No.451978

仮面ライダーエンズ 第七話 突入と乱闘と奪還作戦

RIDERさん

仮面ライダーエンズ!!前回起きた三つの出来事!!

一つ!立華かなでが誘拐された!

二つ!仲村ゆりが、救出作戦を始動!

続きを表示

2012-07-13 04:03:06 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:647   閲覧ユーザー数:637

街の中心部にあるビル。イーリャンの知覚によると、ブラックドッグはそこに立て籠っているらしい。しかも、適度に兵士を街に放って破壊活動までやっているそうだ。早朝だったために、社員は一人もいない。うまく人のいない場所に立て籠ってくれたので、一同にとっては奪還作戦をやりやすくなった。だが、問題はそこではない。

「マスコミが動き出した以上、もはや一刻の猶予もないわ。」

そう。ゆりが言った通り、マスコミが動き出してしまったのだ。本来なら、セフィロスに気付かれる前にかなでを奪還しなければならないのだが、これではもう完璧に気付かれてしまった。すぐにブラックドッグを殲滅しに、やってくるだろう。本来なら夜のうちにでもかなでを救出すべきだったが、小池一味との戦いの際弾薬を消耗したため、補給に手間取ったこと。ブラックドッグの居場所の特定に時間がかかったこと。小池達を警察へ連行していたことなど、様々な要因が重なり、結果として翌日までかかってしまった。

 

ブラックドッグは世界でも有名なテロリストであり、そのやり口には特徴がある。限りなく人間に近い人口知能、AIを搭載したアンドロイドを使って対象を殲滅し、そのために使う『人間』は、アンドロイド達の指揮に必要な数人のみ。セフィロスが動いたところで、死人が出ることは、まずない。

「だが、万が一という可能性はある。」

クラウドの言う通り、それはありえる話だった。いずれにせよ、セフィロスが来る前に解決することにこしたことはない。ビルの近くまで到着したところで、ゆりは説明する。

「作戦は昨日と同じよ。奇襲メンバーも、突入メンバーも同じ。特に瓜核くん」

「ん?」

「昨日は暇だったろうけど、今回はブラックドッグの兵士が街中をうろついているわ。イーリャンくんは作戦の要だから、しっかり守ってね。」

「おう!」

「それじゃあ、オペレーション・スタート!」

作戦開始を告げるゆり。

 

しかし、

 

「悪いが、約二名は俺に付き合ってもらうぜ。」

 

そこへ人間形態のウォントが現れた。

「誰だ貴様は?」

尋ねる皇魔。

「そうそう。この姿で会うのは初めてだったな」

ウォントは怪人形態になった。

「ウォント!」

驚くレスティー。

「やっと、この時が来た。」

ウォントは静かに拳を握りしめる。

「さぁ、アプリシィのメダルを返しな!」

「…レスティー。」

「わかったわ。」

「変身!」

 

〈クレアボヤンス!ヤリ!ホノオ!ク・ヤ・ホ♪クヤホク・ヤ・ホ♪〉

 

皇魔はエンズに変身してメダジャベリンを構えた。

「皇魔!?」

「これは…一体!?」

皇魔の変貌に驚く音無と直井。

「ここは余が引き受ける。貴様らはさっさと行け」

「けど…」

「いいわ。」

渋るザックスだが、ゆりは動じていない。

「その代わり、あとでしっかり説明してもらうわよ。いいわね?」

「…好きにしろ。」

エンズはウォントとの戦いに身を投じた。

「このことは日向くんが知ってるから、突入しながらでも聞いて!」

レスティーも追いかける。

「日向…お前いつの間に?」

尋ねる音無。

「この前、ちょっとな。」

「話はあとで聞くわ。それより、奇襲メンバーをどうするかよ。」

日向の話を遮るゆり。確かに、奇襲メンバーがいなくなってしまった。

その時、

「私が引き受けよう。」

と声が聞こえ、地面から涌き出るようにして、アーカードが現れた。

「どっから出てんだよ!?」

思わずツッコミを入れるザックス。

「いずれにせよ、大抜擢ね。お願いするわ、アーカードさん。」

「ふふふ…」

ゆりはアーカードを採用し、アーカードは嬉しいのか不気味に笑った。そこへ、

「私にも手伝わせてくれ。」

しおんも来た。

「戦力は多い方がいいわ。お願い」

しおんも採用するゆり。

「今、助けてやるからな。」

ここにはいないかなでに向けて言う音無。こうして、立華かなで奪還作戦が始まった。

 

