No.459736

IS学園にもう一人男を追加した ~ 13話

rzthooさん

・・・

2012-07-26 14:47:43 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3001   閲覧ユーザー数:2929

獅苑SIDE

 

 

全治まで残り2週間。今日も保健室にはお見舞いをしてくれる女子たちで群がっている。正直言うと相手にするのはめんどうなのだが、人のご好意には甘えるべきだ。それに女子たちは色々情報をくれる。

 

「お姉さま。実はですね、この前、三人目の男子が転校してきたんですよ!」

「しかもお姉さまと織斑君とは違うタイプの男子!」

「守ってあげたい系の美男子!」

 

へ~、この時期にねぇ・・・

 

「あと確かもう一人いたわよね、転校生」

「うん。ドイツの代表候補生で織斑先生の事を教官って呼んでたわよね」

「確か、ドイツの特殊部隊の隊長らしいよ」

「しかも、織斑君をいきなり引っ叩いたんだよね」

 

教官、特殊部隊の隊長、しかも一夏をいきなり引っ叩いた・・・こちらもなんかワケありのようだな。そう思っていると、SHRの予鈴が鳴る。

 

「あ、ではお姉さま」

「お大事に」

 

風のように女子たちは保健室から出る。するとドアの端からいつもどうり本音が現れる。

 

「おはよう、本音」

「うん~、おはよう~、獅苑くん♪」

 

朝の挨拶を済ませる。いや、朝の挨拶はここからか・・・

 

「ちゅ・・・んちゅ・・」

 

今日も口を合わせる。初めてキスしたあの時から毎朝、キスするのが日課になってしまった。俺としてはとてもうれしいことなのだが、他人から見たら俗に言うバカップルと思われるだろう。

 

「ん・・んぁ・・・」

「・・・そろそろ教室に行かないと、遅れるぞ」

「う、うん・・・ね、ねぇ~獅苑くん」

「なんだ?」

「その、あの、やっぱり迷惑かな~? その、キ、キス・・・」

 

赤くなった顔を袖で隠し上目使いで聞いてくる。

 

「・・・」

(やばい、その仕草は反則だろ・・・)

 

俺は破壊力抜群の仕草をする本音を見て、黙ってしまう。すると本音は早とちりして

 

「そ、そうだよね。やっぱり迷惑だよね・・・」

 

泣きそうな本音を見てやばいと思い、俺は勘違いを取り消すために

 

「俺はうれしいぞっ」

「・・・え?」

「俺は、本音とその、キスできてうれしいぞ・・・」

「そ、そうなんだ///」

 

本音はそのまま俯く。顔をは見えないが、耳は真っ赤になっていた。

 

「ほら、さっさと教室に行け。遅刻するぞ・・・」

「え・・・あ、うん。そ、そうだね~。じゃ、じゃあまたね!」

 

本音はさっきの女子よりも早く保健室から出る。

 

(・・・あんな事、言わせるなよ///)

 

必死に恥ずかしさを堪えた俺に俺自身で褒めた。

 

 

本音SIDE

 

 

(うれしいって言われたうれしいって言われたうれしいって言われたうれしいって言われた~///)

 

私は保健室でのやり取りを思い出しながら廊下を全力疾走。

結局、SHRには間に合ったが、午前の理論学習の授業内容はまったく頭に入ってこなかった。

 

 

一夏SIDE

 

 

「ええとね、一夏がオルコットさんや凰さんに勝てないのは、単純に射撃武器の特性を把握していないからだよ」

「そ、そうなのか? 一応わかっているつもりだったんだが・・・」

 

シャルルが転校してきて五日。今日は土曜日で午後は自由時間となっているので、俺は今、アリーナでシャルルにIS戦闘の特訓に付き合ってもらってる。ちなみにシャルルは三人目の男子で俺の新しい同居人でもある。

 

~~~回想~~~

 

「じゃあ、改めてよろしくな。シャルル」

「うん。よろしく、一夏」

 

転校初日に女子の包囲網と質問攻めにあい、夕食を食べ終えて俺とシャルルが部屋に戻ってきた。

 

「あ、一夏」

「おう、なんだ」

「もう一人男子生徒ってどこにいるのかな」

 

獅苑の事か・・・アイツまだ保健室で寝泊りしてんのか、退屈してそうだな・・・

 

「一夏?」

「あ、わりぃ。獅苑のことだったよな。アイツは今、保健室で寝ているよ」

「保健室って事は怪我してるの?」

「ああ、なんでも全身骨折だそうだ。よくは知らないけど」

「え! それ大丈夫なの!?」

 

大丈夫だろ。この前、会いに行った時、大声を上げられるほど元気だったんだから・・・

その後、シャワーの順番とか、放課後のISの特訓について話し合った。

 

