No.455332

楽しく逝こうゼ?

piguzam]さん

第16話~人のダチに何してんすか?コラ




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2012-07-18 21:12:40 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:15128   閲覧ユーザー数:13133

12月の中ごろ、世間はもうすぐやってくるクリスマスに浮き足立つ時期だ。

街にはちらほらとイルミネーションが飾られ、ケーキの予約に動き出す人も少なくない。

恋人との甘いひと時に思いを馳せるカップルも……爆発しちまえ!!S・H・I・T!!

……すまない、取り乱したぜぇ…

…と、まぁそんな感じで一年に一度のイベントの準備に世間が忙しく過ごしている今日この頃、俺こと橘禅は何をしているかというと……

「う~む…さっびぃなぁオイ…まぁ、目当てのモンは買えたし、我慢すっか…」

買出しにいった帰りです。

今日のスゥーパーの戦利品は『特売!濃い口醤油、1リットル一本80円』を二本にネギを一本でございます。

お袋に頼まれた醤油は一本だけだが、余ったお金でもう一本買えたので、二本にした。

予備があっても損はないからな。

……俺が聖祥小学校に転校してから少し経ったが、今の生活にも慣れてきた。

今日まで特に事件は起こらず、学校と自宅の往復、たまにフェイトやなのは達と遊んで笑いあう。

久遠を愛でてアルフに「浮気者ッ!!」と噛みつかれる。

そんな平和な日常を俺は過ごしていた。

………平和……だよな?………

…最近は平和なので忘れそうになるが…クロノからは事件が伸展していないことは聞いている…

闇の書の守護騎士達はいろいろな次元世界の生き物から蒐集をしているようで、管理局も発見が難しいそうだ。

だから近いうちに魔力を放出して挑発し、現われたところで結界に閉じ込める作戦を実行すると聞いた。

その作戦には俺も乗っかるつもりだ。

実行日はまだ未定との事で俺は連絡待ちだったんだが………

 

 

 

「………オイオイ!…今日だったのかよ!?…」

 

 

 

 

帰宅途中、デカイ結界を見つけて、俺は作戦が実行されている事を知った。

連絡来てないんだけどッ!!?ハブられたッ!!?

「クロノの野郎ッ!!ちゃんと俺に伝えてこいっての!!…コオォォォォォッ!!波紋疾走(オーバードライヴ)ッ!!」

俺は結界に近づいて、油の試練で使われた調和の波紋を指先に伝えて結界に触れる。

指先は結界の中に入り、そのまま波紋を指先から手首、腕、体と順に通しながら結界をすり抜けて入る。

結界の中は所々で爆発音が鳴り響き、ビルがあちこち崩れている。

空中に視線を向ければ、金色と桃色の光が飛び回っている。恐らくなのはとフェイトだろう。

だが、それ以上の状況はまったく判らない。

「くそったれ!…俺も念話が使えりゃ状況が判るってのに…とりあえず移動を……」

バキイィッ!!

「ッ!?なんだ!?」

今のは破壊音じゃねぇッ!柔らかいナニカを殴るような音だッ!!誰かいるのかッ!?

音の発生源に向かい走る。殴られた音がダチじゃないようにと祈りながら。

ズドォォォンッ!!

俺が走る間にも、ビルに何かぶつかった様で、また破壊音が鳴り響く。

くそッ!!何なんだよ!?

