~ルーアン市長邸・2階大広間~
ダルモアが飼っていた巨大魔獣達は手強く、手配魔獣並の強さであり、さすがのエステル達も苦戦した。
「「ぐる!」」
「くっ!」
「っつ!」
突進しながらの角での攻撃にエステルとヨシュアはそれぞれの武器で防御したが、魔獣達の力が強く押されていた。
「やば……!」
どんどん押されて、角が自分に迫っている事に気付いたエステルは焦った。
「エステル!一端下がろう!力比べでは僕達が不利だ!」
「わかった!」
ヨシュアの指示に頷いたエステルは武器を退いて、一端下がったが
「「ガウッ!」」
「いたっ!?」
「くっ!?」
その隙を逃さず襲いかかった魔獣達の攻撃を受けてしまい、身体に傷が出来て苦悶の声を上げた。
「このっ!」
「せいっ!」
攻撃を受けた後、反撃をした2人だったが魔獣達は後ろに跳んで回避した。
「癒しの水よ……彼らの傷を癒したまえ………ラ・ティアラ!」
そこにクローゼの回復アーツが発動し、エステルとヨシュアの傷を治した。
「ありがとう、クローゼ。」
傷を治したクローゼにエステルはお礼を言った。
「いえ。……それにしても2体の巨大魔獣はやっかいですね………」
「そうだね……何か手は……そうだ!エステル、召喚をしてくれないかい!?」
「いいけど……誰を召喚するの?」
「……目には目を。獣には獣だよ、エステル。」
「!わかったわ!……サエラブ!」
(……我の出番か。)
ヨシュアの言葉を理解したエステルはサエラブを召喚した。
「一人で一体を任せてもいい!?あいつら結構手強いのよ!」
(フン。あのような人間に飼われた犬ごとき、我のみで十分だ!一体ごときすぐに葬るから、お前達も残りの一体をとっとと葬るがいい。)
「了解!」
そしてサエラブは魔獣の一匹に炎の玉をぶつけた!
(喰らえ!)
「ぐる!?」
炎の玉を受けた魔獣は悲鳴を上げてのけ反った。
「ガウッ!」
仲間が傷つけられた事に気付いたもう一体の魔獣がサエラブに襲いかかろうとしたが
「いっけ~!火弾!」
「ガウッ!?……うるる……!」
エステルが放った魔術を受けて、魔術を放ったエステルに標的を変えた。
「「時の刃よ、水よ!!ソウルブラー、アクアブリード!!」」
「ガァッ!?」
さらにそこにヨシュアとクローゼが発動させたアーツが当たった。
「あんたの相手はこっちよ!」
「うるるる……!」
エステルの挑発を受けて、もう一体の魔獣は標的をエステル達に変えて襲いかかった。
「……大地の力よ、我が仇名す者の力を我の元に……!地脈の吸収!!」
「うるっ!?」
さらにエステルの魔術によって、魔術によって発生した木の根が魔獣に絡み付き魔獣は身動きが出来なかった。
「はっ、朧!」
「えい、やあ、はあ!」
「うるっ!?」
そこにヨシュアとクローゼが挟み撃ちにするかのようにそれぞれクラフトを放って傷を増やした。さらにそのすぐ後絡み付いている木の根が光った。
「うるっ……!?ガァァっ!?」
魔術の木の根によって力を吸い取られた魔獣は叫び声を上げた。
「行くよ……!ふん!はっ……はっ………断骨剣!!」
「ガァッ!?」
そして追撃をするかのようにヨシュアのSクラフトが全て決まり、魔獣に致命傷を与えた。
「……水流よ、吹きあがれ!……ブルーインパクト!」
「うるっ!?」
さらにクローゼのアーツが発動し、アーツによってできた水流が魔獣を宙に浮き上がらせた後、水流がなくなると魔獣は地面に落ちて来た。さらに落ちて来た魔獣を狙って、エステルが棒に魔力によってできた雷を帯びさせてSクラフトを放った!
「これで決める………ハァァァァァァ!雷波!無双撃!」
「ガァァァァァッ………!」
クローゼのアーツによって全身濡れていた魔獣はエステルの放った雷を帯びた攻撃によって感電し、さらに技の威力も相まって断末魔を上げながら消滅した。
一方一人で魔獣を相手にしていたサエラブは自分が相手をしている魔獣の異変を感じ取った。
「ぐるっ!?ぐるるるるっ!」
(む?奴の気配が少し変わった………!)
魔獣から違和感を感じて、サエラブは警戒した。
「ぐるっ!」
(む!先ほどより動きがよくなっただと!?)
動きがさっきより素早くなった魔獣にサエラブは驚いたが、冷静に突進してくる魔獣を迎え撃った。
「ぐるっ!」
(むん!)
角による攻撃をサエラブは爪で受け止めた。サエラブの爪と魔獣の角はお互い押しあって、自分の敵を攻撃しようとしたが、勝負は拮抗していた。
(……なるほど。先ほどエステル達が葬った魔獣の咆哮によって仲間を強化させたか……ただでは死なぬという訳か………)
サエラブは敵が強くなった理由を冷静に推測した。そして勝負がつかないと思った魔獣は一端後ろに跳び、角をサエラブに向けて助走をして突進する態勢に入った。
(フン……一気に勝負をつける気か……ならば、その選択がどれほど愚かである事を思いしらせてやろう……!)
魔獣の態勢を見て、サエラブは鼻をならした後飛び掛かる態勢になり、自らの身体に炎を纏った!
「ぐるっ!」
(フン!)
助走した事によってさらに勢いをました魔獣の突進攻撃にサエラブは炎を纏った身体で飛び掛かって応戦した。
「ギャン!?ガァァァァァッ!?」
サエラブの炎を纏った突進クラフト――”炎狐強襲”の威力に負けた魔獣は壁まで吹っ飛ばされた後、体が燃えて悲鳴をあげた。
(終わりだっ!)
「ガッ………ガァァァァァッ………!」
サエラブに喉元を噛まれた魔獣はエステル達が倒した魔獣のように断末魔をあげながら消滅した。
(フン。………どうやら、終わりのようだな………)
魔獣の消滅を確認したサエラブはダルモアに武器を突きつけたエステル達を見た…………
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第83話