EIZI・YOSINO
その戦いを見ていて零二達はただ驚くしかなかった。霧埼は実力はかなりある召喚せし者だ。それが苦戦を強いられているのだから。
(つか、フェイトさんおろおろし過ぎ……)
先程から危ない瞬間にはすごくおろおろしているフェイトを見ながら零二はこの戦いを見ていると、ついに霧埼が自身の切り札を使ったの見て驚いたと同時にこれで決着がつくとすぐに理解した。
なのはとフェイトもそれにすぐさま気付き、いつでも動ける体制になる。
(万が一の時は
そしてついに霧埼が動いた。だがシグナムは動くどころか眼を瞑った。
「「なっ!?」」
それには紗雪も驚いていた。物語とは違い戦闘中に目を瞑るという行為は自殺行為でしかないのだから当然ともいえる。ところが、
「うそ、だろ」
光と爆風が収まるとそこには壁に打ち付けられて気絶している霧埼の姿があった。ともかく零二はすぐに下に降りた。そこには
「はらほれひれはれほ~」
目を回して気絶する霧埼がいた。
「またベタなセリフをってそんなことより、一体全体何が起こったんだ?」
零二は正直霧埼が勝つだろうと考えた。だがこの結果が彼の召喚せし者のとしての常識外のためさすがに困惑していた。
「なに、すべては私でも破壊しきれないだろう。だから、破壊できるだけ破壊して、抜け穴を広くしただけだ」
「なあっ!?」
あっけからんと言うがそれは常人の人間にはできない行為だ。その証拠に、シグナムは分かり難いが怪我をしていた。だがそれだけで済む方が異常なのだ。
「………いったい、あなたは何者ですか?シグナムさん」
「ふっ、なんでもないさ。ただ、お前たちより長く生きて、実践経験が多い。それだけだ」
零二の質問にそう答えシグナムは武装モードを解き、機動6課の制服姿で地上に降り立った。
「でもシグナム、さすがにさっきのは危ないよ」
「ふむ。すまなかったなテスタロッサ。どうも真剣になりすぎていた」
「もう。リミッターが掛けられてますけど、そっちの方ももう少し自重(せいぎょ)して」
「うむ、努力しよう」
とはいうが、少しもそのようなことは思っていないのは言うまでもない。
「つか、フェイトさん。今言ってたリミッターって?」
「あぁ、それね。隊長、副隊長クラスにはみんなリミッターが掛けられるの。一部隊に確保できる魔導師ランクの総計規模は決まってるから、それに合わせるための、一種の裏ワザだけどね」
「なるほど、少しでも強い部隊にするために、そういうリミッターをつかって他の所から取り寄せるってことですね」
「そう。まぁ、それ以外にも、信用における人物で、仲のいい人と同じ部隊にするのもあるけど」
と、少し苦笑ぎみにフェイトはそう言った。
(つか、それであの強さか。元はどれだけ強いんだか……)
「さて、次は芳乃君だね。確か能力は……」
「それなら今見せます。シグナムさん、隠してるようですけど、怪我しているところ見せてください」
「むっ、気付かれていたか」
と言うと零二はシグナムの方によりその
「―――
蒼い魔方陣が出現し、シグナムの怪我をした手足に
「ほう、傷が全くない。たいしたものだな」
「ほんと、すごい!」
「つっても、直したんじゃなく、
「大抵ということは、戻せない物もあるのだな」
シグナムのその質問に
「えぇ、あくまで魔力を使って起こす奇跡です。だから、魔力は戻せないし、勿論、
少しだけ誤魔化しと黙秘をした。正直零二はここで彼ら同様、本気=全ての力は明かさないようにと考えた。それは紗雪、そして意外なことに霧埼もである。
