プロローグ
ああ、真っ白だ……
それ以外には何もない。ただ純粋な白がこの空間には存在した。
この光景を見て、ふと疑問に思う。何故俺はこんな場所にいるのだろうか? どうやってこんな場所に来たのだろうか?
しばらく考えていると、今まではっきりとしていなかった記憶が呼び戻される。
そうだ……いつも通り暇をもてあましていたら、近くに俺の同類を見つけて、そのまま放置したまずいからといって、幻想郷内の有力なやつらと一緒に退治しに行って…………
そこまで考えて、やっと理解する。あぁ……俺は死んだのか……と
情けないもんだな。数億を生きた怪物がたった一瞬の内に死んじまうなんて。
自嘲の笑みを浮かべるが、それについて笑う者も、怒る者も、悲しむ者も、喜ぶ者も、ここにはいない。当たり前だ。ここには白しか存在しないのだから その笑みのすぐ後、白だけの世界に所々黒い点が現れ始めた。その黒は先程の白のような純粋なものではなく、色が混ざりに混ざってできたというような黒
それは次第に白を蝕み、そして黒自身も白に蝕まれていく
そんな中一つの異変が起き始める。俺の身体が徐々に形成されていくのだ
一瞬ではなく徐々に。頭から本当に遅いスピードで俺の身体を足まで作り上げていく
その間にも、空間の色は徐々に変化を重ねていく。お互いに侵食した場所は灰色となって、どんどん辺りは灰色へと変色する
俺の身体が完全に出来上がる(何故か死ぬ時に来ていた服まで再生された)頃には、白と黒は見当たらずに辺り一面灰色に覆われていた
その後、突然強烈な光を俺の足の方から感じた。その光を邪魔くさく感じていると、こんどは背中から風を感じる。そよ風ではなくて、暴風の勢いで
しばらく風と光を感じていると、灰色という景色が色ではない自然な景色に変わっていくようになった。それが進むにつれて、ある感覚に気がつき始めた
俺は驚異的な速さで遥か上空から落下している そのことに気がついた瞬間に鮮明に辺りの景色が見える。確かに俺は結構な高さから自由落下していた。空を飛ぶことは出来るが、こうして落ちるのも悪くはないのでそれはしない
ここは空気が悪い。汚くてまとわりついてくる。そして、空気に妖力が含まれていなかった
それは幻想郷とは別世界であるということを示している。何故か、それはこの世界には妖怪というものが恐らく存在しないか、居たとしても少数しか居ないということがわかったからだ
妖怪というものは多かれ少なかれ妖力(・・)という力を持っている。これはいくら外に出さないようにと努力しても、多少は出てしまうもので、これがないということになると、妖怪がたくさんいる幻想郷とは違う世界であると簡単に予測することが出来るのだ
違う世界に来てしまったことがわかった俺は、落ちている間に自分の身体に異常が無いかどうか確認することにした
まずは妖力の確認。身体中に妖力を渡らせてみると、幻想郷の時より多少違和感はあるがしっかりと出来た
次は妖力の放出の確認。妖力が無い場所で妖力を放てるか、やってみたことが無かったのだ。下降を続けながらそこまで密度のない一つの妖力弾を、手のひらに作り上げる。それを維持しながら落下点が見えたところで、そこに妖力弾を放つ
結果、狙ったところにピンポイントで当たり小規模の爆発を起こした。狙い通りだな。爆発の大きさも
とりあえずこの世界で生きて行けるだろうと算段をつける。その算段をつける頃には、地面との距離は相当縮まっていた
一気に停止してから、空を浮いて着地しても良かったのだが、徐々に減速して妖力弾が着弾した場所と寸分狂わない所にふわりと着地した
そこは全体的に暗い場所で、俺の爆発のせいかもしれないが散らかっている
そして、妖力も霊力も神力も持っていない、つまりただの人間が二人呆然と立ち竦んでいた
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幻想郷の危機を救う為“天草 将樹(あまくさ しょうき)”は自らの同類と戦い、何とかそれをおさめることが出来たがその代償(?)として、ISの世界に飛ばされてしまった。数億を生きた生物は、ISというものがあるこの世界をどう見るのか。 ※この物語には最強物・アンチ・東方成分が含まれています ※この作品駄作かも、注意 以上を頭の片隅に置いておいてください。それでは、始めましょう…………
※この作品は以前、にじふぁんの方で投稿していたものです。