No.459068

ワルプルギスの夜を越え 5・誅罰の時

土屋揚羽さん

最強で最悪と呼ばれたワルプルギスの夜
彼女はどんな人だったのかな?そんな妄想小説

2012-07-25 13:37:32 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:523   閲覧ユーザー数:523

ヨハンナは最初にそれが現れた時、眠りも浅いままで祈りに参じた自分が呆けだと考えていた。

それは一本足の真っ黒な鳥、のような生き物?

一目で解るほど既存の生き物でない形が呆けに拍車を掛け、それを拭うように目の下を手の甲で何度もこすりながら、祭壇へ向かう道を行く奇妙な群れを見つめた。

跳ねるカラスのような者達に目はなく、くちばしの中に針山、いや石を砕いて並べたような硬い歯のようなものが見えていた

羽ばたきもしない滑稽なそれは一本足で跳ねながら、光の欠片を口にくわえて運んでいた

蟻が並ぶように一列に並んで跳ねる群れが石床の道続く聖堂の少し前に立つ聖柱に向かっていく姿に何度めか目をこすると

 

「何?これ?」

 

少しずつ冷める感覚、体に伝わる冬の風によってこの異様な空間が触れられる現実のものであると知ったのは、石のくちばしが自分を啄んだ痛みによってだ

 

「痛い………痛いですよ………」

 

二の腕付近に噛み付いたそれを振り払って立ち上がると、体には危機が迫っているという痛みの信号が頭を目覚めさせる半鐘となって鳴り渡る

小麦を叩く石の山縁のような口が真っ赤に開き、急にヨハンナに向かって走り出し、いや飛び跳ねて殺到し始めた大口のカラス達

我先にヨハンナの肉を引き裂こうとする顎の鳴き声に体はすくみ上がり、走るよりも遅く歩く足に力が入らない状況で叫び声を上げた時だった

 

「ヨハンナ!!私から離れないで!!」

 

凛とした声は、殺到する魔物達の間を割って軽々とヨハンナの体を持ち上げると、一足飛びに反対側の縁まで飛んだ

自分の足が地上から離れ、浮遊する感覚に目を回しながら体を掴んだ相手の顔を探す

 

「イルザさん………これ、どうなって」

「しっかり付いてきて、魔女を打ち払うわ!!」

 

着地し先に下ろされた場所に、へたり込みそうだったヨハンナの背中をイルザは叩いた

「死にたくなかったら走りなさい!!」

「はっはいぃ」

 

叩かれて、つんのめるように走るヨハンナは自分の前を行くイルザの姿にも目を回していた

昼間会った時とはまるで違う姿。黒一色だったフード姿とは違う美しさに

春の小川を思わせるhellblau ヘルブラウ(青)をメインにした肩掛けのマントと、それをまとめる金糸の惣に止め石。青い宝石の周りは金細工が施され、細く長い首を飾る白いレースのシルバーのボタン

昼間はまとめ上げていて見る事の出来なかった黒髪は、一つ一つが美しい曲線を描くように舞い両耳を飾る青い石のピアスを引き立てている

騎士が馬を駆る時に着けるロングブーツの口も贅沢に二重のレースで飾られた美しさ

落ちぶれ騎士の娘と本人は言ったが、騎士の正装というのはこんなにも美しいものなのか?

厚ぼったい自分達の服とは雲泥の軽さを見せる絹のライン、ひらめく膝丈のフレアスカートにも驚きながら必死に走った

 

「あれは………あれはなんですか?」

 

懸命の力走の中ヨハンナは色々な事に目を回していたが、一番気になっていたことを上がりきった息の中から声を絞り出して聞いた

歪みを激しくし、崩れかかる壁を避ける

光の欠片の中を縫って走るイルザは、へたり始めていたヨハンナの手を取ると

 

「あれは使い魔、魔女の僕よ」

 

もっと走れと叱咤を返す

檄の目が見る答えにヨハンナは、振り返った。追ってくる者達を一度見て頭を振って

魔女?

使い魔?

追いつかれそうな自分と、追いつかない考え

 

「ここはマリア様の教会ですよ」

「そうね、私も驚いているわ」

 

教会、信心の社ともされるここで魔を冠する者が現れるなど考えられなかった

息を呑んだ顔で自分達を追う者をもう一度見る。怪しいカラスのような黒い姿に一本足と禍々しい赤い口

聖人を祀る場所には程遠い存在を目の当たりに

 

「あれは、鳥なんですか?なんで、どうしてこんなところに?」

 

聞きたい事と考えがまとめられないまま一緒に口に出た瞬間

イルザは動揺激しいヨハンナの手を強く引き抱き上げると上に飛んだ

周りの歪んだ景色は箱庭のようであり、全部の壁がグラス張りにも見える

鱗のように壁に並べられた菱型のグラスは所々が抜けており、そこに足をかけてイルザは一足飛びで歪みの屋根に乗るように垂直に走った

 

グラスの壁を突き破る膂力にカラスのような生き物たちは一斉に奇声の雄叫び挙げた

ヨハンナはイルザにぶら下げられた形のまま、追ってくる者達の赤黒い口に涙し耳をふさいだ

 