気持ちが焦る中、ビルの向かい側に出た俺の視界に写ったのは…………

 

 

 

 

 

血染めのアルフを足蹴にしている仮面をつけた男とクロノに見せてもらった、守護騎士の男だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SIDE アルフ

 

 

 

 

頭の上に叩きつけられた足のせいでアタシは頭から血を流しながら地面を這い蹲っている。

「グゥッ!…ハァ、ハァ…アンタ、何者だい?…」

「………」

顔が痛みに歪みそうなのを必死に我慢して乱入してきた男を睨む。

人の頭に足置くんじゃないっての。

そんな軽口を言いたくても体のダメージのせいで出やしない。

アタシは闇の書の守護獣とかいう野郎とサシで戦ってたんだけど、いきなり乱入してきた仮面の男に不意打ちを食らっちまった。守護獣の野郎と力がほぼ互角だったせいで膠着していたところを狙われた。

アタシは狼が素体の使い魔だから頑丈さには自信があった……

けど、仮面の男の一撃はその自信をアッサリと砕きやがった。

不意打ちでバリアが張れなかったってのもあるけど…

多分コイツの攻撃を何発か食らっていたら同じことになってたと思う。

それぐらい重い一撃だった。

男の一撃でビルにブッ飛ばされたアタシは壁にぶつかって地面に落ちる。

ブッ飛ばされた時の切り傷のせいで血だらけになっちまった。

仮面の男は倒れるアタシの顔を踏んづけて、見下ろしている。

「貴様…何者だ!?」

「………」

なぜか守護獣の野郎も警戒している。どうやら野郎の知り合いじゃないみたいだね…

…なんでアタシにだけ攻撃を仕掛けてきたんだ?仲間ならともかく野郎の口ぶりじゃそれは無いし…

仮面の男は野郎に手を出さず、アタシを指差しながら野郎に話しかける。

「…さぁ、蒐集しろ…闇の書を完成させるのだろう?」

「………貴様の目的はなんだ?」

「…時が来れば、いずれわかる…それに、貴様らにはこのような問答をしている時間も惜しいのではないか?」

「ッ!?………いずれ、必ず聞かせてもらうぞ…」

「………」

コイツも闇の書の完成を狙っている!?なんでだよ!?

アタシの疑問をよそに、守護獣の野郎は少しばかり躊躇していたが、アタシに手を伸ばす。

仮面の男はアタシを逃がさないように頭を踏み続けている…そのせいで動こうにも動けない。

蒐集されれば、アタシは暫く戦えないだろうね…最悪、体を維持する魔力も無くなって消えるかも…

 

…ゴメンね…フェイト……ゼン…負けちゃったよ…

 

顔を上げられないアタシには野郎の手が迫ってくるのが気配でしか分からない。

直ぐにくるだろう、攻撃に本能的に目を閉じて身を固くする………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「波紋コーラ、醤油バージョンーーーッ!!」

ポォンッ!!ズドオォッ!!

「なッ!?グハァッ!!」

「ッ!?ハッ!!」

突然、ポォンッ!!

という快音が鳴った瞬間、アタシの頭を踏みつけていた男が声をあげてブッ飛んで、足が離れた。

痛みをこらえながら目を開けると仮面の男が瓦礫の山に叩き込まれたのが見えた。

仮面の男はどうでもいいけど、最初に聞こえた聞き覚えのありすぎる声に頭が混乱しそうになる。

最初、この結界の中にはあいつはいなかった……だからあいつの声が聞こえるのは有り得ない。

結界ってのは外と中を完全に遮断するモノで、途中参加は普通はできない。

入れるためにわざわざ術式を緩めて中に招くからだ。

今回の結界は闇の書の守護騎士を完全に閉じ込めるためのものなのでそんなことをするメリットが無い。

だから、最初にいなかったあいつの声がここで響くはずが無い。

アタシの頭の中は嬉しいって気持ちとあり得ないって否定する気持ちでグチャグチャだ。

 

 

「……おいコラ…」

 

 

 

でも、また声が聞こえてきた。

幻聴じゃ無いみたいだね……さっきの攻撃を避けた守護獣の野郎はアタシじゃなくて別の所を用心深く見ている。

ちょうど声が聞こえる方でアタシは反対方向を向いていた。

アタシは痛みをこらえながら首を回して声の方向を見る……あぁ…

 

 

「…女の頭に足置いてんじゃねぇよ、クソボケ」

そこには、時の庭園で暴れた時と同じぐらいの怒気を纏ったゼンが立っていた。

…右手には『亀ユーの濃い口醤油』と書かれ、上のふた部分がごっそりと無くなり、醤油がダダ漏れになってるボトルをこちらに向けて……なんで、醤油?

