「狂気の墓場」
様々な者が闘いを繰り広げるギョウカイ墓場に新たな存在が現れた。
否、正確には帰還したと言うのが正しいのであろう。
ブレイブ・ザ・ハード。
かつてリーンボックスの女神候補生によって断罪された日本一の絶望と渇望が犯罪神に認められ形成された戦士。
今彼は日本一の姿を仮の姿としてとっていた。
変化した点と言えば髪が白くなり瞳が緑になったというところであろう。
その仮の姿をとってギョウカイ墓場に帰還したブレイブを最初に出迎えたのはある意味理解の範疇を超えた光景であった。
「ア―ハハハハハハハハハハハハハハハハハアアアアア―!!」
それは岩肌に雷を放つ槍によって縫い付けられながらも何故か大爆笑するジャッジ・ザ・ハードであった。
「見てみぬふりはできないよね。」
そう言って嫌々ながらも槍の放つ雷に身体を焦がされながらもそれを引き抜く。
槍は引き抜いた瞬間に塵となり消滅した。
「あぁン?てめぇかブレイブ。ひゃアア―!!」
雷から解放されたてもハイテンションのジャッジ。
槍によって空いた風穴、焦げた身体も直ぐ様治っていた。
マジェコンヌ側のシェアが密集しているこのギョウカイ墓場では彼らにとって死の概念等ないに等しい。
「それでボクがいない間に何があったのかなジャッジ?」
「女神達が攻め込んできたんだよ。女神達がな。」
「今、何て言った?」
状況だけを聞いたらジャッジを適当にあしらうとブレイブは決めていたのだが『女神』という単語が耳に入った瞬間その様子が変貌した。
「女神だと!?あぁ女神女神女神女神女神女神女神女神女神!!どこだ!?奴はグリーンシスターは何処にいる!?答えろ!」
自らの髪をかきむしり引き抜き、雄叫びを上げジャッジを血走った目でブレイブは睨み付ける。
まるでそこに自らの命を奪った怨敵がいるかの如く。
「あぁン?誰だそりゃ?んな奴は知らねぇな。」
「彼はボクを壊した。恩人なんだよ。あぁ怨人なんだよ。だから今度はボクが彼を壊すんだよ!」
「そんな事は知らねぇよ!ひゃーははははははははははははははははははハハハハハアァ!!」
「そうかい。それなら仕方ないねぇ。そんな役に立たない無能なジャッジには用はないよ。」
それを聞くとジャッジに嫌味を込めて微笑みながら優しく言葉をブレイブは掛ける。
「ならてめぇ、緑色の女神知らねぇか?」
「生憎だけれどボクは今ここに帰還したばかりなんだよ。知るわけないんだよ。そんな事もわかないのかよジャッジは。」
「そうか。ならてめぇに用はねぇ!!」
同様に役に立たないと感じたブレイブに既にジャッジの興味はなくなりつつあった。
「ひゃッハハハハハアア―!!」
「アッハハハハハ!!」
戦闘の中心から離れた場所にて二人の笑い声のみがこだまする。
「「何が可笑しい!?」」
そして互いの笑い声が癪にさわり各々武器を構えて殺気をぶつけ合う。
「てめぇ新参者のくせに生意気なんだよブレイブゥゥゥゥ!!」
「うっるさいなぁ。ならジャッジ、君は死ぬしかないようだね。」
互いに狂気属性の持ち主の為にそれぞれの言っている事が可笑しな噛み合い方をしてしまっていた。
そしてこれよりこの二人によりギョウカイ墓場の一部の地形を変える程の闘いが始まるのだがこれは
ギョウカイ墓場では日常茶飯事の事なので割愛するとしよう。
「魔剣再誕」
「わ、私一体どうしちゃったんだろう。」
姉を殺され、大切な者を汚されると言われたネプギアは自らにも説明できない程の力を発揮してマジック・ザ・ハードの命を奪った。
「ユウ君は私の初恋の人でそれをあの女の人が……。」
その場にはネプギアしかおらず尚且つネプギアもそれは理解していた。
だが言わずには言えなかった。
でないと自らが他人の命を奪った現実に。
「そうだよ。私は悪くない。悪くないんだよ。お姉ちゃん達の仇を討ってユウ君を守ったんだから。」
寧ろ褒め称えてくれて良いくらいだ。
そう付け加えると自分の中で結末をつけたネプギアであったがそうすると新たな疑問が出てくる。
「あの時の力は……一体何?」
今は黒のプロセッサユニットも紫色の粒子も身体が赤く発光する現象も収まっていた。
「だけどあれは普通じゃなかった。私にはあんな力はない。」
事実ネプギアの実力は女神達より遥かに下。
だというのに彼女は姉達が束になっても勝てなかったマジック・ザ・ハードを殺してしまった。
それは火事場の馬鹿力等で説明がつかない。
つくはずもない。