(あぁ、見えて抜かりがないからな。それに、若干いつもよりナイフの攻撃が遅かったしな)
その理由は単純明確。彼らは出会って間もないからだ。信用はするが、疑いもする。そういう関係にしている。
(まぁ、はやてさんみたいな人には俺達の考えは気付かれてるだろうがな)
と考えていると、バリアジャケットを装備したなのはが下りてきた
「となると、攻撃手段はもしかしてこの前のあれだけ?」
「えぇ、今俺が使える中では、あの
「
フェイトは紗雪、霧埼、零二の能力を聞いてその技もそれと同様凄まじい力を秘めていると思った。それはなのはとシグナムも同じ思いだった。だが、
「えぇぇと、言いにくいんですけど………単なる魔力を拳に乗せたストレートパンチを放出してるだけです」
「「「…………………………………………」」」
あまりに単純かつ信じられない答えに全員が絶句した。
「ちょ、ちょっとまって!一見簡単に言ってるけどそれすごいよ!」
「うん普通、魔力を拳にのせるなんて無理だよ!」
本来であれば何らかの手段を用いて魔力を魔術エネルギーへと変換させなければならない。
例にあげるのだとすればスバルである。スバルもそれと似た技術を使うことができる。だがその為には、デバイスによるエネルギー変換、魔力調整を行うことで可能となる。何もなしにそれを実現するのは無理に等しい。だが、
「まぁ、俺の場合無意識な部分もありますから」
そう。零二は無意識下に擬似概念魔術兵装として拳へ纏う事で、その“矛盾”を無くしている。勿論こんな芸当は優秀な
「それに俺の魔力総量は紗雪や霧埼よりも、圧倒的に多いんです。だから、あの威力が出せるんです。とはいっても、魔力を拳に籠めただけですから、これで
「「…………………」」
「なるほど、天性の天才というやつか」
シグナムはぽつりと、面白いものを見る目でそう言った。
「まぁ、ともかく。そうなると今回の訓練は威力測定と、
「はい構いません」
「それじゃあ、まずは威力測定。とりあえず、今出せる全力であれを撃墜してみて」
なのは提案を許可した後、フェイトが言った場所を見ると、数百機はいそうな数のガジェットだった。とはいえ停止しており、攻撃もしてはこない。
なのは達は攻撃に巻き込まれないよう、フォワードと紗雪達と共にフィールドから離れた。
「さて、やるか(まぁ、あの時よりは強めに撃つようにはするが、本気の本気はやめておこう)」
零二はゆっくりと深呼吸をし、集中する。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
身体全体から蒼い光が出だし、魔力で零二の体を包み込む。だがそれも一瞬で、すぐにそれが右腕にへと集まり、それが右拳に籠められる。
(!?なんだ、いつもよりいい感じに魔力が引き出せてる。それなのに、これ以上うまく制御ができる気がしない)
とっさに危険に感じた零二はすぐにその拳に込められた魔力を一気に放出するために前に突き出した。
「―――
列車の時の倍は超えている威力が正面のガジェット達へと向かっていく。
結果、彼の一撃は本気ではないとはいえ、数百機のガジェットを七、八割、ほぼ殲滅はできた
「ふぅ、ふぅ、なんだ?やけに疲れるぜ」
その後、零二の
「芳乃君達のポジション決定したよ」
なのはに言われてそれを教えてもらった。
零二・FB(フルバック)
紗雪・GW(ガードウィング)/場合によってはCG(センターガード)も兼
霧埼・CG(センターガード)
サクラ・???