「助けて!!助けて!!マリア様!!」

 

涙で祈る先にいるのは獣よりも恐ろしい何かだ

黒い姿は塊になって壁にぶつかると、ぶつかった者の背に乗る形でドンドンと積み重なり山のようになっていく

イルザが走る壁を一本足の彼らも、跳ねをばたつかせながら迫る

 

「助けて………助けて」

 

突然の怒濤に混乱の度合いはより深く、意識は散漫になっていくヨハンナは、救いの願いばかりを繰り返し目を閉じていたが、イルザはそうはしていられない、左手で抱えていヨハンナを、人一人を走りながら上に向かって掬い投げした

 

「黙ってなさいよ!!舌噛むわよ!!」

 

一瞬で自分の体を支えていた腕を失ったヨハンナは宙で目を開ける

下になったイルザに手を伸ばして助けを乞うが、イルザは背を向けていた

壁に刺さった軸足を回し追ってくる使い魔達を正面に睨むと手をかざした

 

「魔は魔に帰れ!!」

 

絹の手袋の真ん中に集まる光、両手を胸の前で軽く合わせて広げる

手の動きに合わせて形は具現化する。赤き剣がハの字を描く裁定者の紋章*1

それを掲げた銀色の大きな盾が出現する、一見で分かるほどにとても人が持って立つ大きさではない盾はイルザが乗る事で小さな船のようにも見えたが、迫る魔物を潰すには当を得たサイズだった

落下の勢いがついた盾は殺到していた使い魔達に次々とぶつかり、真っ逆さまに落ちる

使い魔を圧殺していく盾はガラス張りの床に一直線に降下した。

硬い銀の盾とガラスの狭間、禍々しい羽根の化身は圧迫され互いを練り潰し絶命していった。

 

一方でヨハンナは上部側で鍋の縁のようになっている場所に投げ落とされていたが、すでに自分自身が何をしていいのかわからず、上からイルザの戦いを見るだけで精一杯で

落ちた衝撃の煙の中に光る一輪の青き花を、ただ見つめて胸を押さえていた

 

粉砕した煙の中から姿を現したイルザの手には鋭い切っ先を持たぬ剣が握られていた

リッツシュヴェールト Richtschwert(斬首刀)*2

平の刃筋に細かい装飾と、盾に描かれた文様を刻んだ剣を両手に叫ぶ

 

「さあ!!誰から最後迎えたいの!!」

 

トドメの剣である斬首刀を手の上でクルリと軽く回す

普通の剣より重量があり、相手の首を一撃で狩るために特化された姿は葬送の装飾も合わさり恐ろしい輝きを見せる

 

しかし黒い使い魔達には言葉は通じない

光る剣のまえで口を並べ、肩にある羽根で威嚇する、塊は嵐に揺れる山の木々のように折り重なり、次々と空くことなく殺到する

 

風を揺らす怒濤の中でイルザはまたも手を合わせて開く

瞬く間に重なった盾は並び、一本足の不気味な羽根達にぶつかる

円陣の配置に立てた盾の中心を陣取るイルザは一方の盾をドアの開けるように消すと、狭くなった入り口に倒れ込む使い魔の首を次々に打ち落とし、盾を閉じる

計算された陣形の中心で刀を振るって舞う

 

「聖処女たる私に触れようなどと、汚らわしい魔女の眷属め!!」

 

輪舞曲の騎士は魔物の赤い口を横一線に抉り、黒い羽根を引き裂き、一本足をなぎ払う

海の波のように何度も押し寄せた使い魔達はあっけなく斬られ、藁くずのような屍を憤死の星屑と散らし姿を消していく

一刀の下に消える使い魔だが、イルザの疲労は額に現れていた

真ん中で分けた黒髪の奥に見える白い額に汗が浮かぶ………圧倒的に多い数に

 

「きりがないわ………」

 

何度もの襲来を方開けでこなしたイルザは中央に戻ると手を平に、刀を滑らすように水平にして一回転、体をクルリと舞わした

一斉に倒れる盾は、紋章の頭をイルザの側に、尖った先を羽根達に向けて勢いよく回転した

並べられた円形にそって凄まじい早さで回る盾に、使い魔の体はボロぞうきんを鉈で裂くように細切れの物体に変えていく。

ぶつかり合う激しい音の中からイルザはヨハンナのいる場所に飛んで帰った

 

激戦の場を大口をポカンと開け放ったままのヨハンナの頭と口を押さえると素早く身を隠す

下では回っていた盾が消え、使い魔達は四分五分に散り散りになったまま残った者達が顎をうごかし敵対者をさがしていたが、上を向く者のはいなかった

 

慎重に、縁から使い魔を見ていたイルザは、自分の手の中で震えているヨハンナに

 

「静かにして………あれはまだ私達が見えているわけではないの………あれは私達の声を追っているの」

 

