No.455878

IS.B 馬神 弾という名の操縦者 2nd Break An outline No.4

霊狭山さん

またしても…長過ぎた…

2012-07-19 21:33:18 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:1041   閲覧ユーザー数:1016

勝斗side

 

夕方 アリーナ

 

「何だ…これは…」

 

目の前に広がっていた光景は、何があったのか検討がつかない。

 

セシリア、鈴、ラウラは死体同然の様に倒れている。

そして、その周りに至る所に銃で撃った様な痕がある。

 

ライフルだけではこんな痕は出来ないし、そうだとしたら、今頃撃っている。

 

…となると、マシンガンでだな。

マシンガンを持っている者は…

 

「…シャルロット・デュノアか…」

 

専用機持ちでマシンガンを持っている者はシャルロット・デュノアのみ。

 

まず、三人を医務室へ運ぼう。

シャルロットに聞くのはそれからだ。

 

side out

 

 

 

 

弾side

 

 

「弾? ちょっと良い?」

「僕も良いかな?」

「何だ? まゐ、シャルロット」

 

二人が俺に声をかける。

 

「そろそろ、臨海学校だし…」

「どっか、行かない?」

 

あ、そう言えばあったな。

臨海学校の日は近いし、余裕がある内に準備した方が良いな。

 

「……そうだな、近いと…」

「シャルロット・デュノア、お前に話がある」

「え…は、はい」

 

あ…こっ酷く叱られるな。

シャルロットは勝斗に呼ばれ、部屋を出る。

 

「………ひゃいぃぃぃ!!!!! すいません!!!!!!!」

 

ほら、ドアからシャルロットの声。

勝斗は確かに大声を出していない。

だけど、怒ると怖いみたいだな。

 

まあ、それより、明日は臨海学校の準備だ。

持ち物の表を確認しよう。

 

 

 

 

 

 

翌日 IS学園前駅

 

「お待たせー」

「三人揃ったわね」

 

今日は俺とまゐとシャルロットで、そろそろ行われる臨海学校の準備。

その為、買い物に行く事になった。

 

「電車が来たぞ、乗るぞ…」

 

………の筈が。

 

「これ、可愛い~♡」

「これも良いかもね!」

 

……どんな目的で来たんだ…

 

「あのお人達、大丈夫でしょうか?」

「あーあ、準備は沢山あるってのに…」

「これじゃあな…」

 

擬人状態のアマツマガツチ、ミラバルカン、ライジング・アポロはあの二人を見て少々呆れた。

 

「…乗り遅れるぞ」

「「あっ…」」

 

俺は二人の腕を掴み、電車に乗り込む。

二人の顔は少しだけ赤かった。

 

side out

 

 

 

勝斗side

 

街中の駅

 

数日後は生徒の恒例行事、臨海学校があるからな、それが終わるまで少しおふざけに付き合うか。

まずは、この人と…

 

「行くぞ、ラウラ」

「うむ」

 

この人は常識からずれているからな、俺が付き添いながら準備をする。

 

………ん?

 

鈴にセシリア?

なーんか、誰かをストーキングしているな…。

何かブツブツ言っているが…

 

「ラウラ、耳を傾けるぞ」

「うむ」

 

……………………。

 

「……ねぇ…」

「何ですの…?」

「あれって……手…繋いで無い?」

「繋いでますわね……しかも、両手で…」

 

最早、声が死んでるみたいだな…

 

「そっかー、見間違いでも、幻覚でも、悪夢でも無く、やっぱりそっか…」

 

鈴から殺気が出ている。

………よし。

 

「行くぞ」

「うむ」

 

早く鈴を止めよう…

 

「ふふ…ふふふ………よしぃ‼ 殺そうぅ‼」

 

……想定していた通りだな…

 

「よせ、鈴」

 

「「‼」」

 

「ほう、楽しそうだな」

 

