リオンSide
僕は今、ヴェストリの広場と言う所でバカ二人の言い合いを聞いている。
「さぁ、頑張ってくださいリオンさん!そんな薔薇くわえた趣味悪キザ男なんてチョチョイとやってください!」
そう言って、僕の後方から声を上げているのがバカその1、ちとせ。
「ちょっとまて!何故彼と戦わなければならんのだね!?決闘を申し込んだのは君だろ!」
と、叫んでいるのがボクの前方にいる薔薇を持った金髪のバカその2、ギーシュ。
「この、か弱い美少女である私に戦えとはなんて無茶を言うんですか!ホント最低ですね」
「だからと言って、他人に全てを丸投げは無いと思うのだが!?」
「あーもう!男のクセにグチグチと。貴方は黙って戦えばいいんです!」
会話から分かるとおり、僕はちとせの代理としてギーシュと決闘をしなければならなくなってしまった。頼まれた時はもちろん断ったが、何故かルイズの奴が頼みを聞き入れてしまった。それでも僕は嫌だと拒否したが、「掃除手伝ってもらったんだから恩返ししなさい」とニヤニヤしながら言い、周りの奴等も早く頷けという空気を出し始めてしまい、渋々了承したのだが・・・・・
「キサマ等、いい加減にしろ!始めるなら早くしないか!」
いざ決闘をしようとしたらギーシュとちとせが言い合いを始めてしまい僕はずっと二人の間でバカなやりとりを聞かされていた。はぁ、まったく。
「僕がこんなバカな事に付き合ってるというのに、貴様達はあーだこーだと無駄口ばかり。大題、貴様が出来もしない二股なぞかけるからこんな事になるんだ。こんな無駄な事をするぐらいなら彼女達を追っかけて謝ったほうが何倍も有意義だ。」
僕はそう言ってギーシュを睨みつける。
「うっ・・・なんだね!君も僕をバカにっ・・・」
「お前はあの娘達との関係が手遅れになってもいいのか?」
「そ、それは・・・・・・嫌だ。って、なに平民が貴族に説教なんかしてるんだ!もうとりあえず決闘開始だ!」
「はぁ~」
バカに付ける薬は無い、か。僕は剣を抜き構える。すると、左手に違和感を感じ見てみるとルーンとやらが光っており、体も心なしか軽く感じる。不審に思っていたがギーシュが薔薇を振り花びらを落とすとそこから青銅の人形が現れたので僕は眼を戻した。
「僕の二つ名は〝青銅〟青銅のギーシュだ。君の相手はこの青銅のゴーレム、〝ワルキューレ〟がお相手する。」
そう言ってギーシュはさらに薔薇を振り人形を7体まで増やす。そして、
「悪いが代理といえ手加減する気は無いんでね。すぐに終わらせてもらうよ。ワルキューレ!!」
ギーシュが号令を掛けると人形が僕に向かってくる。しかし、まったくなっていない。この程度。僕は先頭の人形にまずどの程度の硬さなのかを調べるために軽く斬り付けると、シュインという軽い音と軽い手応えと共に人形の体に簡単に切れ込みが入る。
「っ?・・・なんだ? 今の手応え」
違和感なんてレベルじゃないぐらいの妙な感覚。それに・・・体の事、動かした時に異様な軽さを感じた。そういえばルイズがルーンには様々な効果が付属される事があると言っていたな。これはそのせいか、
「これも色々試さないとな」
僕は人形の攻撃をかわしながら考える。まずは・・・
「くっ、ちょこまかと。逃げてばかりでは無く戦え!」
「では、行かせて貰う。」
僕は身を屈め人形の懐に入り、
「
四つの斬撃を受けた人形はバラバラになり、さらに僕は他の人形に近づき、
「
目の前の人形に突きを放ち胴体を貫いた後すり抜け、奥の人形を双剣で斬り払って破壊し、
「そこだ!」
「何やってるんですか! 後4体なんですから早くやってしまってくださーい!」
ちとせが野次を飛ばしてきた。ホントうるさい奴だ。そういえば先ほどまでうるさかった周りの声が急に聞こえなくなったが・・・・・まぁいい。僕は構えをとり残りの人形を見据える。
ギーシュSide
なっ!? どうなってるんだ! たかが平民に僕のワルキューレがやられるなんて。
「くそっ! 取り囲んで一気に倒せ!」
囲んでしまえばいくら強くとも、如何にも出来まい。僕はワルキューレに命じて奴を囲ませるが
「
彼は地面を蹴って砂塵を巻き上げたと思ったら、
「な、なんだぁ!?」
ドゴンッと彼を中心に爆発が起こりそして
「バ、バカな・・・!ワルキューレが・・・」
彼を囲んでいたワルキューレが全てバラバラになっており、彼はそれらの残骸を避けながら僕に近づいてきて、
「コレで終わりか?」
そう言い、僕に剣先を向けてきた。僕は7体までのワルキューレしか出せないので、
「まいった。僕の負けだ。」
素直に負けを認めた。実際、始めに3体のワルキューレを破壊されたのを見て僕は勝てないと解ってしまったので間単に言葉に出来た。これが清々しい負けと言うやつなんだろう。僕はそう思いながら彼にお詫びの言葉を言おうとしたら・・・
「おーほほほ、やりました! 私の勝ちですね。さぁ敗者は敗者らしく地面に頭をこすりつけこの私に媚び諂いなさい」
そんな僕の心の内をぶち壊すような暴言を吐きながらやってきたのは本来の決闘相手の女性、確かチトセと言う名だったかな? 彼女は周りの白い目線なんか気にせずさらに続ける。
「ほら、早くなさい。それとも負け犬らしく私の靴でも舐めますか?アーハハハハハっがは!?」
僕はさすがに我慢できなくなり、怒鳴ろうと顔を彼女に向けたらその瞬間、女性の声とは思えぬ声を出して倒れてしまった。そして、彼女が立っていた少し後ろの位置に太めの木の棒を持った男、確かミス・タバサが召喚した平民が立っており、
「コイツは悪い奴ではないんだ。ただ・・・少々頭が沸いてるだけだから。・・・その、気にするな」
そう言って彼女を引きずって野次馬の中に戻っていってしまった。・・・僕としてはどうゆう反応を示せばいいか困るのだが・・・まあいい。僕は改めて彼、えっと・・・
「そういえば、君の名前を聞いてなかったね。僕はギーシュ・ド・グラモン 。ギーシュと呼んでくれ。」
「・・・リオンだ。リオン・マグナス」
「リオンか、わかった。その、今回の事はすまなかった。変な事に巻き込んでしまって」
「ふん。確かにな。しかし僕もキッチリと断らなかったのも原因だからな。気にするな」
僕はリオンに謝罪をする。しかし、彼はなんて偉そうなんだろう。
「えっと、その、厚かましいとは思うのだが僕と友人になってくれないか?」
「・・・・・・・ふん、好きにしろ」
「ああ!よろしくリオン!それじゃあ僕は怒らしてしまったレディ達に謝ってこなくてはいけないから、それじゃ」
僕はリオンにそう言ってケティとモンモランシーに謝りに行くため女子寮に入っていった。
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リオンVSギーシュ