~白井side~
「………」
「ん~~…、この『日本茶』と言うものは良いものですねぇ。心が安らぎます」
「ふふっ、ありがとうございます」
白井は今の状況に納得できなかった。アダムを本部に連行して取り調べをするハズだったのに―――。
「そしてこの『お煎餅』は…実に旨い!しかも歯が鍛えられる!」
「いい加減にするんですのぉー!!」
白井はウガーと獣の様に怒りだす。
「まぁまぁそう怒らず。ほら、目尻に小じわが……!」
「えっ!?嘘!」
「嘘ですけど」
「チクショー!!」
アダムはそれを見てHAHAHAと笑い、初春は苦笑を浮かべていた。
何ですのこの男!?反省してる気配が微塵も感じれませんの!
「それで…何故私を連行したのでしょう……?」
アダムはそう言うと、礎ゲン〇ウがよく取るポーズで訊ねる。
「…この際その上から目線な態度は放っておきますの……。あなた、先ほどの忠告を全然聞いてませんの?」
「聞いておりましたとも。確か…『布団を干したときのいい匂いは、ダニの死骸の匂い』でしたね?」
「全然違いますの!というか聞きたくなかった、そんな嫌な雑学!!」
「あの~…、良ければ何で清掃ロボの上に乗ってしまったか教えてくれませんか?」
初春がアダムに訊ねる。
「良いでしょう…。あれは20年前……いや、数時間前の出来事でした」
「いちいち小ネタ挿まないと気が済まないんですの!?」
~時は幕末~
「遡りすぎですのぉ!!」
「いえ。私の生い立ちを漫画にしますと、ゴ〇ゴ13を超える程の長編ですのでこれぐらい過去に戻らなくては……」
「生い立ちから話せなんて言ってませんの!ぶっちゃけあなたの生い立ちなんて死ぬ程興味ありませんの!!」
アダムは素直に数時間前の出来事を話だした。
~数時間前~
「次は何処でしましょうかね」
アダムは白井と別れた後、その辺をぶらぶら歩いていた。
『ガーガーピー』
そこにドラム缶の形をした清掃ロボがアダムに近づく。
「そういえば歩き疲れましたね…。ちょっと休むとしますか」
そう言うとドラム缶の上で腰を下ろす。
『!ガーピーピー!!』
「お、おぉ!?」
その突然の出来事にさすがのアダムも驚く。だが次第に―――――――――、
「Yaaaaa!Fooooooooo!!」
「スゲェあの神父!清掃ロボを乗りこなしてるぞ!?」
最終的に清掃ロボをノリノリで乗りこなす神父がいた。
~現在~
「―――という訳です」
「…一つ質問よろしくて?」
「どうぞ」
「あなた本当に神父なんですの!?」
「失敬な!私は神父汁100%の純粋な神父ですよ」
「神父汁って何!?そんな果汁100%みたいに言われても!」
あーもう!このアホ神父とは話すだけで疲れますの!
「神父様は何でこの学園都市で布教しようと思ったんですか?」
「そうですの。科学が発展しているこの学園都市で宗教を広めるなんて……」
「ふふふ……甘いですよお二方」
アダムの目が怪しげに光る。
「私は、単に宗教を広めるだけに来た訳ではありません」
「「…?」」
もしや……テロ行為!?
白井はそう思うと、アダムを警戒し始める。
「私は……」
「「私は…?」」
するとアダムが急に立ち上がり、両腕を大きく広げ顔を上に向ける。
「私の目的は『Love&Peace』!世界を慈愛に満ちた素晴らしき世界にする為ここに来たのです!!」
「……は?」
「へぇ…凄いですね!」
こらこら初春…。そんな尊敬の眼差しで見てはいけませんの。
「今!世界は戦争による愚かな行為で多くの尊い命が失われています!!」
「まぁ…確かに」
「そんな中、赤ん坊の時で死んでしまう子や両親を亡くし愛を知らず生きていく子供達が大勢います!!」
アダムは涙と鼻水をぼろぼろと流しながら白井達に話をする。
「そんな事が許されるのでしょうか?いいや!絶対に許されない!!」
今度は机をバンッと強く叩いた。
「だからこそ私は布教し続ける!そう『Love&Peace』を!!」
アダムの話が終わると、初春は涙を流し白井は目を赤くしていた。
「うぅ…とても心に染みました……」
「ちょっと見直しましたの…」
さっきまで疑ってた自分が恥ずかしいですの……。
「ちょっと?これ一体どういう状況よ」
3人が声のする方へ向くと、そこには茶髪の少女が怪しい物を見る様な目でアダム達を見ていた。
~白井side out~
~美琴side~
御坂美琴は混乱していた。今日は暇だったので後輩の黒子達の様子でも見ようと思って来たのだけれど……。
「後輩が見知らぬ神父と泣いてる……」
意味分かんない……。というかあの神父誰よ?
「ちょっと?これ一体どういう状況よ」
美琴がアダムを警戒しながら二人に訊ねる。
「…お……」
「…まずっ……」
すると白井が目をハートの形にして美琴に向かって突進する。
「お姉様ぁぁぁぁぁ!!!」
「寄るな変態っ!!」
「あばばばばばぁ!!」
美琴は指先から電撃を繰り出し白井を黒焦げにする。
「おおMs.白井…死んでしまうとは情けない」
「まだ死んでませんの!」
驚異的なスピードで白井は回復していた。体に着いていた黒炭も綺麗に取れていた。
「それより…誰よこの人?」
「申し遅れました、私はアダム・マスタング。愛と平和の伝道師です!!」
「……」
またおかしな奴が来たのね……。風紀委員も大変ね。
「どうでしょう?私と一緒に『Love&Peace』の談義をあなたが成人式に出席するまで話し合いましょう!!」
「結構よ。あたしそういうの苦手なの」
こういうタイプは冷たくあしらうのが一番よね……。
美琴はこれで解放される…と思っていたのだが、
「分かりますよ。誰だって最初は恥ずかしい……ですが!それでは前には進めない!!」
「えぇー……」
全然効いてないじゃん…。
「さぁご一緒に!『Love&Peace』!!」
「やらないわよ!!」
美琴が声を荒げながら拒否する。
「何を遠慮しているのですか?そう謙虚になるから胸が断崖絶壁なのですよ」
『プッツン!!』
その言葉に額に青筋を浮かべる。
「胸は…胸は関係ないだろがぁ!!」
「おっとっと……」
美琴が電撃を放つが、アダムは首を傾けるだけの動作で電撃を避ける。
「避けるな!」
「そんな無茶な」
「お姉様!?ここで暴れるのはご勘弁を!」
うっ…それもそうね……。
「なら、外で戦うわよ。ついて来なさい」
「御坂さん!?この人は外部から来た人です!無能力者なんですよ!?」
「…良いでしょう。これも世界を平和にする為の試練です」
ふん、良い度胸じゃない…。
喧嘩を買ったアダムに美琴のバトル脳は刺激される。
「ほら、早く行くわよ」
その場にいた3人は美琴の後について行った。
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学園都市第3位もなんのその!
アダムはそんなの気にしません。