~~~回想終了~~~

 

「うーん、知識として知っているだけって感じかな。さっき僕と戦った時もほとんど間合いを詰められなかったよね?」

 

うっ、確かにそうだ。シャルルの専用機『ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡ』と模擬戦をしてみたが、間合いを詰められず、ただただ撃たれただけで俺の負けが決まった。頼みの綱の瞬時加速も読まれてしまった。

 

「一夏の瞬時加速って直線的だから反応できなくても軌道予測で攻撃できちゃうからね」

「直線的か・・・うーん」

「あ、でも瞬時加速は無理に軌道を変えたりしない方がいいよ。空気抵抗とか圧力の関係で機体に負荷がかかると、最悪の場合、骨折したりするからね」

「・・・なるほど」

 

って事は、獅苑と同じ末路を辿るって事に・・・つーか、どんだけやべーんだ? 獅苑のIS

 

「一夏、その朝霧君と今日、会いに行っていいかな? どんな人か気になるし」

「ん、ああそうだな。じゃあ特訓が終わったら行くか」

 

そう言って特訓再会。シャルルからアサルトライフル『ヴェント』を借り射撃訓練をしたのだが

 

「ねえ、ちょっとアレ・・・」

 

アリーナにいた女子の一人が指を指す。

 

「ドイツの第三世代型だ」

 

シャルルがそう言うと、アリーナ内がざわつき始める。

 

「・・・」

 

女子が指を指した方にはもう一人の転校生、ドイツの代表候補生であるラウラ・ボーデヴィッヒがいた。

 

「織斑一夏」

「・・・なんだよ」

 

ISの開放回線を使って話しかけてきた。

 

「貴様も専用機持ちだそうだな。ならば話が早い。私と戦え」

「嫌だ。理由がねぇよ」

「貴様になくとも私にはある」

「今じゃなくてもいいだろ。もうすぐクラスリーグマッチ(学年別個人戦トーナメント)なんだから、その時で」

「ならば・・・」

 

ラウラは右肩に装備されている大型実弾砲(レールカノン)が火を噴きこちらに飛んでくる。だが、シャルルがシールドでレールカノンを弾く。同時に俺に貸していたヴェントを左手に、右手にはアサルトカノン『ガルム』を展開しラウラに向ける。

 

「いきなり戦闘を仕掛けてくるなんて、ドイツの人はずいぶんと沸点が低いんだね」

「フランスの第二世代型ごときで私の前に立ち塞がるとはな」

「未だに量産化のめどがたたない、ドイツの第三世代型よりは動かせるだろうからね」

 

互いに涼しい顔で睨みあう。だが、アリーナの担当である教師がスピーカーで怒り丸出しで注意する。ラウラは二度も横やりを入れられて興が削がれたのだろう、戦闘態勢を解除してアリーナから出て行く。

 

「一夏、大丈夫だった?」

「あ、ああ。助かったよ」

 

シャルルの目はラウラと対峙していた鋭い眼差しは消え、いつものように人懐っこい顔に戻っていた。

 

「今日はもう上がろっか。もうアリーナの閉館時間だしね」

「おう、そうだな。あ、じゃあこの後さ、獅苑の所に行かないか?」

「あ、うん。僕も挨拶したいし。じゃあ、先に着替えて待ってて」

 

そういえば、いつもシャルルは着替えを俺と一緒にはしたがらないんだよなぁ。

その後、シャルルに質問してみたが、いつの間にかいた鈴に首根っこを掴まれ強制的に更衣室に連行された。ちなみにセシリアと箒も来ており、結局、獅苑の見舞いに行くのは俺を含めて5人となった。

 

 

シャルルSIDE

 

 

僕は今、もう一人の男性操縦者である、朝霧獅苑に会う為、保健室に向かっている。前方にいる一夏は篠ノ之さんたちといつもみたいに揉めている。

 

(もてもてだね。一夏は・・・)

 

そんな事を思っていると、保健室に到着し、一夏はノックもせず、ドアを開ける。

 

「よぉ、獅苑。元気にしてるか?」

「おい、一夏。獅苑は怪我人なんだぞ」

「そうよ。そのへん分かってるの、一夏」

「そうですわ。一夏さんはもう少しマナーを学ぶべきですわ」

 

