場面
山から街へとジャンプして降り立つ青年、人防正司。
場面が変わりある住宅に住む家族。
人防家の母、人防友紀(もりさき ゆき)とその小学4年生くらいの男の子の人防良士(もりさき りょうじ)。
さらに場面が変わり、リナが出てき、空を眺める。
場面が変わり、要塞の中には宇宙犯罪結社「ゲリュート」に所属する様々な宇宙人。そして空にある組織「プロテスト」の空人。
ゲリュート要塞から発進される小型戦闘機が地球へと飛来。それを迎え撃つは地球から生まれし戦士、ハーメラス。
ハーメラスはジャンプし、小型戦闘機を素手で破壊する。
小型戦闘機を破壊した後、地上に降り立ち、新たな変身をする。
そして地球の戦士ハーメラスは赤き怒りの戦士レアガーラに変身する。
国際秘密組織「TLE」の長官であり、最高責任者であると同時に人防家の家長、人防誠(もりさき まこと)がTLE基地にて部下達に指示を出す。
そしてレアガーラは誰もいない山奥で空の方を眺める。
第7話 プロテストの最後、地上の地力を見よ!!
正司がフィバン(仁)と出会い1ヶ月になろうしていた。
プロテスト、ゲリュートは二人の活躍により、壊滅寸前まで追い詰められていた。
「………」
プロテスト首領のナシュラーはそのことでいらだちを覚えていた。
『そちらも最初は偉そうなことを言っておきながら、ピンチではないか』
ゲリュート首領のレイドが通信を入れる。
「だがそれはお前達も同じだろう?」
『ああ、そうだ。だがこちらにはまだ切り札が残っている。
それを使えば地球の生きとし生けるものをどうにかすることができる。
そちらはどうだ?』
「……………ないわけではないが、あまり使いたくはない」
『それはこちらも同じだ。……さてどうするか。
こうしている間にも奴らはここを嗅ぎ付けるかもしれん。
銀河刑事に地球の化身と呼べる存在、ここだけでなく、お前の所も見つかる可能性は……』
「分かっている!
……仕方あるまい! ならば私が動くとしよう!」
ナシュラーは通信を切る。
「仕方ない……あいつを使うとするか」
ナシュラーは準備をある始めた。
地上ではリナが正司と仁のために料理を作ろうと思い、食材を買いに街に出かけ、その帰りであった。
「あ、良士!」
街中で良士を見かけたので声をかけるが、反応がなかった。
「? 良士!」
声をかけられても反応しない良士。
「良士!!」
良士を追いかけるリナ。
リナはいつの間にか街の裏通りにまで来ていた。
「あら?」
そして気づいたら良士は立ち止まっていた。
「良士、どうしたの?」
良士が振り向く。
すると同時に良士の姿が変わり、なんとプロテスト首領のナシュラーとなった。
「あ、あなたは一体……」
「覚えていないのか? サーナ」
「さ、サーナ? 私はリナよ」
「記憶がないようだな。サーナ、思い出すがいい」
「いや! 思い出したくない!」
リナは突然頭を抱えて、逃げ出すように走り出す。
「……」
ナシュラーは追わなかった。
「まあいい。私がこうしてあったことで思い出すだろう。
そして自分の使命も………。報告を受けた時からもしやと思っていたが、サーナだったとはな……。
これでハーメラス、レアガーラの最後も近いな」
ナシュラーは人知れず姿を消していった。
「いや! いや!」
リナは家に帰って、部屋の隅で頭を抱えて叫んでいた。
「? 彼女、何があったんだ?」
リナの部屋の前で仁が正司に尋ねる。
「知らん」
「知らんって……」
「あの女がなんであろうが俺には関係ない。
あの女は俺とお前が敵対してる組織がある空の国の女だ。
それだけ知っていれば十分だ」
正司はその場から立ち去っていった。
「大丈夫かな?」
仁が気になって扉を叩く。
「リナ、大丈夫か?」
「うう……」
「リナ!」
仁が扉を強く叩くも反応が鈍い。
「開けるぞ! 着替え中でも勘弁しろよな!」
仁が扉を開ける。
そこには頭を抱えていたリナがいた。
「リナ! 大丈夫か?」
仁がリナの肩に触れて大丈夫かと問う。
「触らないで!」
リナが仁を突き飛ばす。
「どわっ!」
仁は強い力で後方に飛ばされる。
「……っ!」
「!!」
その時、リナの頭にフラッシュバックのように記憶がよみがえる。
「あ、ああ……」
そしてリナは茫然と立ってすぐに部屋を出て行った。
「なんて……パワーだ」
仁はすぐに立とうにも立てなかった。