 

 

 

 

 

かなみはアンドロイドに追いかけられていた。実は彼女もアルター能力者なのだが、彼女の能力は『ハート・トゥ・ハート』といい、相手の心を読む能力。つまり、心を持たないアンドロイドが相手では、役に立たないのだ。

「きゃっ!」

かなみは転んで足をすりむいてしまう。もう、逃げられない。しかし、

「かなみ!危ないでゲソ!」

イカ娘が現れ、触手でアンドロイドを貫いて倒した。

「大丈夫でゲソ?」

「うん、ありがとうイカ娘ちゃん。」

「それにしても、大変なことになったでゲソね…」

「ジュラル星人の仕業に違いない!」

そこへ唐突に現れる研。

「違うでゲソ。ブラックドッグの仕業でゲソ」

「ジュラル星人め…今度という今度は許さないぞ!」

「ちょっと待たなイカ!話を聞かなイカ!」

イカ娘の話を全く聞かない研。と、研は跳躍して一回転し、着地。

「チャージングGO!」

ポーズを取る。すると、研はスーツを身纏い、ヘルメットをかぶった少年、チャージマン研になっていた。研はポーズを取ってチャージングGOと声をかけることで、光の力を得てチャージマン研に変装するのだ。ちなみに、変身ではなく、変装である。チャージマン研は変装するや否や、愛用の万能飛行船、スカイロッド号に乗って、どこかへ行ってしまった。

「どこ行く気でゲソ!!」

怒るイカ娘。

(…もしかして…)

かなみには、チャージマン研が何をするつもりか、予想がついていた。

 

 

 

 

 

 

 

ビルに侵入したアーカードは、カスールとジャッカルを使って大暴れしていた。どちらも海馬コーポレーションのオーダーメイドであるため、非常に強力な銃だ。鋼鉄の身体を持つアンドロイド達を、ほぼ一撃で仕止めている。向こうもマシンガンを撃ってくるが、アーカードはそのくらいでは死なないため、気にせず攻撃している。よけようともしていない。彼からすれば、余裕がありすぎるくらいだ。

と、アンドロイド達が隔壁の一部を閉めた。アーカードはその場にいるアンドロイド達を全滅させてから一旦カスールとジャッカルをしまい、携帯質量を出して分解、ライフコストを再構築。

「Open sesame(開けゴマ)…」

隔壁をライフコストで紙のように切り裂く。人間に近い思考の持ち主であるアンドロイド達は、あまりの出来事に固まる。

「兵士諸君。任務ご苦労」

対するアーカードは悠々と近付き、

「さようなら。」

ライフコストの一撃で、全てのアンドロイドの首をはねた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ゆり達はクラウドとザックスとダークプリキュアを先頭に援護しながら突撃するが、相手はアンドロイド。通常の銃ではあまりダメージを与えられないので、うまく倒せない。クラウドとザックスとダークプリキュアの攻撃が一番よく効いているのだが、誘拐犯とは比べものにならない数と実力が相手なのだ。限界はある。

「やっぱカスールやジャッカルくらいの武器じゃないとダメか…」

「場所が場所なだけに、重火器を使うわけにもいかないわ。我慢して」

ぼやく日向と、それをなだめるゆり。

「音無さん。大丈夫ですか?」

「大丈夫だが、セフィロス先生が来る前に片付けなきゃいけないとなると、今のままじゃペースが遅すぎる。もっと素早く片付けないと…」

音無を心配する直井と、セフィロスの来訪を警戒する音無。

 

その時、

 

「ならまず、相手の弱点を狙うことだ。」

 

