No.452732

恋姫の世界に行ってくる 第十三幕

nontanさん


司馬懿って軍師だと思ったら武将でもあったんですね・・・

勉強不足でした。

2012-07-14 16:09:21 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:2445   閲覧ユーザー数:2219

「来い、穂花。」

 

「行きます!」

 

そう言って一気に間合いを詰め持っている剣を、真横に薙ぐように振るうのを

 

俺は蟒蛇で受ける。

 

「ここです!」

 

俺が剣を受け止めた瞬間を狙い飛び込みざまに俺をめがけて左の拳が飛んでくる。

 

「甘い。」

 

スパンッ

 

空いていた左手で受け止める。最近は武将級の相手をするときは、蟒蛇一本で戦う様にしている。

最近穂花とよく鍛練をするようになり、二刀だとかえって戦いずらい事が分かった。

 

「左手での拳は右に比べて遅いぞ。今のをやるんだったら、もっと速度を上げろ。」

 

穂花の攻撃をいなしながら指導する。

 

袈裟に掛けて、横に薙ぎ、大振りせず速さを意識した攻撃。

それを受け止めると、そのまま力を入れた胴を放ってくる。

 

当然の如く、それをバックステップでよける。

 

「いっけえええ!!」

 

俺が引いた瞬間を狙い今までで一番速い突きを放つ。

だが、

 

「遅い。」

 

普通の人間なら胸を貫かれる間合いだが、そこは存在最強。穂花の剣を絡めとるように飛ばす。

 

カランッ

 

司馬懿が武将とは知っていたが、まさかここまでの実力を持っていたなんて、少し驚きだな。

 

「はぁ、また海斗様に負けてしまいました。最後の突きは結構自信があったんですけど。」

 

「そうだな。穂花は相手の隙を突くのが上手い。実力だけならそうそう遅れは取らないだろ。

 けどな穂花、お前には経験が足りない。

 色んな武人と戦え。そうすれば隙を突くだけでなく、隙を作り出すことも出来るだろう。」

 

「はい。分かりました。」

 

そう言って落ちた剣を拾い鞘に納める。

 

「そろそろ、宿に戻ろう。今日は二人が宿の厨房を借りて夕飯を作るそうだからな。」

 

「それは楽しみですね。流里も流琉も料理が上手ですから。」

 

「穂花の作る料理も美味しいぞ。」

 

「そ、そんな事ないですよ//]

 

顔を赤らめる穂花は、いつも大人の雰囲気を持っているせいか、かなり可愛かった。

 

ギャップ萌えか・・・

 

今俺たちは益州に来ている。

 

ここはかなり荒れている。

 

賊が蔓延っているわけではない。

 

内乱だ。

 

益州州牧の劉璋。毎日女を抱き、食事はその一食で平民の一家庭の食事を一月は養えるほど豪華。

その豪遊を続ける為に、かなり高い税をかけ続け暴政の限りを働いている

 

それを善しとしないのが、黄忠を始めとし、厳顔、魏延、張任、などの元劉璋の部下達だ。

 

彼女達は、どうにか劉璋を説得し真っ当な政をさせようとしたが、

劉璋は今の様な贅沢が出来なくなると分かると、

彼女達の就いていた役職を剥奪し、権力から遠ざけた。

 

しかし、それは逆効果でしかなかった。

それに怒りを示したのは彼女等でなく、彼女達を慕っていた兵や民達だった。

 

これ以上劉璋の暴政には耐えられない!

その声を聞いた彼女達は民を守るために兵を挙げ、打倒劉璋に乗り出す。

 

これを鎮圧しようとする劉璋だが、黄巾党の討伐や、五胡の事などを、

すべて彼女達に任せっきりだったので、兵の練度や、将の質が違い過ぎ、敗戦を続けている。

 

反乱軍の有利のまま進んでいる。このまま劉璋が負けるのも時間の問題だろう。

 

そういやここにも反乱軍が今駐屯してんだっけな。

話をしてみる価値はあるな。

 

そんな事を考えながら歩いていると、

「ねぇ、本当にお母さんが呼んでるの~?」

 

「ええ、璃々様。黄忠様は今忙しいので、私が呼んでくるように言われたのです。

 ささ、この馬車にお乗りになって。」

 

「は~い。」

 

この声は確か・・・

それに璃々って今。

 

まさか!