きつく尖った目が、余計な声を出すなと気迫を伝えると口から手をどけた

ヨハンナは混乱していたが、手をきつく合わせて信心によって自分を保たせると、小さな声で聞いた。何もかもが初めて見る物で話をしていないと不安を払えない

下がった眉のまま、追跡を止め下に動く黒い影、グラス細工を運ぶ獣を見て

 

「あれが魔女なんですか?何か羽織っているんですか?」

 

震える唇で聞く

あまりに人の形を外れた獣の姿、日頃聞かされている魔女の形とは違い過ぎているし、人ではないものを羽織っている悪魔の儀式にも見えた

下に群れる赤い口に戦きながら身をすくめるヨハンナの問いに、イルザの目は何かを探すように忙しく動かしたまま答えなかったが、代わりに答えた者がいた

軽く、抑揚を押さえた声は頭に響いていた

 

「あれは使い魔、魔女はまだ産まれてないよ」

 

目の前に降りた白い物体

思わず叫び声を上げそうになったヨハンナの口を引っぱたくようにイルザが強く押さえた

顔には怒りにちかいもの、額に走る亀裂を浮かばせ勢いはあるが声は聞こえない

白い狐とも狸ともつかぬ生き物に向かって発せられた言葉はヨハンナの頭の中にもう一度大きく響いた

 

「キュゥべえ!!何処に行っていたの」

 

片手で強く押さえられたままイルザと相手を目だけで追うヨハンナ

キュゥべえと呼ばれた真っ白な生き物は大きな同色の白い尾を振って軽い足取りを着地させると小首を傾げてみせる

 

「イルザ、君と同じだよ。お嬢様の宝石(Schmuckシュムック)を追っていたのさ」

 

真ん丸、工房で焼かれて初めて窯から出されたグラスのような赤い眼を持つ彼は、反対側に小さく首を傾げ

自分の姿に驚き、さらにイルザに押さえ込まれたままで身動きも敵わないヨハンナに挨拶をした

 

「初めましてヨハンナ、ぼくの名前はキュゥべえ」

 

周りの状況に揺れない声でしっかりとした挨拶をした

 

「キュゥべえ………はい、頭に………」

「そう君の頭に話しかけてるよ。声を出すと………あれに気が付かれるからね」

 

目の前に座ったキュゥべえは、下を歩く黒い使徒の行軍に注意と耳を動かす

 

「安心して僕は下のヤツらとは違うから」

動物特有の親愛の情を見せて尻尾をふる

「キュゥべえさん、ここは教会です。貴方はマリア様の使徒なの?」

隠れた壁にもたれる、というよりまだキュゥべえの存在をどう見ていいのか解らないヨハンナは自然と距離をもちながら頭で聞く

 

「マリア様の使徒ではないよ下のヤツは。あれは魔女眷属だから。僕はあれとは違う。君の友達だよ」

 

抑揚の弾みが薄い声は、それでも子供が会話をするように少し高めの音で答える

相手が小さく子供のような声である事でヨハンナは少し心を落ち着けたが、逆に落ち着かない声を響かせたのはイルザだった

 

「キュゥべえ、アニムス・ゲンマ(ソウルジェム)*3は………やっぱり無くなっていたわ。もうお嬢様も姉様も助けられないわ」

 

ヨハンナが耳を疑う程、驚くほどに湿った声だった

今、ここで荒々しく戦っていた姿とはかけ離れ過ぎた声

貴族に従う侍女であり、騎士の娘という姿をしっかりと見せていたイルザからは考えられないような涙声で

 

「ここまでやってきたのに………この上、魔女だなんて………」

 

逆に表情の変わらないキュゥべえは、態度でそれを見せる。頭をうなだれ悲しみを表して

 

「残念だよ。本当に………イルザ、それで今はどうするの?ここから逃げるの、それとも魔女の卵を探すの?」

「魔女の卵?まだ産まれてないのよね………」

「そうだよ、この魔女はまだ孵化してない。それこそ今、魔女を誕生させるために使い魔達が忙しく働いている」

 

二人の会話を聞くヨハンナ

「魔女が誕生するのですか?赤ちゃん………なんですか?」

解る部分で話に加わろうとしたが、イルザはそれを遮った

いちいち説明などしていられない、余裕を欠いた態度でキュゥべえに詰め寄る

 

「あれは前に見た事があるわ、あれは………強い魔女になる。そう鏡の魔女に、とても私一人では戦えない」

一気に言うと、キュゥべえを正面にしたまま一瞬ヨハンナの顔を見る

 

「キュゥべえ、魔女は後どのくらいで産まれるの?」

厳しい表情が、キュゥべえを見つめる

長い耳を持つ紅眼のキュゥべえは何度か首を傾げて

 

「長く見積もっても後3日だね。使い魔達が誕生のために活発に動いている、それも数を増やして、強い魔女というのならばなおさらに」

 

目の玉の動きさえ理解しかねる表情は淡々と告げる

 

「今探し出して、潰してしまうのはどうだろう?」

「それは無理よ、使い魔達が活発なのは魔女のためでしょ。今でさえ数が多すぎて倒しきれないのに、魔女の誕生までまだ増えるのよ。そんな中から魔女の卵を探しだすなんて………それに、私は………」

