第37話~冥界へ逝ってきます!~
旅立ちの日。俺達は、最寄りの駅のエレベーターに乗り、降りた。
部長曰く「これは悪魔しかわからないのよ。人間は一生わからないわ」と
言っていた。
「部長。前から思っていたんだが…何で俺の部屋に女物の服が多いんだ?」
疑問をそのまま部長にぶつけると
「さ、さぁ? わ、私はわからないわ」
と目を逸らしながら言った。…絶対、知っているな。
「一誠は何でか知っているか?」
一誠に聞いてみると
「い、いや…俺もわからない」
冷や汗を垂らしながら、一誠は言った。うん、一誠に関しては後で尋m…もとい
情報をもらおうかな。自白剤を使って。
そんなこんなで話していたら、着いたらしい。
ここから、右に行ったり、左に行ったりして着いた場所に列車があった。
「これはグレモリー家が所有している列車よ」
部長が堂々と言った。…さすがに列車はすごいなぁ。
俺達はその列車に乗り、冥界へ向かった。
◇
俺達は列車の中央に乗ることになり、俺の隣に小猫、向かいにゼノヴィア。
斜めにギャスパーが座席に座った。
「まさか、冥界に行く事になるとは思わなかったな」
ゼノヴィアが話しかけてきた。
「そうだな。でも、楽しそうじゃないか。生きている間に冥界に逝くことができる
なんて誰も思わん」
「……今、意味が違った気がします」
それだけ言うと、小猫は黙ってしまった。…何だ? いつもの小猫とは違う。
ツッコミにキレが無い。
心配していても仕方ない、今は放っておこう。
◇
一時間ほど列車に乗って、着いた場所はグレモリー領。広さは本州ほど
あるという。そんなにいらんだろ、土地なんて
『リアスお嬢様、おかえりなさいませっ!』
いろんな人たちが部長の帰省を歓迎していた。
「ひぃぃぃ……人がいっぱい…」
ギャスパーにいたっては人が多すぎてビビッていた。対人恐怖症にはキツイだろうな
「ありがとう、皆。ただいま、帰ってきたわ」
部長は満面の笑みで返していた。人気者だねぇ
すると、銀髪のメイドさん―――グレイフィアさんが一歩前へ出てきた。
「お嬢様、お帰りなさいませ。お早いお着きでしたね。道中、ご無事で何よりです。
さぁ、眷属の皆様も馬車へお乗りください。本邸まではこれで移動しますので」
グレイフィアさんに誘導され、馬車のもとへ来た。
馬車なんて初めて見たぞ! これって、冥界の馬かな?
俺達は馬車に乗り、本邸へ向かった。
◇
しばらくすると、城が見えてきた。あれが部長の家かよ…ある程度は
予想していたけどな
馬車から降りて、メイドさんや執事達の道を歩いていくと、
「リアスお姉さま、お帰りなさい!」
紅髪の少年が部長に抱きついてきた。部長も愛おしそうに抱きしめていた。
「部長。この子はサーゼクス様の息子か?」
俺の質問に部長は頷いた。
「この子はミリキャス・グレモリー。サーゼクス・ルシファーさまの子供なの。
私の甥ということになるわね」
やっぱりな。少し似ているからな。でも…サーゼクスさまと誰かに似ているなぁ…
その人が奥さんなのだろう。
屋敷へ入っていくと、
「あら、リアス。帰っていたのね」
部長に似た、俺達とそんなに変わらない女の人が階段から下りてきた。
この人、婚約パーティーの時に見かけた気がするぞ
「リアス・グレモリーさまの『兵士(ポーン)』の神矢クリスです。今後よろしく
お願いします」
やっぱりここは名乗った方がいいだろう。これは礼儀だ
「こちらこそ初めまして。私はリアスの母、ヴェネラナ・グレモリーですわ。
よろしくね、兵藤一誠くんと神矢クリスくん」
◇
数時間後、俺達は部長の家族と会食をしていた。出てくる料理はすべて美味しそう
だったが…俺と一誠はあまり食事が進んでいなかった。
朱乃さんや祐斗は慣れている手つきで食事していた。さすが『女王』と『騎士』だ
教会コンビに関しては苦戦はしていたが、様にはなっていた。
ギャスパーは涙目になりながらも食べている。今日は人が多かったからな、
よく頑張った方だと思うよ。俺は
小猫は…まだ手をつけていなかった。やはりいつもとは様子が変だ。何を悩んで
いるのだろうか?
食事途中に部長の両親と一誠が話しこんでいるのを聞きながら、俺は食事を進めていった
◇
食事の後、部屋に戻ると
「やぁクリス。お帰り」
ゼノヴィアがいた。…あれ? なんかデジャブ…?
「何でここにいるんだ? 部屋ならグレイフィアさんに教えてもらっただろう?」
「それがね…教会では質素な暮らしをしていたから、大きい部屋は落ち着かない
のだよ」
なるほど…だから、ここへ来たのか。別に追い返す理由もないしな
「仕方ないなぁ…なら、俺の部屋に来たらいい。俺も一人で寂しかったしな」
「いや、実はもう…私の荷物はここにあるんだ。さっき、持ってきた。もちろん、
許可は取ってある」
行動早いな!! と心の中でつっこみしていた。
「それにしても、二人でも余る広さってすごいな。ここに来てから、驚く事ばかりだ」
「そうだな。私は冥界も初めてだし、元悪魔(エクソシスト)祓いが地獄なんてお似合いだね」
自嘲気味に笑うゼノヴィア。
「仕方ないだろ、悪魔なんだし。俺だって初めてさ。そんなに自嘲するなよ」
俺なりに励ました。
「ありがとう。何か気分がすっきりしたよ」
ニコッと微笑んだ。うん。やっぱり、こいつはこいつで可愛いよ
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神様の悪戯で、死んでしまった俺―――神矢クリスはハイスクールD×Dの世界に転生した。原作の主人公、兵藤一誠らに会っていろんな事に巻き込まれる。