 

「穂花、少し野暮用が出来た。先に宿に戻っていてくれ。もし今日中に帰ってこなくても

 気にせず宿で待ってろ。」

 

俺は急いで黒兎を預けた、馬小屋に走り出す。

 

「あ、待ってください海斗様!」

 

 

馬小屋につき黒兎に乗り、馬車の走っていった方に駆け出す。

 

「どこに行った。もう街を出たのか?行ってみるか。」

 

そう言って街の外に出ると、例の馬車がいた。

 

「居たな、どうする。取り押さえるか?いや、本当に黄忠が呼んでいるだけかもしれない。

 取り敢えず、泳がせてみるか。杞憂であるといいんだが。」

 

そして、バレないように後をつけはじめた。

 

一日ほど走り続けると、人気の無い森の中に馬車は入っていった。

 

「これはいよいよ、きな臭くなってきたな。」

 

馬車はドンドン森の奥に進んで行き、そして、巨大な砦にたどり着いた。

 

そして、先程の男が馬車から降りて門の前で待って居た男に、

 

「門を開けろ。黄忠の娘を連れてきた。」

 

そう言うと門番が、

 

「本当か!これで黄忠を黙らせることが出来る。くっくっく、あやつの絶望に暮れる

 姿が身に浮かぶわ。」

 

「黄忠への手紙の準備は出来ているな?」

 

「勿論だ。後は黄忠に届けるだけよ。」

 

そう言って中に入っていく二人と馬車。

 

やっぱり誘拐か。反乱軍のまとめ役である黄忠の娘を人質にし、降伏勧告辺りでもするんだろう。

どこの世界でもクズはクズか・・・

 

しかしどうする。黄忠にこのことを伝えたとしても、もう璃々ちゃんは敵の手の内。

 

「・・・乗り込むか。」

 

一瞬、流琉達を呼ぼうかと思ったが、潜入に大人数は向かない。

 

だが、

 

カキカキ

 

「黒兎、この紙を流琉達に渡してくれ。頼んだぞ。行け。」

 

さて、まずは。

 

「ふわ~あ、かったるい。もうサボっちまおうz、ぐはっ!」

 

「おい、どうs、がはっ!」

 

「悪いがお前の服と装備。借りていくぞ。」

 

そう言って門番の着ていた服を脱がし着る。

気を失った二人は木の影になっているところに捨てておく。

 

「行くか。」

 

門の脇にある小さな扉から中に入る。

 

「こいつぁ、スゲェな。」

 

外から見たでけでは分からないが、中はかなりしっかりとした造りだった。

兵の数もかなり多く見受けられる。もっぱら戦の準備に忙しい様だ。

 

多分黄忠達はこの砦の存在を知らないだろう。黄忠程の人間が野放しにしておくとは考えられない。

 

「さて、さっきの馬車はっと、あそこか。」

 

馬車は中庭の様な所に止めてあり、多分ここから、中へと入って行ってのだろう。

 

「さてと。どこに居るんですかね、小さなお姫様は。」

 

中に入ると部屋が並んでおり、その中から探すのは少し骨が折れそうだった。

 

「おい、お前。こんなところで何してる。」

 

不味い。ここは強行手段で行くか。

 

「はい、ちょっと!」

 

男の後ろに回り込み、借りている剣を喉元に当てる。

 

「ひっ!「騒ぐな。騒いだらどうなるか分かるな?」こくっこくっ!」

 

「よし、なら黄忠の娘を捕らえている部屋を教えろ。さもなくば・・・」

 

「教える、教えるから。この通路をずっと真っ直ぐ行ってつき当たりを曲がって

 すぐの部屋だ。た、頼む。命だけは・・・」

 

「よし、なら死ね。」

 

有無を言わせず男の喉を切り裂き、黙らせる。

 

つき当たりのすぐの部屋か。

 

男の言っていた部屋の前には見張りも居なかった。

これは嘘をつかまされたか・・・

 

取り敢えず、慎重に扉を開ける。すると、

 

「ふぐむむ!」

 

縄で縛られ、猿轡をかまされた姿の璃々ちゃんが居た。

 

「ちっ、クソッタレが。こんな幼い子にこんな事を。

 大丈夫だ。今助けてやる。」

 

