No.456778

恋姫外史終章・いつまでも一刀第7話

アキナスさん

目的地にやってきた明命。
そこで彼女を待っていたものは・・・・・・

2012-07-21 15:26:59 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:6976   閲覧ユーザー数:5378

雪蓮の命令で袁紹の本拠地へやってきた明命。

 

街へと入り、まっすぐに城へ向かおうと歩いていた明命だったが、

 

「ミャア・・・・・・」

 

「!!」

 

猫の鳴き声を聞いたと同時に、その方向に目を向けた。

 

店と店の間の、人一人入り込めるくらいの細い路地の前に、一匹の白い仔猫が座っていた。

 

その猫は明命をじっと見つめている。

 

その姿を視認した瞬間、目にも留まらぬ速さで、仔猫の元へ明命は駆け寄った。

 

「はう~~、可愛らしいお猫様です~~・・・・・・」

 

仔猫を見ながらため息を漏らす明命。

 

すると仔猫はすっと立ち上がり、明命に背を向けて路地へと歩き出した。

 

尻尾を左右に揺らしながら歩いていく仔猫。

 

その途中で、仔猫は明命の方を振り返って、

 

「ミャア・・・・・・」

 

小さく鳴き声を上げた。

 

「・・・・・・」

 

ついてこいと言っているように、明命には感じられた。

 

仔猫は再び路地の奥へと歩き出す。

 

明命はゆっくりと、仔猫の後を追うのだった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

「はう~~~・・・・・・」

 

明命は恍惚の表情を浮かべ、吐息を漏らしていた。

 

仔猫についていった先で明命が目にしたもの。

 

それは猫達の集まり。

 

それも、そこにいたのは可愛らしい仔猫ばかりだったのだ。

 

「ミャア」

 

明命を先導していた仔猫が一鳴きすると、仔猫たちはいっせいに明命を見た。

 

仔猫たちはぞろぞろと明命に集まってくる。

 

そして、明命を先導した仔猫が明命の足元でピョン!ピョン!と跳ね始めたのだ。

 

まるで抱っこしてくれとでもいうかのように・・・・・・

 

「よ、よろしいのですか?」

 

明命はそういいながら身をかがめ、仔猫を向かい入れるように手を広げた。

 

すると、仔猫は自分から明命の胸へ飛び込んできた。

 

それを明命はしっかりと受け止める。

 

「ゴロゴロ・・・・・・」

 

喉をならし、子猫は明命にじゃれてくる。

 

「・・・・・・モフモフ」

 

試しに、いつものようにお願いしたりせず、明命はモフモフをしてみた。

 

「ミャア・・・・・・」

 

しかし、仔猫はいやがる素振りを見せずに明命のされるがままになっていた。

 

「モフモフ・・・・・・モフモフ・・・・・・」

 

明命はモフモフを続ける。

 

「ミャア・・・・・・ミャア・・・・・・」

 

そんな中、周りの仔猫達も明命のそばでピョンピョン跳ねはじめたのだった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

「モフモフ、モフモフ、ああ・・・・・・ここは桃源郷なのでしょうか?」

 

そう言いながら仔猫をモフモフする明命。

 

その表情は蕩けきっており、人様には見せられない顔になっている。

 

次から次へと仔猫たちを抱き上げ、好きなだけモフモフをする明命。

 

これはまさに、明命がずっと夢見ていた光景であった。

 

「堪能したか?」

 

「はい・・・・・・それはもう・・・・・・?」

 

ふと、明命は声のした方へ顔を向ける。

 

そこには、一人の青年が立っていた。

 

その手には、大きめの白い袋がある。

 

「あ、あなたは?」

 

「この宴の主催者だよ」

 

パチンと指を鳴らすと、仔猫たちは青年の元へ集合した。

 

明命がモフモフしていた仔猫も、明命の腕の中から飛び降りて青年の元へ向かう。

 

「あ・・・・・・」

 

明命が寂しげな声を出す。

 

「みんな、協力感謝するぜ。それじゃ、約束の報酬だ」

 

青年はそう言うと、持っている大きな袋に手を入れて、その中から小さな袋を取り出し、一つずつ仔猫たちに配っていく。

 

仔猫たちはそれを口に咥えると、バラバラに散っていった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

「あの・・・・・・貴方は?」

 

「俺か?俺は北郷一刀だ」

 

明命の問いに、一刀はあっさりと答えた。

 

「北郷・・・・・・一刀・・・・・・」

 

その名を、明命はどこかで聞いたことがある気がした。

 