イルザの苦い顔をヨハンナは不安のまま見つめていた

 

「でも、産まれる時を止めることはできないよ」

 

キュゥべえは淡々と話し合う

ヨハンナは、その間で揺れる尻尾を見て、イルザの苦しそうな表情を見て自分の知っている事が何もない事に焦りながら、胸を押さえるイルザを気遣った

 

「大丈夫ですか?お怪我………なさってますか?」

 

口をきつく結んだイルザはヨハンナの顔をもう一度見た。何か言い出そうとする口は何度目かの息を呑み、押し黙ったまま首を振った

 

「アルマに手伝ってもらおうよ、この地の聖処女に助力を得るのが一番だよ」

 

考えに深く顔を沈めていたイルザにキュゥべえは言った

 

「独りで無理ならばそうするがいいと思うよ。近隣随一の聖処女だし」

「キュゥべえ!!」

 

頭に響く会話のトーンが高くなり、同時にイルザはキュゥべえの顔を睨む

同じく響いた声に驚いたヨハンナだったが

 

「アルマ………アルマが聖処女?って、何ですか?」

 

もっとも親しい名前、尊敬する家長であり孤児達の姉であるアルマの名前に二人の顔を交互に見た

イルザは眉間に皺を寄せたままヨハンナの肩をつかまえると

 

「落ち着いて」

続けて語ろうとはしなかったが、キュゥべえは語り続けた

 

「アルマはこの地の聖処女、魔女を狩る者。君達がこの町で安全に暮らせたのは彼女の力に依るところが大きいんだよ」

 

小首を傾げる赤い眼に、困惑の顔色で口元を押さえていたヨハンナは聞いた

 

「知りませんでした………アルマがそんな事をしていたなんて。イルザさんと同じ………そういう事なんですよね」

魔女を狩る者。今、目の前で戦ったイルザの姿を見つめる

美しい戦いの装束をまとう騎士の顔には苦悩が満ちていた

 

「そうね、私と一緒よ。アルマはこの町の聖処女。私や、お嬢様と同じくアニムス・ゲンマを持つ者」

探していた卵の形を指で示すと

「あの宝石が聖処女の証なの、それを持つ事で力と加護を得られるの」

「だから、アルマは持っていなかったかと………そう聞いたんですね。どうして最初にそう言ってくれなかったんですか」

「アルマが貴女達に告げない事を私が教えるわけにはいかないでしょ。貴女の家長のする事に対して私から告げる事などないのよ。口出しはしない………それを守っただけ」

 

正しく相手を敬ったイルザの返事に、ヨハンナは恥ずかしく思った

なにより、自分が尊敬していた家長が町のために魔女を狩っていた事を初めて知り、自分が危機の隣にいたにもかかわらず安穏と過ごしていた事を恥じた

 

「私に何か出来ることはないんですか」

居てもたっても居られない気持ちが、本物の声となって懇願した

家長アルマがいない今日この時に自分が役に立てない事を悔やんだ思いだったが、言葉の半分で口はふさがれた

 

「静かにして、貴女にできる事なんてないわ。静かにしていてくれる事が大切なのよ」

 

下でうごめく羽根の魔物達に警戒する

 

「じゃあアルマを待つんだね」

口を押さえられたヨハンナの前でキュゥべえは聞いた

「待つわ今はそれしかない。ヨハンナ、アルマは明後日には帰ってくるのよね」

立ち上がり、暗闇の側に歩くイルザはヨハンナの手を引きながら聞く

 

「はい、明後日には。そんなに長く休めませんから」

 

役に立てない。現状では何にも使えない自分に悲しい思いを募らせ俯いたまま従うヨハンナは、肩を落としたまま従う

その姿にイルザは小さく

 

「ヨハンナ、役に立とうなんて思わなくていいの。この職務は辛いのよ、そんな者に貴女がならなくていいようにアルマも黙ってきたのだわ。貴女は貴女のまま、そのままでいいの」

 

引く手をもう一方でかるく叩く

 

「貴女の信心は、アルマによって遂行される。それでいいの」

 

励ましを与えるイルザの背中を、それでもヨハンナは悲しげに見ていた

誰にいうでもなく

「でも………」

小さく唇を噛む姿を、キュゥべえは後ろから静かに追っていた。

 

 

 

 

 

うごめく森、木々の枝は獰猛な蛇のように変化をしていた

 

「アルマ………この全部が魔女?」

 

火打ち石を握りしめナナは震える足でアルマと走っていた

一瞬で紫色の闇は墜ち、火を囲んでいた男衆(おとこし)達と見えない壁を作っていた

火が見えないという事は結界は深くうねってみんな飲み込んだと言い切れた

魔女が作り出す結界は、魔女が固有する思いから構築されている

深く屈折した洞窟のような闇と、充満する木の枝。

森にすまう者達、マリアの意思に準じない土着の者達を思わせる怪奇な状況の中でアルマは毅然としていた

 

「これは結界。魔女はこの先にいるわ。ナナ、恐れないで。私から離れないようにして」

 