声が聞こえて、ソリッド・スネークが現れた。魔王も一緒だ。

「あ、あんたは!?」

「それに、魔王先生!?」

驚く音無と直井。

「スネークだ。」

「我がジュラル星人の頭脳が生み出したロボットを使って連れてきた助っ人だ。」

「助っ人?」

聞き返す日向。スネークはライフルを使って、アンドロイド達の弱点である頭部を狙撃しながら、ゆり達に言う。

「そう、味方だ。急いでるんだろ?だったら早くしようぜ。」

「助かるわ。」

思わぬ助っ人を得たゆりは、スネークと一緒にアンドロイド達を狙撃する。

「行ってみよー!」

魔王は目から光線を出して攻撃。と、

「ヒール・アンド・トゥー!!」

ラディカル・グッドスピードを両足に融合装着したクーガーが、アンドロイド達を薙ぎ払った。

「クーガー先生!」

驚くザックス。

「俺より速く動くとはいい度胸じゃねぇか!!」

クーガーは言いながら、アンドロイドを蹴り飛ばす。

「早くしないとな!モタモタしてたら、セフィロスが来るぜ!」

クーガーもセフィロスと同じく教師。セフィロスの強さはよくわかっているし、娘が人質に取られている状況だ。どうなるかもわかっている。一同は急いで進撃していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「瓜核バルカン!!」

瓜核はイーリャンを守りつつ、アンドロイドを倒していた。

「くそっ!あと何匹いやがる!?」

「瓜核!四時方向!」

「おう!」

イーリャンは絶対知覚を使って的確な指示を出し、瓜核はそれに従ってアンドロイドを倒す。

と、イーリャンは自分の知覚領域に、ある存在が入り込んだことを察知する。

「あ…ああ…!!」

「どうした!?」

イーリャンは答えず、トランシーバーを出してゆり達に連絡した。

「セフィロス先生だ!セフィロス先生が来た!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何ですって!?」

応対するゆり。

「ものすごいスピードでそっちに向かってる!しかもすごい殺気だ!!」

「まずいな…早く突破しねぇと…!!」

日向は焦り、一同は攻撃の手を強める。そこで、またイーリャンから連絡が来た。

「今セフィロス先生がビルに入ったよ!」

「もう!?」

「なんてスピードだ!クーガー先生と同じくらいの速さじゃないのか!?」

驚くゆりと音無。だがこのビルは十五階立てであり、かなでの位置はビルの最上階。現在ゆり達がいる場所は、九階。アーカードの居場所は十二階だ。セフィロスが来るには、まだ時間がある。

「急ごう。」

ダークプリキュアが言い、一同はさらに進撃を速めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オラッ!!」

「ぐうっ!!」

エンズはウォントと激戦を繰り広げ、だが劣勢に陥っていた。

「アプリシィは俺の弟分でな…どうしてもメダルを返してもらわなきゃなんねぇ。だから本気を出すことにした!!」

「…よかろう。ならば、こちらも本気を出す。レスティー!」

エンズはレスティーを呼び、テレポートで渡されたメダルを使い、

 

〈カンパ!フブキ!ヒョウケツ!カーンカンカンフブッヒ♪カンフブヒ♪〉

 

カンフブヒコンボにコンボチェンジした。そのまま、全身に冷気を纏う。

(待ってたぜ。お前がアプリシィのコンボを使うこの瞬間を!!)

思いながら全身に炎を纏うウォント。

 

そして、

 

 

 

二人はぶつかり、大爆発が起こった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…んぅ…?」

爆発を聞いたかなでは目を覚ました。

「…何であたしは縛られてるの?」

今の自分の状態を確認するかなで。しかし、

「…まぁいいわ。おやすみなさい…」

かなでは二度寝した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スネークの指示に従って射撃するゆり。

「いいセンスだ。」

「どうも。」

その時、

「!?」

彼女達の前に、いや、一同の前にいたアンドロイド達が、突然全滅した。何が起こったのか、全く把握できない。

 

しかし、速さを極めた男、クーガーのみ、何が起きたのかを知ることができた。

 

「真空の斬撃、か…間に合わなかったらしいな…」

言いながら振り向くクーガー。そこには、あまりにも長すぎる日本刀、正宗を握りしめたセフィロスがいた。

「せ、セフィロス先生…!!」

日向は腰砕けにその名を呼ぶ。

(なんという殺気だ…!!)