 

 

 

 

 

 

いやそんなゼンもカッコイイけどさ……醤油?

 

 

 

 

 

 

SIDE OUT

 

 

 

 

 

 

 

俺は今、かなりプッツンときている。

俺のダチに手を出しただけでも怒り心頭なのに、あろうことかアルフを足蹴にしてやがった。

それを見た瞬間、自分の中の何かが『プッツン』と音を立てて切れ、怒りのタガが外れた。

すぐさま波紋を右手に持った醤油ボトルに流し込んで中身を螺旋状に回転させボトルの上の部分をハジキだした。

怒りで波紋の制御が狂ってキャップだけのはずがキャップの周りを弾いちまったが。

まぁ、その分パワーも質量もケタ違いにはなったな……

顔面に直撃を受けた仮面野郎はそのまま瓦礫の山にブッ飛んでいった。

俺はそれを見届けてから、アルフと闇の書の守護騎士の男を見る。

アルフは服も体もズタボロになって起き上がるのも辛そうだ……守護騎士は俺を注意深く見ている。

「小僧……何者だ?…魔導師ではないな?…今の攻撃、魔力が感じられなかった…」

「…そこにいるアルフのダチだ…」

「ゼ…ン…なんで、ここに?」

泣きそうな顔になっているアルフに俺は笑いかける。

そんな顔すんじゃねえって。

「んなこたぁ後回しだ。待ってな、すぐに治してやっからよ…」

俺がアルフに向かって歩き出そうとすると、守護騎士は俺とアルフの間に立ち塞がった。

「立ち去れ、小僧…」

「……あ?」

……何言っちゃてんのコイツ?

「貴様が魔導師で無いなら我等には貴様と戦う理由は無い……だがこの守護の獣の味方をするというのなら、容赦はせん…」

…つまりアレか?このままアルフを見捨てりゃ、俺には関わらないってか?

「貴様がわざわざ助けなくとも、この守護の獣は殺さん……立ち去れ…」

………あぁ、そう…

「ゼ、ン!!……逃げ…ッて!…」

突然、アルフまでもが俺に逃げるように言ってくる…その目は涙が滲んでいた。

喋るのも辛そうだってのに、必死に声を大きくして俺を止めようとしてた。

「……アルフ?」

「ここから逃げれば、アンタはこの事件に巻き込まれないで済むんだ!アタシのことはいいから逃げておくれよ!こ、れ以上……ゼンに迷惑は掛けたくないんだよ……心配すんな!アタシなら大丈夫さね!……が、頑丈だからね!」

 

何が頑丈だよ……そんな喋るのも辛そうな顔してんのに……

「…そういう事だ、小僧…立ち去れば危害は加えん…我が守護の獣の名において誓おう…」

守護獣とやらがなんか言ってるが俺の耳にはそんな戯言は入っちゃこなかった。

アルフは明らかに無理した笑顔を浮かべて俺を見ている。多分、身を起こすだけで痛いんだろうな。

 

………あぁ……ドイツもコイツも…

「…確かに俺にはハッピーな話ではあるわな……ここで俺がケツ捲くって逃げてもアルフは死なないし、俺はこの事件に巻き込まれない、明日も平和に日常を送れる、か……」

「では…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だが断る」

舐めやがって……

「なッ!?ゼンッ!!」

「………何故だ?」

アルフは驚いてるが、守護騎士は大して驚いちゃいねぇ。

何故?理由?

