No.450559

IS〈インフィニット・ストラトス〉 ~G-soul~

ドラーグさん

ブルー・ティアーズ新装備製作!

2012-07-10 19:58:53 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1026   閲覧ユーザー数:977

「・・・・・ってなわけなんだよ」

 

「ふぅん、セシリアがねぇ・・・・・」

 

翌日、食堂で朝食をとりながら俺は鈴に昨日の夜のことを話していた。

 

「ISの改良に協力してほしい。でも理由は言わない。どうしてだ?」

 

俺は味噌汁をすすりながら首を捻る。

 

「ねえ、瑛斗、ちょっといいかしら?」

 

「うん?」

 

「それをなんでアタシに話したの?」

 

鈴が箸を動かす手を止めて聞いてきた。

 

「え、そりゃお前、お前が一番セシリアと仲がいいと思ったからだけど?」

 

普段からよくセシリアと話をしている鈴だ。何か知っているかもしれないと思ったのだが。

 

「まあ、仲がいいのは認めるけど、そこまで深くは知らないわ。でも・・・・・」

 

「でも?」

 

「セシリアはプライドが高いところがあるから、きっと言いずらい理由があんのよ」

 

「そんなもんか?」

 

「そんなもんよ。ところで瑛斗」

 

ずいっと鈴が顔を近づけてきた。

 

「な、なんだよ」

 

「アンタの話聞いてやったんだから、今度はアンタがアタシに話しなさい」

 

「え、話って何を?」

 

「生徒会長よ生徒会長!あの二年の先輩が一夏にちょっかい出してるって聞いたの!」

 

「生徒会長?ああ、楯無さんのことか」

 

昨日は大変だった。気絶した一夏ぶつけられてこっちも気絶したし。

 

「で、アンタ一緒に行動してたんでしょ?なんか情報ないの?」

 

「情報って言われてもなぁ・・・・・」

 

俺もいまいちあの人の事はわからない。なんて言うか、掴めない人だ。雲みたいな人?ってなところ。

 

「うーん・・・・・あ」

 

「?」

 

「胸はお前よりあったぞ」

 

ガンッ!

 

あれ?おかしいな?左頬が痛い。どうやら鈴が俺の左頬にグーを叩きこんだらしい。

 

「ってえ!」

 

「知ってるわよそんなこと!」

 

鈴は目をつり上がらせて睨んできた。できれば、殴らないでほしかった。

 

「そ、そんなに情報が欲しいんなら、今日第三アリーナに行ってみろよ。今日も楯無さんが一夏に教えるってさ。日曜日だってのに、大変だよな」

 

「教えるって何を?」

 

「訓練だよ。一夏の。『手取り足取り教えてあげる』って楯無さん言ってたし」

 

「何時から?」

 

「さあ?アリーナの解放が十時だから、多分一番乗りで行くと思うぞ」

 

「そう、わかったわ」

 

そう言って鈴はスタスタと行ってしまった。やれやれ。

 

「・・・・・・・・・・」

 

すると、近くにいた箒もそれに続いて食堂を出て行った。一夏、また大変だろうな。

 

「おっと、そろそろ俺も行かなきゃ!」

 

時間を確認し、俺も食堂を出てセシリアと待ち合わせをしている第一整備室に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

「よう、待たせたか?」

 

「いえ、大丈夫ですわ」

 

第一整備室の前に行くとセシリアが待っていた。どうやら俺より先に来ていたらしい。

 

「さっそく始めようぜ」

 

整備室の中に入り、作業机の上に工具を並べる。

 

「こっちはいつでもオーケーだ」

 

「はい、お願いしますわ」

 

セシリアはブルー・ティアーズを無人展開させ、ハンガーに設置した。

 

「さあて、どんな改良を施せばいいかな?ビーム出力アップ?機動性向上?」

 

ペンチを片手にセシリアに聞く。するとセシリアは意外なリクエストをしてきた。

 

「その・・・、実弾武装の装着をお願いしたいのです」

 

「実弾?そりゃまたどうして?」

 

ティアーズ型はビーム攻撃メインのISだ。それに実弾武装とは。

 

「確かにティアーズのビームは強力ですわ。ですが、ビームを無効化する能力を持った相手との戦闘ではわたくしはインターセプターと四基の小型ミサイルビットでしか戦闘が行えませんし・・・・・」

 

「なるほど・・・・・」

 

確かにセシリアの言い分はもっともだ。俺のBRFシールドや一夏の零落白夜でビームを押さえられては、セシリアの攻撃手段は一気に減る・・・・・・・ん?

