No.459778

真・恋姫†無双 ~我天道征~ 第4話

seiさん

張3姉妹が旅に出てしまい、村で一人過ごす一刀。
ある日、町へと買い物に出かけ意外な人物達と遭遇することに。

そこそこのペースで投稿し続けていますが、もうそろそろ息切れしそうな予感。
まあ、頑張れるだけ頑張っていこうと思う、今日この頃です。

続きを表示

2012-07-26 16:04:02 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:6257   閲覧ユーザー数:4910

 

 

 

 

 

 

 

注意 本作の一刀君は能力が上方修正されています。

 

   そういったチートが嫌い、そんなの一刀じゃないという方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

張3姉妹が旅に出て1週間がたとうとしていた。

俺が世話になってる村は、小さいながらもとても良い所で、村人達も気のいい人達ばかりだ。

こんな得体の知れない俺にも、とても親切にしてくれた。

俺はそんな人達に少しでも恩を返そうと、山菜や魚、はては猪などをとってきては皆に配っていた。

 

 

大分ここでの生活に慣れ、村の人達との関係も良好といえた。

そんなある日、

 

お婆さん「おや、御遣いのお兄ちゃん。今日はどっかにお出かけかい?」

一刀「うん、ちょっと町まで買い出しにでもいこうと思ってね。」

お婆さん「そうかい、気をつけて行っておいで。」

一刀「ありがとう。お婆ちゃん。」

 

そういって、隣の家のお婆ちゃんに挨拶を交わす。

ちなみに、なぜ俺が御遣いなんて呼ばれているのかというと、俺が天の御遣いかもしれないという話をあの3人(というか、天和と地和)が村中に言いふらしたためだ。

はっきり言って非常に困るのだが、それで定着してしまい、俺の方が折れることにしたからだ。

 

 

おじさん「お、御遣いの兄ちゃんじゃねえか。また山にいくのかい?」

一刀「いや、今日は町に行こうと思ってるんだよ。」

おじさん「お、なんだい。また新しい子でも捕まえにいくのか。」

一刀「違うから!いつ俺がそんなことしたのさ!!」

おばさん「だってねぇ。あんな可愛い子3人を手玉にとってたんだろ?」

一刀「人聞き悪いこと言わないで!!3人とはそうゆう関係じゃないから!!」

 

畑仕事をしていた中年の夫婦にからかわれる。

3人との別れの時に、キスをされて固まってしまった一部始終を、村の人に見られていたのだ。

それ以来御遣いの名前同様に、女誑しの評判も定着してしまい、いくら説明しても聞き入れてもらえなくなったのだ。

 

一刀「とにかく、町へは買い物へ行くだけだよ。」

おじさん「ま、そうゆうことにしといてやるよ。」

おばさん「女遊びも程々にしときなよ。」

一刀「・・・・・・もういいです。」

 

俺はそっちのことも、諦めそうになっていた。

 

 

子供「あ、御遣いの兄ちゃんだ。ねぇ、遊んでよー。」

 

村をでる直前、よく遊んであげている子供につかまる。

 

一刀「悪いな、今から町にいくんだよ。」

子供「え、いいなー。僕もつれてってよー。」

一刀「ダメだ。お前は、おとなしく待ってな。」

子供「じゃあ、おとなしく待ってたら、遊んでくれる?」

一刀「ああ、約束だ。」

子供「やった♪はやく帰ってきてね。」

 

そんな会話をしながら、俺は町へと買い物に出かけた。

 

 

この村も、今から行く町も陳留という郡に属する。

ここ陳留の刺史(今風にいえば県知事)は、とても優秀な人物らしく、他の所では重税や官匪が横行するなどひどい状況ばかりなのに、ここはそんなことも少なく、比較的平和に過ごせていると評判だ。

 

もちろん、全てが0というわけではない。賄賂もあれば、悪徳官僚だっている。

また最近は、流れてきた賊によって、常に人々は命の危険に晒されている。

現代の日本という、ここよりもずっと平和で豊かな時代で過ごしてきた俺には、とても考えられない状況だ。

それでも、この世界の人々は常に前向きに生き、笑顔を絶やさない。

俺はそんな人達と触れあっていくうちに、それを守りたいと思いはじめていた。

 