んなモン決まってんだろが。

「ダチを、それも女をよぉ……見捨てて男が名乗れるかってんだ…」

たしかに、平和に生きたいってのはあんぜ?でもこの選択に後悔は無い。

もし今、俺がここでアルフを見捨てて逃げ出したら…

…そんな男らしくないことした自分が許せなくなって…絶対に後悔してるだろぉよ。

何より、見捨てたりしたら俺はもうアルフ達に顔向けできねえ。

守護騎士はその場に突っ立ったまんま俺を見据えている。

俺の戦う理由を聞いて、静かに口を動かす。

「…そのような理由で戦いに身を投げるのか?たかが獣一匹のために…」

アルフは守護騎士のその言葉に顔を俯かせる。

守護騎士にも獣の耳があるし、アルフと同じ使い魔の類だろう…

アルフ自身、同じ様な存在の言葉は身に染みるんだろうな……だがよぉ……

「ざけんじゃねーよ。俺にとっちゃソイツは獣じゃねぇ。『アルフ』って名前の女の子だっつの」

たかが獣一匹だと?コラ。

テメーの考えでモノ話すんじゃねえっつうの、ボケ。

「ッ!?」

俯いた顔を上げたアルフの目尻からは涙がボロボロと零れていた。

「……」

「けっこーな甘えん坊でよぉ、ヤキモチ焼いて噛み付いてくるような『女の子』なんだわ…俺にとっちゃ…」

そう、俺にとっちゃアルフは『使い魔』でも『獣』でもねえ。

甘えん坊でヤキモチ焼きな『女の子』で俺の大事な『ダチ』だ。

「ゼ、ゼン…」

「第一、ダチを助けんのに理由はいらねぇ…」

俺は止まっていた足を動かして守護騎士と距離を詰める……

俺の意思を感じ取ったのか、守護騎士は拳を構えて俺を待っている。

 

『クレイジーダイヤモンド』の射程距離まで後、3メートル…

 

ザッザッザッ

 

「…先程の飛び道具は使わないのか?まだ一本残っているようだが…」

 

 

近づく俺を警戒しながら、守護騎士の男は問いかけてきた。

飛び道具だぁ?……全く…

 

「考えてモノ言え」

 

ザッザッザッ

 

距離はドンドン詰まる…射程距離まで後、2メートル…

 

「近づかなきゃあ……」

 

ザッザッザッ

 

…1メートル…

 

「テメーをぶちのめして、アルフの怪我を治してやれねぇだろぉが」

 

ゼロッ!!

 

「ハアァッァアッ!!」

 

守護騎士が左のストレートを俺に見舞う。

俺の頭を粉砕しようとシュバッと風が音を切る速度で銀色の手甲が迫ってくる。

……確かに一般人ならこの拳を見切るのは無理だろーな……だが、そんなスットロイ拳じゃ『コイツ』にゃ勝てねーよ…

俺の後ろから『クレイジーダイヤモンド』が俺の心に呼応して具現化される。

その形相は俺の怒りを体現するかのように恐ろしく怒りに歪んでいた。

『クレイジーダイヤモンド』は拳を振るい、その軌道は俺の頭上を越えて山形に弧を描く。

『風が音を切る』なんて生温い速度を凌駕して、その右腕は『空気の壁をブチ砕く』速度で振り下ろされる。

 

『ドラアァッ!!』轟ゥッ!!!

バゴオッ!!

 

守護騎士の左ストレートが俺に届く前に『クレイジーダイヤモンド』の右の撃ち下ろしが守護騎士の顔を捉えた!!

「ブッ!!…な…」

顔面に叩き込まれた野郎はそのヘビーパンチの威力に膝から崩れそうになる。

だが、野郎がグラついて倒れる前に俺は『クレイジーダイヤモンド』で胸倉を掴み上げる。

守護騎士の野郎は『クレイジーダイヤモンド』を見て驚いてら……ま、知ったこっちゃねぇがな…

 

「…とりあえずよぉ……俺のダチに手ぇ出した分は……か・え・す・ゼ?」

 

ブッ飛びな、ボケ。

 

『ドララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララッ!!!!!』

ズドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!

