先に動いたのはレイスだった。
背後に具現化した魔王と呼ぶにふさわしい異形はその巨大な拳を叩きつけるように振り下ろしてきた。
前に出た俺とネプギアはバックプロセッサのブーストで回り込むように避ける。
遅れてアイエフと日本一、ケイブ先輩が突っ込み三方向から射撃するが異体から出る四つの触手のようなもので全て弾かれてしまう。
「---撃ち落とす!!!」
集団を組んでいたアイエフ達が散ると同時に極太のレーザーが大地を抉るように突き進んだ!。
「は、……」
レイスの背丈を余裕で超えるほどの極光を前にレイスは鼻で笑った。
そして背中のある異体が四つの触手を互いに絡ませ丸型の盾を造りユニの砲撃を防御する。
「えぇぇぇぇいっ!!!」
「はぁぁぁぁぁっ!!!」
ユニの砲撃を防御しているレイスに俺とネプギアは左右から一気にレイスに切りかかる。
「甘いな……!」
だが、レイスは先に突っ込んできたネプギアの剣をひらりと躱し、その手を掴みネプギアの加速力を維持したままこちらに受け流してきた!
「えっ……?」
「うわぁ!?」
受け身も取れず俺とネプギアは激突
互いに頭部をぶつけ脳内が小規模の地震が起きたかとおもうほどの振動が駆け巡り体制を整えないまま俺とネプギアはダンゴ状になって地面に激突した。
「っ……大丈夫か!ネプギア!!」
「んっ、うん。だいじょ……!」
直ぐに目を開けるとそこにはネプギアが、どうやら俺は下ネプギアは上のようだった。
そういえば、よくネプテューヌは俺が寝ている時はよく上るな……じゃなくて!早く起き上がらないと
むにゅ
「…っ……ぅん」
左手に柔らかいマシュマロのような感触がする。
あれ?俺のブラッディ・ハード状態の武器は双銃剣だから左手には銃剣を握っているはずなんだが……ない。
見ると近くの地面に突き刺さっていた縺れた時に離してしまったんだろう、それにしてもネプギアの様子がおかしい茹でた蛸の如き赤色で顔が染まっている。
「……お~い、そんなラッキースケベは後でしてくれないか?」
レイスが呆れた声で呟いた。
アイエフ達も軽蔑するような冷たい目でこちらを見てきた
「お兄ちゃん……下、下ぁ」
「……( ̄□ ̄;)」
ネプギアの色っぽい声に俺の視線が下に下がりそこには俺の左手がネプギアの胸を押し付けたのが目に入った。
「~~~~!?!?す、すまん!!」
声にならないみっともない悲鳴のあと俺は直ぐに抜け出し頭を下げた!
ネプギアは顔を真っ赤に染めたまま自分を抱きしめ態勢のまま動かない
「も、もうお嫁さんにいけません……」
ーーーー!
ネプギアの呟かれた言葉に俺の脳裏に稲妻が走った!
そ、そんなことなのか女性の胸を触ることは人生を狂わすほどの禁忌だったのか!?
「お兄ちゃん……」
透き通った蒼色の双眸から微かな雫を貯めて、ネプギアはその小さい唇を動かし
「責任、とってくれますか…?」
…………。
はっ!ちょっと見惚れていた!。
じゃなくて!!責任!?いったいなんの!?えぇぇ??
「イチャイチャしてないでとっとと戦えーーー!!!」
「「うわぁ!?/きゃぁぁ!?」
アイエフからの激情ドロップキックに俺たちは吹っ飛んだ。
そうだった!今現在レイスと戦っていたんだった!バックプロセッサのブーストで体制を整え地面に突き刺さっていた銃剣を抜き取り
「……気持ち良かったか?」
「黙れーーー!!!」
ニヤニヤ笑うレイスにものすっごく腹が立つ!
縦横無尽に銃剣を振るう!撃つ!その斬撃は紙が浮かぶように避けられ大振りの一撃に横腹にカウンターを入れられた!
「いいことを教えてやろう」
レイスが耳元で呟く。
「罪遺物は持ち主の精神力でその力を増す」
吹き飛ばされ俺はだらしなく地面に転がる。
「初めて俺と戦った時のお前は精神崩壊直前だった。だから、体があんなに崩れていたんだ」
「私たちを忘れないでよ!」
レイスの顔面向けて日本一は回し蹴りをするが足そのものを掴まれ投げられる。
「罪遺物は肉体ではない。そもそも生死の概念がないのだから物と変わらない」
「天魔流星斬!」
アイエフの流星群の如き連撃もレイスは受け流し掌底を叩きこまれ吹き飛ぶ
「つまりだ……何が言いたいかと言うと神という存在は
「………それがどうした」
いつもの俺ならここで絶望して自分を見失って自暴自棄になって真っ暗を歩くだろうな。
けど、今は違うんだネプギアがユニがロムちゃんがラムちゃんが絶望に染まっていた俺を握ってくれたんだこのどうしようもない左手を、モンスターの腕をな
「へぇ、お前はメンタルが弱いからそこを突っ込んだが失敗したな」
「……俺はお前と決定的な違いがある」
レイスは一人だった。
全てを熟すことができたレイスは全てのことを一人でこなしてきた。
自分にできないことがあればそれを身を削ってでも成し遂げてきた。
その強大すぎる力の前に人はレイスを英雄のように崇めたり、悪魔のように恐れた。
ーーー故に孤独だった。
「俺には仲間がいる。それがお前と俺の差だ」
「…………ククク、そうか、あぁ、そうだな」
レイスはしばらく豆鉄砲を食らったような表情から一転、薄く笑い天井を見上げた。
「なら俺はその差を圧倒的な力でねじ伏せる!!」
レイスの背後に憑いていた異形が姿を変え、レイスを纏い始め。
その力の波動だけでレイスを中心に巨大なクレーターが生成され地震を錯覚するほどの振れが生じた!