「「勝斗 (さん)にラウラ(さん)!!!」」

 

鈴とセシリアが見ていた方向に目を向けると、見覚えのある赤髪と紫髪、それに金髪が見ていた。

成る程な…

 

「鈴、セシリア、ラウラを任せた」

 

「え、ふぇ⁈」

「ま、勝斗さん⁉」

「ちょっと待て‼」

 

鈴、セシリア、ラウラは俺を止めようとするが、俺は聞く耳を持たず、この場を離れる。

 

 

 

 

 

 

 

『良かったのか? あの者等を連れて行かなくて…』

 

ミラルーツが疑問を聞く。

 

「……あの人等は必ずしも、弾と同じ所へ行く筈だ。俺も弾と同じ場所へ行く。この近くにある洋服店だ」

『………分かった』

 

弾はこの近くにいる筈だ。

 

side out

 

 

弾side

 

洋服店 水着売場

 

「う~ん」

「どれにしようかな?」

 

二人共、迷っているな…

 

「うん、じゃあこれにするかな」

「私はこれにするわ」

 

決まったみたいだな。

 

「じゃあ、弾、似合ってい………!!!」

「!!!」

「おわっ⁈」

 

突然、シャルロットとまゐは俺の腕を掴み、急いで試着室に向かった。

……だけなら良いが…

 

「ちょっと待て!!」

「「良いから!!!!」」

「おわっ!!?」

 

無理矢理入らされた…

その後、二人も更衣室に入った。

 

side out

 

 

まゐside

 

「な…何するんだ⁉」

「あ、あのね…」

「水着が似合うか…見て貰いたいから…」

 

弾の質問に対して、私に続いてシャルロットが訳を言う。

違う意味だけど…

 

「それなら、わざわざ……」

「「しっ!!!」」

 

聞こえたかも!

 

カーテンを少し開けて、私とシャルロットで様子を見る。

 

見えた先は…

 

「弾!! 何処にいる⁈」

「出て来いー!!!」

「何処に行かれたのでしょうか?」

 

あ……ライジング・アポロ達が心配してる…

はぁ、如何しよう…

 

「外に誰かいるのか?」

「「いや! 何でも無いよ‼」」

 

何とか私達二人で誤魔化す。

 

「それよりも……////」

 

私達は、制服を脱ぐ用意する。

 

「だっ‼⁈ ちょっと待て!/////」

 

弾は片腕で目を隠す。

顔が赤いね。

 

「良いから!」

「後ろに向いて!!」

 

「っ‼………/////」

 

こんな弾、初めてかもね。

顔が赤いし、ふふ♡

 

さて、着替え終わった♡

今度はどんな反応するかしら♪

 

「良いよ…」

 

「い…っ‼////」

 

弾は緊張しながら、ゆっくりとこちらに目を向ける。

正直、私達も緊張しているわ………。

 

「……っ‼////」

 

「如何……かな?////」

「似合う?////」

 

私が着ている水着は紫の花柄の水着服、シャルロットは黄色のパレオ。

 

「あ、あぁ…二人共、似合ってるぞ////」

 

「そう?」

「良かった♡」

 

弾に褒められた♡

この水着で良かった♡

 

「………その中で何をしてる…」

「「「!!!!!!!!!!」」」

 

こ、この声‼

まさか⁈

 

「この声、もしや…」

 

この声を聞いたあと、カーテンが開いた。

 

side out

 

 

 

時は少し遡る……

 

 

勝斗side

 

市街

 

「此処か、一番近い洋服店」

 

この店の特徴は近くて、好みの服が見つかり易い、最大の利点を取り入れた人気店だ。

俺はその店へ入る。

 

 

店内 水着売場

 

さて、問題の場所だ。

しっかりと探さないとな……

 

……ん? あの人等は?