ダークプリキュアはセフィロスが放つ殺気に、心中焦った。

「セフィロス先生…あの…これは…」

ゆりは震えながらセフィロスに弁解を行おうとする。対するセフィロスは、

「全てわかっている。気遣いには感謝しよう」

礼を言った。

「だが、今度からは必ず俺に言え。お前達が思っているほど、俺はものわかりが悪くない。」

言って、セフィロスは先行する。そこから、進撃の速度は一気に早くなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

激突したエンズとウォント。

「…ちっ…」

エンズは舌打ちした。ウォントの手に、カンパコアメダルとフブキコアメダルが握られていたからだ。激突した瞬間、ウォントはエンズドライバーからカンパコアメダルとフブキコアメダルを取り外し、奪ったのである。ウォントとしてはヒョウケツコアメダルも一緒に奪うつもりだったが、直前でウォントの意図に気付いたエンズから攻撃を受け、二枚にとどまってしまった。

「まだだ!まだ一枚残ってる!!」

再び挑みかかろうとするウォント。しかし、エンズから受けた弱点属性による一撃で、彼もかなりのダメージを負った。しかも、自分がメダルを奪った瞬間に、エンズもまたウォントから一枚、メダルを奪っている。いかにメダルを奪ってエンズを弱体化させたとはいえ、このまま戦うのはあまりにリスクが高すぎた。

 

というわけで、両者の戦いを監視していたメイカーが、ミサイルランチャーを生成してエンズに攻撃を仕掛ける。

「ぐおおおおおおおおおお!!!」

吹き飛ばされるエンズ。メイカーはそれを確認してからウォントに駆け寄り、肩を貸す。

「無事ですかウォント?」

「メイカー!手を出すなって言ったろうが!これは俺の問題だ!」

ウォントは少し前に起きた出来事を思い出した。

「あの時、アプリシィは俺のせいで奴にメダルを奪われた。俺の不始末で奪われたメダルは、俺が取り戻さなきゃなんねぇんだ!!」

「ですが、エンズは我々デザイアにとって共通の敵です。あなた一人が戦う必要はありません」

メイカーはミサイルランチャーの弾頭を補給。

「よって私も加勢します。」

エンズに向ける。それを聞いたエンズは、

「…いい度胸だ。まとめて相手になってくれる!」

リフレクターマントからリモコンを出し、スイッチを押した。すると、エンズの側にマシンスロットモードのライドスロッターが現れたではないか。

「海馬に搭載させた空間転移システムだ。他にも、多くのシステムが搭載してある。少しは使ってやろうと思ってな…」

エンズはセルメダルをライドスロッターに投入。

「まずこれだ!」

レバーを引く。すると、スロットが回転して炎の目が止まり、メダル排出口から火炎放射が放たれた。

「メイカー!」

咄嗟に飛び出し、メイカーを守るウォント。ウォントは言う。

「残念だが、俺にこの手の攻撃は効かねぇぜ?」

「ならばこれはどうだ?」

再びセルメダルを投入してスロットを回すエンズ。今度は氷の目で止まり、メダル排出口から吹雪が放出された。

「ぐああああああああああ!!!」

「ウォント!!」

弱点属性の攻撃であるためダメージを受けるウォント。

「まだ終わらんぞ。」

エンズは間髪入れずにセルメダルを投入してスロットを回す。今度は剣の目で止まり、メダル排出口から手裏剣やクナイなどの暗器が発射され、

「ぐわああああ!!!」

「ぬあああああ!!!」

ウォントはメイカー共々ダメージを受けた。

「これも受けてもらおうか!」

再度スロットを回すエンズ。今度は銃の目で止まる。すると、メダル排出口からノズル付きのマシンガンが出てきて、ウォントとメイカーを銃撃。

「「あああああああああ!!!」」

倒れる二人のデザイア。

「さて、仕上げといくか。」

エンズはライドスロッターに、今度はセルメダルを三枚投入する。投入しながら、エンズは言った。

「かつて、余が自作した機動兵器が存在した。その名は、インペライザー。」

それは、無双鉄神の異名を取る強力な兵器。

「余はそれを再現できぬかと思った。」

そして先日、エンズは海馬に頼んで、その機能を搭載させた。

「そして、それは成った!」

エンズはライドスロッターのレバーを引き、スロットを回す。スロットは、7の目で止まった。同時に、光に包まれるライドスロッター。光が消えた時、ライドスロッターはエンズが言った兵器、インペライザーに酷似した姿となっていた。エンズは命じる。