「逃げろ! 正司!!」
仁は何とか大声を上げる。
正司は何事もなかったかのようにいつものように居間で正座をしていた。
「…………」
そこにゆっくりと近づくリナ。
「………………」
リナはそこから正司に向かって手を伸ばす。
「!!」
驚いたのはリナの方だった。
なんと正司は後ろを向いたままリナの手を取ったのだ。
「あのな、いくらお前が『カリット』の人間でもいつも一緒に居れば感知くらいたやすい。
それでこんなことした理由、俺に聞かせてくれるんだろうな?」
リナは振りほどこうにも正司は思ったよりも力が強く、離れない。
「正司!!」
仁がようやくやってくる。
「仁、このままリナを外に連れ出す。
リナが逃げないように後ろから見張っておいてくれ」
「分かった」
正司と仁はリナが逃げ出さないように見張りながら外に出て行った。
三人は安全だとされる採掘場へと着いた。
「さてと、ここなら問題ないだろ」
「話してもらうぞ。急にそれだけの力を出せたことと、俺達を襲ったことを……」
「………」
リナが話そうとした時であった。
「!」
「周りが暗く……」
「あいつが来る!」
「あいつって?」
そして三人の前にナシュラーが降り立つ。
「お前は一体……」
「この感覚……、『カリット』の人間か」
「そうだ。私の名はナシュラー。『プロテスト』の首領であり、『カリット』の指導者の一人だ」
「『カリット』の指導者……」
「上層部の一人か」
「………」
リナが震えだす。
「……どうやら失敗したようだな、サーナ」
「サーナ?」
「その女の本当の名だ」
「あ、そ」
正司は興味なさげだった。
「貴様がハーメラスのようだな。そいつには『ゲリュート』の邪魔となるハーメラスを見つけたら殺すように暗示をかけていたのだがな…」
「俺を殺そうとした理由はそこか」
「だが暗示が悪かったのか、そいつは任務を与える前にふらふらと出歩いてな、そしてそのまま空から落ち、記憶喪失になった。
そして記憶喪失になったと同時に暗示も忘れた」
「貴様……」
「だが失敗した以上、私が直接手を下すとしよう。
ハーメラス、貴様だけでなく、サーナもな………」
ナシュラーが電撃のような攻撃を手から放つ。
「ほっ! と!」
正司が後ろから手を掴んでるリナを前にとやる。
「なっ! バカ!」
仁がリナを庇おうと正司の体ごと横にずらしてかわした。
「かわされたが……、今のはなんだ?」
「正司! 今のはなんだ!?」
仁が正司に怒鳴る。
「彼女を殺す気か?」
「俺を殺そうと送り込まれた奴だ。盾にしたって問題ないだろ」
「お前は命をなんだと思ってるんだ!?」
「大事だと思ってるぞ」
「だったらなんでリナを盾にした?」
「俺が大事にしてるのは地球に住む命だ。
人間以外のな…」
「お前…!」
「そんなのお前が地球に来るずっと前から俺は言ってる」
「お前を匿ってくれてる人達が同じようなことになってもか?」
「ああ、平気で切り捨てる」
「お前!」
「そんなことより、俺はあいつを潰す」
正司はナシュラーの方を見る。
「お前はどうするんだ? 俺を潰すか?」
「……いや、俺も手伝う」
二人は並び立つ。
「地力転身!!」
「凝固!」
正司はハーメラス、仁はメタルな装備をつけ、フィバンへと変身する。
「地球の戦士、ハーメラス!」
「銀河刑事、フィバン!!」
「ふん、まとめて倒してやる」
ナシュラーは再び電撃攻撃を仕掛け、電撃は地面にぶつかり爆発する。
「「とああっ!!」」
ハーメラスとフィバンはそれをかわすと同時にナシュラーに近づく。
「てやっ!」
「つあっ!」
ハーメラスは拳を、フィバンは蹴りを入れる。
「っ!」
「でやっ!」
フィバンは次に裏拳を入れようとするが、ナシュラーはそれをうまく避け、フィバンの裏拳がハーメラスに当たりかける。
「ふあああ!!」
ハーメラスは裏拳を避けると同時に回し蹴りをナシュラーにくらわせる。
「ぬおおおお!!」
ナシュラーは自身の体を高速回転させて、ハーメラスとフィバンを弾き飛ばす。
「ふあああああ!!」
ナシュラーは回転したまま、早い動きでラリアット体勢を取り、フィバンを後方に吹き飛ばす。
「ぐわっ!!」
「ふあああああああ!!」
ナシュラーは次にハーメラスの方に向かった。
「ふううううう!!」
ハーメラスはカウンターのようにラリアット体勢を取り、ナシュラーの腕とハーメラスの腕がぶつかる!
