少し遅くなったかな?そう思った僕は、小走りに公園のほうへ向かった。そして公園に入って少し探してみると、裕樹は見つかった。・・・なんで木に寄りかかってるんだろう?
「お待たせ裕樹」
「おぅ、そんなに待ってねえよ」
「ありがと。それで、用事って何?」
「あ~、用事っつうか話したいことだな」
話したいこと?今更友達である僕になんか隠してたことでもあったのかな?
「ここじゃ誰か来るかもしれないから、もうちょい奥に行こう。・・・なんで離れるんだよ?」
「そんな言い方されたら離れるよ!むしろ何も疑問に思わず付いていく人がいたら見てみたいよ!」
今の裕樹の言い方だと、誰かに聞かれると恥ずかしいからもうちょっと近くに寄ってって言ってるようなもんだよ!?
「だから!そんな趣味はないと学校でも言っただろ!?俺が話したいのは俺自身のことについてだ!」
「ああなんだ、最初からそう言ってよ」
「何で二回も同じことを説明しなきゃならないんだ・・・」
それは誤解を招くような言動を毎日してるからだよ?僕もついさっきなのはちゃんたちに、下手したら女の子でも通じるって言われたしね・・・。なんて考えながら、今度はおとなしく裕樹についていった。
「この辺でいいな。まずは、スマン。お前の秘密をこっちの都合とはいえ勝手に見ちまった」
「ちょ!頭を上げてよ!裕樹に謝られるほどの秘密・・・なん・・て・・・」
「・・・ああ、お前が魔導師だってのを俺は昨日見ちまった」
・・・ナンテコッタイ!じゃあヴェルジュが言ってた人物って裕樹だったのか!てことは・・・。
「裕樹も魔導師?」
「そういうこった」
「じゃあ、両親も魔導師?」
「いや、両親はいたって普通の日本人だ」
普通のって・・・。じゃあ裕樹は俗に言う希少種ってやつかな?
「その辺についてもちゃんと話すから落ち着いて聞いてくれ。たぶん信じられることじゃないと思うから」
「わかった。でも大抵のことは信じるよ、友達だもの」
「ありがとよ。じゃあ、まどろっこしいのは嫌いだから単刀直入に言うと、俺は転生者だ」
「・・・・・・・はい?」
え、転生者?あの一回死んで生まれ変わった人間ってやつ?大抵のことは信じれるはずだったけどこれは・・・。
「ま、そんな簡単に信じてもらえるとは思っちゃいなかったがな」
「あ、いやゴメン。さすがに転生者って単語が出てくるとは思わなかったから・・・。でも仮に本当に転生者だとして、それを証明することはできるの?」
「そうだな・・・、今すぐは無理だな。ちと俺の身の上話になるが、俺は今いる世界に生まれ変わる前は、ごく普通の人間だった。言い方はおかしいが、本当に特徴のない人間だった」
「ふむふむ」
裕樹が本当のことを言ってるかどうかは、まだ判断できないけど、その目は真剣だと言うことが分かる。だから僕も茶化さずちゃんと聞くことに専念しよう。
「でな、死んだときのことはなんでか覚えてないのよこれが。たぶんなにかの拒否反応だろうな。そのときのことを思い出したら、それがトラウマになるからだと思う。それでな、前世のことを覚えてるって言っても全部覚えてるわけじゃない。覚えてる事柄もちらほらで、さっきごく普通とか特徴のないといったのも、おそらくそんなに刺激のある生活だと感じた記憶がなかったからだと思う」
「・・・それで?」
「ああ、そんでなそのとき見たアニメの中に、今俺たちが生きてる世界を題材にしたものがあったんだよ」
「・・・そんでって、ええ!?じゃあなに、この世界は作られたものだって言うの!?」
「落ち着けって。あくまで俺の前世での話しだ。でもまったく無関係ではないと思う。現にあのフェイトがいたからな」
裕樹はまだ話してもいないフェイトの名前を知っていた。あ、昨日の人物が裕樹でこっちをサーチャーで観察してたんなら音声も拾ってるか。ならまだ転生者の証拠には薄いな・・・。
「で、今もそうだが俺自身2次元にはそんなに興味はない。だからそのアニメのことも、俺の友達にいたアニメ好きのやつがしょっちゅう話してたのを聞いて覚えた程度のものだ」
「てことは、そのアニメのストーリーは?」
「詳しくは知らん。所々知ってるくらいだ」
「・・・じゃあ、さっきの念話の人物は分かる?」
「名前はユーノ。元は人間の姿なんだが、しばらくはフェレットもどきの姿でいるはずだ」
さっきの声の人物はユーノって名前なのか。
「じゃあ、それを確かめる方法は?」
「ん~、今夜あたりこの近くにある動物病院に行ってみな。そうすりゃ会える」
「今夜?何で今じゃないの?」
「その辺は今は言えん。さっき俺が知っているアニメとは無関係ではないといったのが理由だ。そのアニメには俺やお前がいなかったのは覚えてる。だから俺たちがいる時点でこの世界はアニメとは別の世界に変わっているといってもいいだろう」
・・・ちと整理しよう。まず、裕樹が転生者だとして、前世でこの世界を元にしたアニメがあった。そのアニメには僕や裕樹はいなかった。僕や裕樹がいるせいですでに物語としてそのアニメとは別のものになってる可能性があるってことか。で、転生者の証明には別のものになってる可能性があるものの、そのアニメに出てくる、ユーノって人物の名前と容姿が一致していること。その人物は普段フェレットもどきで本当は人間の姿だと言うこと。・・・なんとなく分かった気がするけど・・・。
「ねえ裕樹、そのユーノって人の特徴を僕が来る前に見ることができたってのはないかな?」
「そりゃ無理だ。助けてって念話が聞こえた時点でユーノは倒れてるはずだし、その場所に向かったとしても、フェレットもどきか人間の姿のどちらかしか見ることはできない。それに俺は念話が聞こえた時すでにさっきの木の下にいたし、なによりその木の周りに俺が動いた形跡があったか?」
「・・・なかった。魔法を使ったのなら直前で感知できるだろうし、その痕跡も少なからず残ってるはずだから」
「そういうことだ」
なるほど、それなら問題ない。では次の問題に移ろうか・・・。
「じゃあ、裕樹が転生者だって言うのは、ユーノさんを調べてからだね。それじゃ次はどうして前世の記憶を覚えていたかなんだけど」
「それはたまにいるだろ、他にも前世での出来事を部分的に覚えてるとか言うやつが。俺はその覚えてる部分がそいつらより少し多いってだけだ」
「なるほどね~」
確かにそういう人がいるってのは聞いたことがある。あくまでテレビでだけど・・・。でも、それを完全には信じれないよね~。友達の言うことだから信じてはあげたいけど、今はまだ確証がないからね。と裕樹はまだ話すことがあるらしく、僕はまた耳を傾けた。
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こんばんは~、皆さん元気?おいらは元気です(笑)さて、今回はオリキャラ同士の絡みとなっております。ではでは本編どうぞ~。