―――時間は日曜の朝まで遡る―――
朝、母さんたちを見送った後、特訓してくると父さんに伝えて僕は家を出た。そしていつもの特訓場所に向かった。特訓場所といってもいつもの公園である。ただし、結界は張る必要があるけれどね。そうこうしているうちに特訓場所に着いた。
<<さあ、訓練を始めましょうか。今日は砲撃の練習でよろしかったですね?>>
「うん。まずは何をするの?」
<<まず手で何かを包む感じに構えてください。そしたら今度は手の内側に魔力を収束させてみてください>>
「ん・・・」
ヴェルジュに言われたとおりに手を構えた後、その手の内側に魔力を収束させてみた。すると、小さな玉ができて少しずつ大きくなっていく。確かに収束はできると言ったが、これが意外に難しい。正直、僕の銃弾も一応収束はしている。でも大きさが大きさなだけに必要な魔力もたいしたことがないから、収束と言っていいものなのか分からない。・・・たぶんあれは収束には入らないな、うん。
<<ふむ。やはりと言いますか、銃弾と違って必要な魔力が違うために時間はかかりますね>>
「だね。僕自身収束が向いていないってのもあるかもしれない」
<<おやなぜですか?私から見れば問題ないくらいですよ?>>
「いや、なのはちゃんの砲撃を見ればね・・・」
<<彼女は別物ですよ。なのはさん自身、砲撃に特化しているようですから比べようもありません。逆を言えば接近戦に関しては全くと言っていいほど才能はないでしょう>>
そうか・・・。なのはちゃんは砲撃特化型の魔導師なのか。そりゃ比べちゃ駄目だね。
「なら僕は?」
<<神那はオールレンジ型の魔導師ですね。特に何かに特化しているわけではなく、様々な距離で戦うことのできる魔導師です>>
「ん~、つまりは平凡ってこと?」
<<悪く言えばそうなります。ですが、様々な距離で戦うことができる、これは色々な戦術を選ぶことができるということです。そうなれば敵も自分がどう行動しなければならないのか選択肢が増えます>>
「そうなると、動きにも制限ができてこちらの攻撃が当たりやすくなる・・・」
<<そういうことです>>
なるほど、平凡も悪いことだけじゃないってことか。ヴェルジュと話していると、手の内側に収まるくらいに作られた玉できていて、それに魔力がかなりたまっていることに気づいた。意外と僕の魔力量ってあったんだな・・・。
<<いい感じに集まったみたいですね。では今から私がこんな時のために用意しておいた魔法陣を展開しますので、そこに魔力を注いでください>>
「は~い」
そう言うとヴェルジュは僕が初めて見る魔法陣を描いた。
「これは?」
<<この魔方陣は、注がれた魔力を撃ち出すものです。なので空に向かって撃つ形で展開しています>>
「なるほど。それじゃあと・・・」
<<ああ、そうでした。ある程度注がないと発射されませんので、少しずつではなく魔法陣に置く感じで注いでください>>
「置く感じで注ぐ・・ね」
こういうのは遠慮したら余計失敗する・・気がする。なのでヴェルジュの言うとおり、玉に溜め込まれた魔力を置く感じで魔法陣に注いだ。ある程度溜まったところで、ドォンと言う音と共に集めた魔力が空に向かって撃ち出された。・・・あれ?ドォン?ドーーーンじゃないの?
「ヴェルジュどゆこと?」
<<どうやら撃ち出しかたがまずかったみたいです。というか、魔方陣のほうにも間違いがあったみたいですね。改良しますので少々お待ちください。ええと、ここをこうして・・・>>
なんかヴェルジュが人間っぽいのは気のせいだろうか・・・。でも今のを僕なりに解釈してみたけど、さっきの魔方陣は集めた魔力を注ぎ発射するものだとヴェルジュは言った。だが、ヴェルジュ自身が思ったことと違ったのは、
<<できました!今度は先ほどと同じ失敗はしません。今度の魔方陣は色々改良を加えました。まず、放出する魔力を砲撃の形にする、これは当然のことですね。次に魔力の収束速度を上げました。とりあえず先ほどの倍の速度で魔力を収束できます。最後に魔力を直接魔法陣に収束させる。これで先ほどのような面倒はなくなりました>>
「一気に本格的になったね・・・」
<<あまりちんたらやっても仕方ないでしょう?それに先ほどのは練習とでも思ってください。さ、続きを始めましょう>>
「はいはい・・・」
<<あ、言い抜かっていましたが先ほどより砲撃に必要な魔力量を抑えていますから、どんどん撃って慣れていきましょう♪>>
「はい・・・」
うぇ~い、今まで以上にスパルタだよい。でもこういうのはほんと体で覚えるしかないからね~。凡人なら尚更だ。その後、お昼ご飯の時間まで収束と砲撃を繰り返した結果、魔力は底を尽きかけたのは言うまでもないことだった・・・。
Tweet |
|
|
5
|
0
|
追加するフォルダを選択
おはようございます!3連休最後の日となりました。まあ、バイトである自分にとっては、あまり関係ないものでしたけど(笑)。さて今回は、母親達が会談をしているとき神那はどうしていたかというお話です。それではどうぞ~。