思ってアタイは寿命が縮むかと……!」

 

 

 

 

「何よアレ」

 

「説教タイムだそうです」

 

若干引きながら問いかけるメリーさんにスパッと答える異次元おじさん。

 

目の前には女子小学生にヘコヘコと土下座をする男子校高生というシュールな光景が広がっていた。

暴走体もメリーさん達もそっちのけで説教タイムは続く。

 

 

「確かにアンタの何でも真面目に全力で取り組む姿勢はアタイもすっ、好……嫌いじゃない。子供達を瓦礫から助け出した時は惚れなお……見直したっ!」

 

「あの、花子さん? なんか言い直してま「黙りな!」ハイ」

 

「だけどね、なんでその後すぐ暴走体から離れないんだい! アタイ達都市伝説がなんのためにいるのか思い出しな! 任せてもいいんだよ! 迷惑をかけたくないなんて思うんじゃないね!」

 

「は、花子さん……!」

 

 

 

「なにこの一昔前の熱血番組」

 

「奇遇ですね、私もそう思いました」

 

どこぞの3年B組あたりでやってそうなやり取りだった。

 

しかもさり気なく花子がデレてるし、とメリーさんはかつてない親友の姿に驚愕を通り越して戦慄している。

 

しかし、いつまでも説教タイムを長々とやってるわけにはいかない。

こうしてる間にも暴走体は暴れ放題だし救助してない人もいるかもしれないし……。

 

 

「オイ! タナカ!」

 

 

と、ここでやけに渋い声がかけられた。

言わずもがな、ティーである。

 

ただし田中は説教なのでメリーさんが応じた。

 

 

「カラス達のリーダーじゃない。どうしたの?」

 

らしくもなく焦った様子で飛んで来たため、異次元おじさん共々首を傾げる。

ティーは周りの状況もよく確かめずに喋りだした。

 

 

 

「キュウジョサレテナイ、シミン。イヤ! 『ヘンタイ』ダ! 『ヘンタイ』ヲ、ミツケタ! フタリトモ、イチャツイテナイデアノ『ヘンタイ』ドモヲ、ドウニカシテクレ!」

 

 

「「「ハア!? 変態!?」」」

 

「ちょっと待ちなアタイは別にいちゃついてない!」

 

 

 

 

 

暴走体の被害者

その1+その2=その3

 

「くそっ、離せあっ、んっ。……ダメだ、動くとなんかヘンな所が擦れちゃって……」

 

 

暴走体から少し南東に離れた場所にて、ツルに捕らわれたリーゼロッテは亀甲縛りから脱出しようともがいていた。

 

しかし、ロッテ程の達人でもバインドならともかくこのように固く物理的に縛られては早々に脱出は難しいらしい。

 

縛り方も無駄にマニアックな為に、解き方を知らないのが仇となっている。

 

 

(えーい面倒くさい! ……人もいないし、ちょっとだけなら魔法使ってもバレないよね)

 

 

辺りを見渡して、人気が無いことを確認。

幸いにも手足は自由なので魔法弾を作り出しツルを破壊しようとして

 

 

 

「館長、さっさと走って! あんなコーナー無くなったっていいじゃないですか!」

 

「だが断る。というか司書くん私は知ってるぞ! 君が以前から『BL同人誌コーナー』を作ろうと企んでいることを! そのカバンには何が入っているか答えたまえ!」

 

「ギクッ! な、なななぁんの事でしょう? べっ、別にこのカバンには非常時に必要なものが入ってるだけですぅー!」

 

(ウソぉ!? 人きちゃった!? )

 

 

なんとまあ間の悪いことに二人の男女が言い争いながらこちらへ走って来た。

ロッテは慌てて魔法の発動を中止する。

 

 

「あっ! 館長見て下さい、ネコミミつけた女性が亀甲縛りされてますよ!」

 

「君は私を馬鹿にしてるのか!? いくらなんでもそんな甘言に釣られる私ではフゥオオオオオーーッ!!!」

 

 

しかも女性の方がよりによって自分をダシにして注意を逸らしたために注目されてしまう、いつの間にか帽子も落ちてるし。

 

もうこれでは魔法は使えない、というかこんなあられもない姿を見られ羞恥心でロッテの顔は真っ赤になった。

 

「ちょ! 見世物じゃない見るなぁっ!」

 

 

――――そして、悲劇は止まらない。

 

 

 

「おおオおオん(泣)!!!」

 

海鳴に響き渡る雄叫び、発生源は町の中心部、つまり暴走体から。

どこか悲しさを漂わせるその声にロッテは咄嗟に振り向いて。

 

 

「アイツ喋れるのか、ってなんかチャーミングになってるうううう!?」

 

暴走体のてっぺんがハート型に整えられていた、先ほどまで葉も枝もボーボーだったのにそこだけアフロにみえてしまう。

しかしロッテはまだわかっていなかった、ここからが本当の悲劇の始まりだということに。

 

 

悲しみのあまり暴れだす暴走体、当然『ツルを激しく動かす』ので……。

 

 

シュルシュルシュル!