「なんや、サッカーみたいやな」
「まぁ、わかりやすいがな」
「あははは」
霧埼のツッコミに苦笑するなのはであった。
「ところで、サクラはどうするんですか?無理やり連れて来てもたぶん無理そうですし・・・」
「うーん」
となのは達がうなだれていると
「おーいマスタ~」
「噂をすればなんとやら………サクラ!」
日も落ちかけのころにサクラがとことことやってきた。が、そこにいるサクラは普段とは少し違っていた。
「マスターみてみて~この首飾り!」
そこには桜の花弁をモチーフにした首飾りをつけたサクラがいた。
「なんだそりゃ?まさか、どっかから勝手に持ってきたのか!?」
「ぶ~何でいきなりそういう方向に行くかなぁ~」
ぷんぷんと、サクラは頬をふくらまさせて言う。
「じゃあなんだってんだ?」
「えとね、シャーリーさんがくれたんだよ」
「シャーリーさんが?」
「さ、サクラちゃ~~ん」
と息を切らせながらシャーリーがくる。ちなみに訓練の時途中までいたが少しして用事ができたと隊舎に戻っていった
「さ、先にいかないで。はぁ、はぁ、まだ説明もしてないから………」
「あ、ごめんなさいなんだよ~」
「まーたお前は迷惑かけてんのかっ!」(でこぴん)
零二はサクラのおでこにでこぴんをクリーンヒットさせた。
「あたぁ!いたいんだよますたぁ~」
涙目でサクラはそういう
「うるせぇ。だいたい………」
「まぁまぁ、芳乃君落ち着いて」
「う~ありがとうなんだよなのはさ~ん」
となのはが止めるとサクラはわざとらしくなのはにすがった。
「ったく!で、それはなんなんですか?」
と少し怒り気味でシャーリーに尋ねた。
「えーと、この前芳乃さんが言ってたそうじゃないですかサクラちゃんの補助装備の中にあいての
「ええ。でもそれは俺とサクラしか」
「だから、それを私達でも見れるようにしたのがこのペンダント!」
「そ、そんなことできるんですか!?」
零二は心底驚いていた。いや、紗雪と霧埼も同じ考えだったのか驚いていた。
「私達が知っているデバイスがサクラちゃんにとって
「ちなみに、私は許可を出したんだよ~」
「また勝手におまえは………つか、体中を見られるのと同じだからいやとか、最初に俺と
「マスターは私のすべて、これは一部だもん。それにマスターみたいに何でも見せるわけじゃないし」
「誤解を生むようなこと言うな!!」
「まぁまぁ、落ち着いて兄さん。ともかく、それが本当なら私も少し見てみたい」
「ワイもやな」
紗雪と霧埼が言いだすと他のメンバーもそう言いたげな顔をする。
「あぁぁもう。んじゃ、やってみろサクラ」
「うん。それじゃあ……あ、なのはさん達でもできるみたいだからやってみるんだよ」
「え、そうなの?でもどうして」
「擬似的でも
スバルの疑問にシグナムが答えた。
「それじゃ、とりあえずなのはさんとフェイトさんから行くんだよ…………………」
なのは達を10秒ほど見つめ、神経を集中し目瞑る
「―――
サクラのもつペンダントが一瞬光るとバッと電子と
高町なのは
武器:レイジングハート
BATTLE STATUS
破壊力:A
スピード:C
射程距離:A
持続力:B
機密動作性:A
魔力総量:A
成長性:F
フェイト・テスタロッサ・ハラオウン
武器:バルディシュ
BATTLE STATUS
破壊力:A
スピード:A
射程距離:B(モードによってはC)
持続力:C
機密動作性:B
魔力総量:A
成長性:F
「す、すごい。ホントにみれる」
「というより、やっぱりなのはさんとフェイトさんすごい」
「さすが管理局のエースですね」
零二は自分以外にも《
「ちなみに、なのはさん達はリミッターをしてるらしいが、これはそれを含めていない状態のデータか?」
「へーそうなんだ。でも、含めていないって考えていいんだよ。とは言え、ここにあるのはほんの一編だから、これですべてを把握したわけじゃなくて、あくまでデータだってことを分かってほしいんだよ」
「へー……あっじゃあ私達のも見せて」
「ちょ、何勝手に…」
「OKなんだよー」
スバル・ナカジマ
武器:マッハキャリバー
BATTLE STATUS
破壊力:B
スピード:C
射程距離:C
持続力:体力・精神力次第
機密動作性:E
魔力総量:B
成長性:A
ティアナ・ランスター
武器:クロスミラージュ
BATTLE STATUS
破壊力:C
スピード:D
射程距離:B
持続力:B
機密動作性:B
魔力総量:C
成長性:A
エリオ・モンディアル
武器:ストラーダ
BATTLE STATUS
破壊力:B
スピード:A
射程距離:C
持続力:C
機密動作性:C