 

 

 

 

 

 

そうこうしている内に、俺は町に辿り着いた。

ちなみに服はフランチェスカの制服だが、上に外套を羽織っている。

さすがにこの服で大勢の中を出歩くのは、目立ちすぎるからだ。

 

 

目当ての商品を買い終え、最後にあの子へお土産でも買ってってやるかと考え、饅頭屋を探す。

その途中、大通りから外れた細い路地裏に何か人影が見える。

なぜかそれがとても気になってしまった俺は、その人影へと歩みを進める。

するとそこには、頭からすっぽりと黒いフードを被り、机を挟みながら座っている人物がいた。

 

 

一刀「あの、ここで何してるんですか?」

??「ん、ちょっと占いをね。どうだいお兄さん、ひとつ占ってあげるよ?」

一刀「いや、遠慮しときますよ。」

 

その人物は頭からフードを被っているため、顔がまったくわからない。

また声も、まるで機械を通したような変わった声で、性別も年齢も判断できなかった。

俺はそのことに不気味さを感じ、早々にここから立ち去ろうとした。

しかし、その人物は俺のことなど無視して話を続ける。

 

??「そんなこと言わないで、こんな話を知ってる?『黒天を切り裂いて、天より飛来する一筋の流星。

   その流星は白銀の衣と刃を纏いし天の御遣いを乗せ、この大陸に安寧を齎すだろう。』っていう話。」

一刀「ええ、知ってますよ。たしか管輅とかいう人の予言ですよね。」

??「そうそう。でも、これに続きがあるって知ってた?」

一刀「!!」

 

 

俺は驚く。天和達3人の話でも、村や町の人に聞い話でも、予言はそこまでであり、予言の続きなどきいたことない。

天の御遣いというのが俺のことを指すなら、その続きというのを聞けば、何か情報が手に入るかもしれない。

そう考えた俺は、怪しいがこの人物に話の続きを促すことにした。

 

一刀「その続きって一体?」

??「『安寧を齎した天の御遣い、己が身の破滅と共に、この大陸から消え去らん』これが予言の続き。」

 

 

一刀「身の破滅と共に、消える?」

 

一瞬俺は、この人物が何を言っているのか解らなかったが、次第にその言葉の意味を理解する。

しかし、感情はその言葉を受け入れようとせず、必死に否定の材料を探し出す。

 

一刀「ははは、それ流言でしょ。大抵そういう話って、おひれはひれががつくもんだから。」

 

実際噂の中には、そういう歪曲をされて伝わったものが多くあったのも事実だった。

 

??「いやいや、これは本当の話だよ。流言なんかの類じゃなくて。」

一刀「どうしてそんなことが言えるんですか?」

 

相手がさも当然のように断言するため、俺はなぜか尋ねてみた。

 

??「それは当然だよ。だって、僕がその予言をした『管輅』なんだから。ねえ、『天の御遣い』さん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「なっ!?」

管輅「あはは、驚いた?」

 

俺が突然の告白に戸惑っていると、管輅と名乗った人物はさも楽しそうにそんなことを聞いてくる。

 

 

一刀「くっ!あんたが俺をこの世界に呼んだのか?」

 

俺はすぐに意識を切り換え、疑問をぶつける。

 

管輅「いいや、僕はあくまで予言しただけ。あなたをこの世界に呼んだのは、この外史だよ。」

一刀「外史?」

管輅「簡単に言えば、造られた世界ってこと。」

一刀「造られたって・・・」

管輅「そうだなー。例えば三国志を読んでいて、黄巾党が天下統一してたらどうなったんだろう?とか、

   そこに出てくる人物達が女の子だったら?とか想像したとしようか。」

一刀「!! お前。」

 

天和達のことを知ってる口ぶりに、俺は警戒心を強めた。

しかし管輅は、なんでもないという風に話を続ける。

 

 