「でも……何でだろう?あの時の姿。あの時の力。悪い感じはしない。親しみさえ得られる、なにより使い慣れていたような……。既知感を覚える…ような………!?」
思考の渦の中で『既知感』とネプギアがそう呟いた瞬間にまるでそれがキーワードになったかの如く幾つものヴィジョンがネプギアの頭の中を駆け抜ける。
「え……あ、え?」
一つは大好きな姉を自らが殺すところ。
一つは親友でもあった女神候補生を自らが殺すところ。
一つは妹とさえ思っていた双子の女神候補生を殺すところ。
そして一つは心の底から愛し、愛しあっていた恋人であった女神候補生を殺すところ。
「そうだった。私は二回目なんだ。」
そう呟いたネプギアの手には一振りの剣が握られていた。
その剣が何なのかは分からない。
ただそれはネプギアが見た全てのヴィジョンで女神と女神候補生を殺す際に使用されていた剣そのものであった。
「今度は幸せになろうね……ユウ君。」
その言葉に答えるべき人物はここにはおらずただいつの間にかネプギアの手に握られた魔剣が主の帰還に歓喜するかの如く脈打っているだけであった。
「悪夢の始まり」
ネプギアが自らの有り様に気付いたその場に来るべき者ではない存在が現れる。
「ネプギアさん大丈夫ですか?」
「……ベールさん。」
どうしてここで現れてしまったのであろうかリーンボックスの女神グリーンハートは。
「無事のようですわね。他の皆さんはどうしたのですか?」
否、彼女は悪くはない。
ジャッジ・ザ・ハードを下し仲間の助けに入ろうと駆けつけてきただけなのだから。
「………………さい。」
「はい?ごめんなさいね聞こえかったわ。今そちらにいきますわ。」
ただ彼女には魔が悪かったとしか言い様がない。
彼女が後30分早くネプギアの元に辿り着く事が出来ていれば事態は変化していたのかもしれない。
「ごめんなさいベールさん。」
ネプギアの手に握られた剣がグリーンハートの心臓を貫く事などなかったのかもしれないのだから。
ベールside
「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁですわ!?」
意味などない。
ただ一度は言ってみたかっただけなのである。
自分の身体から溢れ出る血液に触れて叫ぶ。
「あぁ、私とした事が何たる不覚でしょう。あの娘まさかヤンデレ属性を保持していたなんて。本当に油断していましたわ。」
既にどこかへと消えたネプギアのあの何も映さない曇った瞳あれはきっとそうに違いない。
「それにしても困りましたわねぇ。このままだと私……死んじゃいますわね。」
血が止まらない。
傷口が塞がらない。
損した心臓が再生されない。
本来ならばリーンボックスの住民達からの信仰によって莫大なシェアが送られてどの様な傷でも治ってしまう不死状態のはずなのだが。
ネプギアによってつけられた治癒しないという状況なのであった。
「察するにあの剣に何か秘密がある……と、言ったところでかはっ!!」
せり上がってきた血液をたまらず吐き出す。
段々と目の前が真っ白になっていく。
「まだ、ですわ。まだ死ねませんわ。弟の貞操を奪うまでは!」
立ち上がろうとしても手足が動かない。
どうやら血を流しすぎたようである。
最早私はこれまでなのか?
「ここで死ねば小娘どもにメインヒロインの座を……!くっ、無念ですわ。」
心臓の鼓動さえも弱くなっていくのを感じる。
そして目の前がさらに真っ白になっていくそんな時……。
「何という意地汚さでしょうか。ですが死なすには惜しい意地汚さだ。その意地汚さを少し利用させてもらいますよ。」
意識が途切れるその瞬間に私の瞳には軽薄そうな笑みを浮かべた神父服を着た長身の男が映った。
ギョウカイ墓場侵攻作戦の結果報告
プラネテューヌ女神パープルハート生死不明
プラネテューヌ女神候補生ネプギア生死不明
ラスティションの女神ブラックハート生死不明
ルウィーの女神ホワイトハート生死不明
リーンボックスの女神グリーンハート生死不明
キャラ紹介
ブレイブ・ザ・ハード
髪の毛が真っ白になった日本一。
cv 環有希
正義を語っていたが今では騙っているだけの無茶苦茶な偽善者。
某黒聖杯的な正義を困っている人々に押し付ける。
グリーンシスターが関わってくると狂気が発動して大変な事になるめんどくさいやつ。
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女神殺しの魔剣はいまだ死なず、世界の垣根を越えて主に帰る。