「行け!インペライドスロッター!!」

インペライドスロッターはそれに答えるかのように、自身に搭載してある全砲門から、エネルギー弾を乱射した。

「くっ!」

ミサイルランチャーを発射するメイカー。しかし相殺が間に合わず、ウォントと一緒に吹き飛ばされた。

「ちぃっ!!」

ウォントは特大の火球を生み出して、インペライドスロッターに投げつける。これによってインペライドスロッターは小破したが、そのダメージはすぐに修復された。

「自己修復だと!?」

「ウォント、ここは退くべきです。」

「だがまだあと一枚!」

「まだチャンスはあります。今は退いて、体勢を立て直してからでも遅くはありません。」

「…くそっ!!」

ウォントはメイカーに言われ、スチームを発生させて撤退した。レスティーはエンズに駆け寄る。

「大丈夫?」

「無論だ。」

エンズの変身を解除する皇魔。

「それにしてもすごいわね…皇魔が対メイカー戦用に海馬くんに搭載させた機能…ここまでとは思わなかったわ。」

そう。このインペライドスロッターは、皇魔がメイカーの火力に対抗するために考えたものだったのだ。インペライザーの設計図が皇魔の頭の中に記憶されているので、あとはそれを提供するというものだったが。とりあえずインペライドスロッターを元に戻しておく皇魔。

「あっちは終わった頃かな?行ってみましょ。」

「やれやれ…」

レスティーに言われ、皇魔は二人でビルへ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最上階。

アーカードは、目の前の相手を睨み付けていた。そこにいるのは、ブラックドッグの隊長だった存在。しかし、今はガトリングガンを装備したシード、ガトリングシードだ。

 

一体何が起こったのか。答えはいたって単純である。最上階まで到達したアーカードの目の前で、寄生していたシードに呑み込まれたのだ。

 

「まさかシードに寄生されていたとはな…」

呟くアーカード。ガトリングシードの背後には扉があり、奥にかなでがいるのは間違いない。だが、かなでを救出するにはガトリングシードを倒さなければならないのだ。

「せめて挑む国を間違えていなければ、こうはならなかったものを…」

ライフコストを振りかぶるアーカード。と、そこへゆり達が到着した。

「なんだよあいつは!?」

驚く音無。だが、ダークプリキュアは目の前の存在を知っている。

「シードか!」

「ああ。人間が呑み込まれている」

「ならば私が…」

プリキュア・ダークパワー・フォルティシモを使って救出を試みるダークプリキュア。しかし、それをセフィロスが止めた。

「中身を傷付けなければいいんだな?」

「そうだが…」

「なら俺に任せてもらおう。」

言うが早いか駆け出すセフィロス。ガトリングシードは当然反応して射撃を行うが、セフィロスは正宗で銃弾を全てさばき、ガトリングシードに肉薄。一閃、斬り捨てた。すると、

「ウオオ…!!」

ガトリングシードは大量のセルメダルとなって砕け散り、あとには無傷の隊長だけが残される。

「中身以外『だけ』を斬ったか。ま、あいつにしかできない芸当だな。」

セフィロスがやったことを分析し、評価するクーガー。セフィロスは中の隊長を傷付けないようにして、ガトリングシードだけを斬ったのだ。しかしこれは剣豪たるセフィロスだからこそできる技であり、それ以外がやろうと思っても簡単にはいかない。いや、できない。

「さすがはセフィロス先生、だな。」

ザックスは頷いた。彼はセフィロスの強さをよく知っているので、これくらいはできるだろうと思っていたからだ。

「雑魚に時間をかけている暇はない。」

セフィロスは扉を正宗で切り刻み、中を確認する。中には、縛られて横になっているかなでがいた。

「かなで!」

「かなでちゃん!」

かなでに駆け寄り、縄をほどいてやる音無とゆり。セフィロスはゆっくりと近寄って、かなでを抱き上げた。かなでは安らかな寝顔を見せている。ずっと凄まじい殺気を放っていたセフィロスだが、その顔を見た瞬間に、全ての殺気が消えた。表情も、心なしか安堵しているように見える。

「一件落着、か…」

「ああ!」

「これで事件は解決な。会長が無事でよかった」

クラウドが言い、頷く日向と直井。と、

「ん?何か聞こえないか?」

スネークが異常を伝えた。

「飛行機がこっちに飛んでくるような音が…」

「それくらいはあるだろう。気にするな!」

魔王は気にしていないが、クーガーは気付く。

「…いや、これは普通の飛行機の音じゃねぇ。」

クーガーはその音に聞き覚えがあった。

「確か、スカイロッド号だったか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再びアンドロイドに狙われていたかなみとイカ娘だが、間一髪でカズマと劉鳳が助けに入り、事なきを得ていた。