管輅「ふふっ。まあそういった想像、妄想とも言うけどね。それが具現化し形となった世界、それが外史さ。」

一刀「お前、一体何者なんだ?」

管輅「だから、管輅だよ。大陸一の占い師のね。」

一刀「違う、そんなことを聞いてるんじゃない!!」

 

管輅のからかう様な態度に、俺は言葉を荒げる。

 

管輅「ごめん、ごめん。僕はその外史を管理するものだよ。管理者っていわれてるけどね。」

一刀「外史を管理するだって。」

管輅「そ、さっきも言ったけど、外史とは想像から生み出されるもの。

   想像なんて人の数だけされ、その外史ともなれば星の数ほどあるだろ。

   だからそういった外史を管理し、調整する人物、それが管理者ってわけ。」

 

あまりに突飛な話に俺の頭は混乱してきたが、無理やり納得させ話を続けることにした。

 

 

一刀「外史や管理者ってのは解った。じゃあ、なんでその外史が俺を呼んだんだ?」

管輅「変えたいのかもしれないね、運命ってやつを。」

一刀「運命を、変える?」

管輅「あなたも知ってるでしょ。この先、血で血を洗う様な長い戦いの果てに、多くの命が失われていくことを。」

一刀「! それは知ってるけど、ここは外史ってやつなんだろ?だったら、その通りになるわけじゃ。」

 

俺は先ほど聞いた外史の概念から、そういったことは起きないんじゃないかという。

しかし管輅は、俺の考えを否定するように言葉を続ける。

 

 

管輅「説明してなかったけど、外史の対極に正史ってのがあるんだ。

   外史が物語の中だとすれば、正史はその物語を読む人達のいる現実の世界。

   いくら外史が想像の世界とはいえ、正史の影響をまったく受けないってわけじゃないんだよ。

   そうだな、正史に引っ張られるっていえばいいのか、外史の流れを正史に近づけようと働くんだよ。」

一刀「じゃあ、このままいったら・・・」

管輅「そ。多少の差異はあるだろうけど、あなたの知ってる歴史と同じような流れになるよ。」

一刀「運命を変えるってのは、これから起きる長い戦いの歴史を起こさせないってことか。」

管輅「御名答。少なくとも三国志に、北郷一刀なんて人間は出てこないでしょ?」

 

俺は考える。確かに決められた流れを変えるなら、第3者の介入、つまりその流れと無関係なものの力が必要だ。

話の筋は通ってるし、今の状況を考えれば嘘や戯言ってことはないだろう。

 

 

そこまでの話を信じることにした俺は、管輅がはじめにいっていた言葉の真偽を確かめることにした。

 

一刀「ここまでの話は信じるよ。だけど、何でこの世界を平和にしたら、俺に身の破滅が訪れるんだ?」

管輅「ちゃんと覚えてたんだ。それじゃクイズ、外史はあなたを求めたけど、正史はあなたをどう思ってるでしょう?」

一刀「……そういうことか。」

 

つまり俺は、正史の流れからみたら存在しない人間、つまりは異物だ。

だから正史はその異物を除去しようと働き、外史が正史の流れから完全に外れた時、俺がその影響と共に消えると。

 

 

一刀「どうすればいいんだ?」

管輅「ん?」

一刀「どうすれば、その破滅から逃れることができるんだ?」

 

管輅に尋ねる。

俺は消えますと言われて、はいそうですかと納得するほど諦めはよくない。

もしそれを回避できる道があるなら、それを試さないわけにはいかない。

 

 

しかし管輅の言葉は、そんな俺の思いを揺るがすものだった。

 

管輅「ああ、それなら簡単だよ。何もしなければいい。」

一刀「は?」

管輅「だ・か・ら、何もしなければいいんだよ。正史に逆らわず、その流れ通りに歴史を進めればいい。」

 

俺はその言葉の意味を理解し固まる。自分が助かりたければ、この世界の人達を見殺しにしろというのだ。

俺は何か他の方法がないか管輅を問い詰めようとした時、

 

 

??「きゃーーーーー!!!」

 

