No.459257

魔法少女リリカルなのはmemories 第二章 再開するまでの記憶(メモリー) 第十四話

J・S事件から八年後、高町なのははある青年に会った。

その青年はなのはに関わりがある人物だった。

だがなのはにはその記憶が消されていた。

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2012-07-25 20:07:40 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1831   閲覧ユーザー数:1786

 部屋に案内された場所は先ほどのスカエリッティ・ラボに似ている構造とは大きく違い、ごく普通にあるような応接間みたいな感じだった。しかも場所違いなほどに家具などが豪華であり、先ほどいた所が嘘のように思えたぐらいだった。

 なのはは部屋に入るとすぐに部屋の豪華さに驚いたが、すぐに落ち着いて彼の後ろについて行く。彼を後ろから睨みながら。

 だが彼もその事には気づいており、彼はその部屋にある中央のソファーの内の一つに座る。

 

「それでは反対側のソファーに座ってくれ。それと、先ほどから私を睨むのをやめてくれないかな?話しづらくなると思うのだが」

「それは分かったの。考慮するけど、さすがに睨まないのは無理かもしれない」

「それもそうだな。まぁ、考慮してくれるだけ嬉しいよ。とりあえず座りたまえ」

 

 なのはは彼の言われるままに反対側の椅子に座った。

 なのはがソファーに座ってから、彼はすぐに話し始める。

 

「こんな部屋なのに飲み物も用意できなくて済まないね。これでもおもてなしぐらいはしたいのだが」

「別にそんなこといいよ。私はあなた達が何をしているのか知りたいだけだから。場合によってはここで逮捕するつもりだけど」

「ああ、分かっているよ。けどその前に私の名前を名乗っても良いだろう」

「まぁそれくらいなら……」

 

 なのはは名前を名乗るくらいなら構わないと思って、彼に名前を名乗らせても良いと答えた。

 

「すまないな。私の名前はラスティル・エメリアだ。一応ここの研究長という事になっているが、これでも29歳だ。君も念のため名乗ってもらえるか」

「……時空管理局本局武装隊、航空戦技教導隊第5班、高町なのは二等空佐。これでいい?」

「構わないさ。さて、自己紹介も済んだことだから君が聞きたいことに答えてあげよう」

 

 彼、ラスティル・エメリアは自己紹介を済ませると、すぐになのはが思っていることを答えることにした。

 

「まず、私たちが何をしているのかというのは、見ての通りの人体実験だ」

「じ、人体実験!?」

「そうだ。そして私はここの指揮をしている立場のものだ」

「どうして!! どうしてそんなことをしているの!?」

「研究者というものは、実験していないといられないような人間たちばかりだからな。もちろん私もその一人だが」

「でも! そんなことしたら管理局が黙っている訳が――」

「確かにそうだな。管理局にはここの場所の事は知っているだろうからな」

「管理局が気づいている? だったら、どうしてあなたたちを逮捕しないの!?」

「それはなんとなく気づくのではないか? 多分君は、私の部下達の話を盗み聞きして来たと思うからね。そうでないとここに来ないと思うのだが」

「確かにそうだけど……」

 

 そこでなのははここに来るまでに追ってきた白衣を来ていた男性達の会話を思い出そうとする。

 そしてあることに気づいた。彼らが会話していた言葉に気になる言葉があった事を。

 

「そういえば、『失敗なんかしたら()からかなり怒られる』みたいな事を言っていた……」

「やはりそんな事を言っていたか。少しは周りを気をつけろと言ってあるのに……」

 

 なのはの言葉を聞いてエメリアは溜め息を吐くのだった。

 しかし、なのははそれを思い出してエメリアにどういうことなのかを聞こうとしていた。

 

「どういうことなの? 『()』って言っているという事はあなた達が従っている奴らがいるという事なの!?」

「……確かにそうだ」

「ならその『()』とはなんなの!! それに、先ほどの管理局とどういう関係があるの!!」

「それは、少し考えれば分かるんじゃないか? 『()』と管理局が逮捕してこない理由の二つがどういう事を指しているか考えればね」

「だから、それが一体………まさか、」

 

 なのははエメリアの言った、『()』と管理局が逮捕してこない理由の二つが何を意味しているかやっと分かったようだった。

 けどそれは、なのはにとって信じがたいようなことだった。

 

「どうやら、気づいたようだね。私たちがやっている実験は管理局によって(・・・・・・・)守られてる(・・・・・)のだよ」

 

 そう、こんな人体実験などをしている研究所が管理局と関わっていることを指していたからだ。

 