 

「これとかも、弾にお似合いだな」

「この柄なぁ~」

「良いと思いますね」

 

こいつら、弾のパートナー達か。

擬人状態だが、間違い無い。

 

「お前ら、何をしてる?」

 

「あぁ、確か…勝斗か」

「俺達はな、弾にピッタリの水着を選んでたんよ」

「やっぱり、この衣装かなっと……」

 

アマツマガツチが見せたのは、炎柄の碧色の水着だった。

 

「中々良いぞ、だが、良いか如何かは本人次第だ」

 

「じゃあ、俺ぁ、弾を探す」

 

ミラバルカンは、本人である弾を探しに行く。

数分後・・・

 

 

「おかしいぞ…?」

 

ミラバルカンが何やら疑問を抱きながら帰ってきた。

 

「如何した?」

 

「……弾が此処に居ないんだよ」

 

「何⁉」

 

弾が居ない⁈

 

「…………手分けして探そう」

 

「あぁ」

「おう」

「はい」

 

皆で弾を探し始める。

 

「おーい弾、何処にいる?」

「出て来いー」

「何処に行かれたのでしょうか?」

 

呼びかけて弾を探す。

数分後・・・

 

「居ないな……」

「居ねー………」

「居ないです…」

 

三人共、見つからな無かったか…

 

「そうか……ん?」

 

俺の目に止まったのは、試着室。

もしかして……

 

「お前ら、試着室を探したか?」

 

俺が質問すると…

 

「いや…」

「全然…」

「探していませんでした…」

 

探していないか…

 

「試着室の下をよく見てみろ」

 

「下?…………!!!!!」

「靴が三つある!?」

「しかも、この靴はIS学園の‼」

 

もう分かっただろう…

 

「ん、勝斗か」

「織斑教授、山田先生」

 

俺が結論を言おうとしたら、遮るかのように教授が来た。

 

「皆して、此処て何の話をしているのだ?」

「織斑教授、説教の御用意を…」

「「?」」

 

織斑教授はその言葉に首を傾げる。

直ぐに分かるさ。

 

「その中で何をしてる…?」

 

俺がそう言うと…

 

「「「!!!!!!!!!!」」」

 

見事に声を出したな…

織斑教授はその声に何か見当がついたみたいだな。

 

「この声、もしや…」

 

織斑教授はカーテンを掴み、開けるとそこには…

 

「「「あっ!!!」」」

 

「ば、ば、ば…馬神君…し、し…紫乃宮さん…デュ…デュノアさん……」

「何をやっている」

「やっぱりか…」

 

山田先生は凄い冷汗を掻いて、織斑教授は驚いた。

俺は推理通りだったから関心をしているがな…

 

「そこにいたのか…」

「やっと見つかった」

「い、一緒に……」

 

ライジング・アポロは少し驚き、ミラバルカンは安心し、アマツマガツチは冷汗を拭う。

 

「さて、訳を聞かせて貰おうか…」

 

「「「……はい…………」」」

 

三人は織斑教授にこっ酷く叱られた。

説教が終わった後、寮に戻った三人はぐったりしていた。

 

 

 

 

立ち入り禁止の島

 

「グルル…」

 

天を貫く冠を持つ黒い龍。

身体中に、血が着いていた。

 

それもそうだ、この黒い龍は億を超える命を喰らってきた。

この血は返り血、言わば、頂点の証。

 

「ギュアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアア!!!!!!」

 

黒い龍の咆哮は海をも振動させる。

 

 

 

弾side

 

昼 寮

 

『弾、そろそろ私の技、どの位使えるかをみてみませんか?』

「そうだな…気になるな」

 

アマツマガツチの言う通り、心もだんだん一つになってきた頃だしな。

 

「アリーナへ行こうか」

『はい』

 

 

 

第一アリーナ

 

「あら、弾さん」

「訓練? だったら、相手にしてやるわよ」

 

アリーナで模擬戦をしていた、セシリアと鈴が俺に気づき、誘う。

 

「あぁ、俺も模擬戦しようと思ったんだ」

 