すでに光の変化を終えた煌めくドレス姿でナナの前を行く

凛々しい後ろ姿にナナは後れを取らぬ世に駈けていく、羨望の眼差しと一緒に

青を基調としたドレス、コルセットの上側に添うファージンゲール*4は貴族の着けているわざとらしいものではなく、中空に腰回りを覆うように綺麗にフィットしアルマの美しいボディラインを際だたせていた。

継ぎ接ぎだらけで分厚くなった普段着姿をしていても、中身のアルマは美しい。

誰の目からみてもただの農場女とは一線を画するアルマの姿だが、魔女を狩る者として与えられた力に包まれた姿はアクアマリン。宝石そのものだった

 

赤毛を覆うフードは透明感の高い絹

そこから見える青い眼は強い意志で向かってくる使い魔達を威圧していた

群がる魔の枝をものともしない光を手の甲から発して。光は結晶の刃となり枝達を刻み刺し殺していく

 

「グラス・マレライ。聖母マリアの光の前に屈しなさい!!」

 

なすすべ無く獰猛な枝は枯れて砕ける

力なく灰に帰って行く枝達の勢いは最初よりずっと落ちていた

まるでアルマを恐れて身を引いていくように、神々しさに息を潜めていた

 

「ねえ、アルマ…アルマはどうして聖処女なんかになったの?」

 

前を歩く綺麗な背筋にナナは顔を伏せて聞いた

振り向いて顔を見られる事を心底恐れる質問だったから、なんかに…なんて

ナナのそういう物言いを敏感に感じ取ったアルマは、一瞬息を詰めて自分を冷静にさせると警戒しながら幼い妹の横に立って歩を止めた

 

「私は選ばれたのよマリア様に、この地を魔女から護りなさいと…」

 

おきまりの返事にナナは小首を緩く振った

「そうじゃなくて」

「そうよね、そういう答えが聞きたいんじゃないのよね」

相手の反応に応じてアルマは膝をついた。背の低いナナに視線を合わせると

 

「本当の理由…リーリエ以外に言うのは初めてよ。私ね…」

前髪に隠されたナナの目を見つめてから、枝に隠された洞窟を見上げる

 

「空が見たかったの、本当の」

「本当の空?って?」

「空の色、私ね、リーリエが言う空の青さや月の輝きが見えなかったの」

装飾された手で自分の頬を覆う

指先だけで目を差すと

 

「色ってものが私の目には見えなかったの」

 

言葉無く固まるナナ、初めて聞いたアルマの真実

アルマは色盲だった

産まれた時から。世界に色がある事を知らなかったと告げた

 

「ずっと世の中は黒と…灰色で出来てると思っていた。おかしな話でしょ、聖書の中で神は言っているのよ「花を愛でる時の色」「空や星」古史に出る祭司様が飾る胸の石*5の色。世の中には色がある事を神様が教えてくださっているのに…私にはなかったの」

 

色のない世界

アルマは、自分の目に色が写らなかった事を隠してきたと告げた

 

「でもね、隠しきれなくなったの…私が羊小屋の家長になるためには夜を歩く必要があったでしょ…ダメなのよ、夜なんて私には闇は闇で深い黒で、本当に何も見えない世界になってしまうの」

 

必要とされる者としての苦悩

夜を動けないのは致命的でもある、程度は習慣で身につけてやってきたとしても、それでもナナは気が付かなかった

普通に夜を歩いていた姿を良く知っていたから

 

「そんなの、全然気が付かなかったよ…、だって夜も普通にしていたし」

「町中ならば慣れもあるけど、外はそうはいかないし……でも私の隣にはリーリエがいてくれたから」

 

言われて思い出す。何をするにも二人は一緒だった

リーリエはナナ以前の羊飼いだった。アルマに求められていた羊番を彼女が請け負い助けた

冬は夜が早いため外を歩けないアルマに変わって多くの仕事をした

外仕事の多い身だったが、町に帰れば必ずアルマと行動を共にし、自分を心配する者に外の話をして和ませた。

陽気でおしゃべりで、悪戯好きのリーリエ

 

「リーリエが居てくれて私はすごく助かってた。でもリーリエがいたせいで私は色が知りたくなった。春の小川や碧い水、山にかかる雪の白さ、森を彩る緑と赤白黄色色々な花。他の人に見える色が私も欲しかった。だから願ったの、私の目にも色が見えるようにしてくださいって。そしてその願いを糧に私は町を守る聖処女になったのに」

 

土産話の中にある色を心に思い浮かべていた日々、その願いを叶えた経緯に

ナナは自分の前髪を押さえながら小さく頷いた

 

「そう…そうだったんだ」

「初めて町の色を知った時は泣いたわ、うれしくて。町はこんなに綺麗だったんだって………だから町に暗闇を連れて来る魔女を許さない。町を守る理由はそれだけでも十分だけど、この職務を得て、魔女の悪行を狩る事で町が平穏になり羊小屋のみんなも平穏に暮らしていける事を知った。だから私はマリア様に選ばれた事を誇りに思っているわ」」

 