路地裏の奥のほうから、女性の叫び声が聞こえてきた。

俺がそちらに意識をとられ目線を外した一瞬、次に目線を戻した時には、管輅の姿は消えていた。

 

一刀「管輅!!」

管輅「ははは、あなたがどんな道を征くのか、見学させてもらうね♪」

 

俺が叫ぶと、そんな管輅の声だけが響き渡り、それもすぐに消えてしまった。

 

一刀「くっ!」

 

俺は管輅を探そうとも思ったが、今は先ほど聞こえた悲鳴が気になり、そこに向かって駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は悲鳴の聞こえた方角に向かう。細い路地を駆けしばらくすると、目的の場所へと辿り着く。

そこには、女の子の手を引きながら歩く男の姿が見えた。

男の手には刀が握られており、女の子のほうはそれに必死に抵抗していた。

どう贔屓目にみても、友好的な状況には見えない。

 

 

一刀「おい!何してんだ!」

 

俺が呼びとめると、男は慌てて女の子を抱き寄せ、刀を突き付ける。

 

男「てめえ、そこから動くなよ!少しでも近付いたら、この女どうなるかわかんねえぞ!!」

女の子「私のことはきにせず、はやくこの男を捕まえて下さい。」

男「うるせえ!人質は黙ってろ!」

 

男は興奮しており、下手に近づけば本当に女の子を傷つけ兼ねなかった。

なので俺は、『近づかずに』人質を解放させることにした。

 

 

一刀「少しの間、目を瞑っていてくれるかな。」

女の子「え?」

一刀「大丈夫、絶対に助けるから。」

 

俺はそう言って、女の子が少しでも安心できるように、微笑みかける。

 

女の子「・・・はい、お願いします。」

 

はじめは戸惑っていた女の子も俺を信じてくれたのか、目を瞑ってくれた。

 

 

そして俺は腰に差していた刀を抜き、正眼へと構える。

 

男「なっ!?て、てめえ、人質がみえないのか。」

 

そのことに焦った男は、俺のことを睨みつけながら、さらに女の子に刀を近づける。

 

一刀「北郷流 『白百合』」

 

俺は刀をメトロノームの様に、左右へと振る。

その動きは遅くも速くもなく、常に一定のリズムを刻み続ける。

スピードは一定なのに、次第に揺れる刃はぶれ出し、残像を伴った複数のものへと変わる。

それに伴い男の目は段々と虚ろになり、体からも力が抜けていく。そして、

 

 

カランッ! ドサッ!

女の子「きゃっ!」

 

ついに男は、その手から女の子と刀を離してしまった。

その音で我に返った男は、急いでそれらを拾おうとするが、

 

一刀「遅いよ。」

 

ドスッ!

・・・バタンッ!

 

懐に飛び込んでいた俺が、刀の柄で男の鳩尾を突く。

男はうめき声を発することなく意識を失い、そのまま地面と倒れる。

 

そしてあらためて、女の子のことを確認する。

その子は色素の薄い髪色で、少しウェーブのかかったショートヘアーをしていた。

見た目の儚さと、着ている服の感じから、深窓の令嬢って感じがする。

俺はそんなことを思いながら、地面に座り込んでいる女の子に手を貸し、引き起こしてあげる。

 

一刀「大丈夫だったかい?」

女の子「はい、ありがとうございます。」

 

女の子は丁寧に頭を下げ、お礼をしてくる。

 

一刀「いや、大したことはしてないよ。それより、怪我がなくて良かった。」

 

俺は、その子の体に目立った怪我がないことを確認し微笑む。

 

 

女の子「へ、へぅぅ~~・・・・・・。」

一刀「あれ?どうかした??」

女の子「い、いえ、何でも、ないです。」

 

その子は、顔を赤くして俯いてしまった。

 

一刀(そういえば、町の女性や地和、人和なんかもたまにこんなことがあったけど、一体なんなんだろう???)