そう言って、俺はライジング・アポロを展開して、アマツマ・アポロに形態変化し、戦闘体制に入る。

 

side out

 

「へぇ〜、初めて見る形態だね」

「今まで通りではありませんのね」

 

二人は弾のISを見て、関心をする。

 

「まだ、使い始めたばかりだからな」

 

「そうなんですか?」

「だからって手加減しろっての?」

 

「……いらない」

 

「そう」

「なら、形態変化ですわ!!!」

「私も、龍ちゃん!!! 形態変化よ!!!」

 

セシリアは金色のISに、鈴は翠のISに変わった。

 

「そう来なくちゃな、行くぞ!!!!」

 

「望むところよ!!!!」

「今度は負けませんわ!!!!」

 

弾はアマツマ・アポロの風爪で攻撃する。

 

「セシリア!!!」

「はい!!」

 

セシリアは鈴の指示でライフルを撃つ。

しかし、

 

バチッ!!!

 

「えっ⁉」

「弾かれた⁉」

 

アマツマ・アポロの特性、[風流膜]は射撃性の攻撃をどんな威力でも、全て弾く。

対 遠距離攻撃には相性が良い。

 

「まさか!!」

「纏ってる風のせいね‼ 近距離しか無いか、なら!!! [烈神速]!!!!」

 

鈴は[烈甲龍]の特性、[烈神速]で弾の攻撃をかわし、弾の後ろに回り込む。

 

「貰ったぁぁぁぁああ!!!!」

 

…が、弾のは空気の流れを読み取り、後ろにいた鈴を半回転の勢いで爪を振るう。

しかし、普通の爪では届かない所だ。

 

鈴は届かない所に瞬時に下がる。

だが、鈴はアマツマ・アポロの爪を知らなかった。

 

弾が使っているのは、風爪だから、

 

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!!!!」

 

少し離れていても、爪の風で当たる。

近距離でも甘く見てはならない。

 

「くっ、想像以上だわ!!」

 

「まだ、行くぞ」

 

弾は片腕をそっと前に出し、その腕に何かを溜め込む様に力を入れる。

 

「な、何をするの?」

 

「見てれば、分かるさ!!!」

 

すると、腕に何かが集まり始めた。

それ等が一つに集まり、水晶の様なボールが出来た。

 

水晶では無い。

グニャグニャしている。

 

弾はそのボールを勢い良く、鈴に投げつける。

 

「!!!! きゃっ!!!」

 

余りの早さで鈴は反応し切れなかった。

ところが、鈴は変な感覚がした。

 

「って、これって!!! 水⁉」

 

鈴の機体は濡れていた。

弾が集めていたのは水だった。

 

「っ‼ やぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!!!!!!!!!!!」

 

構わず、鈴は弾に向かうが…

 

「えっ⁉ さっきよりも遅くなっている⁉」

 

鈴は咄嗟にISのステータスを見ると、

 

 

[烈甲龍]

 

 

攻撃力 538→538[±0]

防御力 329→329[±0]

機動性 838→338[−500]

 

状態異常 機動性ダウン〔大〕

[烈神速]使用不可

 

 

機動性が大幅に減少していた。

これが弾の新しい技、[遅水弾]。

この技は当たったISの機動性を大幅に下げる。

更に、瞬間も出来なくなる、素早い相手と戦う時に役立つ、

 

「うそ……」

「鈴さん!! 如何したんですの⁉」

「ステータスが…機動性が…下がってる…」

「えっ⁉ そんな!!」

 

セシリアは鈴の発言に驚く。

当然、鈴の最大の武器、機動性が無くなったのだ。

 

更には鈴の特性、[烈神速]が使用不可なのだ。

 

セシリアが行っても、また、風流膜で弾が弾かれるだけ。

鈴は機動性が無くては、動きにくいのだ。

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!!!!!!」

 