僕も保健室に入る。するとベットの上で寝そべっている。女性がいる。ほかのベットには男性の姿はない。

 

「あれ? 一夏。朝霧君ってどこにいるの?」

「何言って・・・ああ、しかたないか。シャルル、ここで寝そべってる人が朝霧獅苑だ」

「ええ! う、嘘だよね?」

 

篠ノ之さんたちの方を向くが、一夏の言葉に肯定する素振りをする。

 

「・・・お前が転校生の男子生徒か」

 

ベットの方から威圧を感じる。まるで織斑先生のようだ。ベットの方を向くと寝そべっていながらも、僕を逃がさないように目を見据えられてた。

 

 

獅苑SIDE

 

 

「なんだ、起きてたのか獅苑」

「この前も見舞いに来たが、元気そうで何よりだ」

「私は初めてだったわね。ごめんね、見舞いに来れなくて」

「わたくしがわざわざお見舞いに来ましたのですよ。それなりの感謝をしてくださらないと」

 

俺が転校生を見ていると一夏と箒と鈴、そして金髪が声をかけてくる。

 

「鈴は別に気にするな。あと、金髪は別に来なくていいぞ」

「なんですって?! わたくしがわざわざお見舞いしに来てあげましたのに、それに金髪って呼び方はやめてくださいって言ってるでしょ!」

(相変わらず、扱いやすいな)

 

その後、一夏が金髪をなだめ、転校生の件に戻る。

 

「え、えーと、シャルル・デュノアです。よ、よろしくね、朝霧君」

 

そんな警戒しなくてもいいだろうに・・・まぁ、俺も警戒はしてるが

 

「・・・朝霧獅苑だ。よろしく」

 

寝そべりながらの自己紹介。なんか面白い絵図らだな。

 

「おい、それだけかよ獅苑」

「・・・これ以上はいらないだろ」

「う・・・」

 

デュノアは身を引いてしまう。少し拒絶しすぎたか?

 

「デュノア」

「は、はい!・・・」

 

デュノアは背筋をピンッと伸ばし返事をした。

 

「ちょっと近くに来てくれるか」

「え? いいけど・・・」

 

どんどん、デュノアがこちらに近づいてくる。他4人は首かしげ頭に?マークを出しているが、無視してデュノアが手が届きそうな距離に近づいた時、ズボンのポケットにあるものを入れた。

 

「あ、あの、それでどうすれば?」

 

どうやら、バレていないようだ。

 

「いや、もういい。悪かったな」

「う、うん」

 

そう言ってデュノアはそそくさと離れ一夏の背に隠れた。

 

「じゃあ、そろそろ帰るぞ。またな獅苑」

「ではな、獅苑」

「またね。獅苑」

「ああ、またな」

「もう一生、お見舞いなんてごめんですわ」

「一夏が入院したら?」

「もちろん通い詰めしますわ!」

 

本当、分かりやすいな・・・

 

「じゃ、じゃあまたね。朝霧君」

「・・・また。一夏を頼む」

「う、うん」

 

また保健室に静寂が訪れる。

 

(暇になったな・・・寝よ)

 

俺は目を閉じ日付が変わるまで、寝ていた。

 

 

シャルルSIDE

 

 

僕は部屋に戻り、シャワーを浴びようとしている。同居人である一夏は白式について職員室に行っている。

 

「・・・ん?」

 

ズボンに手をかけたときポケットから違和感を感じ、ポケットに手を入れる。

 

「? なんだろう・・・?」

 

出てきたのは紙くずだった。僕はクシャクシャになった紙を延ばす。そこに書かれていたのは

 

『お前はなぜ男装をしている』

「え・・・」

 

そう僕は女の子だ。でも本国・・・主にあの人からの命令で。でもポケットになにかを入れられる時なんて更衣室ぐらいだ。

 

(じゃあ、一夏が・・・でも、あの一夏が)

「あ!」

 

知っている。一夏以外に思い当たる人物・・・朝霧君だ。確証はないが、一夏より犯人性は高いだろう。

 

(どうしてばれたの!? 朝霧君とは今日、初めて会ったのに・・・)

 

僕は頭を振りシャワーを浴び忘れようとする。

 

(明日、聞きに行こう。あまりこんな事はしたくないけど、口止めしないと・・・)

 

そう思っていたら、シャワー室のドアが開く。そこにはボディーシャンプーを持った一夏だった。


 
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