そう言って扉を締め、縄を解き、猿轡を外す。

 

「ひっく、ひっく、(やばい、泣かれるのは。)うわーーーん!」

 

「・・・もう大丈夫だ。大丈夫だからな。安心しろ。俺がお前の母ちゃんのとこまで

 連れてってやるからな。」

 

そうやって慰めているうちに、璃々ちゃんは眠ってしまった。

 

「さてと、騒がしくなってきやがった。」

 

璃々ちゃんを左手で抱きながら、右手で剣を構える。

 

行くか。

 

<黄忠サイド>

 

 

「報告。城内や街中を隅々まで探しましたが、璃々様を見つけることは出来ませんでした。

 しかし、何者かが璃々様を連れて何処かに行くのを目撃した者が多数おりますので・・・」

 

「璃々・・・まさか、そんな。」

 

私が、私がもっとしっかりしていれば。

 

「紫苑よ。自分を責めるな。ここにいる全員気づけなかったんじゃ・・・」

 

「桔梗。でも、璃々が。」

 

そうしていると、

 

「紫苑、どうするんだ。あいつらの手紙にはなんて書いてあったんだ?」

 

「手紙には、璃々を預かった。返して欲しければ三日以内に儂等全員降伏せよとの事じゃ。

 もし降伏しなければ・・・」

 

「クソッ。どこにいるかさえ分かれば。」

 

「ほ、報告します。今すぐ黄忠様にお会いしたいと言ってる者が!」

 

「後にしろ!今はこんな状況なんだから!」

 

「いえ、しかし。その者は璃々様の行方を知っていると言っていますが・・・」

 

璃々の行方を本当に?

 

「その者を今すぐここへ。」

 

「はっ!」

 

数分後・・・

 

 

「連れてまいりました。」

 

「下がってよいぞ。」

 

連れて来たのは、三人の少女だった。

 

「お初にお目に掛かります。私の名は司馬懿。こちらが徐庶。典韋です。」

 

それぞれが礼をする。

 

「それで、璃々の居場所を知っているそうだが。どこにおるのじゃ。」

 

「それは、これを読んでいただければ。」

 

と、一枚の紙を出す。

 

「それは?」

 

「申し訳ありません。我ら三人は娘さんの居場所を知りません。 

 知っているのは我らの主なんです。その方は今単身、娘さんの救出に向かっております。」

 

と、言いながら、紙を私に渡す司馬懿。

紙には。

 

「  黄忠へ

 娘の居場所はそこより南東へ一日程行った場所にある森の中だ。

 しかしこの文が届いてから動いていたのでは間に合わない。 

 俺が娘を助け出す。

 

 だから、途中にある村まで来てくれると助かる。」

 

と書いてあった。

 

「成程。貴方達の主とは、何者なのかしら?」

 

「世間では慈悲深き死神なんて呼ばれている。」

 

と徐庶が言う。

 

「な、それは本当か!」

 

「はい。兄様は確かにそう呼ばれています。」

 

「まぁなんにせよ、璃々の居場所が分かったんじゃ。動ける兵はどれくらいじゃ、焔耶。」

 

「はっ!4000程です。」

 

「敵の数が分からないのが少し不安だが、噂の死神様が居るってんだ。なんとかなるだろ。」

 

「なら急いで出陣準備を。私の我侭に・・・ごめんなさい。」

 

本当なら、こんな理由で戦なんて。

 

「気にするな紫苑。してお前たちはどうする?」

 

そうね、どうやら司馬懿ちゃんと典韋ちゃんはなかなかの武を持っているようね。

 

「もしご迷惑で無ければ私達も連れていってはもらえませんか?

 私と典韋は、それなりに武を持っていますし、徐庶は非凡な智を持っています。

 足でまといにはなりませんから。」

 

「そうね、私達は貴方達の主がどんな人か分からないからね。着いてきてもらえますか?」

 

「分かりました」 「はい。」 「分かった」

 

「では、皆さん。行きましょう。」

 

 

 

 

あとがき

 

 

球技大会の練習で筋肉痛のnontanです。

 

今回は劉璋に悪役になってもらいました。

 

まあ、次も連続して投稿するんでこのへんで。

 

 

ご意見、ご感想、ご指摘があればコメントしていただけると嬉しいです。

でわでわ


 
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