「くっ!!!」

 

弾は風爪で鈴に攻撃する。

鈴は弾の攻撃を斧で防ぐが、風の力で少しづつ押されている。

 

「ぐうぅぅぅうう…!! きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁああ」

「鈴さん!!!!」

 

押され切れなかったか、鈴は風に飛ばされて、アリーナの観客席の下の壁に叩きつけられた。

 

すると、セシリアはあることに気がついた。

 

「(そういえば、弾さんを纏ってる風、攻撃している時だけ、風が止んで様な…まさか!!!)」

 

セシリアはライフルを構えて、弾が攻撃してくるのを待つ。

 

「(私の判断が正しければ、こっちの物ですわ!!)」

 

そして、弾は鈴に向けて遅水弾を構える。

すると、弾を纏う風流膜が無くなった。

 

「(今ですわ!!!)ポイズンショット!!!!!」

 

「ぐあっ!!!!」

 

今度は弾かれること無く、当たった。

 

「(やっぱり判断通りですわ‼)分かりましたわ!!! その形態の弱点!!! 」

 

「何っ!!⁉」

 

「ナイス!!! セシリア!!! どんな弱点?」

「弾さんが攻撃している時だけ、纏う風が一時的に収まりますわ!!!」

「じゃあ!!!」

「えぇ、多対一であれば、こっちの物ですわ!!」

 

それを聞いた弾は額汗を掻く。

 

「(…………致命的な弱点だな)」

 

心の中でそう呟きながら、考え込む。

 

「(参ったな、今の状態異常はシールドエネルギーが少しづつ減っていく。このまま、攻撃をしなければ時間が経ち、やがて、0になり兼ねない。攻撃しても、攻撃されたら状態異常のダメージの蓄積と、基本のダメージで直ぐに0になる…最悪な状況だな…これは…)」

 

「攻めないの? なら、こっちから!!!」

 

「っ!!!!! しまった!!!」

 

鈴は斧で攻める、が、弾は風爪で防御する。

しかし…

 

「貰いましたわ!!!」

 

「っ!!!! しまっ……うあっ!!!」

 

風流膜か一時的に治まってしまい、隙が出来た。

それにより、セシリアの火炎弾が命中する。

 

弾のシールドエネルギーは一気に少なくなり、状態異常でシールドエネルギーは0になった。

 

 

弾side

 

「参った、アマツマガツチに欠点があるとは思って無かった」

 

「アマツマガツチ?」

「もしかして、さっき使った形態?」

 

「あぁ、そうだ」

 

俺が呟くと、鈴達は形態について話かけて来た。

 

『貴方様等、中々ではありませんか』

 

白い勾玉から、アマツマガツチが出てきた。

いきなりか…

 

「わっ、何⁉ この龍は⁈」

「この綺麗な龍が、そうですの?」

 

『はい、私がアマツマガツチでこざいます。脅かして御免なさい』

 

「いえいえ」

 

アマツマガツチの謝罪に対して、セシリアは返事で断る。

 

『それよりも、私の弱点、これから克服して行きましょう。弾』

「ふっ、そうだな」

 

アマツマガツチの誓いで俺は優しく微笑む。

 

 

 

 

 

勝斗side

 

臨海学校当日

朝 寮

 

「おーお、盛り上がってるな」

 

女子達はいつもより、喋り声か多い。

相当楽しみにしているのか…

 

……一人を除いて…な。

 

「篠ノ之 箒、何かあったのか?」

 

その一人が篠ノ之 箒、何か寂しそうな表情をしていた。

 

「……少し、昔の事を思い出しただけだ」

「……織斑 一夏か?」

「…………」

 

箒は小さく頷いた。

 

「そうか、あの者は近いうちに見つかる。もうしばらく待て」

「………あぁ」

 

そう言って、箒はこの場を離れた。

 