「大丈夫かかなみ?」

「ありがとうカズくん!」

「助かったでゲソ!」

「礼には及ばない。」

そこで、イカ娘はビルの屋上にスカイロッド号が接近していることに気付く。

「今さら何をしに来たでゲソか…」

「…もしかして…」

かなみはアルターを発動し、チャージマン研の考えていることを読み取る。

「…!カズくんすぐに止めて!」

「あ?何をだよ?」

「早く行って!じゃないと大変なことに…」

 

 

 

 

 

チャージマン研は理科担当教師、ボルガ先生を連れてきていた。しかし、実はボルガは、人工的に産み出された爆弾人間なのである。

「何をする!?」

「ボルガ先生!お許しください!」

チャージマン研はスカイロッド号にあるスイッチの一つを押す。すると、ボルガの足元に穴が開き、

「ウォ~!」

ボルガは落ちていった。そのままビルの屋上へ。

 

 

ドガァァァァァン!!!

 

 

ボルガは爆発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あああああああああああああ!!!!」

爆発に巻き込まれた魔王は壁を突き破って吹き飛ばされていった。

「魔王先生ぇぇぇぇぇぇ!!!」

思わず叫ぶ音無。

「音無!魔王先生はもうダメだ!それより、まずいぜ!」

日向は告げた。今の爆発のせいで、ビルが連鎖崩壊を起こしていると。

「早く脱出した方がいい。」

「んなこたわかってるよ!!」

クラウドとザックスがそんなやり取りをしている。すると、

(みんな!そこを動かないで!)

レスティーからテレパシーによる通達があり、直後に一同はビルの外へと瞬間移動していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全壊したビルを見ながら、変装を解除した研は言う。

「可哀想なボルガ先生。でもこうして、立華先輩を救出することができました。」

「って何まとめようとしてるでゲソ!お前のせいで余計な被害が出たじゃなイカ!!」

「うふふ♪ごめんごめん♪」

ひたすらウザイ研に対して本気で殺意が沸きかけているイカ娘。そこへ、

「お菓子好きかい?」

さっき爆発したはずのボルガが現れた。ボルガは爆発しても、いつの間にか復活しているのだ。

「うん、大好きさ♪」

馴れ馴れしい研。そんな二人を見て、イカ娘は思わず呟いた。

「…キチガイでゲソ…」

「あはは…」

苦笑するかなみ。劉鳳はセフィロスに訊いた。

「セフィロス先生、立華は?」

「無事だ。」

セフィロスはかなでを見せる。かなでは全く目を覚まさず、眠っていた。カズマは呆れる。

「しかし、爆睡してんなぁ…自分が危ない状況だったってことにも気付いてないんじゃねぇか?」

「こいつはそういう子だ。お前だって知ってるだろ?カズヤ。」

「カズマだ!」

クーガーの名前間違いを訂正するカズマ。クーガーは親しい人間の名前をよく間違えるのだが、素で間違っているわけではなくわざとであり、彼なりに遊んでいるだけなのだ。クラウドはカズマに訊く。