 

「ブゥグオオォォォォッォオォオアァァァァッァアッ!!!?」

 

野郎は咄嗟に腕をクロスさせて魔法陣を前面に展開した……多分、シールドかなにかだったんだろう、壁みたいなのが間にできてたし……だが、いかんせん相手が悪かった。

シールドのようなものが展開されようが『クレイジーダイヤモンド』はそんなものお構い無しに拳を繰り出し、そのシールドを煎餅の如く砕き、守護騎士の野郎はシールドごと殴られる結果になった。

 

『ドラアッ!!』

ドゴオォッ!!

「グボアッ!!」

 

『クレイジーダイヤモンド』の怒りの連打(ラッシュ)は一発残らず野郎の体や顔面に叩き込まれていく。

今回は治したりなんかしねえッ!!痛みに悶えろダボがぁッ!!

トドメとばかりにフィニッシュブロウを喰らった守護騎士はそのままビルを3つほど突き抜けて視界から消えていった。

その様はまさに………

「ボラーレ・ヴィーア(飛んでいきな)ッ!!……ってか?」

野郎は完全にKOしたので俺は次に最初にブッ飛ばした仮面野郎を探したが…

仮面の男はとっくに逃げたのか、瓦礫の近くにはいなかった。

『クレイジーダイヤモンド』の視界にも見当たらないので恐らく離れた所に逃げたんだろう。

そして、突然結界の外から黒い砲撃が結界を直撃して結界が消え去っていく。

それと同時に上空を守護騎士の女達が飛んで逃げていくのが見えた。

…どうやら、作戦は失敗みてぇだな…

俺は頭を切り替えて、呆然といった感じで地面に寝そべっているアルフに歩み寄る。

とっとと治してやんねえとな。

「『クレイジーダイヤモンド』」

スタンドの掌でアルフに触れてまずは体の怪我を治す。

次にそのまま服を治そうとしたらアルフが話しかけてきた。

「…ゼン……なんで逃げなかったんだよ?……アタシなんか放っておきゃよかったのに……馬鹿だよ…アンタは…」

……アルフは落ち込んでるようで耳がシュンとしな垂れてる。

…自分が巻き込んだと思ってんのか?

俺はやりたいようにやっただけなんだがなぁ……つうか馬鹿はねぇだろ。

「……さっき言ったろぉが?俺はダチを見捨ててまで平和に生きたいとは思ってねぇ」

これは嘘偽りの無い俺の本心だ。

「……それと…だ……」

 

そして次は言い辛い本音だ。

「?」

アルフがゆっくりと顔を上げるとその瞳はウルウルと震えてた。

……こんな目されたら……守りたくもなるっつうの。

目を合わせたままじゃ恥ずかしいので、俺は頭を掻きながら明後日のほうを見てアルフに答える。

「その…なんだ…さっきも言ったようによ……『女の子』を…アルフ、お前を見捨てるなんざ、男のすることじゃねぇってこった…俺は、只……お前を守りたかったつうか…なんつうか……そんなもんだ…」

「………」

アルフはポカンとした表情で俺を凝視してくる。

くぁ~~~ッ!!

こっ恥ずかしいなぁ、チクショーッ!!

……ん?アルフがプルプル震えてる?…しかも俯いた顔の見える頬の部分は真っ赤だ……あれ?…

俯いた顔は判らないけど尻尾がビュンビュン左右に振れている…なんか速度もドンドン上がってるんですが?

「………」

「ア、アルフ?…どした?」

俺は恐る恐る下から顔を覗き込もうとして…

「ゼ~~~ン~~~~ッ!!///」

「うおッ!?グッパァンッ!!?」ゴズッ!!