織斑 一夏か…

奴は方向不明になる前に、一度、誘拐された。

一夏に関わる者には全て、方向不明の知らせを聞いたら、案の定悲しんだよ。

無理も無い、箒と鈴は一夏の片思いだ。

だから、絶対に見つけ出して見せるさ。

 

おっと、回想はここまでにして、そろそろ集合時間だ。

少しだけおふざけに付き合うか…

 

side out

 

 

 

弾side

 

校門前

 

「皆さん、今日は待ちに待った臨海学校です。しっかりした態度をとり、張り切って学習しましょう」

「「「「「はい!!!」」」」」

 

山田先生に注意事項を聞いて、皆は元気良く返事をする。

予定だと、後半から凄く厳しくなる見たいだ。

 

「さて、組ごとにバスに乗って下さい」

「「「「「はーい!!」」」」」

 

何か返事の声が弾んでいるような気がするが…………

そんなこんなで俺たちはバスに乗り込む。

 

 

 

バス内

 

俺の席は一番後ろの左側の端っこ、右隣から順にまゐ、セシリア、ラウラ、箒。

俺の前がシャルロットだ。

勝斗は一番前、千冬先生の隣だ。

 

勝斗は千冬先生と何か話をしている。

んで、皆は…

 

「何をしようか……」

「やる事がございませんわ……」

「「はぁ……」」

 

ラウラとセシリアが呟き、まゐと箒がため息を吐く。

確かに、やる事が無いな……

暇潰しに何かゲームしたいな…

 

「あ!!!! 僕、トランプ持ってる!!!」

「「「「おー‼ でかした(ましたわ)!!!!」」」」

 

皆、凄く暇だったのか…

しょうがない…

 

「……準備出来た?」

 

シャルロットがゲームの準備完了の安否を皆に言うと…

 

「おう」

「出来ましたわ」

「えぇ」

「うむ」

「あぁ、………って、俺も?」

 

準備出来たのは兎も角、俺は一回もやるとは言って無いぞ…?

 

「うん♡」

「いや、俺は……」

「や~る~よ♡」

「ゔっ!!」

 

出た…悪魔の笑顔…

今までの中(全体的に)の獄龍隊より怖い…

 

「わ、解った……」

「じゃあ、ババ抜き始めるよ~♡」

 

否定出来ない…

そして、切り替え速い。

 

順は、

箒→ラウラ→セシリア→まゐ→俺→シャルロット→箒、

…の順だ。

 

俺の手札は八枚。

カードは…

 

♠の2

♥の2

♥の3

♣の9

♦の7

♣のK

♠の7

♥のQ

 

捨てて良いやつは…

 

♠の2

♥の2

 

♣の9

♣のK

 

♦の7

♠の7

 

♥の3

♥のQ

 

全部かい……

 

「じゃあ、カードを捨てて」

 

皆は可能な限りカードを捨てる。

皆の残りのカードは…

 

箒 4枚

ラウラ 5枚

セシリア 0枚→上がり

まゐ 4枚

シャルロット 2枚

 

セシリアも上がりになったか…

俺とセシリアが上がりになった事で残りは、箒、ラウラ、まゐ、シャルロットの四人となった。

 

side out

 

 

 

まゐside

 

私の手札は…

 

♦の2

♥の7

♣の9

♠の1

 

見事に別々になっているわね。

 

暫くして、ババ抜きが始まった。

 

箒→−2枚 (2枚)

ラウラ→+1枚 (6枚)

 

次は私の番ね。

 

「さあ、引くが良い」

 

ラウラは強気な口で手持ちの手札を出す。

このカード、左から2番目のカードを抜く。

カードは…

 

♠のQ

 

それにより、♠の1と一緒に捨てることになった。

 

シャルロットが取ったカードは♣の9。

揃ったのか、シャルロットは2枚のカードを捨てた。

 

1ターン終了

 

箒 2枚

ラウラ 5枚

私 2枚

シャルロット 1枚

リーチ

 