「お前に見せるのは二度目だな……これが今の俺の全力『
顔だけを残し強張った黒闇の鎧をまとったレイスの姿は正に覇王と呼ぶにそうそうしい姿だった。
「…………」
静かにレイスは拳を下げる。
それだけで俺の本能が警報を上げるあれはだめだと悲鳴を上げる
「みんな、下がれ!!!」
「紫天・覇咆撃!!!」
拳が薙ぎ張られたそれだけで俺たちはボールのように吹き飛ばされ壁に強く体を叩きつけられた。
「っ……大丈夫か……」
「私は、大丈夫だよ……」
「本当にめちゃくちゃ……ね」
「女神化してなかったら、終わってた」
「うぅぅ、痛いよ……」
ーーーーっ
俺たちのパーティはレイスのたった一撃で壊滅状態になっていた。
アイエフ、コンパ、日本一、がすと、5pd.は壁に体が入り込みもはや戦えるような状態じゃない。
ケイブ先輩は壁から抜け出したが立てるのが精一杯と言ったところだ。
戦えそうなのは俺を含めた女神候補生たちだけ……!
「ぐっ……」
「ケイブ先輩!」
よろけたケイブ先輩に近づき支える。
体が傷だらけだところどころ出血もしていて命には別状はないがそれでも病院に搬送しないとまずい状態だ。
「悪いわね、役に立てなくて…」
「そっ、そんなことありません!」
「貴方達の、勝利を願っているわ」
今にでも消えそうな声、しかしそれには確かな望みと期待が込められケイブ先輩が静かに気を失った。
「………レイス」
「なんだ、まさか今更諦めました。なんていう訳ないだろうな?」
気絶したケイブ先輩を地面に置く。
そして真っ直ぐレイスを睨む。
「レイス、お前は……俺の恩人を、仲間を傷つけた……!」
バックプロセッサから展開されるノイズの紅い双翼は俺の意思を反応するように更に大きくなっていく。
「悔しいか?悲しいか?……その意思をすべてを俺にぶつけろ!じゃないと俺に勝つなんて幻想は、幻想で終わるぞ!!!」
「ネプギア、ユニ、ロムちゃんラムちゃん行くぞ!!!」
俺の声にみんなは傷を負いながら頷くれた。
俺には仲間がいるんだそれ以上心強いものはない。
「穿て、闇の杭!」
レイスが地面を叩くと俺たちを向けて黒色の槍のような形状のものが地面を貫きながら向かってくる!
俺はロムちゃんとラムちゃんをネプギアはユニと組んで左右に分かれ闇の槍群を避ける
「ジェノサイド・レーゲン!!」
「「フリーズランサー!!」」
ノイズの双翼から放たれる驟雨のような弾丸とロムちゃんとラムちゃんから放たれる氷の槍が上空を埋め尽くし、その全ての矛先がレイスに向けられ降り注ぐ!。
「そうだ!俺は倒す気なら躊躇するな!!」
レイスは電光石火のようにジグザグに動きそれらを躱してその拳で粉砕していく。
その背後にネプギアはバックプロセッサの加速でレイスの背後に移動し一撃を加えるがレイスの纏う闇黒の鎧が簡単にその刃を弾いた!
「わざわざちかづて「あんたもね!」!!」
ネプギアに狙い定めた瞬間、横からユニ突撃しその手に持つ巨大なランチャーの銃口をレイスの腹部に押し付けた!
「あんたのその鎧、私の全力に耐え切れるかしら!!!」
銃口が開き巨大なエネルギーが一か所のみに放たれた!。
エネルギーの放流はユニの引き金が緩むまで終わることはなく壁に風穴を開き空まで貫通してしまった。
「うわぁ……すげぇ威力」
「ふふふっ、どうよ」
あれゼロ距離だったよな。
レイスの姿は見当たらないしもしかして消し飛んだ?
