次の日学校に行く途中、バスの中でなのはちゃんから念話が来た。たぶん昨日の事だろうなぁ・・・。
[ねえ神那くん。結局、神那くんが私に魔導師だってことを教えてくれなかった理由聞いてないよ?]
[あ~、理由は裕樹とほぼ一緒だよ。後は出会った順番の違いかな。まあ、正体を隠してた理由は・・・これといって特にないけど、あえて言うなら色々あの子のことについて聞かれそうだったから]
[うん、絶対聞いてたね。というより今からでも聞きたいんだけど・・・]
[それはあの子に直接聞くことだね。あの子の事情とかを友達とは言え、他人の僕が話していいことじゃないから]
[わかったの・・・]
「ちょっと二人とも!さっきからずーっと黙り込んでるけどなにかあったの?」
「ああ、ごめんよ。ちょっと考え事してたから」
「ゴメンねアリサちゃん。ちょっとボーっとしちゃってただけだから」
「ふ~ん・・・なんか怪しいわね・・・」
変なところで鋭いな。ここは上手くごまかすか。
「ほんと大した事じゃないよ。また今日から1週間はじまるんだな~って考えてただけだから」
「それは小学生が考えるようなことじゃないわよ・・・。なのははなんでボーっとしてたの?」
「ちょっと夜遅くまで勉強しちゃって・・・」
「はぁ・・勉強もいいけど程々にしときなさいよ?」
「うん・・・」
何とかごまかせたかな?その後は学校に着くまでおしゃべりをして時間をつぶしていた。
―――午前の授業中―――
[神那]
[なに?]
[何で昨日あそこで撤退した?]
[ああ、単に魔力切れを起こしそうだったから]
[ふ~ん・・・それならそれでいいけどよ]
なんか引っかかる言い方するなぁ。
[なんか気にしてる?]
[べっつに~]
[心配しなくてもいい。マスターは単に、拗ねているだけだ。昨日の戦いが不完全燃焼みたいな形で終わってしまったことに対してな]
[なるほど。転生者と言ってもこの世界ではまだまだ子供ってことか]
[いやいや、お前も子供だからな!?]
細かいことは気にしないほうがいいよ?そんな話を裕樹としていると、今度はなのはちゃんが念話で話しかけてきた。
[お話中ゴメンね二人とも]
[いや、こっちもあらかた終わったところだ]
[そうそう。それでなにかお話?]
[うん。今度の週末みんなで温泉に行かないって話をお昼休みにしようと思ってたんだ。二人には事前に話しておこうと思って]
[なるほど。俺のほうは大丈夫だろ。特に親が厳しいわけでもないからな]
[僕のほうは聞いてみないとな~。それより保護者は誰か行くの?]
[私のお母さんとお父さんがいるから大丈夫だよ]
保護者がいるなら許可が下りる可能性があるな。あ、そうだ。
[僕以外が増えても大丈夫?]
[それは大丈夫だよ。ただ泊まる予定で行くから、予約とかしなくちゃいけないし、明日か明後日までに返事頂戴]
[ん、わかった]
[ま、俺も一応聞いてみるわ]
[よろしくなの]
温泉か~。そういえば、行ったことがなかったね。どんなところかちょっと楽しみになってきた。そしてお昼休みに僕らとしてはもう一度、アリサとすずかちゃんにしては初めて温泉の話をなのはちゃんから聞いた。僕らは先に念話で言ったことと同じ受け答えをしておいた。アリサちゃんとすずかちゃんに関しては、なのはちゃんの両親が行くなら大丈夫だろうと言っていたので、参加するとのこと。ちょっとした旅行みたいでなんだかわくわくしてきたよ僕。しかも友達と一緒ってのがまた最高だね!