アルフに思いっきり抱きつかれて地面に頭を強かに打ちつけますた。

滅茶苦茶痛いっす……だが、顔面は反対に、とてつもない柔らかさに包まれて……

あっるえ?これってもしかしてぇ……

「ゼン~~~♪♪///…もぉ~アンタってやつは…どれだけアタシを夢中にさせれば気が済むのさぁ♡///♪♪」

視界が急に開けたかと思うと、頬を赤くして上機嫌なアルフさんの笑顔がドアップで見えました。

ちょっと視線を下に向けると、ソコにはそれはそれは美しくて見事な谷間が広がってます。

…………やっぱりO☆PPA☆I☆かッ!!?

つうかアルフゥッ!!何言っちゃってんのッ!?

まだ成長しきっていない我がボディは身長の差も相まって、アルフのスイカさんに顔を埋めている状態ですた。

って待ってッ!?

か、かかかかか顔がグニュグニュと形を変える天国の柔らかさにうも、埋もれてーーッ!!

俺は手をアルフの肩に当て、力を入れてアルフを押し返そうと頑張る。

「ムグオォォッ!?フゴッ!フゴッ!」

だが、俺が暴れた分、アルフは更に俺の顔をスイカ様に埋めていく。

「あぁ!もうだーめだよッ!もう今日は絶っっっっ対に離してやんないよッ!!♪♪///」ギュウゥゥゥッ!!

って更に強くーーッ!!?ぬおおおおッ!?か、顔に生暖かいモノがあぁッ!!?

ま、まだ服を治してないからダイレクトに感触ががががががががッ!!

アルフ特有の甘い匂いも混ざってやっべえッスッ!!

こ、ここが男の理想郷(アルカディア)かぁぁぁぁッ!!?

 

俺は肩から手を離して、力を入れる場所を変えようと……

 

むにゅうん、むにい、

 

「ふあッ!あうんッ!///」

 

したら、艶のある声と至高の柔らかさが手を覆ったでごわす。

ああ、やっちまったい。

「ゼェン…///」

ちょっとだけ緩まった胸の隙間からは……トロンとした目をしたアルフが見えた。

尻尾は速度は落ちたがブオン、ブオンとさっきより力強く左右に振られている。

やっべえ。喰われる。

「…もうダメ///…我慢できないッ!行くよッ!!///」

「どぅふぉに(どこに)ッ!?ふあぁ(ぎゃあぁ)ーーーッ!!」

 

 

ドドドドドドドドドドド・・・・・・・

 

 

 

 

そのままの体勢でアルフは猛スピードで走り出しマンションの部屋に連れ込まれますた。

俺はポーンとベットに放り投げられる。

「うおッ!?」ボフンッ

ヤ、ヤバイヤバイヤバイヤバイッ!!?急いで逃げねえと、美味しくパックンチョされちゃうッ!!

迫り来る身の危険に慌てて身体を起こした俺が見たのは……

カチャンッ

「ふっふっふ……これで邪魔は入らないよぉ♪♪///」

後ろ手に部屋の鍵を閉めて、妖艶な微笑みを浮かべたアルフだった。

俺を見つめる瞳は蕩けてるのに、獲物を見つけた狩猟者(ハンター)の如き鋭さも混じってる。

アルフは手を後ろに組んだまま、マントを脱いでベットに近づいてくる。

残されたのはタンクトップと短パンのみの小学生には刺激の強い格好だ。

おまけにまだ服を治してないので美しい谷間や瑞々しい太ももの付け根が見え隠れしてる。

この部屋のベットは壁際に配置されてるので動こうにも動けない。

に、逃げ道が閉ざされたくまーーーーッ!?

「ふふ///ゼェ~~ン~♡♪///」

アルフは遂にベットに手を掛けて四つん這いの姿勢でゆぅっくりと俺に近づいてくる。

やべえ、雌豹のポーズで這ってくるアルフが……エロすぐるッ!!

そして遂に、寝転んだ状態の俺の顔の両脇にアルフの両手が添えられた。

俺の視界いっぱいに爛々と妖しく光るとろけた目で俺を見つめるアルフの顔がフレームIN

ハアハアと荒い吐息がとても甘いです。

どんだけ発情してんだYOッ!?