「「!!!!!!」」
二人の力がぶつかり合い、二人は後方に飛ばされる。
「ふるあああ!」
ナシュラーは吹き飛ばされながら空気を鋭く飛ばす。
「地空射!」
ハーメラスはナシュラーの攻撃を合わせるように同じ攻撃をして、ナシュラーの攻撃を相殺する。
「ふ!」
「!!」
二人は体勢を整える。
「なんて二人だ」
フィバンは思わず見ているだけの状態だった。
「だが俺もこの地球にきた銀河刑事だ。負けられん!」
フィバンがハーメラスの所に駆け寄る。
「大丈夫か?」
「問題ない、怒力転身!!」
ハーメラスはレアガーラへと変身した。
「怒りの戦士、レアガーラ!」
「出たな、レアガーラ!
今度こそ貴様を葬ってやる!」
「俺がいることも忘れるな!」
「ふん、貴様の相手はそこにいる」
「何?」
ハーメラスとフィバンの後ろにはいつの間にかリナがいた。
「やれ」
「「!!」」
二人が振り向くと同時にリナがフィバンの方にパンチをする。
「ぐわっ!」
フィバンは飛ばされる。
「なんてパワーだ。いつものリナの力じゃない」
「当たり前だ。それがカリットに住む人間の本来の力だ。
サーナは記憶がなかったから本来の力を発揮できなかっただけだ。
さあ、サーナ、邪魔者を排除しろ!」
「分かりました」
リナがフィバンに襲い掛かる。
「やめろ、リナ! 正司も止めてくれ!」
「俺が殺してもいいのなら止めるが?」
「!!」
レアガーラにとって人間はどうでもいい存在。
それは空の国「カリット」の人間であるリナも例外ではなかった。
ましてやレアガーラは元々人類を抹殺するために地球が生み出した存在。
人類がどうなろうとレアガーラには関係がなかった。
あくまで人類の抹殺が自分の目的だとしてそれを他人に横取りされまいと悪の組織である「ゲリュート」と「プロテスト」と戦っていただけである。
「お前と言う奴は……」
「まあ、あいつは倒すがな」
レアガーラはナシュラーの方を向く。
「倒せるものなら倒してみろ」
「いくぞ!」
レアガーラはナシュラーにとびかかる!
「でやっ!」
「ふあっ!」
レアガーラはとびかかると同時にパンチを繰り出す。
ナシュラーはそれを避けると同時にカウンターパンチを繰り出した。
しかしレアガーラはそれを空中でかわす。
「!」
レアガーラは転がって少し間合いを取る。
「ふあ!」
「でぇえ!」
ナシュラーが近づき、レアガーラと近接格闘を繰り広げる。
「やめろ! リナ!」
その間にフィバンとリナは戦う。
「!!」
リナは黙りながらフィバンを攻撃する。
フィバンはうまくリナの攻撃を受け流す。
「くそ! どうすればいい!」
フィバンはどうすればいいのかと考えながら戦うも、いいことは思いつかない。
「……暗示を解く、それしかない。
だが暗示はどうすれば解け……ぐわっ!」
考える隙をリナがつき、フィバンは倒れる。
「っ!」
「トドメ!」
リナがトドメとばかりにジャンプをして拳を振るう!
「!」
「!!」
拳はフィバンの顔の横の地面を貫いた。
「?」
「………」
リナの顔からは涙が流れていた。
「泣いている…、やはり君も不本意なんだな!」
「………」
とは言ってもリナは涙を流しながらもフィバンを攻撃してくる。
「だが暗示は解けていない。本当にどうすれば………」
その間にもレアガーラとナシュラーは戦っていた。
「せいや!」
「でりゃああああ!!」
ナシュラーのキックをレアガーラがかわし、レアガーラはお返しとばかりに飛び回し蹴りをくらわせる。
「くぅ……」
「トドメだ、怒爆……」
「レアガーラ、これを見ろ!」
するといつの間にかリナがナシュラーの前に立つ。
「この女ごと攻撃できるか?」
「昇!!」
レアガーラは完全にリナのことをお構いなしに怒爆昇を放とうとした。
「危ない!」
そこにフィバンが割って入り、怒爆昇を受けてしまう。
「ぐわあああああっ!!」
フィバンの銀の鎧が破壊され、フィバンは生身の仁の姿になってしまう。
「邪魔をするからだ」
「待て!」
仁はレアガーラの足に抱きつき、レアガーラを止めようとする。
「放せ!」
「ダメだ! このままではお前はリナを殺す!」
「それがどうした? 地球を守るためだ」
「それじゃダメだ! 地球…、いや星にとって人類は居なくてはならない存在なんだ!」
「何故だ? 他の星は知らんが、この地球に住む人類は地球を汚染するだけの存在だ。
『カリット』は地上に迷惑をかけてないだけで、空に対しては迷惑をかけている。
ならば殺したところで…」
「それは違う! 確かに汚染してる時もあるし、悪意を持つ者もいる。
だがそれは一部にすぎない! それにそれは人間だけじゃない、生きているものすべてだ!
