そこは決して明るい場所ではない。それだというのに、その場所を"明るい"と感じるのは、ひとえにその場所に集まっている三人の雰囲気のせいだろうか?
一人は女性。金色の髪を後ろで束ねているのが特徴的で、その顔は見るものを振り向かせるほどの、美人…いや、可愛さがある。
一人は男性。碧色の髪を持ち、その表情は凛々しく、正しく歴戦の戦士という風情をもたせている。
ちなみにこの二人の共通点として、オッドアイであることが挙げられる。
一人は青年。見た目で言えば、先ほどの両者に劣るが、それでも特徴のある青年といえるだろう。何処が? と言われると、その猫耳の形をしたヘッドホンだけど。
「お話、聞いてもいいですか? 約束でしたよね」
青年は数秒、その女性の言葉について考えていると、直ぐ様思い当たることがあったのか、「あぁ!」と納得していた。
「それはいいな。俺も是非、話が聞きたいな。なにせ、俺達には悠久とも言える時間があるんだ。良い暇つぶしとなるやもしれん」
ちょっと捻くれたような、男の言葉。
その言葉に青年はちょっとした、懐かしさを感じつつ二人に問いかける。
「話しても良いけど……かなり長いよ?」
「構いません! 彼が言った通り、私達に時間は一杯あるんですから!」
「それもそうだ」と、青年は独り言のように言うと、テーブルの上にある紅茶に手を伸ばす。
「それもそうだな……。うん、昔のことを思い出すのも悪くない……きっと、悪くないことだ」
目を閉じて、全てが始まった……いや、あらゆる意味で"終わっていた"当時の青年に"始まり"を告げたあのメール。
青年にメールを出した人物に、罪はないのだが、確かにあれが始まりであった。
「あれは……そう、朝起きて携帯を見て、一通のメールが届いている事に気づいたんだ」
青年――天音カイトは、ゆっくりとではあるが、ポツポツと……時には詰まりながらも、当時のことを話し始めた。
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プロローグに当たる話で、タイトルは「After Day」となっています。
こちらで投稿するのは、なにぶん初めてなのでちょいと戸惑ってます。もし、こうやって投稿したほうがいいよ! などという事があれば、気楽にコメントしてもらえると助かります。