「どうして、どうしてあなた達みたいな者が、管理局と関わっているの!!」

「いや、それは逆だよ。私たちは元々こんな実験をしたわけではない。『()』命令されて行動しているだけだ。そこまで言えばどういうことか分かるのではないか?」

「ま、まさか管理局が!?」

「そういう事だ」

 

 なのははエメリアが言った言葉に驚いていた。

 まさか、この実験が管理局からの命令によって動いているとは思っていなかったのだ。なので、まだ信じられないでいた。

 それはなのはにとって今まで信じていた管理局に裏切られたという事だからだ。

 

「う、嘘だ。管理局がそんなことに加担するわけがない!!」

「じゃあ、君が一つ関わった事件、フッケバイン事件はどうなんだろうな」

「どういうこと? どうしてその事件が関わってくるの?」

 

 フッケバイン事件。エクリプスウィルスに感染しまった者たちによって起こった事件。

 また、スバル・ナカジマに助けられて、今はスバルの家族になったトーマ・アヴェニールも巻き込まれた事件でもある。

 そんな事件がどうして今出てくるのか、なのはは分からないでいた。

 

「そもそも、あの事件の発端は何が原因なんだ?」

「発端って、確かエクリプスウィルスに感染した人たちによって起こってしまった事件のはずだけど?」

「その通り。そしてその間にトーマ・アヴェニールが研究施設に侵入して、そこで拘束されていたリリィ・シュトロゼックを助けて救出したという事があった」

「それが一体なんなの」

 

 勿体ぶるような言い草に、なのはは少しじれったく感じていた。

 

「リリィ・シュトロゼックはあの時トーマ・アヴェニールに救われなければどうなっていたと思う?」

「そういえば、その研究所の事は詳しく教えられてない……」

「やはりそうだろうな。あの時はフッケバルン事件で忙しかっただろうから教えてもらう事もなかったのだろう」

 

 エメリアは予想通りなのは達がリリィ・シュトロゼックが捕えられていた研究所を知らないようだと思った。

 そう、あの研究所の事はなのはを含め、フェイトやはやて達も詳細を知らされていないのだ。

 それに、フッケバルン事件の事があったために、そのことを聞く暇などはなかったのだ。

 だからあの研究所で何をしていたのかという事をなのは達は知らいないのだ。

 エメリアはあの研究所で行われていたことをなのはに話し始めるのだった。

 

「あの研究所は因子適合者を作るためにエクリプスウィルスの感染源をつかって因子適合者を生み出そうとしていた施設だ。そしてリリィ・シュトロゼックはその失敗作であって、感染源である彼女から因子適合者になれたものはおらず、破棄されようとしていたんだよ」

「なっ!?」

 

 なのははそれを聞いて驚きまくっていた。まさか、あの研究所でそんな事が行われていたという事を知らなかったのだ。

 なのはが驚いているのを無視して、エメリアは話を続ける。

 

「そして、あの研究所に向かった管理局は、多分エクリプスウィルスの感染源であるリリィ・シュトロゼックが誘拐されたとしか聞かされていないはずだ。君はそこにいなかったから分からないかもしれないが」

「たしか、あの研究所は管理局が後ろに付いていたはず。っていう事は本当に!?」

「そういう事だ。管理局はこの場所を含め、そういう人体実験などを平気でやり遂げる。管理局というのはそういうところなのだよ」

 

 衝撃な事実を聞かされ、なのはは驚きを超えて唖然としていた。今まで信じていた管理局に裏切られたように思えたのだ。

 しかし唖然としても、一つだけ気になることがあった。

 

「……どうして、どうしてこんな話を私に話したの? こんな話、私に話す理由なんてないはず」

「確かに本来なら君に話す事ではないね。ただ、私もそれとは別に『裏』である方と一緒に動いているのでね。君でなければこんなこと話してないよ」

「ある方?」

「フィルノ・オルデルタ、と聞けば分かると思うが」

「フィ、フィルノ君!?」

 

 まさかこんなところでフィルノの名前を聞くとは思っていなかったなのはは、かなり驚いて大きな声を上げるくらいだった。

 エメリアはなのはの驚きを気にせずに話を続ける。

 

「まぁ、彼とは利害が一致しているから、共に行動しているだけだがな」

「ど、どうしてフィルノ君があなたなんかと」

「君から見ればそう思うだろうな。けど、私も管理局にはかなりの恨みがあるものでね。今は気づかれないように、一応ここの研究長という表の職に就いているのだが」

 

 そこで一泊おいて、エメリアは話を続ける。

 

「私の妹は、管理局の人間でもたった数名しか知らないある所に閉じ込められてる。いや、監禁されていると言っていいかもしれないな」

 

 そしてエメリアは自分の妹の事を話し始めるのだった――


 
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