間違いなくこのままだと俺は美味しく、アウッ!!!(ジャクソン風に)されてしまうだろう。

「ま、待てッ!!落ち着けアルフッ!!」

「落ち着けない♡///…ゼンが悪いんだよ?……アタシをこんな気持ちにさせちゃってさ♡//…もう…収まらないよ♡…///……まったく、本当にアンタってば……悪い男だ♡♡♪///」

俺のせいでぃすかッ!?

「もう、ダメ…ゼンが……欲しい///」

「待ってッ!?待ってッ!?待ってッ!?そ、そもそも年齢考えようッ!?俺まだ9歳よッ!!?」

「愛があれば年の差なんて関係ないよッ!!///」

「うんッ!!スッゴク良い事言ってるように聞こえるけど傍から見りゃ完全に襲ってる言い訳だかんなッ!?」

成人女性に襲われる小学生、完全にショタコンじゃねえか、アルフさんよ。

「大丈夫さねッ!!///アタシまだ (ピー)歳だけど頑張るからッ!!///」

「まさかの俺の方が年上だとッ!?」

何その衝撃の事実ッ!?

いや、狼の年齢なんだろうけど、会話だけなら俺完全にロリコンじゃねえか。

つうか、チラチラと見えそうなさくらんぼさんがスッゴイ気になる。

「と、とりあえず、服を……」

治させろ、と続けようとしたら……

「あぁ、ごめんね。気づかなくて///…」

アルフは俺の意図に気づいてくれたようで………

「邪魔だよねぇ、こ♡れ♡///」

ビリビリビリィッ!!

見惚れるような笑顔でタンクトップに手を掛けて縦に引き裂いた。

そうそうそう、服が邪魔だから剥ぎ取………っておいぃぃぃぃっぃいぃぃいぃぃいぃッ!!?

「ア、アフォかあぁぁぁっぁああぁぁッ!!!?」

違うからねッ!?逆だからねッ!?なんばしよっとッ!!?

ピンクのタンクトップの破片がヒラヒラと宙を舞っていく。

さ、さくらんぼさんが完全に見える前にぃぃいぃっぃいいッ!!

「ク、『クレイジーダイヤモンド』ッ!!」

『クレイジーダイヤモンド』で服を治そ……

「甘いよッ!!」

ガシイィッ!!

「何とぉーーーーッ!!?」

うとしたらアルフの腕が『クレイジーダイヤモンド』の両腕をすばやい動きでベットに押さえつける。

な、何故ぇッ!!?ピクリとも動かないんですけどッ!!?

何このパワーーッ!!?

あぁ、今の激しい動きでアルフのスイカ様が全米公開になりそうーーーーッ!!?

し、仕方ないッ!!

「うりゃあッ!!」

俺は自由の効く自分の腕でタンクトップから開放されたアルフのスイカ様を……

ガシイイィィッ!!!

むにゅうん、ぐにい、

「ふやああぁッ!!あううぅぅぅぅぅんッ!///」

俺の掌で掴んで包み隠す。こ、公開させてなるものかぁぁぁぁっぁあぁぁあぁッ!!!

掴んだ瞬間アルフが艶だらけの喘ぎ声を叫んだ。

刺激が強すぎたのか、背中が弓なりに仰け反っていく。

うっぴょおーーーッ!!?

手にしっとりとした肌触りがががががががががががッ!!?

て、手の中で自由自在に形を変えてえぇぇぇっぇぇぇえぇえぇぇえぇぇぇッ!!?

掌に感じる固いさくらんぼ様が何ともぉぉっぉおおぉぉおぉおぉぉぉッ!!

こ、このままじゃ俺まで飲まれちまうッ!!?

