「じいちゃん!俺海賊になって裏の世界を描くよ!!」
俺は新聞を見るなり一緒に住んでるじいちゃんの所に飛んでいった。
俺はじいちゃんと二人暮らし。母さんと義父さんは俺の兄と一緒に別の所に住んでいる。三人は『天竜人』なんだ。俺は母さんと母さんの浮気相手の間にできた子だから『半天竜人』?
正直天竜人は最悪だと思う。言葉遣いおかしいし奴隷買ってるし。だから俺は母さんの浮気相手の父さんと一緒に住んでいる。じいちゃんはいきなり転がり込んできた俺を歓迎してくれた。今まで邪魔者にされていて家でも奴隷と同じような扱いだった俺にとってその暖かさはすごく身に染みたのは今でも繊細に覚えている。
じいちゃんは庭で絵を描いていた。俺が画家になりたいのは多分じいちゃんみたいな絵が書きたいからだと思う。悔しいけど。俺は身長が175cmは超えてっからじいちゃんよりもでかいだろう。俺がじいちゃんに勝てるのはそれくらい。強さも結構強いつもりだったけどじいちゃんの前ではかなわなかった。だからそれ以来ずっと鍛えている。
「今何と言った」
「海賊になりとうございます」
冗談ぽく言ってみる。
「ばっかもんがぁぁぁ!!」
「うお!あっぶねぇ何すんだよじいちゃん!」
いきなり絵筆を投げてきたのだ。絵筆は畳に刺さっている。良い子は真似しないでね♪
「何を言うかと思えば何事じゃ!海賊なぞもってのほか!」
「じいちゃんこの新聞見たか?」
まじで怒ってるじいちゃんとは正反対にニッコリ笑って新聞を差し出す俺。じいちゃんは無言でひったくり、目を丸くする。
「ロジャーが…死んだか」
じいちゃんがとても懐かしそうな目をするから驚いた。だがそれはほんの一瞬で。
「大和!わしと勝負せい!わしに勝ったら小舟を用意してやろう」
しかめっ面で言う。俺が言い出したら止まんないことを知っての上での判断だろう。
「うほー!じいちゃん太っ腹!サンキュー!!」
「わしに勝ってからじゃ!道場に来い!」
「素手でわしに背中をつかせたらお前の勝ちじゃ」
「ありがとうじいちゃん!食料もくれたらもっとうれしいんだけど」
「勝ってからじゃと…言っておろう!」
いきなりじいちゃんのローキックがくる。
「うおい!不意打ちはひでーよ!」
慌てて上に飛び退いて一回転して着地する。
「海軍なんぞ卑怯者ばっかじゃ」
してやったりと笑うじいちゃん。俺の記憶が正しければこの人もう70はいってるはずなんだけど。
「じいちゃんぎっくり腰になっても恨むなよ!」
じいちゃんの顎めがけて下から足を振り上げる。
「遅いわ!」
振り上げた足を足で蹴られる。
「あらら。自信あったんだけどな」
体勢を整え、今度は顔面に向かってパンチをくり出す。だがそれもじいちゃんの手に寄って塞がれる。
「遅いのう。わしゃ眠くなりそうだ」
「これだけで終わりとでも?」
逆の手で頬に向かってパンチをくり出す。
ドゴッッ
綺麗にヒットする。でもこれだけで倒れてくれるじいちゃんじゃない。
「少しはできるようになったな」
「一番始めのときは俺もショックだったよ?一発も入らない上に一発でダウンだもん」
「今はどうかの?」
真正面からパンチが来る。突然のことだったので対応できなかった。
ドガッ
クリーンヒット☆
あー。俺の前でたくさんのひよこが飛んでるよー。でもここで倒れる訳にはいかない。このチャンスを逃したらもう機会がない気がするから。
世界政府は絶対何か隠してる。それを暴いてやりたい。そうするには海賊になるのが一番手っ取り早い。海軍の方から寄ってきてくれるからだ。
倒れそうになるのをグッと耐える。
「くっ」
相変わらずじいちゃんのパンチは効く。あなた本当に70ですか。
じいちゃんの横を駆け抜け、首に腕をかける。
「!!」
「うおおおぉぉ!」
ドゴオオォォォン…
パラパラパラ
天井から何か降って来る。目の前には仰向けに倒れたじいちゃん。
「か……った…?」
「ふん、わしの体が衰えただけじゃ。だが約束は約束だ」
来い、と言い道場を出て行くじいちゃん。慌ててついていく。
腰何ともないのか?俺結構本気の一撃だったんだけど。
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にじファンからの転載です。