 

「ひゃあんっ!? や、ちょ動かすと、ん、あっ!?」

 

まるで掃除機の電源コードみたいに動き出すツル、縛られているロッテはイロイロなとこを激しく擦られ変な声を上げてしまう。

 

いまだかつてない経験にロッテは集中力を乱されてしまい、もう人目を気にせず魔法を使うことも出来ない状態に陥った。

これ以上なんか取り返しのつかないことになる前に助けてもらおうと傍にいた男女に顔を向けるが。

 

 

 

「なん……だと……!? 脱いでいないのにここまでのエロオーラ、これが『ネコミミ×触手』モノの破壊力とでもいうのかっ!?」

 

「ハッ、今なんかピキーンってきましたよ! 『触手×館長』という新ジャンルの可能性がっ! 元々顔だけは良いしこれは売れる……!」

 

 

「だっ、駄目だ畜生!? 助けるどころか視姦してる!? ひにゃあっ! み、耳はらめええええっ!!!」

 

 

救いなど初めからなかった、もうやだこの図書館メンバー。

 

 

 

「アシウリサン」「コッチデス!」「『ミテコウフンシテルヘンタイ』」「『クサッテルヘンタイ』」「『ミラレテコウフンシテルヘンタイ』」「ドウニカシテクダサイ!」

 

「了解したよぉカラスたちぃ! わたしにまかせなぁ、『足徒有情破顔拳』のお客さん3名あがりぃ!」

 

 

しかも、遠くからカラスが数羽とどっかで聞いたことのある老婆の声がきこえた。

大きな風呂敷袋を担いだ彼女は猛スピードで走ってきている。

 

 

「うっ……ふぅ……。ってなんだあの老婆は!?」←見て興奮してる変態

 

「館長うるさいです! 今ネタを考えてるんです、ハア……ハア……!」←腐ってる変態

 

「いやっ! これ以上刺激されたら、あんっ、おかしくなっちゃううぅ!」←見られて興奮してる変態

 

 

どう足掻いても、R-18。

 

 

 

 

 

 

「アシウリサンブタイカラ、レンラク! 『ヘンタイドモノ、チンアツニセイコウ』!」

 

「よし! 報告御苦労!」

 

ティーからの報告を聞いてガッツポーズをとる。

まさかこの海鳴に危機に乗じて変態行為に及ぶ奴らが出てくるなんて思いもしなかったから、花子さんのお説教も中断してしまった。

 

んで、気付けば暴走体がまた暴れだしてたから今度は都市伝説のみんなと一緒に戦っているという状況である。

標的から近すぎず、離れすぎず、奴の攻撃が当たりそうで当たらないようなポジションで回避を重視している。

 

 

「やっほー太郎ちゃん! 一通り街を駆け回ってたけどもう救助待ちの人はいないっぽい!」

 

「……(ケガニンモ、ナシダ)」

 

「ほんとですか! ありがとうございます!」

 

空中にいる俺に飛び寄ってきたのはテケテケさんとトコトコさん。

どうでもいいけど2人は分離してるから、空飛ぶとテケテケさんがデスタム〇アに見える。

 

 

「やりましたね、田中さん」

 

「怪我人もゼロよ! 目標も達成、やったじゃない!」

 

「み、皆さんのおかげですよ!」

 

みんながねぎらいの言葉をかけてくれたが、俺一人じゃ絶対に成し遂げられなかっただろう。

顔を赤くして片手で頭を掻いてしまう。

 

 

「田中、アタイの説教はまだ途中だけど、言いたいことは分かってるね?」

 

「! はい、後はなのはちゃんが来るまで街を守るだけです! 『頼りにしてます』! 花子さん、皆さんも!」

 

 

もう、俺は語らずとも花子さんの言いたい事を理解していた。

「うんうん」と満足げに花子さんも頷く。

 

 

――――多分だけど、今まで俺は焦っていたのだ、気付いてもらえなくとも『俺が』みんなを助けてあげたいと。

 

助けを借りることを心のどっかで『申し訳ない』と、『かっこ悪い』と思っていたのだ。

 

力もないくせに、愚かしいことに『ヒーロー』の真似事をしようとして危うく今日は死にかけた。

 

確かに孤独の中で戦うヒーローはかっこいいかもしれないけど、俺にはそんな肩書はいらなかったんだ。

 

ただ、本当に確実に『みんなを助けたい』なら――――

 

 

 

「『みんなで一緒に助けましょう』!!!」

 

「「「「「「「「応!!!」」」」」」」

 

 

人が多い方が良いにきまってる、なのはちゃんもあと少しで到着するしもうひと踏ん張りだ!

 

 

 

 

 

「いきますよ! 俺たちの戦いはこれからだ!!!」

 

「「「「「「「「オイ!!?」」」」」」」

 

一斉にみんなに突っ込まれた、いや終わりませんけどね?

 


 
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