「その、先ほどのお猫様たちは・・・・・・」

 

「ああ、俺が頼んで集まってもらった。楽しかっただろ?」

 

「それはもう!」

 

目を目一杯見開き、明命は一刀に即答した。

 

「夢のようなひと時でした!」

 

「そかそか。そこまで喜んでもらえたなら、俺も企画したかいがあるってもんだ」

 

「本当にありがとうございます!」

 

深々と頭を下げる明命だった。

 

「あ・・・でも、どうしてこのような事を?」

 

「これからかなりきつい仕事してもらうわけだからな。あんたが猫好きって話は聞いてたから、その礼の前渡しだ」

 

一刀の言葉に、明命は眉をひそめる。

 

「・・・・・・もしかして、一刀様は袁紹様の?」

 

「ああ、役職は袁紹補佐代理心得だ」

 

「補佐・・・・・・代理?」

 

「まあ、ふつうに麗羽の補佐だと思ってくれればいい」

 

「はあ・・・・・・」

 

「とにかく、十分楽しんでもらったみたいだし、麗羽の所に案内する。ついてきな」

 

そう言って歩き出す一刀。

 

「は、はい」

 

多少戸惑いながらも、明命は一刀についていくのだった。

 

 

 

 

 

 

路地を抜け、街中を歩きながら明命は一刀に問いかけていた。

 

「しかし、一刀様はどうやってお猫様と親しくなったのですか?」

 

「ん?う~ん・・・・・・なんかしらんけど、昔から猫には好かれる性質だったんだよ。考えてる事も分かるしな」

 

「・・・・・・うらやましいです。私ももっと、お猫様と仲良くなりたいのですが、うまくいかなくて・・・・・・」

 

はぁ、とため息をつく明命。

 

「なんだったら、俺が猫との付き合い方教えてやろうか?」

 

「ほ、本当ですか!?」

 

その言葉に目を輝かせる明命。

 

「ああ。でも、俺の指導は厳しいぞ?」

 

「構いません!どうかよろしくお願いします!コーチ!!」

 

「おう、任せろ。・・・・・ん?」

 

一刀はふと立ち止まった。

 

「今、俺の事コーチって言ったよな?」

 

「え?」

 

明命も立ち止まり、一刀と向き合った。

 

「え、え~と・・・・・・」

 

戸惑う明命。

 

何故、一刀の事をコーチと呼んだのか。

 

そもそも、コーチという言葉を自分は聞いたこともないはずなのに・・・・・・

 

「・・・・・・その呼び方されんのも、久しぶりだな・・・・・・」

 

一刀がそう言った時、明命の頭の中にあるビジョンが浮かんだ。

 

 

 

 

 

 

「自分の欲を捨てろ!自分が猫ならどう思うか?猫の気持ちになって考えるんだ!!」

 

「はい!コーチ!」

 

そこには、一刀に厳しくしごかれている自分の姿があった。

 

(・・・・・・知っている。私はあの人の事を前から知っている)

 

神とさえ思うほど尊敬していた人だった。

 

自分だけでなく、呉の皆とも家族同然だった。

 

(・・・・・・コーチ。私は・・・・・・)

 

パキィン!

 

明命は、自分の中で何かが弾ける音を聞いた・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

「おい?どうかしたか?」

 

「はう!?」

 

現実に意識が戻ってきた明命は、一刀の言葉にびっくりしてしまったようだ。

 

「そんなに驚く事はないだろ?」

 

「す、すいませんでした。コーチ」

 

「・・・・・・教えてないのにその呼び方をするって事は、やっぱりお前・・・・・・」

 

「はい!先ほど思い出しました!」

 

「・・・・・・そうか。んじゃ、今回の仕事が無事かたづいたら、またしごいてやるから覚悟しろよ?」

 

「はい!よろしくお願いします!コーチ!!」

 

明命はひまわりのような笑顔でそう答えたのだった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ども、アキナスです。

 

前回よりは早かったたけれど、やっぱり投稿遅いですね。

 

ラストだけは決まったんで、もう少し投稿ペース上げられたらいいんですが・・・・・・

 

ちなみに、話は逸れますがみなさんカルドセプトってゲーム知ってます?

 

うちの弟がその話題だしたら、「何それ?」「知らん?」とかいう反応だったみたいですが・・・・・・

 

面白いのになあ・・・・・・

 

などと恋姫とぜんぜん関係ない事を愚痴ってみたりしたところで次回に・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「天舞宝輪!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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