No.457050

転生? ま、死なない程度に頑張ろう

大空さん

六話目です。

2012-07-21 23:04:10 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3130   閲覧ユーザー数:2909

 

第六話 俺は単なるおまけに過ぎない

 

 

学校で月村邸に来ないかと誘われた。……正確には有希のおまけとして。

どうやらなのは達が月村邸でお茶会をするらしくそれに有希が誘われた。で、有希は「翔也も一緒なら」と答えたらしい。

……もう一度言う。俺は有希のおまけとして月村邸に来ないかと誘われた。正直なところ行きたくはなかったのだが、有希の目がとても行きたそうにしてたので断ることができなかったのだ。

男俺一人は辛そうだから春雄も一緒にいいかと聞いたところ、許可はもらったがどうやら玲衣も来るらしいので男が俺一人と言う展開にはならずに済みそうだ。

 

********

 

そして当日。

有希と春雄と一緒にバスに乗って月村邸までやって来た。

 

「大きいねぇ~」

 

有希は月村家の屋敷を見ながら呟いた。

 

「ほら、行くぞ」

 

俺はぼけ~と屋敷を見ている有希の手を引いて屋敷の入り口まで歩きインターホンを押した。

 

それから少しするとドアが開いた。

 

「有希お嬢様、宮崎様、松島様ですね。はじめまして。わたくし月村家でメイド長をさせていただいてますノエルと申します」

 

中から出てきたのはメイドさん。リアルメイドさんなんて初めて見たわ。

 

「「はじめまして」」

「どうも! フォー!」

 

春雄ってホントキャラがぶれないよなぁ。

 

「皆様のことは、すずかお嬢様から伺っております。どうぞこちらへ」

 

俺たちはメイドさんの後についていく。

 

「失礼します。有希お嬢様、宮崎様、松島様をご案内しました」

 

案内された部屋の奥はガラス張りで庭が見えていて部屋中には猫がいる。

もう既になのはや玲衣は来ている。どうやら俺たちが一番最後のようだ。

 

「うゎ~。翔也翔也! 猫がいっぱい!」

 

有希はネコを見て目を輝かしている。

 

「ヒャッハー! 猫鍋パーティーだ!」

 

春雄はなんか恐ろしいことを言っている。

 

「有希ちゃん! 宮崎君に松島君もいらっしゃい」

「有希ちゃん。こっちこっち」

 

有希はなのはに呼ばれて空いてる椅子に座る。俺と春雄も空いている椅子に座って、それぞれお茶を飲みながら喋り始めた。

 

……そして気が付くと俺は孤立してた。

有希はアリサと話し込んでいるし、春雄は「猫狩りじゃぁああああああ!」と猫を追い回している。玲衣はハーレムメンバーと仲良く話していて、俺は一人高そうなお茶をちびちびと飲んでいた。

周りが話をしている中、一人黙々とお茶を飲んでいると、

 

「お茶のおかわりはいかがですか?」

 

メイドさんが俺に声をかけてきた。メイドさんと言ってもさっき俺たちをここに案内してくれたメイドさんではない。

 

「あ、ありがとうございます。えっと……」

「私すずかちゃんの専属メイドしていますファリンと言います。よろしくお願いしますね」

「いえいえ、こちらこそ」

 

ファリンさんからお茶のおかわりをもらっていると、

 

「やっと捕まえたゼット!」

 

春雄が猫を捕まえることに成功したらしい。春雄のいる方を見て見ると、

 

「あーん」

 

口を大きく開け、猫に齧り付こうとしている春雄の姿が。

 

「待て待て待て!? 何してんの!?」

 

俺は急いで春雄に近づき春雄のから猫を救出する。

 

「何って……味見に決まってるZE!」

「猫は食べ物じゃねぇぞ!」

「…………え?」

「何本気で驚いた表情してんだよ!? そんぐらい分かれ!」

 

春雄を本気で恐ろしく思うようになった今日この頃。

 

その後、場所を庭に移した。天気もいいし外でこういうのも案外悪くない。

春雄は猫は食べ物じゃないと理解したらしく、今は「猫と俺のコラボレーション!」と叫びながら猫たちと舞を踊っている。そう、舞っているのだ。春雄の今の動きを舞っている以外では表現できない。

 

「翔也君」

 

俺が春雄の猫の舞を見ながらお茶を飲んでいると玲衣が俺に声をかけてきた。

 

「どうした?」

「何見てるの?」

「あれ」

 

俺は春雄を指さした。それを見た玲衣は、

 

「なんて言うか……凄いね?」

「何故に疑問形?」

 

まぁ、確かにあれを見てどんなコメントをすればいいかなんて俺にもわからない。

 