『危ない危ない、白い悪魔かと思うほどのエゲツナイ砲撃だ』
倒したかと思った声に俺たちを振り向いたそこには黒い霧のようなものがありそれは集合し、レイスとなった。
「あと0.5秒早かったら直撃していたな」
「……っ卑怯ね」
「空の方が卑怯&鬼畜だと思うが……まぁやり返すぞ!」
ガトリング砲を思わせるほどの拳撃の嵐が繰り出される。
ネプギアとユニは防御するが一発一発が重くなんなく吹き飛ばされ俺も必死で弾き防ぐ!
「ほらほら!!どうした!!!」
更に一撃一撃が重くなっていき鋭さと速さも上がっていく俺の纏っているプロセッサユニットは火花を散らし今にでも崩壊してしまいそうだ!
「お兄ちゃん!」
「っーーーー!!!」
俺の後ろにはロムちゃんラムちゃんと居る!
絶対に退けない、退くわけにはいかない!
「う、うぉぉっぉぉっ!!!」
防御状態を辞め瀑布のような拳撃に突っ込み双銃剣に最大の力を込める!
「ブラッディ・クロス!!!」
「ちっ!」
レイスは忌々しそうに舌を打ち俺の必殺技を両手で押さえやがった!
「ネプギア、ユニ!ロムちゃん!ラムちゃん!!」
「「「「うん!!」」」」
今レイスは動きが止まっているこれ以上の攻撃チャンスはない!
「マルチプルビームランチャー・フルバースト!!!」
「X.M.B:エンブレス・エンド!!!」
「「エターナルフィブリルサイド!!!」」
ネプギアからは横のプロセッサと共に放つ収束された極光が
ユニからは先ほどとは比べられないほどの巨大な極太のレーザーが
ロムちゃんとラムちゃんからは全てを凍らし砕き破滅を呼ぶ吹雪がレイスに襲い掛かった。
ドゴーーーーーーン!!!!!
火山の一角を消し飛ばし見えたのは青白い空、四人の最大の攻撃は大地をなんらく破壊したのだ。
全てを出し切ったネプギア達は女神化が強制解除されており肩で息をしている。
「-----驚いたよ」
それでも、レイスは悠々と立っていた。
「は、ばっ、化け物め……」
「ひでぇな、おい」
見たところあの黒闇の鎧はないさすがにあの四人の攻撃には耐え切れなかったようだ。
しかし、俺はなんとか立てる程度でネプギア達は立つことができないほど疲労している。
「よくやった。うん本当にな」
「それは、なんだ?勝者としての言葉か?」
「結果的にはそうなるな。しかし、お前たちは頑張ったよ自分に出せる全てを出した……お前以外はな」
そういってレイスは俺を指差した。
立ち上がる力はあるが正直、俺も戦えるほど余裕がないぞ
そんな疑問を思いながらレイスはあの時と同じく蒼白い空を見上げた
「---いるんだろ。空」
「やっぱりばれるか」
俺たちの背後で聞きなれた声音が聞こえた。
振り向くと魔法陣らしきものでアイエフ達を持ち上げている空と空亡ちゃんの姿だった。
「っと、くうちゃんも来ていたのか」
「父様……こんにちは」
空亡ちゃんはレイスの近くまでトコトコ歩く。
レイスは優しい笑顔で空亡ちゃんの頭を撫でる
「本当に親子みたいだね……ねぇ、紅夜」
「………なんだ?」
空は嘘をついていた。
頑張れば
レイスが言っていたことは冷静に考えると辻褄が合っている。
生まれしものは生まれたものを生み出し
死んだ者は死んだものを生み出すことしかできない。
生死の概念がないこの罪遺物では、結局のところどっちでもない、どっちでもできないのだ。……別に怒っているわけではないただ空が今何を思っているのか聞きたいだけ
「その眼は知ったんだね……それでも自分を見失っていないということは……うん、合格だね」
「………なにが?」
「僕は今から君を導くものを上げるよ。あとは君の思い次第」
空はポケットから大事そうになにかを入れているだろう魔法陣が刻まれている箱を取り出し息を吹いた。
するとその箱に魔法陣が光りゆっくり開き、中にはクリスタル状の不思議な水晶のようなものがあった。
「空それは……?」
「罪遺物も元を辿れば人間に近いんだ。そしてこれはこの世界に
受け取れとばかりに空はその漆黒に輝くクリスタルの入った箱を突きだした。
「あの、それは……」
「元のアイテムの名前は『女神メモリー』、とはいっても全く別物になったから僕は『冥神メモリー』と呼んでいるけどね」
……分かった。
このアイテムが一体どれほど凄くて……どれだけ
「さぁ、前にも言ったよ
空は待っていたんだ。
俺が本当の意味で、俺が俺としてなることをこの世界に生きる零崎 紅夜としてなるのか空は今にでも泣きそうな顔だった。
これを取るつまり俺は完全に空との因縁を断ち切ると同じ事に等しいことなんだ。
「夢もいいよ。希望もいいよ。理想もいいよ。けど、それって勝たないと意味がないから」
っーーー。
空の言葉に背中を押され俺はその真なる意味で神になるためのアイテム『冥神メモリー』を掴んだ。
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レイス戦!……強くし過ぎたかも
明後日にまた検定試験……死ぬってマジで………