強い家長の発言にナナは苦笑いを、口元だけを卑屈に曲げて見せると声を出して笑った

 

「アハハハ、すごいやアルマ、私は願いが叶ったとしてもそんな事まで出来ないな。自分の事だけで頭の中がいっぱいになっちゃう。人の事なんてどうでもよくなっちゃうよ」

 

輝ける存在であるアルマの前からナナは身を引いていた

遠すぎる、願いに準じてそこまで町をまもるなんてできない、その思いを素直に零した

 

「私はさ、ずっと虐められてきて…今でもやっとで生きてるのに…私のような卑しい者に奇跡があれば、町の人はこぞって酷い事をしにくるよ。それで私は頭にきて…魔女より町の人を滅ぼすよ」

 

両手で火打ち石を握った細い肩が震えている

不幸比べはしない羊小屋の仲間達。でも口を開いて言えばみんなそれぞれに辛い生い立ちを持っている

その中でもナナは格別の侮蔑と迫害の中で生きてきた

もし誕生の時に付けられた欠損を願いで消すことが出来たとしても…良い事などないと思い詰めた言葉にアルマは目を細めた

 

「正直な話、羊小屋の仲間は大切だけど…後の人なんてどうだっていいんだ。私が町にいる事を災いだなんて言うんだよ。そんな人達が魔女に食われようが…滅びようが、それこそマリア様に祈って助けを乞えばいいじゃないかって…。マリア様の力を頂いても……とてもアルマみたいにはなれないよ、私を聖処女にしようなんて大きな過ちだよ」

 

卑下の笑みは苦しそうに俯くと

 

「よかった。願い事一つでそんな大仕事はこなせないって事がわかって…………ごめん最低で…」

 

言うだけ言ったが、現実として職務を果たすアルマには悪いという思いを持っている

首を何度も振る

アルマは正しい、選ばれた者だと小さな声で伝えるナナを優しい手は抱き寄せた

 

「貴女は最低なんかじゃない。仲間を大切だと想ってくれるから外の仕事をしてくれるんでしょ」

 

引き寄せて、逃げようとする心を押し込めたナナを抱きしめる

 

「外の仕事は危険がいっぱい、町の中で働くよりずっと大変な事だわ。それをしてくれる、教会の羊に休息を与え安全に預かってくれてる。ナナがそうしてくれるから町の人達はエラやシグリと良い関係を持てる。ヨハンナが教会の中の仕事をして、ロミーが小屋の中の仕事をして、みんなが安全に働ける。それだけでも町の暮らしを良くしているのよ。だからこそ聖処女になって欲しかったと本気で思ったのよ」

 

息を止めて、心にある言葉をしっかりと伝える間を取ると

 

「ナナ、貴女のしてくれる事で私達は平穏を頂けるのよ」

「私のする事で?」

「そう、貴女がしてくれる事が私達を、ううん、町を助けているのよ」

 

信じられない言葉だった

でも相手が尊敬する姉、我が家の家長でもあるアルマの言葉には重さがあった

重くて……暖かい気持ちを感じられた

 

「私が……いてもいいのかな?」

 

疎まれ続けた自分が、町に居てもいいのかと

ナナの気持ちは揺れて、それでも確実に仲間と共に居たいという思いに溢れた

 

「私……」

「……お出ましね」

 

二人が絆を確かめ合ったのを待っていたかのように強いく濃い闇を纏った風が吹き荒れた

渦巻く木立の姿はムチのようにしなり

刃物のように鋭い音を響かせた風は一気に二人との距離を縮めた

向かい風なのに、強く引っ張られる力

ナナを抱きしめていた手は、光を握りしめて立ち上がった

 

「ここにいて……魔女を討ち滅ぼすわ!!」

 

怪異にして尊大なる魔女の間に二人は一気に引き寄せられ、その恐るべき醜い姿を見た

うねり曲がった木の枝を髪のようにした円形の物体

人間の頭だけがそこに存在する形には、醜い姿を隠す為なのか対照的な程に美しい花が枝の隙間を縫うように咲いている

正面の大きく凹んだ二カ所に目はなく、暗く渦巻く空洞が見えるのみ

 

「醜いわね……魔女は得てして醜い。そして許し難い」

 

火打ち石を両手に構えながらも震え腰が退けているナナの前を、両袖につく光りの弾から刃を現して進む

 

「さあ、誅罰の時よ。町に闇を連れて来る者を私は許さない!!」

 

ナナを後ろに下がらせたアルマは真っ直ぐに走る、足下に煙りを巻き上げる早さで魔女の顔面とおぼしき部分を蹴り上げた

朽ち木に覆われた顔面の顎に相当する箇所は破砕され、唇の奥に黒く尖った歯のような立木が見える

 

「その口で人を食うなど!!」

 

魔女の前で蹴りから一回転、スカートの花びらは舞う

両手の袖口に付く光の石から、輝きの刃が幾重もの礫となって飛び出し枯木に飾られた毒気の強い色の花が次々散らされていく

散る花に対して魔女は声をあげた

声としか現しようがないのだが、口にみえる立木の歯をガタガタと揺らして、暴風のごとき濁り軋む音を鳴らす

枝に残る葉を落とすが、直後にそれは風を斬って雨間を目指す

アルマの光の飛礫と同じく、飛来する刃となって

 