 

「ふふ~ん、僕は上がりかもね♪」

 

シャルロットは余裕の表情を見せる。

 

「じゃあ、このターンで一緒に上がろう」

 

私はそう言うと、シャルロットは…

 

 

 

 

 

「うん、一人で上がるよりは、良い♪」

 

そして、シャルロットは箒が引いた事により、上がりになった。

 

箒 2枚(±0)

ラウラ 4枚(−1)

 

私の回に回ってきた。

引いたカードは…

 

♣の2

 

♦の2を捨てることになった。

残る1枚は箒が引いた。

 

ギリギリ、シャルロットと同じターンで上がった。

 

ふぅ、危なかった。

 

 

 

勝斗side

 

夜 旅館食堂

 

「御馳走様です」

「もうなのですか? もっと食えば良いのに…」

 

山田先生が食堂から出てこうとしてる俺を止める。

 

「天神、食わなければ身体が持たんぞ」

 

織斑教授も俺を呼んだ。

だが、俺は……

 

「いや、少し調べたいです」

 

此処の歴史について興味がある。

 

「そうか…この臨海学校に関わる事が有れば直ちに報告しろ、良いな?」

「分かりました」

 

いや、俺的には言うまでも無い。

絶対に関わる事が有る。

 

side out

 

 

 

弾side

 

夕飯は刺身か。

 

本山葵を刺身にのせ、その刺身を醤油に付けて、口に含めて、頬張る。

 

「うん、流石に良いな、本山葵」

「本山葵?」

 

シャルロットは俺の言った事に興味を持った。

 

「ん? あぁ、これは……え⁈…」

「はむっ」

「あ…」

 

俺が山葵の事を言おうとしたら、シャルロットは何かを口に含んだ。

そして、シャルロットは箸を咥えたまま静止した。

 

シャルロットの刺身の皿には、山葵の盛り付けが無かった。

 

…て、ことは………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!?!?!?!?⁉!?!?!?!?!?!?!?!?!?!⁈?!?!?!?!?!?!?!?!?!〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

やっぱり!!!

山葵を丸ごと入れちゃったのか!!!!

 

あまりの辛さにシャルロットは涙目になり、鼻を摘まみ、そのまま手を床につく。

 

「うぅ…うぅぅ~」

「だ、大丈夫か?」

 

振るえているシャルロットに一応、言い聞かせる。

凄い心配だ…

 

「は…はいほうふ(大丈夫)……ふ、ふうひははっへ(風味があって)おいひいほ(美味しいよ)〜〜……………」

「あんまり無理すんな…優等生過ぎる…」

 

俺がお茶をやるとシャルロットは一気に飲む。

辛かったじゃないか…

 

「うぅ、くぅぅ………」

 

隣から苦しそうな声がした。

 

あ、………セシリアが足を痺らせて苦しそうにしていた。

 

「痺れたのか?」

「だ…大丈夫ですわ…」

 

いや、大丈夫じゃ無いだろう…

粘るなよ…

 

「あっ!」

 

足がずれた様だ。

更に心配だな…

 

side out

 

 

 

 

勝斗side

 

旅館図書室

 

「………」

 

この旅館は、推定1297年前からずっと建てられた様だな…。

 

今年は3777年、だから江戸時代の建物だな。

修理工事も多少して江戸時代当時から変わらぬままこの形を保っているのか。

 

それにしても、随分と歴史が詰まっているのな。

1297年前だから14冊であるかと思ったが……、1冊の厚さ約15㎝で30冊もあるとは…本棚丸々1つだな。

 

一番新しい歴史を読んでみるか。

 

 

…………………………………………

 

 

 

 

…………何っ⁈

 

side out

 

 

 

 

歴史本文

 

神話文〜悪魔の龍神〜

 

977年

 

ある七夕の日、民の者達は七夕を楽しんだ事だった。

賑やかな中で笹の枝に願い札を吊るし、夢を抱く頃…。

 