 

「あ、要するにセシリアは俺や一夏にも勝てるように、ティアーズを強化したいと?」

 

「うっ・・・・・!み、認めたくありませんが、そうですわ・・・・・」

 

俺の疑問は一気に解消れた。そういうことだったのか。鈴の言葉にも納得がいく。

 

「俺は別にそれでも構わねえけど、実弾装備となると改良どころか改造の域に達する。勝手に改造していいのか?」

 

イギリスから文句を言われるのは少々、いや、結構面倒だ。

 

「それに関しては問題ありませんわ。確かにわたくしは本国からBT兵器の稼働実験のサンプリングを命じられてますけど、それに支障をきたす程でない改造ならしてもよいと話をされていますの」

 

「そうか。なら安心だ。よーし!久々に腕がなるぜ!」

 

俺は持ってきたノートパソコンをブルー・ティアーズに接続し、拡張領域を確認する。

 

「お、拡張領域には余裕があるな。これなら新しい武器も一つや二つは装備可能だ」

 

「あの、瑛斗さん。わたくしは何をすれば?」

 

セシリアが遠慮気味に聞いてきた。

 

「そうだな、特にしてほしいことは無いから、改造が終わったら携帯で呼ぶ。それまで待っててくれ」

 

「わ、わかりましたわ。あ!せっかくですから何かお食事を作っ―――――」

 

「イヤ、本当に大丈夫だから」

 

俺ははっきり、聞こえるように言った。

 

「そうですか?では、お願いします」

 

「おう、期待して待っててくれ」

 

セシリアを見送り、目前のブルー・ティアーズに向き合った。

 

「へっへっへ・・・・・ツクヨミの研究員の実力、見せてやるぜ!」

 

俺は上着を脱いでシャツを捲り、手にレンチとドライバーを持ち、久しぶりのIS改造に心躍らせた。

 

 

 

 

 

 

時間は経って午後三時半。俺は額に流れる汗を拭ってつぶやいた。

 

「できた・・・・・・・」

 

俺はポケットから携帯を取り出し、セシリアに電話をかける。

 

(セシリアのやつ、きっと驚くぞ!)

 

そんなことを考えながら携帯の呼び出し音を聞く。

 

『はい?』

 

「セシリア!できたぞ!」

 

『本当ですの!?すぐ行きますわ!』

 

セシリアは電話を切って二分ほどでやって来た。

 

「瑛斗さん!」

 

「おうセシリア!見ろ!」

 

俺は無人展開のブルー・ティアーズをセシリアに見せた。

 

「まあ・・・・・!」

 

セシリアも感嘆の声をあげる。

 

「この背中のウイングがマシンガン搭載ビット『バレット・ビット』。銃弾の装填数は一基につき二百発だ。それを左右に四基ずつ計八基積んでるから総弾数は千六百発。そう簡単に弾切れは起きない。ビームビットと併用すればちょっとした弾幕だって張れるから、実質的には攻撃と防御の性能を同時に引き上げることができた」

 

「素晴らしいですわ!」

 

セシリアの声は弾んでいる。

 

「それだけじゃない。このウイング状態なら、依然の一・二倍のスピードで動くこともできるぞ」

 

「想像以上ですわ・・・・・。本当に綺麗」

 

セシリアはうっとりしたようにブルー・ティアーズの装甲に触れた。

 

(よしよし。満足してもらえたみたいだ)

 

俺はうんうんと頷く。

 

「瑛斗さん、これ、もう使えますの?」

 

「もちろん。それじゃあ一丁稼動テストと行ってみるか」

 

「はい!」

 

俺とセシリアはアリーナに向かった。

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、移動標的を的にしてビットを動かしてみよう」

 

「わかりました」

 

第四アリーナには射撃訓練もできる場所があり、そこでテストをする。

 

「数はニ十機。出すぞ」

 

ヒュン、ヒュヒュン

 

飛び出した円盤状の移動標的は四方八方に飛び交う。

 

「行きます!」

 

ビュンッ!

 

ブルー・ティアーズを展開したセシリアは八基のバレット・ビットを射出し、砲門を縦横無尽に移動する標的に向ける。

 

「はぁっ!」

 

ダダダダダダダッ!

 

勢いよく発射された弾丸は次々と標的を撃墜していく。

 

(いい具合だな。なら!)

 

俺は画面を操作して標的の設定を『回避』から『反撃』に変更した。

 

残った標的たちがフォーメーションを組み、セシリアを取り囲む。

 

(さらに追加だ!)

 

新たに十機の標的を発進させ、セシリアの逃げ場を無くす。

 

「このくらいっ!」

 

セシリアは腰部のビームビットを全て射出。計十六基のビットがセシリアを守るように展開する。

 

ダダダダダダッ!

 

ビシュッ!ビシュッ!

 

発射された弾丸とビームは次々と標的を撃墜していく。本来ならば標的からも低出力のレーザーが発射されるはずなのだが、それすらも発射できないほどの速度で撃墜されていく。

 

「最後の一機!」

 

ダンッ!

 

バレット・ビットの弾丸が最後の標的を撃ちぬいた。

 

見事にすべての標的を撃墜したセシリア。俺は拍手をする。

 

「凄いなセシリア。初めての操作で完全に使いこなすなんて」

 

「いえ、瑛斗さんこそ、素晴らしい新装備をありがとうございます」

 

「いいってことよ。次の模擬戦訓練も頑張れよ?」

 

「当然ですわ!わたくしはセシリア・オルコットですのよ!」

 

セシリアは腰に手をやり、少し自己表現の過ぎる胸を張った。

 

「知ってるよ」

 

そう言って俺は笑った。

 

(楯無さんが言っていた『競争心に火をつける』って、あながち間違ってないのかもな)

 

ふと、楯無さんの言葉を思い出し、俺は第三アリーナの方を向くのだった。


 
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