 

俺がこの状況に頭を捻っていると、女の子がおずおずと話しかけてきた。

 

 

女の子「あ、申し遅れました。私の名前は・・・」

 

そう、女の子が自己紹介を始めようとした時、

 

??「月~~~!!」

女の子「あ、詠ちゃん♪」

 

後の方から、この子の真名らしきものを呼んで近づいてくる子がいた。

女の子の方もそんな人物に気付いたのか、嬉しそうに手を振っている。

その姿に安心した俺は、ゆっくりと振り返る。

 

 

??「死ね!この悪漢!!」

一刀「はぐぅぅぅーーーー!!!」

女の子「え、詠ちゃん!!」

 

その子の強烈な左ストレートが、俺の顔面を綺麗に捉える。

そしてその場には、そんな俺の悲鳴と、女の子の驚きの声が響き渡るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

??「ごめんなさい。」

一刀「いや、気にしなくていいよ。あの状況じゃ、そう勘違いしてもしょうがないし。」

 

あの後賊はそのまま、この町の警備隊の人達に連れて行かれた。

また女の子の説明で、俺が彼女を助けた恩人であり、賊とは違うと解った。

そのため、勘違いで俺を殴ってしまった子が、こうして誤ってくれているのだ。

ちなみに誤ってくれている子は、緑色の髪をした眼鏡の似合う可愛い子だ♪

 

??「でも・・・」

??「ええやん、この兄ちゃんが気にせんでええって言ってくれてるんやから。」

 

さらに謝ろうとする眼鏡の子に、そう言って切り上げさてくれるもう一人の子が。

紫色の髪を後で纏め袴に羽織という、ここ中国ですか?という姿で登場した、こちらも可愛い女の子♪

なぜか関西弁?しゃべってるし・・・。

 

一刀(まあ、ここが外史ってやつなら、多少の違いになるのかな。)

 

そのことに対し、深く考えるのをやめることにした。

 

 

一刀「まあ、そっちの子の言うとおり、俺は本当に気にしてないから。」

??「わかったわ。それじゃあらためて、月を助けてくれてありがとう。」

??「それはうちからも礼を言わせてもらう、月っちを守ってくれてありがとう。」

一刀「いや、どういたしまして。」

 

その後聞いた話で、3人は視察の旅の途中、この町に立ち寄ったらしい。

そこで、女の子が出店をみようと少しだけ離れてしまった隙に、先程の男に攫われ、二人は慌ててこの子のことを探しまわっていたのだそうだ。

そんな時にさっきの状況を見れば、ああなっても仕方ないと納得した。

 

??「月、だから僕達から勝手に離れないでって言ったでしょ。」

女の子「ごめんね、詠ちゃん。」

??「はあ~、まあ月が無事だったから良かったけど。」

 

眼鏡の子は、女の子のことを叱りながらも、無事であったことに本当に安堵した顔をしていた。

 

 

女の子「あ!そういえば、自己紹介の途中でした。私は姓は董、名は卓、字は仲穎と言います。」

??「僕は姓は賈、名は詡、字は文和っていうわ。」

??「うちは姓は張、名は遼、字は文遠っていうねん。」

一刀「・・・・・・は!?」

董卓「どうかしましたか?」

一刀「あー、いや、君だけもう一度名前教えてくれないかな?」

 

外史というこの世界には、本当に驚かされてばかりだ。

賈詡はいい。見た目からも知的な感じが溢れてるし、軍師と言われても納得できる。

張遼もいい。確かに彼女から、一流の武人の風格があるし、今も周りへの警戒を怠っていない。

そう、この2人はいい。良くはないが、天和達の件で少し慣れた。

今の問題は……

 

董卓「あ、はい。董卓と言います。」

一刀「・・・・・・・・・」

 

 

今、俺の顔はとんでもなく間抜けな顔になっているのだろう。

 

一刀(彼女が董卓?朝廷を裏から牛耳り、悪逆非道といわれたあの董卓??)

