「でさー、こいつがさー」

「はいはいわかったわかった」

いつもと同じ毎日

いつもと同じように学校に行くと、休み時間は大体こいつ はこの話だ

話し出すと止まらず、ノンストップで最後まで駆け抜けて しまう

人間、自分の趣味の話になると止まらなくなってしまうも のだ

「いやさー？CD買おうか迷ってんだよね」

「・・・買えばいいんじゃね？」

いつも半分呆れたように俺は答える

最近こいつは気になっているCDを買おうかどうか迷って るらしい

その理由が・・・

「だってさー、タイトルに少女って入ると変な目で見られ そうでさ」

「好きならいいじゃん、買っちまえよ」

こいつ曰く、登場キャラは皆大人だけどタイトルに少女が つくから決心が・・・だそうだ

俺はよくわからないが、人によっては価値はそれぞれなの で特に何も言わない

靴が好きな人もいれば服が好きな人もいる

音楽が好きな人もいればゲームが好きな人もいる

自分にはわからないからといって悪く言ってはいけない

「んじゃ、チャイム鳴るからもう行くわ」

「ちょいまち」

そろそろ次の授業のチャイムが鳴りそうだったので自分の 席にもどろうとすると呼び止められた

そいつは自分の鞄をガサガサ漁ると、一冊の漫画の本を取 り出した

「これお前にやるよ」

そう言って差し出してきたのは『ストライカーズ』と書か れた単行本だった

「今出すなよバカ！」

そう、ここは学校

ということは他にも生徒がいるわけなのだが、幸いにもバレることはなかった