腹の底を叩くように響く音の中、アルマと魔女は互いのテリトリーを切り崩しぶつかり合った

障害となる枝をチーズを切るように削り取る光の刃

飛礫となり葉を落とす攻防

凛々しい背中をナナは自分に飛ぶ、葉っぱの欠片を祓いながら見ていた

美しい円弧の足裁き、アルマの攻撃は芸術だった

まるで都会のカリオン塔にある、歯車の踊り人形*6のよう。魔女の攻撃をヒラリと回転してかわして、魔女を形作る朽ち木を切り取り、えぐり破砕していく

人の頭部をもした禍々しい黒い朽ち木は激しい攻撃に形を維持できなくなっていた

 

「すごい!!」

 

ナナは羊飼いの杖で飛ぶ葉を落としながら目を輝かせていが、魔女の顔面の中、目に相当する窪みに赤い何かを見つけた

 

「アルマ!!何かあるよ!!穴の中に」

 

杖を傾け窪みを示す

大抵の魔女は何か一つの物を宝としている。人目から見てそれは宝物とは言い難いのが多いのだが

魔女を狂わせる最大の弱点でもあり、所滅を促すための必需品である事も多い

アルマも長い戦いの経験から直感的にそれを潰す事が大切と考えていた。ナナの発見の声に合わせるように顔面の鼻をそぎ落とし足場を掛けると窪みに光の刃を向けた

 

「?!!」

 

後一歩踏み込めば魔女は消滅、いつものように霧散化するだろう景色へ流れるように連なった動きはそこで止まってしまった

穴の中を覗き、刃を構えたまま時間をとめたアルマは呆然としていた

いやナナの一から見ても解るほどに両肩が震えている

 

「アルマ!!!」

 

一瞬だった。一瞬穴の中の何かに意識を奪われたアルマの足を魔女の触手である枝が絡め取った

ロングブーツの足を締め上げるように絡めた枝を前に

 

「どう……」

 

アルマの口は半分開いたがそれ以上は声になっていなかった。苦痛を最大限に示す絶叫

短い停止だったが、魔女にとって十分な反撃の時になっていた

アルマの立っていた位置は近すぎた、絡められた足をほどこうとした腕

肘から先、光の石が付く袖口を引き裂くように腕ごと枝は絡み、そのまま真横に引っ張り抜かれ、アルマの体から両腕がもぎ取られていた

案山子のようになった体が魔女の起こす風に揺れる

枯れ木の山だった魔女の顔面、その口元におびただしい血が注ぎ、吸血の宴に狂う顔は大きく口を開いていた

 

「アルマ!!!!」

 

ナナの叫び、次に見えたアルマの姿に上半身はなかった

あの美しいスカートを持つウエストラインと、枝に絡め取られた足だけが生えていた

草のように

溢れた肉の塊は、ドロのように残された体を這い出し青色の衣装は真っ赤に染め変えられていた

 

「アルマ……アルマ……」

 

残されたナナはアルマの顔を探していた

あそこに揺れるのはアルマではないと思い込んでの行動だったが、名前を呼び近づこうとするナナの前で魔女は吠えた

吠えたというより洞窟化している空間を割るほど大きな絶叫?暴風を吹かせナナを吹き飛ばしていた

 

遠くなる惨状、ひたすらに手を伸ばすナナの前で終劇の幕は黒く下ろされてしまった

 

 

 

 

紫色の闇は晴れ、月の光が見えたときナナの耳に男達の声が遠くに聞こえた

口々に仲間を呼ぶ声に、同行の物達の何人かが魔女に狩られたのはわかったが、そんな事に気を遣ってはいられなかった

 

「アルマ……」

 

ナナは牧者の杖を投げ捨てて、目の前の草むらを這った

四つ足を着く動物のように懸命に、闇に隠されて倒れたアルマを見つけようと這いずり回り泥を被り蜘蛛の巣を食うように地べたを探し草むらの影にある指先に気が付いた

 

「アルマ!!」

 

冷たい指先を掴む

そしてその手の軽さに涙が溢れ、声を出して泣いた

アルマの手は、肘から先の部分しかなかった。もうどこにもアルマの体はなく、ただそれだけが残されていた

ナナは残された手を抱いて

 

「アルマ、返事して!!戻って来て!!!」

 

ドロに汚れた頬に涙の軌跡が幾重にも残った顔を月に向けて叫んだ

自分を助け、慰め、勇気をくれた優しいアルマの手が冷たく嗄れている事を恐れ

何度も指先を撫でた

この手が触れてくれた、与えてくれた愛情は魔女に千切られ砕かれ闇に消えてしまった事に震え地面に伏して泣き叫んだ

 

 

後書き

戦闘は書くのが大変でした

 

注釈コーナー

相変わらずダラダラ書いてますが、よかったら添え物的な感じで読んでくだんせー

 

