ナカジマ宅へと来たフェンリー。現在、彼は居間に居て、目の前には一人の男性がいる。
「お前さんがスバルを助けたのか。本当にありがとうな」
ゲンヤ・ナカジマが、フェンリーに頭を下げ礼を言う。
「別に礼を言われるような事しちゃいねー。後、成り行きだって言ってんだろ?」
フェンリーの言葉に、ゲンヤは笑う。
「若いもんにしては中々面白い事言うやつだな、気に入ったぞ」
「はぁ……(の前によー…こいつ如何にかなんねーのか?)」
「♪」
フェンリーは隣を見る。フェンリーの隣には、満面の笑みを見せるスバルが居る。
「ははっ、随分とスバルに懐かれてるな」
「……おいおい(人間の餓鬼に懐かれるとはな……オッサンやティターニャンが見たらなんて言われる事やら……)」
頭を抑え、呆れたようにため息を吐く。
「……」
そんなフェンリーの様子をギンガはじっと見る。
「お待たせ~♪」
クイントがキッチンからやって来た。クイントは手に持った料理を食卓に乗せていく。
「お、今日はカレーか!うまそうだな」
「でしょ~♪フェンリー君、遠慮せずに食べてね」
そう言いながら、クイントはフェンリー、ゲンヤ、スバル、ギンガにスプーンを手渡す。
「それじゃ、食うか」
「「「いただきま~す!」」」
スバル達はカレーを口に運んでいくが
「……」
フェンリーはスプーンを手に持ったまま固まる。
「?どうしたの?」
「いや…」
「もしかしてカレー嫌いだった!?」
「そうじゃねー……あのよ、はっきり言うぜ?」
「?」
「俺、料理っての生まれてからこのかた、一度も食ったことねーんだわ」
「「「!?」」」
「え…?」
彼女達は信じられなかった。ではこの青年は料理を食べずに、今までどうやって生きてきたのだろうか?
「……わりぃ、なんか空気壊したみたいだな、あぐっ」
フェンリーはカレーを口に運ぶ。
「!?こ、これは……」
体を震わせ
「う、うめーじゃねーか!……まさか料理ってのがここまでうめーなんて知らなかったぜ!」
まるで子供のようにはしゃぐフェンリーを見て、クイントは微笑ましく彼を見る。
「私達も食べましょ」
「「は〜い!」」
そうして、晩御飯の時間は過ぎていった……。
クイントはスバルとギンガを寝かしつけ居間へとやってくる。そしてクイントはゲンヤの隣に座る。机を隔ててフェンリーが椅子に座っている。
「さて、フェンリー。お前さんの事について色々聞かせてもらうが…いいか?」
「別に構わないぜ」
「まず、あなたの出身は?」
「知らねー」
「…じゃあ次、あなたは何歳?」
「知らねー」
「……あなたは」
「知らねー」
「まだ何も言ってないんだけど……ってか真面目に答えてる?」
「あ?俺は至って真面目に答えてるぜ?」
嘘は付いていないようなので、質問は続く。
「質問を変えるわ。あなたは生まれてからこのかた、料理を食べたことがないって言ってたけど……あれはどういう意味?」
「そのまんまの意味だ。俺は元々レプリロイドだし」
「レプリロイド?」
その単語に二人は頭を傾げる。
「んだ?そんな事もしらねーのか?しかたねえ、説明してやんよ。レプリロイドってのは人間的思考回路を持つロボットの事だ。常識だぜ?」
「常識……なの?」
「いや、俺を見るなよ。俺も今日初めて聞いたんだからな……お前さんがそのレプリロイドってのは驚いたが、元々ってのはどういうことだ?」
フェンリーは表情を変え不機嫌そうに言う。
「俺はとある作戦の実行中に、同じレプリロイドに破壊されて、気づいたら人間の姿になってて、あの公園に居たんだよ」
「破壊された…ってあなた、一度死んじゃったってこと!?」
「まあそうなるな」
クイントは驚愕したまま固まってしまう。
「俺は戦闘用に作られたレプリロイド。いつかはそうなる運命だったんだ、別にこれといった感情なんざねーよ。それに最後の戦いは楽しかった。満足に死ねたからなんの問題もねえ」
「……」
「フェンリー……」
すると、クイントが立ち上がり
「フェンリーk、いや、ルナ君!」
「は!?ルナ君!?」
「あなた今日から此処に住みなさい!!」
「………」
フェンリーは思考が一旦停止した。だが直ぐに
「はぁああああ!?何言ってんだお前!?」
「あなた戦闘用に作られたって事は、戦闘以外何もしらないんでしょ?」
「あ?…ああ、まあな」
「そんなの可哀想よ!私が戦闘以外のこと色々と教えてあげる!!どうせ行く所ないんでしょ?」
「どうせってなんだ!?ま、まあ、行く所はねえな…行くとしたらあのベンチくらいか……ってか、俺みたいな素性不明でわけわかんねー奴、家に置いて良いのか?」
「大丈夫!一人増えても生活には大して支障は出ないから!!「いや、そういうことじゃなくて」あなたもいいわよね!?「話きいてんのか!?」」
クイントはゲンヤを見る。ゲンヤはため息を吐きながら
「相変わらずお前は勝手に話を進めていくな……まあ、別に俺は構いはしねぇ。スバルも随分とフェンリーに懐いちまってるし、ギンガもそこそこ興味もってるし……いいんじゃないか?」
「なら決まりね!!ちょっと待ってて!空いてる部屋があるから、今すぐ過ごせるように準備してくるから!」
光の速さでクイントは居間を出た行った。残されたのは茶を飲むゲンヤと、話が進みすぎて、全く追いつけていないフェンリーだった。
「まあ、クイントはああいう奴だ。気にしたら負けだぞ?」
「チッ……人間ってやっぱわかんねー生き物だぜ」
「ははっ、まあそう言うな、フェンリー。さて……俺達でお前さんに人間の生き方っての教えてやるから、覚悟しとけ」
「お手柔らかにたのむぜぇ……」
ダルゲに言うフェンリー。
そうして、フェンリーとナカジマ家の奇妙な生活がスタートしたのであった。
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クイントとスバルの誘いにより、ナカジマ宅にやって来たフェンリー。さてはて、彼は一体どうなる!?