民の者達は或る島で龍の目覚めには気がつかなかった。

 

黒い島の火山の噴火が轟き、危険を予知し民の者達は民家へ避難する。

それにより、民達は安心していた。

 

 

 

 

 

 

あの龍を見るまでは…

 

 

或る民一人、外の様子を伺った時。

悪魔の龍が姿を現した。

 

その龍は民家を壊し、人を喰らい、人を焼き殺し、土地を溶かしたのだ。

 

幸い、この旅館に災いは無かったが、次はそうと行かないと思え。

 

次来る時は、言うまでも無く未来は無くなる。

 

 

勝斗side

 

何だと⁈

じゃあ、記録は⁈

 

 

出現記録

 

1007年 7/7 7:7:7

1077年 7/7 7:7:7

1777年 7/7 7:7:7

2007年 7/7 7:7:7

2077年 7/7 7:7:7

2777年 7/7 7:7:7

3007年 7/7 7:7:7

3077年 7/7 7:7:7

 

 

…年月日時に7が付く時にしか現れないのか…。

 

……………………て事はまさか!!!

 

ヒラッ

 

俺が行こうとした方向に埃に塗れた手紙が落ちた。

その手紙の中を恐る恐るみると…

 

「……………!!!!!」

 

その手紙に書かれてた事はまるで外道の様だった。

更に驚くのは、織斑 一夏の名前が上がっていた。

字は掠れて読みにくいが…

兎に角、織斑教授に知らせないと!!!

 

 

side out

 

 

 

「織斑教授、これを…」

「ん? その本は?」

 

勝斗は旅館の図書室で見つけた、手紙と付箋を貼った歴史本を千冬に渡した。

 

「付箋が貼ってある所を読んで見て下さい」

「あぁ、…………………!!! これは!!」

 

千冬はそのページの言い伝えに驚いた。

 

「"悪魔の龍神が目覚める"とは⁉ 明日の7:07に此処は⁉」

「恐らく、明日は7/7です。生徒達を守るならば、今の内です」

 

勝斗は冷静な対応を取りながら、心の整理が出来ない千冬に話す。

 

「緊急会議を開きましょう。"悪魔の龍神"を倒す為に!!」

「その手紙は何だ⁉」

 

千冬は勝斗が持っていた古びた様な手紙に目を付けた。

 

「後で見せます、今少し様子を…」

 

それを言い残し、勝斗は会議場所へ行ったのだった。

 

 

 

 

一方、

弾は擬人状態のライジング・アポロ、ミラバルカン、アマツマガツチと…そして、箒と鈴、まゐと話をしていた。

 

「「「!!!!!」」」

 

ライジング・アポロ達は邪悪を感じた。

 

「如何した?」

 

「………明らかにやばいぞ」

「こんな邪悪は感じた事が無いぜ……」

「何か恨む様な感じです」

 

「この時に⁉」

「そんな…」

 

全員はライジング・アポロ達の言葉で戦慄する。

 

 

 

セシリア、シャルロット、ラウラは…

 

「くふ~……うぅぅ…」

「大丈夫ですの?」

 

シャルロットはまだ山葵の辛さに苦しんでいた。

 

鼻を摘まみ涙目状態だ。

 

「は、ははふほふははいほ(まだ凄く辛いよ)〜〜……」

「喋るのも間々ならないな…」

 

ラウラがシャルロットの声を聞いて心配する。

 

「うん…」

 

彼女等は危機感を持たず、ただ話をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

所は変わり、此処は火山の奥地。

 

そこにはあの''悪魔の龍神"が目覚めの期を迎えていた。

 

「グルルルゥゥ……」

 

龍神の辺りには無数の血と砕け散った骨が無数に散らばっていた。

 

龍神には傷一つも無し。

 

悪魔の龍神の目覚めは、既に来ていた。

 


 
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