 

外史に多少の差異があるとはいっても、これはとても許容できる範囲ではない。

こんな可憐な女の子が、あの董卓?そいつは今すぐ眼科にいくべきだ。

こんな優しい女の子が、悪逆非道?そいつの心は、これ以上無理というくらいねじ曲がっているのだろう。

俺がそんなことを考えていると、

 

賈詡「月の名前聞いて固まるなんて、失礼じゃない!」

張遼「どうかしたんか?」

一刀「ああ、ごめん。なんでもないよ。」

 

3人が怪訝そうに俺を見てきたため、その議論は一旦置いておくことにした。

 

 

一刀「俺は、姓は北郷、名は一刀っていうんだ。ちなみに、字ってのはないよ。」

張遼「ふーん、字はないんか。まあ、うちにも似たようなのがおるし、珍しいこっちゃないな。」

賈詡「むしろ、変わった姓と名のほうが珍しいわね。」

董卓「あのー、一刀さんは、ここら辺の方じゃないんですか?」

一刀「あー、そのー、ずっと東のほうにある、島国から来たんだよ。」

 

俺は、そう誤魔化すことにした。

さすがに、天の国からきた御遣いですなんて話をした所で、信じてもらえないだろうし、色々面倒なことになりそうだったからだ。

 

賈詡「ずっと東の島国っていうと、昔徐福が向かったという所かしら?」

張遼「はぁ~、そりゃ随分遠いところから来たんやなぁ。」

一刀「ま、まあね。(あながち間違いってわけじゃないし、嘘はついてないよね。)」

張遼「刀も持っとるし、武者修行の旅とかなんか?」

 

張遼さんは、そう嬉々として聞いてくる。

 

一刀「いや、そういうんじゃないよ。この近くの村で世話になっててね、ここへは買い物で来ただけだよ。」

張遼「そうなんか、つまらんわぁ。」

一刀「あ、あはは、それじゃ、董卓さんも無事合流できたみたいだし、俺はそろそろ行くね。」

 

そのことに身の危険を感じた俺はそのことを否定し、これ以上墓穴を掘る前に、そうそうに退却することにした。

 

 

董卓「あ、まだ助けてもらったお礼が・・・」

一刀「そんな、大したことはしてないよ。

それにお礼なら、可愛い子達と仲良くなれたってので、十分すぎるほどもらったよ。」

 

董卓さんがそんなことをいってくるので、俺は笑顔でそれを断った。

 

董卓「へぅぅ~。」

賈詡「か、可愛いって・・・」

張遼「あはは、うちらを口説いとるんか、一刀?」

一刀「口説くって、俺は本当のこと言っただけなんだけど。」

 

すると、董卓さんと賈詡さんは顔を赤くして俯いてしまい、張遼さんからはそんなことを言われる。

俺、なんか変なこと言ったかな?

 

一刀「まあいいや。とりあえずそういうわけだから、気にしないで。 じゃあね。」

 

俺はそう言って足早に3人と別れた。

 

 

 

 

 

 

 

【side 董卓】

 

董卓「あ!行っちゃった。」

賈詡「まったく、お礼くらいさせなさいよね。」

 

詠ちゃんがそんなことを言いながら、むくれている。

 

張遼「でもええ奴やったな。月っち助けてくれたし、謝礼をふっかけてくるようなこともせんかった。」

董卓「はい、とても優しくて、暖かい人だと思います。」

張遼「それにおもろい。まさか、口説かれるとは思わんかったわ。」

董卓「くど、へぅ~~・・・」

 

私は一刀さんの笑顔を思い出し、また顔を赤くして俯いてしまう。

太陽の様に眩しく、暖かな笑顔を。

 

賈詡「ふん、あんなのただへらへらして、軟派な言葉をいっただけじゃない。」

 

詠ちゃんは強がっているが、まだ顔の赤さがとれていなかった。

 

張遼「賈詡っちは、相変わらず素直やないなー。」

賈詡「霞!なんか言った?」

張遼「いいや、なんでもあらへん。」

賈詡「む~。とにかく、月も見つかったんだし涼州に戻るわよ!」

 

詠ちゃんは照れ隠しの様にそう叫び、ずんずんと一人で先にいってしまう。

 

董卓「詠ちゃん、待ってよー。」

張遼「詠、悪かったから先にいかんといてや。」

 