*1 赤き剣がハの字を描く裁定者の紋章

 

有名な十字軍にでる盾のマークですが、地方や参加騎士団によって扱いがかなーり違う

イルザの盾のマークの基本は北方十字軍のもので、参加すれば貰えたマークwww貴族や騎士は家紋があるのでそれの袖に書き足す程度だけど、何もない傭兵上がりの騎士にとっては名誉の印でもある

「おれ、十字軍に参加してたんだぜー。おまえ何中?」ぐらいの博ツケにはなった

基本は剣がバッテン交差をしている赤字のもの、誰でも貰えるというのもあるためバージョンは多いが八の字の紋章は裁定者、つまり裁判官の剣技者というもので特別

要は死刑執行人のマーク

裁判は公正であるべきという形からハの字の剣は「天秤」を現していて、イルザの父が死刑執行人だったという事がわかるが、これはイルザの願いからきている

無職に近かった父を公職(当時の死刑執行人は、いわゆる国家公務員で地位はそれなりに高かった)につける。没落騎士の身から父を救うというのが彼女の願いだった為、具現化された盾にそのマークが付いているという事

 

*2 リッツシュヴェールト Richtschwert(斬首刀)

 

西洋の刀は色々な種類があり、用途の分別も多い

陸続きだから文化交流によってあたらしい形が作り出されたりと騒がしいw

この剣は切っ先がない、死刑執行人は相手の首を落とすのが仕事、なので相手を刺すという事はないだから切っ先はなく平打ちの剣に仕上がっている

特徴的にヘッドの方が若干重い

これは首を一刀で切るため重さが必要とされたから

さらに凶器であるにも関わらず、剣の中程に聖句(聖書の格言)やら処刑に対する裁判所のポリシーが書き込まれていたりする

どちらにしても人の首を刎ねるというのは気の重い仕事だった事だろうと思われるが、時代的に首切りをするものはそれなりの尊敬も得られたし、綺麗に切る人は死刑囚にも人気があった

逆に下手だと大衆から貶された(公開処刑が基本の時代ですから)

 

*3 アニムス・ゲンマ(ソウルジェム)

 

ソウルジェムのラテン語読み

たぶん少し意味合いが違うけど…まー許してwww

上の宝石についてはドイツ語だが、なぜこっちはラテン語かというとローマカトリックの公用語だから

バチカン市国の公用語で現在も使われている

古ラテン語はアルファベットの基礎体みたいだからけっこう簡単に学べる

何故ラテン語だったのかは

聖処女は教会を支配する神の力に依ると考えていたため(個人設定ですね、結局魔法少女といえなかった時代の話なので背景的な設定です)

魂の宝石は教会の公用語で現されたという事

 

*4 ファージンゲール

 

中世スカートを広げてた骨組みの事

あのぶわっと広がってるヤツです

内側に骨組みがあって腰回りから大きくまるーく広げるスカートの事

パニエとは違う

ゴスロリ流行った頃に…来るかファージンゲールなんて期待していた時が私にもありましたwww

流行っても着られる歳ではないがwww

アルマのつけているのは外側についているので正確にはファージンゲールとは言わないが比較対象になるものがなかったため便宜上そうした

 

*5 古史に出る祭司様が飾る胸の石

 

古イスラエルの神官達は胸に12コの宝石をつけて神に奉仕した

つけた石の種類は正確にはわかっていないが

これが誕生石の原型になったと言われている

何故そんなものを胸に付けたのかは…ちよっと憶えてない、勉強不足ですねー

たぶんなんだけど、「それは恵みである」という地の宝(つぼみ)という意味から来ていたと思う

まあそれに感謝しなさいって事か

とにかく鮮やかで綺麗だっという事からカトリックの祭司達もやたらハデハデな上着を着ていたりする

歳をとると色々わすれる…痴呆だけは防がねばと雑学に燃える妙齢なお年頃ぉぉぉぉ

 

*6 歯車の踊り人形

 

カリオンという尖塔が作られ始めた頃、それに付随して絡繰り人形のようなものも小規模ながらつくられはじめた

14世紀から始まったルネサンスから教会に飾られる絵は、貧民によりドラマチックに聖書を教える方法となった

同じように「聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな」と神をたたえる天使の姿を鐘の音で現し、人形のクピトが笛を吹く図を回し人形劇のように見せるなども行われた

このためあらゆる職人が芸を争い教会の賛美歌システムの中にそれを作り上げていった

これらが後に時計塔になったりするわけですが、その過渡期の歯車をナナはカリオン塔で見ていたのでしょう

正確無比に回るアルマの戦いは、カリオンを鳴らすシステムにも似ていたそういう事です

 

 

アルマ死亡

実はワルプルギスは誰が良いですか?というアンケートで清き一票を頂いたのがアルマだったのに…

残酷な最後を迎えてしまいました

これから色々な苦難がヨハンナやナナ、羊小屋のメンツにイルザにも降りかかってくる事になる

さあがんばるぞー!!!色々あるけど書いてなんぼ!!がんばりまーす!!!

 


 
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