どう説明しよう。
『バロックワークスに潜入したらなんか幹部になっちゃいました』?
そのまんまだけどなんか変!?というかどっから説明すればいい!?
『偶然腹を空かせて入ったカフェがバロックワークスの幹部の巣で幹部同士のケンカを止めたら勧誘されて潜入しようとその話に乗ったら幹部になってミス・オールサンデーの手伝いをしていたら偶然こうなりました』?
何か長い!
考えた末に出てきたのが
「う、裏切りじゃなく潜入だから」
キョトンとするビビ。
おい!これ思いっきり裏切り者の言い訳じゃねーか!
「えっといろいろあってバロックワークスに潜入してるんだ。そのうちちゃんと説明するから今はちょっと倒されたふりしててくれ。そんなに時間がないんだ」
言いながらどこからか絵の具とパレット、絵筆を取り出して血の色を作る。
「多分今頃ルフィ達は奴らのアジトにいる。だまされて檻にでも入っているだろう。檻に入ってるとしたら絶対能力者の対策もしてある。そしたら俺は開けてやれねえんだ。だから俺にやられたフリをして一緒に来てくれ」
ビビの服や身体に血のりをつけて言う。信じてもらえるだろうか。
「…わかったわ。行く」
「本当か!?よかった、信じてもらえるか心配だったんだ。そしてルフィ達には黙っててくれないか?」
「なんで?」
「ルフィの性格だ、口がすべりかねない」
「ふふっ、そうね」
互いに笑う。そろそろミス・オールサンデー達の方はケリがつく頃だろうか。鳥人間には悪いがミス・オールサンデーには勝てないのではないか。オフィサーエージェントということは能力者だ。それにMr.0のパートナーだ。伊達の強さじゃないだろう。
二人で下を見下ろす。
「!!ペル!!」
…なんだありゃ…。
鳥人間や地面から手が生えていてその手が鳥人間に関節技を決めているのだ。
「…クラッチ!」
ミス・オールサンデーが言うとともに鳥人間の身体がありえない方向に曲り、血を吐く。ミス・オールサンデーの能力は手を生やす事か?
「ペル!!そんな…」
ビビがへたり込む。
「おそらくもうすぐミス・オールサンデーもやってくる。俺にやられて苦しんでるフリをしててくれ」
青ざめたビビが黙って頷く。俺の予想は当たっていたようでまもなくミス・オールサンデーは上がってきた。
「案外早く終わったんだな」
ニヤリと笑いながら話しかける。それっぽく見せるためビビは両手を背中に回させて俺が抑えている。
「ペルは!?」
ビビが声を荒げる。鳥人間はどうやらペルというらしい。
「あなたが見てた通りよ。王女を連れて行かせないと聞かないものだから黙ってもらったわ」
ミス・オールサンデーが笑う。
「大丈夫よ。死んではいないわ。骨が何本か逝った程度。
さあ、仲間がお待ちかねよ」
そうして俺たちはレインディナーズへ向かった。
廊下を突き進み、おそらくルフィ達のいるだろう部屋のドアの前にたどり着く。そしてビビの腕を放す。もう放しても逃げないだろう。放すとビビは急いで部屋に入る。クロコダイルが椅子に座っていてその5mくらい横に大きな檻がある。
「クロコダイル!!」
ビビが階段の上から叫ぶ。ルフィ達はやっぱり檻の中に入っていて中からビビを見上げている。
「ビビ!!」
「やあ、ようこそアラバスタの王女ビビ。いや、ミス・ウェンズデー。よく我が社の刺客をかいくぐってきたな」
「来るわよ…!どこまでだって!あなたに死んでほしいから…!…Mr.0!!」
「死ぬのはこのくだらねぇ国さ…ミス・ウェンズデー」
「!!!」
「お前さえアラバスタに来なければこの国はずっと平和だったんだ!!」
ビビが階段を蹴ってクロコダイルのいる机に向かって飛ぶ。
「“|孔雀(クジャッキー)”“|一連(ストリング)スラッシャー”!!」
ビビの武器がクロコダイルに向かって飛び、クロコダイルの首が飛ぶ。
「無駄だろ」
ため息をついてつぶやく。
その声でようやく檻の中の人々は俺の存在に気がついた。
「え…ヤマト!?」
ナミが信じられないという風に叫ぶ。
「どーも」
さて、嫌われ役を演じるとしますか。
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