No.449679 恋姫外伝~修羅と恋姫たち 七の刻南斗星さん 2012-07-09 04:02:27 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:4790 閲覧ユーザー数:4456 |
【七の刻 紫苑と桔梗】
黄忠の屋敷にと案内された疾風は、黄忠手ずからの料理で接待されていた。
その際、娘の恩人だからと自らの真名である『紫苑』を預けると言ってきた。
真名に対してある程度理解していた疾風は、
「別にそこまで恩に感じてくれなくてもいい」
と断ったのだが、
「娘の安否がそれほどの事ではないと?」
と笑顔で圧され否応なく受け取らされたのである。
「ガツガツ パクパク モグモグ…ごく。」
あいからわずな食欲を見せる疾風に対して紫苑は「まあまあ」と笑顔を絶やさず、璃々は「お兄ちゃんすご~い」と目を輝かせていた。
そんな中外から入り込んでくる人の気配がした。
「おい紫苑居るのか?」
「あら、桔梗じゃない。どうしたの今日はいきなり尋ねてくるなんて?」
大きな声で黄忠の真名を呼びながら上がりこんできたこれまた大きな胸の女性、どうやら親しい間柄らしい。
「何、今日は
と頭を撫でる女性に「うん璃々は元気だよ」とにこにこ笑顔を見せる璃々。
そんな璃々にそうかそうかと笑顔を見せた後、ふと未だに食事を続ける疾風を見た。
「それで紫苑よ、さっきからこのわしを無視してメシを食らってる無礼者は何者じゃ?」
と少々不機嫌な顔で紫苑に問いただした。
「もう桔梗たらそんな言い方は失礼よ、こちらは璃々の恩人なのだから」
とそれまでの経緯を女性に説明する紫苑。
それを聞いた女性は
「ほうほう近頃の若いやつにしては、骨があるやつのようじゃの~坊主。わしの名は厳顔、紫苑とは旧知の仲での、わしからも璃々を救ってくれたこと礼を言わせてもらおう。で、お主、名を聞かせてもらってよいかの?」
そう聞く厳顔にやっと満足した様子の疾風は
「陸奥 疾風」とだけ答えた。
「ところでお主、そうとう腕が立つと見たがどうじゃ?」
と紫苑と歓談していた厳顔が急に疾風に話を振って来た。
「あら桔梗もそう思う?私も疾風様は只者ではないと思うわ。」
と紫苑まで面白そうなことを見つけた風に食いついてきた。
疾風が肩を竦めながら
「それほどでもないさ」
と首を振って見せても
「それは謙遜じゃろ、わしの目は誤魔化せんぞ。」とか「ですわね、私達では及びもつかない所に立っておいでとお見受けいたしますわ。」とかいって取り付く暇もないのである。
疾風の立ち振る舞いだけでその実力の一端を見抜くとは、さすがは年の功と言うべきであろうか。
それはさておき、璃々まで「お兄ちゃんすごかったよ~悪いお兄ちゃん達をこうえい、や~って感じであっという間にやっつけちゃったの!」
と興奮して話すありさまである。
「ふむふむ、これは是非一度手合わせ願わなくてはのう。」
それを聞き両腕を胸の前で組みながら、うんうんと頷く厳顔 に紫苑は
「もう桔梗ったら、あまり疾風様を困らせないでね。」
と苦笑を漏らす。
「わかっておる、今日の所は璃々を救ってくれたことだし大人しくしているわ。じゃが機会があったら立ち会えよ小僧。」
と意気込む厳顔に肩を竦めて見せる疾風だった。
「ところで小僧、いや陸奥殿よ。」
雑談が一段落した所で厳顔が真面目な顔で疾風に呼びかかけて来た。
「見ればお主紫苑に真名を預けられているようじゃし、何よりわしはお主の事が気に入った。是非にわしの真名も預かってもらいたい。」
そう言うと疾風に向かい頭を下げた。
「我が真名は『桔梗』陸奥 疾風殿、この名どうか預かって貰いたい。」
対して疾風は少し困ったように指で右の頬を軽く掻きながら
「わかったよその名預かろう。俺は陸奥 疾風 真名はないから好きに呼んでくれ。それとその改まった態度はやめてくれ。あんたにそんな態度を取られると背中が痒くなる。」
と苦笑を浮かべ言った。
それを聞いた桔梗は破顔しながら頭を上げ
「おおそうか!ならば主のことは疾風と呼ばせてもらおう、疾風よ聞けば主は旅をしてるとのこと。わしは益州で劉璋の小僧に仕えている。今日はもう
と豪快に笑うのだった。
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