流星は直ぐに人間の里に姿を現した。紅い霧は里中に 広がっていて周りの人達が大急ぎで家に入る姿が後を たたない。
そして其の霧は流星にも何らかの変化をもたらしてる 先程から体の力が奪われそうになっている。
「凄い程の妖力だ。これは妖霧だな」
小さい頃に妖力の特訓を積んだからこそ分かる、この 霧による妖力の強さが。恐らく普通の人なら20~30 分で体力を奪われてしまうだろう。
流星は周りを見る周りの人達は家の中へ入りこの場所 に居るのは流星だけとなった。
そして流星は異変の事に詳しいかと思われる人物で在 る上白沢慧音の居る寺子屋へと向かう。
寺子屋の前に居る。扉が閉められている。
流星は扉をノックする。中から凄く懐かしい声、慧音 の声が返ってきた。
「こんな時に誰だ」
「慧音さん、霧雨流星です。少し聞きたい事が在り来 ました」
中から立ち上がる音が聴こえた。暫くして扉が開き其 所から慧音が流星を見てる。
余りに成長したせいか最初は見覚えの無い感じの表情 だったが直ぐに思い出し流星に語りかけた。
「私の教え子だった流星か?」
「そうです」
慧音は見違えたと思いながら流星を見てる。魔理沙と の再会は十年ぶりだったが慧音はもっと古い再会とな る。
「久し振りだな。取り合えず中で話を聞くか」
流星は建物の中へと入る。慧音に机に座る様に言われ て机に座り、慧音は椅子を持ってきて向かいに座った 。
「何を聞くか分かっているぞ。この霧の事だな」
「慧音さんもこの霧については何か分かったんですか 」
「いや、まだ霧が覆われてから時間が経ってないから な。はっきりとした事は言えないが1つ言える事はこ の霧が太陽の光を遮っていると言う事だけだ」
「太陽ですか?」
流星は考える。妖霧、太陽、これは明らかに自然現象 ではないと言う事だけは分かった。
自然現象ではないと言う事は或いは人の手による物に なる。太陽を遮ってしまうと言う事は太陽に余程の敵 意を持っている人になるわけだ。
「闇の妖怪か或いは吸血鬼の仕業位しか思い浮かびま せんね」
「今の話で其処まで分かっただけでも上出来だ。お前 の言う其の二人の仕業か調べてみるな」
慧音は奥の部屋へと入って行った。そして流星は更に 深く考えている。
昔にこの幻想郷の何処かに吸血鬼が住むと言う舘が在 ると聞いた事がある。
「どうやら又、紫さんの能力を使わせて頂く時がきた 様だ」
流星は隙間を開けた。其の中へと入り流星は隙間を閉 めた。
流星の姿は其の場所から居なくなった。そして奥から 慧音が戻って来た。
「思いあたる所を調べたぞ紅魔館だ、あの舘かも知れ ない」
慧音は周りを見て流星が居ない事に気が付いた。慧音 は巻物を置き流星が行った先が何処か直ぐに分かった 。
「流星、恐らく生きて帰って来れないぞ」
慧音は窓の方を見て紅い霧をじっと見る。
「確か彼奴には『見た事を真似する程度の能力』を持 っていたからな。死ぬ事は無いと思うけど」
でも不安が過る。そう思いながら慧音は巻物を持って 自分の部屋へと入って行った。
隙間の中で境界を使って吸血鬼の住む舘を探している 。
このまま霧が幻想郷を覆われる訳にはいかない。そし て何よりも一番に重要なのは夜空が霧に遮られてしま ったら星が見れなくなる危険が在る。
流星は境界で舘を見つけた。
「あれか」
流星は隙間を開けた。そして着いた場所はこの舘の主 であるレミリアスカーレットの部屋の前だ。流星はレ ミリアが主だとは知らない。
流星はノブに手を置き扉を開けた。
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東方霧雨兄録の其の七です。楽しんで頂けたら嬉しいです。