No.456624

SAO~黒を冠する戦士たち~if ビーター 中編

本郷 刃さん

if中編です。
アニメや原作と違うこのキリトの行動を楽しんでいただけたら嬉しいです。

ではどうぞ・・・。

2012-07-21 08:52:59 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:20079   閲覧ユーザー数:18873

 

 

 

 

 

 

ifストーリー ビーター 中編

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アスナSide

 

「俺か? 俺は今あんたが言ったような人種…『βテスター』だよ」

 

「「「「「っ!?」」」」」

 

キリト君が言った言葉に驚いた。まさか彼がテスターだったなんて。

 

それに、その事を明かしたのにも驚いた。

 

この場にいる全員が驚愕しているし、彼の纏う空気に恐怖している。

 

「あんたはたった1000人のテスター達に、残り9000人の面倒をみろっていうのか?

 大体、死んだ約2000人の中には元テスターだっているんだぞ。

 それを聞いてわかるだろ? テスターだってあんたと同じ人間なんだよ」

 

彼の言う通り、テスターだって人間だ。

 

デスゲームが始まり、自分の事しか考えられなくなってもおかしくはない。人として当然のことだ。

 

「それともあんたは仮に自分がテスターだったとして、他のテスターが別のエリアに移動する中、

 一人残って残り9000人の面倒をみれるのか?」

 

「っ!? そ、それは……」

 

キバオウが言葉を詰まらせた。彼の言う事は尤もだ。

 

一人というのは極端だけど、それでもたった1000人で9000人の面倒をみるなどほぼ不可能だ。

 

「せ、せやけどな…!」

 

それでも反論を続けようとするキバオウに彼は言い放った。

 

「だけどもクソもねぇ! こっちは目の前で、同じテスターをモンスターの群れに殺されてるんだよ!」

 

「「「「「っ!!!???」」」」」

 

そんな彼の悲痛な叫びに誰が文句を言えようか。

 

キバオウもさすがにそんな事を言われたのではもう何も言えない。

 

他の人達も押し黙っている。そんな時だった。

 

「発言いいか?」

 

一人の男性が挙手をし、ディアベルさんが促した。

 

みたところ黒人男性のようだ。彼は促されたために舞台へと上がった。

 

「俺の名前はエギル。キバオウさん……あんたの言い分はわかった。

 だけどな、この少年の言う通り元テスターであっても人間なんだ。

 恐怖のあまり、自分の事しか考えられなくなるのが普通だ」

 

「せ、せやかてな…」

 

キバオウはまだ何かを言おうとしている。エギルさんは懐を探ると一冊の本を取り出した。

 

あれは『始まりの街』の道具屋で無料配布されていた『ガイドブック』だ。

 

「このガイドブック、あんたも貰っただろ?」

 

「貰たで、それがなんや」

 

「配布していたのは……元βテスター達だ」

 

エギルさんの言葉に周囲はざわめいた。知らなかった。テスターの人達が配っていたものだなんて。

 

「つまり、情報は誰にでも知る事ができた。それでも多くの人達が犠牲になった。

 それを踏まえて、俺達はこのボス攻略をどう挑むべきかを論議しなければならないと思う」

 

エギルさんの言葉にキバオウはもう言うべき事が無くなったのか、空いている場所に座った。

 

エギルさんもキバオウの隣に座る。

 

キリト君はディアベルさんに促されて私の近くに戻ってきた。

 

途中で他の人達から謝られたりしていた。多分テスターの事でだと思う。

 

「それじゃあ、再開していいかな?……よし。

 ボスの情報だが、さっき例のガイドブックの最新版が配布された」

 

再びどよめきが起こった。ディアベルさんはそのままボスの説明を続けていく。

 

ボスの名前は〈Illfang(イルファング) the() Kobold(コボルト) Lord(ロード)〉といい、装備は斧とバックラー、

HPバーが最後の危険域(レッド)になると曲刀武器『タルワール』に持ち替え、戦闘パターンが変わるらしい。

 

また、〈Ruin(ルイン) Kobold(コボルト) Sentinel(センチネル)〉という部下がついているということだ。

 

「少しいいか?」

 

キリト君が挙手して発言の賛否を尋ねている。ディアベルさんがそれに頷く。

 

「最新版と言ったが、それはあくまでテスト時の情報だ。信じ切らないほうがいいと思う」

 

「どういう意味だい?」

 

キリト君の発言にみんなが少々混乱している。しかし、次の言葉でそれも納得に変わる。

 

「このデスゲームを始めた男がそう簡単に俺達にボスの攻略を許すと思うか?」

 

「た、たしかに…。なら、これ以上の行動を行うとみんな思っておいてくれ」

 

彼の妙に説得力のある言葉にディアベルさんは勿論、みんなが不思議と納得した。

 

「攻略会議は以上だ。最後にアイテム分配だが、(コル)は全員で自動分配割り。

 経験値はモンスターを倒したパーティのもの。

 アイテムはゲットした人のものとする。異存はないかな?」

 

その言葉に全員が賛同する。反対する者は誰もいない。

 

「明日は10時集合とする……では、解散!」

 

それぞれ解散したり、パーティ会議をしたり、

キバオウは会議に水を差してしまった事を謝っているが、ディアベルさんは気にしていない様子だ。

 

「………」

 

すると、キリト君は無言で立ち上がってどこかへいった。

 

私も戻るとしよう。

 

アスナSide Out

 

 

 

To be continued……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書きです。

 

このキリトが言っていた、殺されたテスターとは原作でもあった人物『コペル』です。

 

このキリトには自分の事を見事にカミングアウトさせました。

 

あと、設定や本編よりもキリトが過激じゃないか?と思う方もいると思います。

 

この時系列では、自身にも色々ありすぎてキリトも少々思うところがあるようにしました。

 

なお、黒衣衆のメンバー達はこの時は別行動中です。

 

続きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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