「そういえば、他にテロリストはいなかったのか?」

「ああ、そいつら「そのことなら、心配はいらないよ。」」

会話に割り込むような形で、イーリャンと瓜核が現れた。瓜核が説明する。

「さっきイーリャンに知覚してもらったんだが、他のアンドロイドはブラックとスパイダーマンが片付けたらしいぜ。」

「あいつらいつの間に来てたんだよ…」

ザックスは驚いた。しおんはレスティーに礼を言う。

「先程は助かった。」

「私は可愛い娘の味方だから♪」

「…ふん。」

鼻を鳴らす皇魔。ゆりは言った。

「さぁ、事件も解決したことだし、説明してもらいましょうか?」

事件を解決したあとはエンズやデザイアについて説明する約束をしていたので、ゆりはそれを求めているのだ。

「教えてくれ。頼む」

「僕にも頼もうか。」

音無と直井もである。

「…レスティー。」

「はーい♪」

皇魔は説明をレスティーに任せた。超能力を使って説明するレスティー。

「エンズ…デザイア…シード…」

「お前ら…こんな連中と戦っていたのか!?」

ゆりと音無は驚き、直井は日向を睨み付けた。

「貴様…なぜこんな大切なことを黙っていた?」

「いや、説明するタイミングがなくてな…」

「説明する必要などない。」

皇魔が不機嫌そうに言う。

「貴様らのような雑魚が真実を知ったところで、足手まといにしかならん。第一、何ができる?」

「…わからない。でも、何かはできるはずだ。」

返したのは音無。

「音無くん?」

「音無?」

「音無さん?」

ゆり、日向、直井は三人揃って音無を見る。そこへ、しおんも割り込んだ。

「皇魔。弱い者には、弱い者なりの戦い方というものがある。」

今しおんの脳裏には、かつて自分が叩きのめしながらも、諦めずに立ち向かってきたとあるプリキュア達の姿があった。

「…くだらん。帰るぞレスティー」

「…じゃあ。」

皇魔は踵を返し、レスティーは軽く手を振って、帰っていった。

「では俺も帰る。かなでをゆっくり休ませてやらなければ…」

かなでを抱いたまま進言するセフィロス。

「お前って過保護だよなぁ…ま、せっかくだし、俺の車で送ってやるよ。」

「頼もう。だが、安全運転でな。」

「了解。」

セフィロスはクーガーと一緒に帰っていく。日向はゆりに訊いた。

「じゃあ、俺らも帰るか?」

「…そうね。かなでちゃんも助けられたし、それじゃあ解散!」

こうして一同は解散することに。

「さて、私も帰るか。」

言ったのはアーカード。と、スネークが訊いてきた。

「なぁ。俺、あの先生がいないと帰れないんだが…」

あの先生とは、魔王のことである。

「けど死んじまったし…どうすりゃいいんだ?」

その時、

「気にするな!」

ボロボロの魔王が来た。

「うわっ!?生きてたのか!?しかしボロボロだな…」

「気にするな!」

気にするなの一点張りな魔王。

「…この男もある意味不死身だな…」

アーカードは呟いた。このあとスネークは、魔王の手で元の世界に返してもらったという。

 

 

 

 

 

 

 

 

家に着いた皇魔とレスティー。レスティーは尋ねる。

「そういえば、コンボを使ったのに何ともなきゃっ!?」

皇魔は突然倒れ、慌てて受け止めるレスティー。皇魔は気絶していた。

「…我慢してたのね…」

レスティーは皇魔を担いで家にあがり、ベッドに寝かせたあと、自分の身体から大量のセルメダルを出した。これはガトリングシードのもので、ゆり達を瞬間移動で回収するのと同時に、こちらも同じく瞬間移動で体内に回収していたのだ。とりあえず念動力を使って、皇魔の分と海馬の分に分けておく。

「この分だと、私のコアを使ったコンボを使うには、まだまだかかりそうね。」

言ったあと、レスティーは皇魔がウォントから奪ったコアメダルを出し、眺める。

「まずはこっちかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ん…」

かなでは目を覚ました。

「起きたか。」

すぐ側にはセフィロスがいる。

「あたし…どうしてここに?」

セフィロスはかなでに説明をし、説明を聞いたかなでは、

「ごめんなさい。」

と謝った。

「お前が気にかけることじゃないさ。」

すると、

「ちわー。ちんとん亭ですが、チャーシュー麺と麻婆豆腐持って来ました。」

セフィロスが頼んでいた出前が来た。時刻はもう正午である。

「お前の好きな麻婆豆腐を頼んだ。すぐに持ってくる」

取りに行くセフィロス。かなでは、

「…麻婆豆腐に釣られたなんて、口が裂けても言えないわ。」

と、自分が誘拐された理由を黙っておくことにした。

 

 

 

 

************************************************

次回、

仮面ライダーエンズ!!

 

?「当たれ…当たれ…来い…来い…!!」

 

アプリシィ「人間というのは、つくづく愚かだな。」

 

レスティー「今回は、このコンボで行きましょ。」

 

 

第八話 成金と博打と炎熱コンボ

 

 

インペライドスロッター

 

ライドスロッターにメダルを三枚投入し、7の目を揃えることによって起動するライドスロッターのバトルモード。皇魔がメイカーの火力に対抗するため、海馬に命じて搭載させた。見たまま人間サイズのインペライザー。

 

基本的にエンズとレスティー、海馬の命令に従うが、超高性能なAIが搭載されており、ある程度の自己判断が可能。人間サイズとはいえ、機能はインペライザーと全く同じで、凄まじい火力と馬力、自己修復機能を持つ。腕を剣に変化させられるので、格闘戦も得意。


 
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