No.456071

【獣機特警K-9】新幹線大爆破【T-9交流】

古淵工機さん

スノウくん、大ピンチ!?

◆出演
スノウ(http://www.tinami.com/view/401018 )
ユナ(http://www.tinami.com/view/400980 )

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2012-07-20 01:00:52 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:824   閲覧ユーザー数:768

トーキョー・グランドセントラル駅…。

この新幹線ホームに、一人のシベリアンハスキー形ロボットが佇んでいた。

彼の名はスノウ・インガルス。トーキョー・ベイ警察署T-9隊の隊員番号7番である。

《新幹線をご利用くださいましてありがとうございます。15番ホームに第0105列車『富士』5号、ホンコン・チムサーチョイ行きが・・・》

「…お、来たみたいだな」

何故彼がここにいるのかというと…。

話は昨日。トーキョー近郊・キタセンジュにあるスノウの自宅。

まだ夜も明けていないというのに、スノウの顔の横にあるアンテナの先端が光った。

言うまでもなく通信機だ。ロボット同士ならもちろん、テラナーヤファンガーの使う電話機とも通信が可能だ。

「はい、もしもしスノウ・インガルス…あ、ユナ?」

『あ、スノウ君。元気?』

電話の向こうから、T-9隊隊長のユナ・ヒヤマが声をかけていた。

「ああ、こっちは大丈夫…」

と、スノウが言い切らないうちにユナは切り返す。

『ねえねえ、そういえばスノウ君にはお姉さんがいたわよね?』

「ああ、今はホンコンにいるんだけど…」

『じゃあ、せっかく一週間の休暇があるんだから、会いに行ってあげない?』

「うん、オレもちょうどそう思ってたトコ。チケットは買ってきたし、着替えて行くよ」

『あらあら、随分と周到ね』

「いや、せっかく会いに行くんだし。カッコ悪いとこ見せられねーしさ。じゃあそろそろ時間だから行くわ」

『あ、うん。お土産期待してるわね』

と、いうわけでスノウは久方ぶりに姉に会いに行くために、新幹線でホンコンに向かうことになったのだ。

 

『ゲートの内側までお下がりください、到着の列車は富士5号、ホンコン・チムサーチョイ行きです…』

というアナウンスとともに、すらりと伸びたロングノーズの列車がヘッドライトを輝かせて入線してくる。

鮮やかなメタリックブルーの車体が、朝の日差しを浴びてホームへと入ってくる。

スノウが乗り込むのは前から2両目のビジネス・クラスだ。

最高時速は380km/h。それでもホンコンまでは実に半日、ゆったりした旅路である。

「…よし、この席だな…」

と、スノウは自分の左腕のカバーを開き、モニタ画面に表示された座席番号を確認すると、ゆっくりと腰掛けた。

やがて、スノウを乗せた新幹線・富士5号はゆっくりと動き出したのである。

…富士5号がトーキョー・グランドセントラル駅を発車して数十分後、シナガワC地区にある新幹線指令室。

この指令室では、全ての列車を無線で管制、コンピュータ制御している。

開業以来、常に安全な輸送システムを目指してきた新幹線のまさに中枢とも呼べる施設だ。

 

「…どうやら大きな遅れは出ていないようだな」

と、一人のオオカミ形ロボットが呟く。指令長の旦過(たんが)章一(しょういち)だ。

ふと、周りのモニター画面を見渡すと、トラブルが起きた列車はなく、全線で正常に動いていた。

その状況を見たショウイチが、一息入れようと近くにおいてあった缶コーヒーに手をかけたときだった。

 

「指令長!大変です!たった今、何者かがこの指令所に不審な電話を…」

と、駆け込んできたのはリス形ファンガーの女性オペレーターだった。

「なに!?電話の内容は!?」

「…『富士5号に爆弾を仕掛けた』…と」

富士5号。スノウ・インガルスが乗車したあの新幹線である。

「…それで犯人の要求は!?」

「『これは俺からの挑戦だ、お前たちにこの爆弾を解除できるか?』だそうで…身代金の要求らしきものがないことを考えると、恐らくこれは…快楽目的での犯行かと…」

さらに、犯人から伝えられたのはその爆弾の構造。

列車が発車してから170km/hに達した際にスイッチが入り、何らかの要因で120km/h以下にまで減速した場合その爆弾は即時に爆発。

これは途中駅で列車を停車させて爆弾を取り外す事が出来ないというだけでなく、もしホンコン・チムサーチョイ到着までに爆弾を解除できなければ、大勢の乗客とともにホンコン市街地にも犠牲者が出ることになる…。

ショウイチはすぐに電話機を取り、指示を出した。

 

「第0105列車を除く1号線全列車をただちに付近の停車場に待避させろ!それと富士5号に通達、170km/hを保ったまま走り続けるように指示しろ!…警察には連絡したのか!?」

その頃の富士5号。

『お知らせいたします。ただいま当列車に爆弾が仕掛けられたとの情報が入りました。繰り返します。ただいま当列車に…』

「おい、マジかよ!?」

「やだ、爆弾ですって!?」

「冗談だろ!?」

「イヤだ…死ぬのはイヤだぁっ!!」

爆弾の存在を知らせる放送が流れると同時に空気が一変し、車内は狂気の渦に包まれる。

それまで乗客たちは何も知らずにこの列車に乗っていた。そこに爆弾が仕掛けられていたと言うのだからパニックになるのも無理はない。

 

それはスノウとて同じだった。にわかには信じがたかったが、爆弾が仕掛けられているとなれば大勢の乗客とともに自分も死ぬ事になる…。

「くそっ…せっかくの休暇が台無しじゃねえかよ…!」

スノウは歯を食いしばりながら拳をぐっと握っていた。しかしそんな状況にあっても、スノウの電子頭脳はこんな時にどうすればいいかを自動的に計算していたのである。

(まずは現状把握。…爆弾が仕掛けられているのは先頭車両の連結寄り…問題はどう処理するかだな…どのみちこのままにはして置けねえ…!T-9隊に連絡しなきゃ!)

スノウは顔の横に手を当て、T-9隊に暗号通信を入れた。

そうしている間にも、800人近い乗客と爆弾を乗せ、走る棺桶となった新幹線・富士5号はホンコンへ向かう。

果たして富士5号の、その乗客たちの、そしてスノウ・インガルスの運命やいかに!?


 
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