―――その日の夜―――
父さんたちに温泉の件を話したら、意外とあっさり了承が出たので、今度はフェイトに一緒に行かないかと聞いてみた。
「温泉・・・」
「そう温泉。無理にとは言わないよ。ジュエルシードを集めなきゃプレシアさんに叱られるんでしょ?」
「あ、それなんだけどもういいんだって」
「へ?なにかあったの?」
「うん。昨日ね、私の生まれについてとかジュエルシードを集める理由についてとか色々聞いたの。確かにショックはあったけど、母さんがこれからは私を一人の娘としてみてくれるって言ってくれたからすごく嬉しかった。・・・ねえ神那、私のことについて聞いた?」
「うん・・・。悪いとは思いつつ、母さんから聞いたよ」
そう告げるとフェイトは少し暗い顔になった。あ~、やっぱ怒ってるのかな~・・・。
「ゴメンねフェイト。そんなに嫌だったとは思わなかったよ・・・」
「あ、違うよ!そうじゃなくて、その・・・気持ち悪いと思わなかった?」
「全然。母さんにも同じ事聞かれたから言ったけど、生まれがどうであれ、フェイトはフェイト。アリシアじゃあない。確かにこう言うのもあれだけど、フェイトはアリシアのクローンだ。でもフェイトが生まれてから今まで生きてきた人生はフェイトのものだろう?だったらそれは堂々と誇るものであり、決して悔やんだり悩んだりする事じゃないはずだよ」
僕がそう言うとフェイトがいきなり抱きついてきた。
「フェ、フェイト!?どうしたの!?」
「・・・ありがとう神那。神那が友達で本当によかった・・・。これからもよろしくね♪」
「こちらこそよろしく、フェイト」
どうやら少し泣いていたようで、僕の肩の辺りが少し濡れていた。誰かに認めてもらえるのが嬉しかったんだな。家族以外の誰かに・・・。
「で、どうする?」
「あ、うん。ちょっと待ってね、すぐ母さんに確認してみるから」
そう言うとフェイトはプレシアさんに連絡を取った。するとどうやら僕と少し話がしたいらしい。一体なんだろう?
【あなたが神那君?娘がお世話になってるわね】
「いえいえ、こっちこそフェイトの足を引っ張らないようにしているのが精一杯ですよ」
「そ、そんな事ないよ神那!神那は十分私をサポートしてくれてるよ」
【ふふ、どうやらいい友達関係を気づいているようね。神那君、娘と友達になってくれてありがとう。あなたがフェイトと、私は雪乃と出会ったことで、私は間違いに気づく事ができ、フェイトと親子になる事ができた。本当にありがとう】
そう言うとプレシアさんは画面越しに頭を下げてきた。
「そんな!僕はただ自分のしたいようにしただけです!だから頭を上げてください、プレシアさん」
【そう・・・あなたはほんといい子ね。・・・ええ・と、確か温泉の話だったかしら?】
「あ、そうです。かまいませんか?」
【ええ、大丈夫よ。アルフも一緒に行ってきなさい。それから白い魔導師の子も行くんでしょ?】
「おや、いいのかい?それじゃあ遠慮なく行かせてもらうよ」
「ええ、むしろ彼女が言いだしっぺです」
【だったらちょうどいいわ。フェイト、今までの事を説明して、ちゃんと謝って彼女たちに協力するよう言っておいて頂戴。神那君もフォロ-をお願いね】
「分かったよ母さん」
「分かりました」
【それじゃ私はこれで。フェイト、あまり遅くならないうちに帰ってきなさいね】
「はい」
う~ん、アルフが鬼婆って言うくらいだから結構怖い印象を持ってたけど、全然そんな印象はなかったね。むしろ母親のオーラが感じられたよ。プレシアさんと通信が終わった後、一応フェイトに何を持っていけばいいのかを伝えてからジュエルシードを探し始めた。1~2時間ほど探していたけど、どうやら見つかりそうもなかったので今日はもう解散ということになった。あとジュエルシードをまだ集める理由に関しては、どうやら集める理由はなくても、善意で集めておけば後々管理局に大きな顔をされないですむらしい。プレシアさん・・・意外と腹黒いとです・・・。
Tweet |
|
|
5
|
1
|
追加するフォルダを選択
みなさんこんばんは~。徐々に進んでいっている物語・・・、はてさて作者は上手くまとめられるのか?・・・まあ、まだ移してる最中ですけどねw