「ア、アルフッ!!『クレイジーダイヤモンド』から手を離せッ!!」

俺は両手に感じる至高の感触をなるべく考えないようにアルフに叫ぶ。

だが、刺激に酔いしれてるアルフはなんか息がドンドン荒くなっていく。

「ハァ、ハァ、ハァや、やだねッ!!///ここで手を離したらアタシの服を治すつもりだろッ!?///

 そうはいくかってんだッ!!///もう、もう、どうしたって収まらないんだよッ!!

 アンタもいい加減観念して、大人しくアタシに喰われろってんだッ!!///」

そう言ってアルフはトロットロに溶けた顔で舌をベロ~ンとだらしなく口から垂らしながら俺を見据えてきた。

ただ目だけは、狩人の如くギラッギラに輝いてたけどね。

 

く、喰われてたまるかーーーーーーッ!!?

「服、治させろコラァーーーーーーーーーーーッ!!!」

今ここにッ!!俺の貞操をかけた一大バトルが幕を開けるッ!!

 

ってここまででまだプロローグかよぉぉぉっぉおおぉぉおぉぉッ!!?

クロノーーーーーーッ!!!ユーーーーーーーノォッ!!!

早く帰って来てえぇぇぇぇぇっぇぇぇえぇえぇぇえぇぇッ!!?

 

 

 

・・・・・・・・・・

 

 

 

あのトンデモバトルから15分後に慌てて帰ってきたクロノとユーノに助けられて事なきを得ますた。

いつの間にか俺が服を脱がされる5秒前だったし……危なかったぜぇ……

とりあえずアルフはユーノの催眠魔法と気分を落ち着ける魔法で寝て頂きますた。

そのまま今日の話を聞いていたんだが、なぜ俺に連絡しなかったか聞くと、どうにも守護騎士の位置を今回は偶然、補足できたらしく、アースラにいた面子だけで事に挑んだということだった。

その点についてはすまないとクロノは律儀に頭を下げてきたので、今回は気にしないことにした。

ちなみに、俺がボッコボコにした守護獣の男も現場から転移して逃げたそうだ。

まぁ、あれだけブチのめせば、単独じゃ逃げ切れないから仲間が転移させたんだろう、とクロノが推理していく。

 

 

……とっとと終わらせなきゃな、この事件…

 

……後はまぁ、スッゴク、スッゴクどうでもいいような余談だが、フェイトには俺がアルフのスイカ様を両手で鷲掴んでる現場(外での一件)をバッチリ見られていたらしく………新装備のカートリッジシステム使用O☆HA☆NA☆SHI☆がきました。

ご丁寧に全カートリッジをロードして、更にリロードの繰り返し……そのときのフェイトはマジ大変だった。

俺の言い分は無視、泣きながら怒る。手加減無しの魔法。マジで死ぬかと思ったぜ…

 

「ちょっ!?待てフェイ、ぐはッ!?た、頼むからまっへごッ!?」ズドッ!!バキッ!!

「バカバカバカバカバカバカバカバカッ!!///ゼンのえっちッ!すけべッ!胸好きッ!ばか~~~~ッ!///」

「は、話しをちゃんと聞きあごほぉッ!?」チュドォオンッ!!

 

顔を赤くしながらこんな台詞で砲撃ですよ?

フェイトさんマジ死神っす。

もしさっきまでのアルフとの攻防を見られてたら俺は確実にこの世に存在してなかっただろうなぁ…

ちなみに気絶から復活すると朝になってて、フェイトとアルフに抱き枕にされてたぜぇ……

二人の甘い匂いが混ざってもうへヴンッ!!状態ですた。

もう両サイドが柔らかいのなんのって……いやはや、御馳走様です。

……で朝まで気絶した俺を自宅で待っていたのは…

「禅?…何故、醤油を買ってきてと頼んだら一晩もかかったのかしら?……」

阿修羅を越えたお母上様ですた。

…最近こんなんばっかだぜぇ………ちくせう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「夜遊びたぁいい度胸だコノ不良息子がぁぁぁあああああああああああああッ!!!」

アッーーーーーーーーーッ!!!


 
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