お前が守ろうとしている動物たちにも言えることだろ!」
「!!」
仁の言ってることは決して間違いとは言い切れなかった。
事実、正司が地上に出る前に色んなことを見た際に、ある肉食動物が自分の私利私欲のために仲間を裏切ったり、殺す場面も見た。
「………」
「そしてリナはただ操られてるだけで、本当は良い奴だ。
それはお前も分かっているだろう!」
「………だがそれでも俺は奴らを倒す! それだけだ!
邪魔だ!」
レアガーラは仁を振り飛ばす。
「ぬあ!」
「本当のトドメだ」
レアガーラの右手に力が溜められる。
「貴様、自分の仲間を殺す気か?」
「怒暗伝(どあんでん)!!」
レアガーラの拳はナシュラーの前に立つリナに当たろうとする。
しかしレアガーラの拳はリナに当たる寸前で止まった。
「何?」
「ふん」
するとレアガーラの拳から放たれた力がリナの体に到達し、リナの体からレアガーラの放ったものとは別の気のようなものがナシュラーの体に入り込む。
「うん? なんだ、今のは……!?」
突然ナシュラーの動きがおかしくなる。
「な、なんだと……」
「『怒暗伝』が効いたようだな」
「なんだこれは? サーナの記憶が入り込んでくる!」
「違うな。俺が放った『怒暗伝』、あれはな人の闇や悪意を別の他人に移し替える技だ。
お前は記憶が入り込んでると言っているが、それは正確にはその女の持ってる闇と悪意だ。
そして移し替えられた者がどんなに闇深く、悪意の塊の極悪人だろうと、他人の闇と悪意には必ず適合しない。
だからそうやって拒否反応を起こしているんだ、分かるか?」
「くぅ……」
ナシュラーは跪く。
「があああああああ!!」
ナシュラーは胸を抑えるように苦しみだす。
「今度こそトドメだ。怒滅拳!!」
レアガーラの怒滅拳の氣の拳がナシュラーを遥か上空へと吹き飛ばし、拳と共にナシュラーは上空へと飛んで行く!
「ぐおおおおおおおああああああああああ!!!!!」
ナシュラーが飛んで行く先には空中に存在する国「カリット」があった。
そして拳とナシュラーはカリットの最先端部分にある「プロテスト」の本拠地へと到達する。
しかし拳はそれだけでは止まらず「プロテスト」本拠地ごとナシュラーを大気圏へと飛んだ。
「ぐああああああああああ!!」
大気圏を突破しきれず「プロテスト」本拠地、そしてナシュラーは焼け、爆発を起こした。
「ふん」
レアガーラは爆発を見届け、元に戻る。
「おい」
正司が倒れているリナに声をかける。
「立てるか?」
なんと、正司はリナに向かって手を差し伸べた。
「あ、ありがとう」
リナは正司の手を取って立ちあがる。
「なんだ、いいところあるじゃないか」
仁も正司のところにやって来る。
「弁明はしない。帰るぞ」
正司は一人で先に帰ってしまう。
「弁明って…」
「別に悪いことしてないのにな」
仁とリナは笑みを浮かべた。
こうして「プロテスト」の首領ナシュラーを倒し、「プロテスト」は壊滅した。
だが「ゲリュート」の首領レイドはまだ残っている。レイドは一体何を企むのであろうか。
続く
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この話のコンセプトは『「侵略! イカ娘」を昭和の特撮風にしたら『というものです。(話の内容的には「宇宙刑事ギャバン」など昭和の特撮を基にしています。ちなみにタイトルは「イナズマン」がモデルです)
それを踏まえてご閲覧ください。