私と霞さんも、その後を慌てて追いかけるのでした。

 

董卓(一刀さん。またどこかで会えるといいな♪)

 

私はそんなことを思いながら、帰路へとつくのだった。

 

 

 

 

【side 一刀】

 

その後俺は、半日程町を探索し管輅を探したが、どこにもその姿は見つからなかった。

俺は探索を諦め、お土産を買って村へと戻ることにした。

村への帰り道、俺の脳裏に管輅の最後の言葉が過る。

 

( 管輅「あなたがどんな道を征くのか、見学させてもらうね」 )

 

つまり、この外史を平和にするか。

それとも、自分が助かるために身捨てるか。

そのどっちを選ぶのかと……

 

 

しばらく考えたが、今すぐ答えのだせる問題ではない。

俺がそんな問題に頭を悩ませていると、ある光景が目に入ってきた。

ずっと向こうの空に、いくつもの煙があがっているのだ。

その煙のあがっている方角には、俺が世話になっている村がある。

 

一刀「くそっ!」

 

なにか嫌な予感がした俺は、村へと続く道を急いで駆けていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

sei 「そんなこんなで第4話いかがだったでしょうか?

   今回は、管輅との出会いにより一刀君のここでの目的が明らかになる、というのをメインにしてみました。

   まあ、おまけ的に月たちとの出会いも入れてみましたが。

   当初の予定では、管輅がおまけだったはずなのに、何故こうなった???

 

   まあそんな些事は置いておいて、今回のゲストを紹介したいと思います。

   黄金のツンデレ比率9:1をもつ、詠ちゃんでーす。」

 

詠「誰がツンデレだ!(ゲシッ)」

 

sei 「げふっ。

   いきなり・とび蹴り・で登場とは、斬新・です・ね。」

 

詠「うっさい。あんたが変なこというからでしょ。」

 

sei 「えー、恋姫ファンなら公然のことなのにー。」

 

詠「えーい、黙れ!!とりあえず、質問からいくわよ!!」

 

sei 「・・・誤魔化した。」

 

詠「今回、何で私たちを出したの?

  別れちゃったから、私達の√ってわけじゃなさそうだし。」

 

sei 「ふっ、それはですね・・・」

 

詠「まさか反董卓連合とかで、私達を助けるためのフラグ?なわけないわよね。」

 

sei 「・・・・・・」

 

詠「え!そのまさかなの!?」

 

sei 「うわーん、なんでばらすんですかー!!」

 

詠「だって、誰が見てもそれ以外考えられないじゃない。」

 

sei 「ううう、どうゆう風に助けるかは秘密にしてやるー。」

 

詠「まったく、じゃあ次に今回一刀が使ったあの技はなんなの?」

 

sei 「ああ、あれですね。あれこそ、この話の一刀君の強化ポイントの一つです。

   簡単に言えば、五円玉を吊るして、あなたはだんだん眠くなる~ってやつですね。」

 

詠「何、催眠術師なのアイツ?」

 

sei 「いえいえ、あれはあくまでも技の一つであり、そういったのじゃありません。」

 

詠「じゃあ、何なのよ?」

 

sei 「それを私が教えると思いますか?( ̄ー ̄)」

 

詠「じゃあ、次はコメントについてね。」

 

sei 「ああ、あっさり流さないでー。」

 

詠「このあとがきを面白いってコメントがあったわね。」

 

sei 「ええ、とても嬉しいですね。

   まさかおまけとして始めたコーナーで、楽しんで頂けたんですから。」

 

詠「問題は、『本編よりも』って所よね。」

 

sei 「・・・・・・」

 

詠「それって本編は・・・」

 

sei 「 orz 」

 

詠「あー、sei が深い所に落ちてしばらく戻ってこれそうにないのから、今回はこれで終わりにするわ。

  そういえばあいつ、コメントがあるととっても嬉しそうだから、どんどん書き込んでやって。

  それじゃ、また次回の話を楽しみにしててね。」

 

sei 「俺なんか、俺なんか、どうせダメ人間なんだ。」


 
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