魔力総量:B
成長性:A
キャロ・ル・ルシエ
武器:ケリュケイオン
BATTLE STATUS
破壊力:D
スピード:F
射程距離:(魔力と認識範囲内次第)
持続力:B
機密動作性:A
魔力総量:B
成長性:A
「すごーい!!サクラちゃんすごいよー!!」
「えへへ~ありがとうなんだよスバルちゃん」
サクラはスバルに褒められ照れていた。
「うん………フォワードのはあとでデータにまとめて送ってもらえないかな?訓練メニューの製作に役に立つかもしれないから」
「かまいませんが、それは俺がやります。サクラにやらせたらどうなるか分かったもんじゃない。シャーリーさん後で色々と機材やなんやの使い方と一緒に教えてください」
「かまわないよ。それじゃあ、早速来てくれないかな?サクラちゃんと」
「わかりました。サクラいくぞ」
「マスター、それで、これどう?かわいいでしょ?にあうかなぁ?」
零二は見せびらかすサクラを少し見て
「……………馬子にも衣装だな38点」
といつも通りの辛口評価を下した。
「微妙なんだよマスタ~!」
「うるせぇ。自分からかわいいでしょとか言うような奴に似合うか」
ぶーぶーと口でいいながら零二が隊舎にもどり出すとみなそれの後を苦笑して追い始めた。
「?ティア」
「え?あぁ、ごめん紗雪今行くわ」
ティアナも遅れて歩き出すが、その心は曇っていた。
(私のバトルステータス、思ってたより低かったな………………)
後にこの感情があの自体を巻き起こすことはティアナを含めだれも知る由はなかった。
SIDE・END
TYR
騎士の鎧が動く音が響く。それを身に着けたテュールは若干イライラしながらスカリエッティの研究施設の通路を歩いていた。スカリエッティに呼び出されたからである。だがそれはどうでもよかった。それとは別にイライラしていた。その理由は
「おい!もう少しお前は早く歩けないのか!」
「え~めんどい」
うしろにいる1人の男にイライラしていた。その男は金髪で手入れをあまりしていないのか、ぼさぼさの髪をしていた。服装はほぼ黒一色の服装だ。
「だいたいさぁーお前さんのその服装どうにかなんない?見てるこっちが恥ずかしぜ」
「貴様もその性格を直せ」
テュールがイライラする最大の理由である彼はそんなこといざ知らず、どんどんテュールの逆鱗に触れる。
「つかさ、俺はお前らの仲間じゃないし、俺は俺の好きにしたいんだよ」
「貴様、協力するとは言っただろ?」
「言ったけ?」
「…………今すぐお前を殺してもいいか?グレイブ」
その視線で相手を殺してしまいそうなほどの眼で睨みつけた。
「おいおい、そんなことあいつが認めないんじゃないか?まぁやるってんなら相手になるぜ」
グレイブと名乗るこの男はそれに動じることもなく、それをにらみ返す。一触即発の雰囲気が彼らを覆う。
「そこまでにしたまえ。ここでやり合えば大変なことになる」
とスカリエッティの声がし、2人は彼を見る。どうやらいつの間にか目的地についていたようだ。
「で、なにようだいスカリエッティ?『
グレイブは楽しそうに言う
「いやなに。少ししたらこの場所でオークションが開かれるのでね。そこに彼らが間違いなく来るだろう。あの人型の
「つまり、それができるように我々がサポートをすればよいのですね」
「あぁ、そうさ。理解が早くて助かるよテュール」
「なら、ついでに俺らんとこにる奴から1人選抜して連れて行くぜ。そろそろあいつらを使うのもいいだろ」
「グレイブ!それには許可が…」
「あぁ、それなら構わないよ」
テュールが言い終わる前にスカリエッティはそれを言い放つ。
「なら、いいですが………グレイブ、それでどいつを連れていくんだ」
「んーそうだなぁ」
「私が行かせてもらうわ」
と、彼らの会話に1人の女性が入ってくる。姿の主は影に入り、その姿を隠している。
「……きみが?」
「決定だな」
「簡単に決めるなグレイブ!」
3人は彼女の意見に少しながらも驚いていた。
「あのお方に言われてか?」
「いいえ。自分の意思よ」
「………信用するわけではない。だから一応言っておくが、我々の命令に背くなら消す。私はあのお方とは違い躊躇わないのでな」
「胆に銘じておくわ」
テュールの警告にそう言って下がる。どこか得体のしれない彼女を3人は見えなくなるまで見ていた。
その黒いドレスと長い金髪の髪が暗闇で静かに動いた
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霧埼とシグナムのバトルが終わり、零二の訓練も終わった後、サクラがあるものを見せに来た
そして、影は着実に動きを見せていた