雁夜は呆然としながら自身が呼び出したサーヴァントを見た。
その男は自分よりも年下で、恐らく17~18歳ぐらいの男性だ。服装は青紫のスーツを着て特注品なのか胸元に片翼の印があるがどうみても現代人にしか見えなかった。
雁夜は失敗してしまったと心の中で落胆してしまい、諦めかけてしまいそうだったが、男が
「お前が俺のマスターなのか。どうなんだ?」
と、問いかけてきたので、相手を改めてみると、背筋が凍った。
あの男の目は、戦場で会った殺戮者の目よりも淀んでいた。自分の事をそこらの虫けらを見るような目で語っていた。
“お前はいつまで這い蹲るんだ。早くしないと殺すぞ”
いつまでも呆然としていたら、殺されてしまいそうだったんで慌てて答えた。
「はぁ・・・はぁ・・・。俺がお前のマスター“間桐 雁夜”だ。・・・お前は俺のサーヴァントか?」
雁夜の答えで男も満足したのか
「そうだ。サーヴァント“バーサーカー”これにより契約を完了する。」
この契約により最狂のサーヴァントが冬木市に降臨する。
第1話 「六軒島の殺人鬼 降臨」
翌日、あれから雁夜は召喚によって魔力が消耗してそのまま倒れて気絶した。そんな寝ている雁夜をバーサーカーは倒れた自分のマスターを叩き起こした。
「ぐはぁっ。」
雁夜は突然の痛みからすぐに目を覚まし、元凶のバーサーカーを睨んだ。
「よぉ。いい夢でもみれたかマスター。」
叩いた本人は意地の悪そうな顔で見下ろしていた。その顔に苛ついたのかすぐに起きあがれた。
「あぁ、最悪の気分だ。・・・・・・・待て。お前何故喋られるんだ?バーサーカーは喋られないはずだ!」
昨日の対応から引っかかる部分があった。何故このサーヴァントは喋られるのか。
バーサーカーはどうでもよさげに答えた。
「俺の人生は最初から狂っていたからな。この程度じゃ何とも感じないぜ。」
どういう意味なのか分からなかったが時臣のサーヴァントに対抗することが出来るのかを確認するため雁夜はこのサーヴァントの能力を見て目を見開いた。
・・・・・・・・・・・・・
狂化で身体能力が底上げされてもなおパラメーターは平凡だが、スキルなどの能力が反則並みに強い。
・・・・・・・・
単独行動のスキルで自身に負担をかけなくてすむ。ほっとしながら、いくつか不明な点があり聞いてみた。
「お前は何故俺の呼びかけに応じてくれたんだ。」
バーサーカーは俺の言ったことが可笑しかったのかひっひっひと小馬鹿にした笑みを浮かべながら
「お前の憎悪が俺を引き合わせたんだ。お前こそ、誰を憎んでいるんだ。」
その言葉に頭の中に黒いものが出てきた。そうだ。あの男が葵さんや凜ちゃん、桜ちゃんを悲しみに突き落としたんだ。
あの男“時臣”の魔術師的思考をもつ腐った野郎のせいで。
俺自身の手で ■ ■ してやる。俺があの人達を幸せにしてやる。
バーサーカーはマスターの憤怒の表情が良いのか嗤っている。
「さぁマスター。この狂ったパーティーを始めようではないか。全員俺が“殺してやるよ”」
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現世に蘇った六軒島の殺人鬼。呼び出そうとしたサーヴァントとは違い困惑する雁夜。六軒島の殺人鬼によって自分の中に眠る狂気を呼び起こされる。