「玲衣は俺と話してていいのか?」

「え? 何で?」

 

だって、なのはとすずかが物凄くこっち(玲衣)を見てるんだもの。

 

「僕たち今日ってまだ、全然喋ってないでしょう? だから少し話でもと思って」

「それは構わないけど」

「どうせなら橋爪君もいればよかったのにね」

 

……そういえば健斗がいないな。もしかして誘われなかったのだろうか。……哀れ。

 

「そういえば、玲衣は健斗と話すことできたのか?」

「ううん。残念ながら」

「何で? 呼び出したのに来てくんなかったのか?」

「そうじゃなくてさ、呼び出した後何を話せばいいかがよく分からなくて」

「ふーん……」

「それでよかったら、どうすればいいか一緒に考えてほしいんだけど」

「……それは別に構わないけど」

 

俺もよく分からない。呼び出して……友達になりたいとかでも言えばいいのか? それは何か違う気がするし……。

 

「話なんてしなくてもいいんじゃないか?」

「え?」

「言いたいこと言って、喧嘩でもすればいいさ。それから始まる友情ってのもあるだろ?」

 

ちょっと無理矢理な気もするが……。

 

「……うん。そっかそうだね。うじうじ考えるより、真正面からぶつかっていった方がいいよね」

 

まぁ、玲衣はそれでいいみたいだし別にいっか。

 

「じゃあ僕、近いうちに橋爪君を呼んでぶつかってみるよ!」

「うんまぁ、頑張れ」

「うん! ありがとう!」

 

俺が玲衣と話していると、いきなりパチパチと拍手が起こった。

 

「な、なんだ?」

「どうしたんだろ?」

 

俺と玲衣は戸惑いながら周りを見回すと春雄が決めポーズを決めていた。

……猫の舞終わったんだ。

春雄は足をクロスさせ、顔を俯かせながら両手を上に上げている。そしてその両手の上に二匹の猫が二本足で立って、春雄と同じポーズを決めていた。

 

「「猫スゲェ!?(凄い!?))」」

 

俺と玲衣の声が被る。

春雄と猫はポーズを決めながら微動だにしない。

 

「松島君凄い! 私感動しちゃったの!」

「うん! なのはちゃん。私も感動しちゃった。少し泣けてきたよ」

「凄いじゃない! アンタのこと見直したわ!」

 

何か大絶賛されてんだけど。

 

「凄かったね~。翔也もそう思うでしょ?」

 

有希は俺の方を向いてそう言ってきたのだが、残念なことに俺見てなかった! え? どんだけ凄かったの? やべぇ、超後悔してる。玲衣の話しとか聞いてる場合じゃなかった。

ああ、もう一回やってくんないか……っ!?

 

《マスター。付近にジュエルシードがあります》

 

ポチが念話で俺に教えてくれる。

やっぱり今の感覚はジュエルシードか。

俺は玲衣となのはの顔をチラッと見る。どちらも気が付いているようだ。

今の今まですっかり忘れてた。今日ってなのはとフェイトが初めて出会う日だよな。

 

「あ、ユーノ君」

 

ユーノがなのはの膝から降りて走って行ってしまった。

 

「あ、ちょっと私ユーノ君を探してくるね」

「なのはちゃん。僕も手伝うよ」

「うん。ありがとう」

 

ここでなのはが断らないということは、すでに玲衣は原作介入してるのか。

……まぁ、このお茶会に参加してる時点で俺も原作介入してるようなものではあるが。

 

「私たちも手伝おうか?」

「ううん。大丈夫。すぐに戻ってくるから待ってて」

「行こう。なのはちゃん」

「うん」

 

玲衣となのはは二人でユーノを追いかけて行った。

 

『翔也はどうする?』

 

有希が念話で俺に問いかけてくる。

 

『俺は動かん。正直めんどくさい』

 

リアルフェイトを見てみたい気はするがその機会は別にあるだろうし。

その後結界が張られたりしたが俺はとことん無視。

しばらくして、玲衣がなのはを背負って帰ってきた。

 

「なのはちゃんどうしたの!?」

「どこか怪我でもした!?」

 

すずかとアリサが慌てて近寄るが、

 

「途中でこけちゃって気絶してるだけ。怪我とかはしてないよ」

 

玲衣が慌てる二人を宥めている。

原作通りなのははフェイトに負けたか。……玲衣はなのはに加勢しなかったのか?

それから恭也さん達がやって来て気を失っているなのはを運び目を覚ますまで待った。なのはは夕方くらいに目をさましたので、今日はそれで解散となった。

 

 

 

 

 

 
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